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【マラカナンで】キャプテン森崎46【釈迦寝ポーズ】
[110]2 ◆vD5srW.8hU :2014/04/25(金) 21:33:38 ID:GmqirbB2 特に集まり易いグループが存在しない者達が結果的にグループを作る事もある。 政夫、和夫、次藤、早田、中里の5人はそんなグループだった。 次藤「ふー…流石に緊張してきて飯も喉ば通らんとね」 早田「おいちょっと待てお前何時も通り人の三倍は食ってたじゃねーか」 中里「実に美味そうに食うでゴザルな。力士も吃驚するであろう」 政夫「こいつと飯食ってると食欲が失せるんだよなー」 和夫「ダイエットしたい女にはモテるかもな」 次藤「なんやなんや、皆してワシをだごにして」 食欲がないと言いながらも人の数倍食べた次藤を他の4人で呆れて冷やかす。 そんな間の抜けた時間を過ごしていたのは5人とも明日を見据えて緊張していたからかも知れない。 政夫「俺は本当に食欲減ってたぞ。いや、スタメンじゃないけどさ…」 和夫「多分、明日も出番はないんだろうなあ…くそっ」 早田「仕方ねーだろ。お前ら二人一緒じゃないと出す意味がないんだから」 中里「一人で出来る事は他のFWが出来るからのう。それでは日向が居る限りは日の目を見れまい」 次藤「ばってん、明日の試合はとにかく一点が必要な場合もあるかも知れんばい?」 政夫「確かにそういう展開になりゃ俺達の出番もあるかも知れないけどよ」 和夫「チームが追い込まれた状況になるのを望むのは流石にしたくないぜ」
[111]2 ◆vD5srW.8hU :2014/04/25(金) 21:34:46 ID:GmqirbB2 早田「まあ望むもんじゃねえな。けど相手はブラジル。いくら覚悟してもし過ぎって事はないぜ」 中里「その言葉の割にはお主は落ち着いておるな?」 早田「そりゃあ、今更一夜漬けの猛特訓でどうにかなる訳じゃないからな。落ち着くしかないだろ」 次藤「そうタイ。負けた時の事ば考えるより、勝った時の想像の方が楽しかとね」 政夫「勝った時…ブラジルに、勝って、優勝して、世界一か…うーん、想像しにくいな」 和夫「多分日本中からヒーロー扱いされるんだろうけど、それからどうするかって話だよな」 中里「勝って兜の緒を締める、でゴザルよ。それからは狙われる立場になるのだからな」 早田「狙われる立場か。良い言葉だぜ…倒すべき奴らが自分から来てくれるんなら楽でいいや」 次藤「Jrユース大会で優勝しても世界的にはマグレばし思われていたとね」 政夫「思えば日本サッカーも随分変わったモンだなあ」 和夫「三年前はワールドカップアジア予選敗退のニュースでガッカリしてたのになあ」 次藤「ワシらが変えたとね。新時代と言う奴タイ」 早田「次の目標は、日本はワールドカップに出て当たり前って言われる様になる事かな」 中里「(スポーツ忍者の夢も現実となりつつある。さすれば世界中の美女達の裸体も…フヒヒ)」 ブラジルを恐れつつもその恐怖を乗り越え糧とする。 そんな作業に勤しむ彼らの雰囲気は意外な程に和やかだった。
[112]2 ◆vD5srW.8hU :2014/04/29(火) 23:58:16 ID:/yOKgAsY チーム内の役割が近いスタメン組がグループを作る事もある。 中盤と中盤からやや後ろでプレイする事が多い岬、三杉、松山、中山の4人は今夜ロビーで集まっていた。 今夜の話題は日本に置けるプロサッカーの欠如と、それが変わりつつある手段だった。 松山「日本に…プロサッカーリーグ!?」 岬「うん、さっき片桐さんに聞いてみたんだ。そういった動きはありませんかって」 中山「そうしたら…どうだったんだ?」 岬「まだ何かハッキリ話せる段階じゃないけど、既に日本サッカー協会は色々準備しているそうだよ。 Jrユース大会優勝だけじゃ足りなかったけど、ワールドユースでここまで来たら効果抜群みたい」 三杉「日本には既にJSLがある。それを発展させる形で本格的なプロリーグ設立も可能だろう」 松山「マジかよ…何時かは出来るだろうと思っていたけど、こんなに早いとは思っていなかった…」 中山「有り難い話だよ。サッカーが強い国はプロサッカーリーグが必ずあるからな」 三杉「だが、あるだけではいけない。ちゃんとレベルの高いリーグとして運営される事が重要だ。そうだな… ここは君の意見を聞きたいな、岬くん。日本がハイレベルなリーグを作り、維持するのは何が重要だと思う?」 岬「僕かい?うーん、難しいテーマだなあ…(三杉くんは頭が良いから迂闊な事言いたくないし)」 三杉「ゆっくりでいいよ。どうせ就寝時間まで長いし、欧州リーグを見る機会があった君の視点は かなり参考になりそうなんだ(今、警戒したな。彼は自分の頭の良さをひけらかすリスクを良く知っている様だ)」
[113]2 ◆vD5srW.8hU :2014/04/29(火) 23:59:46 ID:/yOKgAsY 松山「そうだな、俺も聞いてみたいよ!岬の話なら参考になりそうだ!」 中山「(岬は頭も人望もあるタイプだからなあ。引退したらサッカー協会でお偉いさんになるかも)」 岬「そうだね…(しょうがないな。三杉くん相手には下手に隠す方が怪しまれそうだ) 人口、経済力、交通網等はもう十分に整っていると思う。そして僕たちの活躍でサッカー人気が 急上昇しているのも間違いない。だから設立そのものは簡単だと思うんだ」 松山「設立は、って事は…運営が難しいのか?」 岬「うん、そうだよ。サッカークラブ運営ってお金がかかるからね。スポンサーは必須だし、 チケットやグッズの売上も重要だ。欧州のクラブはこれらが上手く行かずに経営難に陥る事も珍しくないよ」 中山「そうなのか…あ、そういえば貧乏クラブで苦労した選手の自伝とかあったな」 三杉「南米では欧州以上にそれらの特徴が顕著らしいね。日本人の場合元から生活レベルが高いから 設備をおろそかにする訳にはいかない。初期投資に見合う健全な経営が求められていくだろう」 岬「だからちゃんとお金が儲かる体制が必要だろうね。それには大勢のサポーターがお金を出してくれるのが 一番なんだけど、それだと年に数回の代表戦で活躍しているだけじゃ駄目だと思う。 設立段階である程度以上のレベルのサッカーを見せ、そこから代表戦で活躍する選手がどんどん出てくる様に ならないとお客さんに飽きられちゃうんだけど…元がJSLだから、いきなりレベルを上げるのは難しいかな…」 松山「ああ、JSLはなあ…高校サッカーや大学サッカーと大してレベルが変わらないんじゃ…」 中山「確か、お前と岬はアジア予選前にJSLのチームで練習していたんだっけ」
[114]2 ◆vD5srW.8hU :2014/04/30(水) 00:01:17 ID:DWEY3JPI 三杉「確かに既存の選手達だけでは、サッカーだけに専念出来る環境を整えても劇的な成長は難しいだろうね。 僕は外国人選手を多く入れるべきだと思う。世界の基準を肌で知り、それらを上手く取り入れたクラブが リーグ内で優位に立てると言う状況を作れば選手達もクラブも急速なレベルアップを強いられるだろう」 松山「なるほど、そんな手段もあるのか…ああでも、追いつけないクラブも出てくるよな? そういうのはどうするんだ?二部リーグを作って、昇格と降格を争わせるのか?」 中山「そういえば有名なリーグは必ずいくつかのレベルに分けられているな…これもきっと重要なんだろうな」 三杉「そう、それがいいだろう。敗者の受け皿と屈辱を用意しつつ、新規の競争相手でリーグのマンネリ化を防ぐのに効果的だ」 中山「…気がついたら随分具体的な話になってきたな。俺達が決める側じゃないのに」 松山「あっ…でも俺達だってもう当事者だろ。俺達の活躍に日本サッカーの未来がかかっているんだから」 岬「日本サッカーか…フランスに住んでいた頃は、馬鹿にされるばっかりだったなあ」 三杉「もう時代は変わったのさ。僕たちは世界サッカーの秩序に革命を起こした。次は革命後にどうすべきか、だ」 中山「全国大会に出る為に必死になっていたのが遠い昔みたいだ…不思議な物だな (そう…俺はとうとうここまで来た。森崎の背中が遠ざかるのを見るだけじゃなくなった…長かった…)」 松山「(よーし、故郷に特大の錦を飾るぞ!それで…きっと藤沢と…)」 彼らは歴史の当事者達である。 彼らの世界への挑戦は、自国を大きく変貌させようとしている。
[115]2 ◆vD5srW.8hU :2014/05/01(木) 00:24:44 ID:EFIEpwVQ それぞれの事情でチーム内から孤立している者達も居る。 日向と若島津は仲が良い者がおらず、彼ら自身も親交など求めていなかった為この時も二人きりだった。 日向「若島津、お前はこの大会の後はどうするつもりだ?」 若島津「はい、いくつかそれなりのクラブから接触されていますがあまり有望な候補はありません。 ある程度の妥協は必要となりますが、選手を育てて売るタイプのクラブに行こうと思っています」 日向「そうか…言うまでもないが、俺は最初からビッグクラブを狙うぞ。既に列が出来ているからな」 若島津「そうですか…そうでしょうね」 日向「若島津、今更俺から慰めだの激励だのつまらん物は期待していないだろう。 俺はお前を利用する。お前は俺を利用する。それが俺達の関係だったし、これからもそうだ。 周囲は仲良くしているんだと捉えるだろうが、価値観と人生観が似通っているだけの話だ」 若島津「はい。貴方も俺も自ら望んで戦いに明け暮れる修羅です。今俺達の力の差、 立場の差は歴然としていますが…いずれは貴方の首を貰い受けに行きますよ」 日向「それでいい。それが勝負の世界の鉄則だ。どんな屈辱にまみれようとも、 どんな強敵が表れようとも、最後に生き残った奴が勝ち…これだからサッカーは止められんぜ」 若島津「他者を屈服させる喜び…チームスポーツなのにそれがある。堪りませんね」 スポーツマンシップと言う言葉を鼻で笑いたがるこの二人は上機嫌だった。 望んで修羅道を歩む彼らの先にも栄光が見いだせない訳ではない。 勝負の世界に身を置く者達は誰しも多かれ少なかれこの様な覚悟を強いられるのだから。
[116]2 ◆vD5srW.8hU :2014/05/01(木) 00:26:15 ID:EFIEpwVQ 翼と若林もこの夜二人きりだった。彼らは日向達とは異なりチームメイトとの親交が無かった訳ではなく、 むしろ現キャプテンの森崎よりも人望自体は多く集めていると言えるかも知れない。 しかし早くから海外に出てプロになっていた為か、その影響でアジア予選には参加しなかった為か、 なんとなく特別扱いされる事が多いこの二人は今夜は特に誘うまでもなく二人きりになっていた。 翼「…とうとうここまで来たね。ワールドカップの前哨戦のワールドユースの決勝… そして相手はドイツを倒したブラジルだ。随分とよく出来たシチュエーションだよ」 若林「俺もお前も子供の頃からこういう日を夢見ていた。そして今、それが現実になろうとしているんだ。 思い返せばお前が南葛小に引っ越してきてからの付き合いか。俺達は夢を…叶えたんだよな」 翼「うん。俺も君も有名なリーグのプロ選手になって、日本代表として戦っている…筈なんだけど」 若林「分かる…分かるぞ。夢を叶えた筈なのに、こんな筈じゃなかった…そう思っているんだろう?」 翼「そう、俺は夢を叶えつつある。子供の頃誰に言っても理解されなかったり笑われたりした夢が 段々現実になりつつあるんだ。武者震いはする。喜びもある。だけど…何か、ね」 若林「お前はまだいいさ。俺はサブGKだ。世界一になる瞬間をベンチから見ているってのは笑いそうだぜ」 翼「何なんだろうね、本当に。俺は森崎さえ倒せば全てが解決すると思っていたけど、 実際に森崎に勝っても何も変わらなかったよ。これが大人になるって言う事なのかな?」 若林「これが人生だ。不満なら自力で何とかしろ…そう言える様になるのが大人になるって事だと思うぜ」 翼「ハハハ…明日も勝とうね、若林くん」 若林「精々頑張って点を取れよ。そうしなきゃ森崎がまた何か馬鹿をやらかすぞ」 二人の表情は19歳とは思えない程大人びていたが、それを目撃したのもこの二人だけだった。
[117]2 ◆vD5srW.8hU :2014/05/01(木) 22:27:23 ID:EFIEpwVQ チームメイト達が思い思いの夜を過ごしている時、森崎はどうしていたのか。 森崎「ん〜、やっぱり世界一になる前夜ってのは独特の雰囲気があるな。 この俺でもほんの僅かばかり緊張せざるを得ないとは…なんちゃって」 森崎は独り言をつぶやきながらホテルの中を探索して暇つぶししていた。 彼がおどけた態度を取っているのはそれだけ余裕なのか、それともそういう心づもりを 作ろうとしているのかは彼自身にも良く分からない所だった。 森崎「…暇だな。まだ眠くないし、かと言って今チームメイトと話すのもダルいし…ん?」 陽子「………ふぅー」 そんなタイミングで彼がホテル備え付のバーの傍を通りがかり、 カクテルを飲みながらくつろいでいる陽子を発見したのは何かの運命だろうか? 陽子の表情からは軽くない疲労が伺え、森崎が通りがかったのにも気付いていない様だった。 森崎「(陽子さん…)」 A 決勝戦前なんだ。声をかけよう。 B 決勝戦前なんだ。黙って去ろう。 http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1369149231/l50にて ☆2014/5/1 23:30:00☆ から投票期間を設けます。 そこから 15 票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。引き分けの場合は その次の票をタイブレーカーに使います。尚、投票はageた書き込みのみを採用しています。
[118]2 ◆vD5srW.8hU :2014/05/02(金) 22:32:35 ID:gvF7ETNA >A 決勝戦前なんだ。声をかけよう。 森崎「陽子さん」 陽子「っ!」 森崎が声をかけた途端陽子はビクッと肩をひくつかせ、それからゆっくりと振り向いた。 その顔には緊張感が隠せない程表れており、まるで隠し場所をみつけられた子供の様だった。 陽子「も、森崎くん…しまったなあ、こんな所で飲むんじゃなかった…」 森崎「なんだよ、俺と会いたくなかったのか?」 陽子「うん…だって、決勝戦前じゃない。こんな日に会うのはちょっと…」 A 「決勝戦前だからこそ、だろ。モヤモヤしたままじゃ嫌だぜ」 B 「俺はそんなの気にしないぜ。こんなプレッシャー、何時もの事だ」 C 「森崎くんに配慮しないと、って思いながら話すのが嫌なのか?」 D 「分かっているが、陽子さんを見たら話しかけられずには居られなかった」 E 「そうか。じゃあ今夜は止めておくよ。邪魔したな」 http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1369149231/l50にて ☆2014/5/2 23:30:00☆ から投票期間を設けます。 そこから 15 票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。引き分けの場合は その次の票をタイブレーカーに使います。尚、投票はageた書き込みのみを採用しています。
[119]2 ◆vD5srW.8hU :2014/05/05(月) 21:02:45 ID:IBd1v2mM >B 「俺はそんなの気にしないぜ。こんなプレッシャー、何時もの事だ」 森崎「俺はそんなの気にしないぜ。こんなプレッシャー、何時もの事だ」 森崎は何時もの彼らしく大胆不敵な笑みを浮かべながら陽子の隣に座った。 だがその返答は陽子の眉をひくつかせる物だった。 陽子「森崎くんが気にしなくても、私が気にするのっ」 森崎「えっ?」 陽子「私は森崎くん程プレッシャーに強い訳じゃないんだから!」 森崎「(なんだなんだ、藪蛇だったのか?)」 A 「落ち着いてくれよ。こんな所で騒ぎを起こしちゃマズいだろ」 B 「悪い、デリカシーがなかった。チームメイトに接するみたいにやっちまった」 C 「酔ってるのか、陽子さん?何時もはここまで感情的じゃないぜ」 D 「だったらそのプレッシャーを俺に肩代わりさせてくれよ」 E 「だったら慣れてくれ。これからこの先、定期的にこういうプレッシャーを味わうぜ」 http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1369149231/l50にて ☆2014/5/5 22:00:00☆ から投票期間を設けます。 そこから 10 票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。引き分けの場合は その次の票をタイブレーカーに使います。尚、投票はageた書き込みのみを採用しています。
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0ch BBS 2007-01-24