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【バグサッカー】きれぼしサッカー【やりまーす】
[142]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/04(月) 12:30:55 ID:??? >>141 本編から1週間後、という時間だけが進んだ状態なので、森崎との 関係も本編に準拠しています。 さらにワールドユースに優勝したことにより、間接的ながらも陽子への アピールができ時間や精神にも余裕ができたことで、本編よりさらに前進しています。 もうあと一押しでゴールインできるでしょう。 全日本ユースがきれぼしJAPANに勝利することができたなら、 陽子さんとのハッピーエンドが見られる……かもしれませんよ。
[143]141:2013/03/04(月) 14:57:24 ID:??? ありがとうございました
[144]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/10(日) 17:18:29 ID:??? ただいま描写に四苦八苦しており、更新が遅れております。 今後しばらくの間はあまり投稿できなくなるかもしれません。 なにとぞご寛恕を願います。 ★フォローの結果→ クラブ5 ★ 「もう、何もかもおしまいよっ!」自責感に耐え切れなくなり、陽子が号泣してしまう ---------------------------------------------------------------------------- 陽子の心を解きほぐすべく、賀茂は対話を試みた。ある時は非道な父親をなじり、 その次はこれまでのひたむきな陽子の取り組みを称揚し、自らの不甲斐なさに気付くよう強い言葉を吐きつけ、 事態の楽観を勧め、協会の自立性を強調して脅迫の無意味さを主張した。 だが無駄であった。既に陽子の頭は父の強硬な執念と自らの無力ぶり、 その結果による日本サッカーの破滅の幻影に囚われ、まともな思考ができなくなっていた。 自らの「罪」に潰れていくうちに、これまでの陽子の過去が去来する。
[145]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/10(日) 17:22:05 ID:??? ―――――― ――――――――― ――――――――――――― ガンガンガンガンガンガンガン! 陽子は探していた人間に一刻も早くドアを開けてほしい一心で、硬いドアを乱打していた。 無論ドア横にはインターフォンが設置され、きちんと部屋に鳴り響いていたが、 いつ自分をドアから引き剥がして連れて行かれるか、おそろしかった。 ガチャッ ドアが開き、兄宗正が顔を出したと同時に、陽子は兄へと飛びすがった。 突然腰へと抱きつかれてよろけながらも、腰を下ろして妹と向かい合う。 片桐「うわっ!一体だれ…陽子?!」 陽子「兄さん!」 片桐はサングラス裏の目を大きく見開きながら、震えている妹を見下ろしていた。 片桐は今、海外のサッカー事情を学び吸収するために単身ヨーロッパに滞在している。 日本に居るはずの妹がそう簡単にこれる場所ではない。
[146]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/10(日) 17:24:20 ID:??? 片桐「どうしてお前がこんな」 陽子「閉めて!お願いドアを閉めて!」 問いかけに対しもはや半狂乱と言っていい程の返事を受け、いよいよ尋常な理由ではないと知らされざるを得なくなる。 やむなく片桐は妹を左腕で抱えながら、開けっ放しとなっていたドアを閉め施錠した。 ドアが閉められた後、陽子は抱きかかえられてベッドまで運ばれる。 シーツの柔らかい感触が皮膚へ伝わってきた時、陽子の感情が再び噴き上がった。 陽子「兄さん、ああっ、よかった、もう、もう、わたし………」 兄の胸に顔を埋め、泣き始める陽子。泣けば泣くほど恐怖が蘇るようで、 次第に赤子のように激しく号泣する。片桐はそんな妹の頭をなでながら、昂ぶりが収まるのをじっと待つ。 嗚咽が静まり、体の震えが収まってから、泣き濡れた顔をハンカチでぬぐい、尋ねた。 片桐「どうしたんだ陽子、お前は日本にいたんじゃなかったのか。何があったんだ」 陽子「逃げてきたの、私が跡取りにされそうになったから」
[147]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/10(日) 17:26:39 ID:??? 陽子「私が2年前に大学の修士号を得たのは知ってるでしょう。 あの後片桐グループの後継者になるための教育を今までずっとされてきたんだけど、 その『学習』の間は軟禁されているも同然で、ほとんど何もできなかった」 片桐「そうか……」 陽子「そして1か月前に母さんから、近々後継者と選定するらしいって言われたの。 今までの様子から父さんは私を選ぶつもりだって確信していたから、 必死で逃げだしてここまで来たの……でも、でも!」 話を続けていくうちにまたも恐怖に襲われ、震えが再び始まる。 陽子「飛行機を降りて兄さんのいるホテルに向かう途中で、知らない人達が現れて私を連れ戻そうとしたの。 必死に逃げ回って何とか来れたけど、持ち物は全て置き捨ててきちゃったし、 街の人がみんな私をつけているみたいで、怖くて、怖くて……」 片桐「……自分が生きたいように生きていきたいのか」 語りかけるような呟いたような、ポツリと漏らす片桐に、陽子は小さく頷いた。 ――――――――――――― ――――――――― ――――――
[148]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/17(日) 16:14:45 ID:??? ―――――― ――――――――― ――――――――――――― 陽子が片桐家から脱出して数年後。 陽子は賀茂と共にサンパウロのとある料理店から立ち去ろうとしていた。 店では主に彼女が担当している業務と、 将来の日本サッカーの柱石となるであろう森崎と翼に対する分析の報告を、夕食をとりながら行っていた。 外はとうに暮れている。一日の仕事を全て終え空腹も程よく満たされた事もあって、陽子の瞼に眠気が漂う。 鈍くなった相手の様子から察した賀茂は、ポケットから車のキーを陽子へと放り投げた 。急にキーが投げられて一瞬陽子は動揺したが、何とか落とさずにキーを受け取れた。 賀茂「先に車で休んどけ、勘定はこっちで済ませておく。半額は後でいただくけどな」 陽子「え?いい年した大人が未成年の女の子と割り勘にするんですか」 賀茂「お嬢様が素寒貧にたかるんじゃねえ、四の五の言わずとっとと行け」 陽子「はーい」 賀茂とのやり取りでやや眠気を覚まし、陽子は車へ向かう。 解錠してドアを開け、助手席に座ると再び睡魔が襲いはじめ、うとうととまどろみ始めた。 勘定を済ませようとカウンターへ向かっていた途中、店員から賀茂は呼び止められる。 店員「コム・リセンカ(すみません)、あなたがミスター・ガモーでしょうか」 賀茂「ああ、そうだ」 店員「ミスター・カタギリより、お客様へのお電話を頂いております」 賀茂「片桐から?なんであいつがここにいるって分かったんだ」 ブラジルから遠く離れているはずのグラサン御曹司が何の因果か、面倒な手段で連絡を取ってきた。 せいぜいどやしてやれと受話器を取ったところで、聞き覚えのない男の声が聞こえてきた。 宗義「君が賀茂港君かね?私は片桐総合グループの総帥、片桐宗義だ」
[149]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/17(日) 16:18:37 ID:??? 賀茂「んう?」 思いもせぬ相手の声に間抜けな反応をしてしまう。片桐の父が隠れも無き日本経済界の雄であり、 雲の上の人間である事は既に聞いていた事ではあるが、そんな人物から不意に声がかかって、 動揺を隠す事はできなかった。相手はその反応を受け、小馬鹿にしたような様子を交えた。 宗義「そして陽子の父親でもある。父親として言うならば、 君達は娘のお守りをしっかりとこなしてもらって、大変に感謝している」 賀茂「お守り?その哺乳瓶にはビールが入っているけどな」 宗義「はっはっ、いやこれは失礼した」 純粋にユーモアで返されたと思ったか、笑って返答をさらに返す。 宗義「お守りと言ったは失礼した。私達の元へいた頃の娘の陰鬱を取り払い、 明朗を取り戻させた君達の働きを、大変感謝する」 賀茂「あーそうかい、先に言っておくが、 そのあんたの娘さんは金輪際家に戻るつもりはないそうだぜ。他ならぬあんたのせいでな」
[150]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/17(日) 16:19:57 ID:??? 宗義「その事については私も深く反省している。急いて事を仕損じかけた。 だが今度はそうした事も考慮して教育に当たっていく積りだ。娘は返してもらう」 賀茂「どう手心を加えようがあいつの心は変わらんよ。 それに既にサッカー協会の一員として期待されている人間の1人なんだ、 これは俺だけじゃない、もっと上の人間にかけあっても同じだぜ」 精一杯気づかれぬように凄んでみせる賀茂。 そんな空威張りを宗義は軽く鼻で笑ってから、冷ややかに話を続けた。 宗義「君達には失望したよ。やはりこんなところで油を売らせるより、 一流の人間が揃った環境の中でいさせるのが一番良かったんだ。君達はもう娘に何もしなくていい。 ドナルド・トランプ流に言うと、こういう事だ。残念だが、クビだ」 口元に笑みを浮かべ、宣言した。音吐の冷えに胸騒ぎを覚えた賀茂が自らの車に目を向けると、 陽子以外の赤の他人がドアを開けて乗り込んでいた。瞬間、賀茂は受話器を放り投げ車へ向け駆け出した。 バックライトは光っている。賀茂が着く前に走り出すだろう。
[151]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/17(日) 16:21:42 ID:??? 陽子「…う…ううん………」 陽子の瞼は震え、ゆっくりと開きだす。 キーをもらって車を開け椅子に座った後はうとうととまどろんでいた。 何かの拍子で目が覚めて、横に振り向く。 陽子「!」 運転席を見て驚愕した。ハンドルを握っているのが賀茂ではない。 長身痩躯、黒スーツに黒サングラスと似ても似つかぬ日本人の男だった。 陽子「あ、あなたは!?」 黒服「お気づきになられましたか、陽子お嬢様」 陽子「!!」 この男は追手だ、このままでは父の元へ連れて行かれる。 そう悟った陽子は逃げようとしたが、手足が縛られていて動けない。 うたた寝をしている間に紐で固定され、ドアに手を掛ける事もままならない。 黒服「お静かに願います。ここはまだ路地裏です、外へ出れば大変危険です」 陽子「あなた達の方がずっと危険よ!賀茂さんはどうしたの!?」 黒服「運転手は私に交代いたしました。これより私が責任を持って目的地まで移動いたし…」 陽子「嫌よ!早く車を止めなさい!」 黒服「お断りいたします。いかなる手段を用いてもお嬢様を日本へ連れ戻せとの、 会長直々の御指令がありますので」
[152]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2013/03/17(日) 16:22:46 ID:??? このままでは日本に戻される。なんとかして車を止めないと。 陽子は倒れこむように男へと飛びかかり、ハンドルを握る男の手に噛みついた。 黒服「っ!」 男は顔をしかめる。陽子の歯は深々と肉に食い込み、唇をつたって血が滴り落ちている。 痛みに耐えかねた男は車を止めて陽子を引き剥がすと、裏拳を水月に撃ちこんだ。 陽子「あぐっ……!」 黒服「お静かに願います」 もうだめだなにもかもおしまいだ。絶望に覆われくず落ちる陽子。 勢い余って座席下に転げ落ち、意識を失ってしまったが、それが陽子にとって幸いとなった。 ガシャアアアアアアアアン! 陽子側の窓ガラスが蹴破られ、飛び込んできた男に黒服の男は外へ押し出された。 何が起こったか分からず呆然としている黒服に、 陽子のよく知っている男はドアを閉める間際に黒服へ吐き掛けた。 賀茂「クビだ」
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0ch BBS 2007-01-24