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【マラカナンで】キャプテン森崎46【釈迦寝ポーズ】
[41]2 ◆vD5srW.8hU :2014/03/08(土) 00:06:37 ID:MmNRyPYQ ブワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!! 放送「出た〜〜〜っ!!ファイヤードライブだーーーーっ!!!」 ファイヤーショットとドライブシュートの力が同時に加わったファイヤードライブ。 それはファイヤーショットの強さと速さ、ドライブシュートの上昇からの急降下、 そしてツインシュートらしく幾重もの分裂を兼ね揃えた驚異のシュートである。 ドガアアアッ! アマラウ「ぐわああああっ!!」 ドトール「アマラウーッ!」 ディウセウの代わりを果たすべく勇敢に飛び込んだアマラウだったが 彼には残酷な程に荷が重すぎ、何の役にも立たずにあっさり宙を舞う羽目になった。 この運命の瞬間を最も長く感じたのは誰だったか。 それはこのドイツの切り札をたった一人で止めなくてはいけないゲルティスだった。 ゲルティス「………」 機械の様に冷徹な表情に、集中力と緊迫感による感情が籠もっていく。 超高速で急降下してくるボールの雲を見据える瞳の中で、一つの決意が芽生える。 ゲルティス「(キャッチと反応の両立は至難の業。ドイツユースの体力、気力の 残量を考慮すれば警戒すべきシュートはこれが最後…) 0.01秒単位の判断が問われる世界で彼は決断した。キャッチはしなくていい、ゴールに入れさせなければそれでいいと。
[42]2 ◆vD5srW.8hU :2014/03/08(土) 00:07:57 ID:MmNRyPYQ ゲルティス「ハァアアアアッ!!」 バッ! それは、彼らしくない不恰好なセービングだった。 黒髪、黒肌、そしてユニフォームも黒が基調の彼がまるで幻影の様に素早く動き、 何時の間にかキャッチに成功している為ダークイリュージョンと名付けられたセービングの素早さは発揮していたが 横っ飛びで飛びつくのではなくサイドステップした位置から前に向かってのジャンプ。 割り出したシュートコースに伸びている筈の両腕も左右に広く開かれていた。 森崎「(あれは…!)」 森崎にはすぐその狙いが分かった。ボールの分裂の見切りが必要になるキャッチを完全に諦め、それよりも 予測したシュートコースにいち早く陣取り可能な限り己の体で覆い尽くし、全身の何処かに当たればいいと言う行動。 ボグォオオオオオッ!! ゲルティス「グァッ…!」 そしてボールはゲルティスの胸にぶち当たった。 腹ならばまだ体をくの字に曲げて衝撃を逃がす事が出来るが、胸は曲げられない。 衝撃を逃がしたかったら後ろに倒れ、ゴールを許すしかない。 ゲルティス「………!」 ズズッ… だがゲルティスは倒れなかった。胸に走る激痛と息を吐き出させられる苦しみに耐え、 震える足をスパイクで地面に突き刺し、筋肉を総動員してなぎ倒される事を拒否した。
[43]2 ◆vD5srW.8hU :2014/03/08(土) 00:09:22 ID:MmNRyPYQ バァアアアアアアアアアアアアーーン! ズサッ… 彼の努力は報われた。勢いよくボールを跳ね上げる事に成功するその瞬間に初めて彼は自分が膝をつく事を許した。 彼の顔は負担と疲労で汗の洪水となっていたが、その瞳は勝利を確信して光っていた。 シュナイダー「な…なにィ!?」 フライハイト「そ…そんなァ…」 ズサッ…ドサッ… そして彼の判断通り、ドイツはもう限界だった。体力をほぼ使い果たしたシュナイダーは膝をつき、 彼以上に疲労していたフライハイトは尻もちをついてしまった。 ドイツメンバー「ば、馬鹿な!?」「ウソだろ…」「なんで、なんで…」 ミューラー「くそっ!」 ダダダダッ! ここまでやったのに、最後の大技まで出したのに決まらないのか?もうこれ以上は… そんな気持ちがシュナイダーとフライハイトのみならず、ドイツユースのほぼ全般に広がる。 元々は心が折れそうな所を雨と言うハプニングで持ち直した士気であり、 既に限界を超えて戦っていた所に二人の主力選手の切り札が防がれたショックは大きすぎた。 だがそんなドイツにも例外は居た。 ポブルセン「ウォラァアアアアアアアアアアアア!!」 バッ!
[44]2 ◆vD5srW.8hU :2014/03/08(土) 00:10:25 ID:MmNRyPYQ ドイツメンバー『ぽ、ポブルセン!?』 ブラジルメンバー「くそっ、まだかよ!?」「いい加減にしろーっ!」 ポブルセンはこぼれ球に反応した。怪我を押した上での激戦で彼の疲労はシュナイダー達と比べても 遜色がない程だったが、みなぎる負の感情が足の痙攣も破裂しそうな心肺も無視させていた。 また彼だけはエースのシュートが防がれたショックを感じず、むしろざまを見ろとすら思い、己の手柄のチャンスと見なした。 味方を信じると言う概念がなく極めて自己中心的な彼の性格が皮肉にもドイツに息を吹き返させようとしていたのだ。 シュナイダー「………!」 それは未だ立つ事が出来ないシュナイダーも同様であり、なんとか立ち上がらねばと言う 焦りに支配されていた彼の頭を冷やし、周りを観察する余裕を与えた。 そして彼は見た。 サイドワインダーを顔面で防いだ為にグロッギーになって立ち上がれないディウセウの姿を。 大量の汗をしたたらせ、ガクガク震える膝を必死に叱咤しているゲルティスの姿を。 最早この二人に頼れなくなった為とにかくボールの確保しか考えられない他のブラジル選手達の姿を。 シュナイダー「押し込め!ブラジルはボロボロだ!」 ドイツメンバー『!!!』 シュナイダー「俺たち以上にだ!誰でもいい、押し込めーーーっ!!」 ブラジルメンバー『!!!』 シュナイダーはストライカーとして自分が決めるのではなく、キャプテンとして誰でもいいから決めろと檄を飛ばした。 カルロス「くっ…シュナイダーめ…!」 それはこぼれ球に追いつこうと走り回りながらも運悪くプレイに絡めないでいるカルロスが最もやって欲しくない事だった。
[45]2 ◆vD5srW.8hU :2014/03/14(金) 21:19:23 ID:RsHIX4qs 放送「ふ、防いだーーーっ!!ファイヤードライブをゲルティスくんがなんとかセーブ! これで今度こそ命拾い…ではないっ!?ポブルセンくんがねじこみに…」 ポブルセン「ァアアアアアアアアアアアアア!!」 バッ! そんなシュナイダーの激がポブルセンには聞こえたか、聞こえなかったか? どちらにしても彼の意思には影響がなかった事は間違いない。 彼は足の痛みも焼け付く様に重く苦しい息も全て無視しボールに向かって 足を伸ばし、強引で不恰好なボレーシュートを撃とうとした。 ドトール「くぉっ!」 バッ! ボコォン! ポブルセン「キサマァアア!」 しかしこの時はドトールの必死のクリアがかろうじて割って入る事に成功し、ボールをこぼす事に成功した。 ただしそれにホッとしている暇はブラジルには与えられない。両チーム共最後の執念でボールに詰め寄ろうとしていたからである。 カペロマン「うおおおっ!」 グワアアアアッ! バッゴォオオオオオオ!! 放送「ポブルセンくんのボレーシュート…はドトールくんが阻止!しかしカペロマンくんが走る!」
[46]2 ◆vD5srW.8hU :2014/03/14(金) 21:20:38 ID:RsHIX4qs そしてこの一刻千金の場面でいち早くこぼれ球にかけこみ足を振り上げたのはカペロマンだった。 最早サイドに居る意味などないと割り切り、最後の力でPA内から強引にサイドワインダーを放ったのだった。 ギュイギュイ…! ゲルティス「………!!」 そんな近距離から放たれたそのシュートは普段の派手な横揺れもカーブも鳴りを潜め、 純粋な威力もカペロマンの体力切れで落ちていたが、同じく体力が尽きそうになっていた上に ファイヤードライブのセーブ直後で体勢を整えきれていなかった今のゲルティスには十分な脅威だった。 ゲルティス「ハァアアアア…!」 バッ! バシィイイイッ! ガコォオオオン… カペロマン「嘘だろ!?」 それでもゲルティスは咄嗟に飛びつき、ボールを下から掬い上げて ゴールバーに跳ね返させる事に成功した。だがその代償は彼に残された全てだった。 バゴォオンッ!! ゲルティス「ッ!!」 ドサッ… なりふり構わぬセービングの結果額からゴールポストに衝突してしまった彼は 体力の限界の上に頭部への衝撃で意識を朦朧とさせ、力なく崩れ落ちてしまった。 ゲルティスは最早まともなセーブは出来ないのは誰の目にも明らかだった。
[47]2 ◆vD5srW.8hU :2014/03/14(金) 21:22:01 ID:RsHIX4qs 放送「サイドワインダー!ゲルティスくんこれも弾き…あああっ!?」 マーガス「もらったぁああああ!!」 バッ! そして高い浮き球には当然それを得意とするマーガスが飛びつく。 普段は威力のなさ故に彼自身が得点を狙う事はほとんど無いが、 ディウセウとゲルティス両方がダウンしている現状では難なく決められる。 アマラウ「やらねえよぉおおおお!!」 バッ! ガコッガココッ!! マーガス・アマラウ『ぐあっ!』 ポーーーーーン! ここでブラジルの命綱となったのはアマラウだった。 マーガスと同じく高い浮き球に一目散に飛びついた彼は互角の衝突を演じ、 幸運にもルーズボールをペナルティエリアの外に向ける事に成功した。 放送「マーガスくん、とアマラウくんが激突!こぼれ球は…ペナルティエリアの外へーーーっ!!」 ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!! あまりのハイペースに置いて行かれそうになっていた実況と具体的に喋る前に 騒ぐ事しか出来なかった観客が喜びに沸き立つ。とうとうピンチを脱出できそうだと。
[48]2 ◆vD5srW.8hU :2014/03/14(金) 21:23:10 ID:RsHIX4qs シュナイダー「!!!」 それは未だ立ち上がれていないシュナイダーにとっては悪夢の光景だった。 シュナイダー「(そんな…あれだけ撃ったのに決まらないのか…!? ブラジルの守備陣を完全に粉砕したのに、後たった一発でいいのに、 その最後の一発を撃てる前に試合が終わってしまう………!!) 彼の体感時間が極めて遅くなり、周囲の現状を一瞬で理解させてくれる。 彼の高い集中力と観察力がなせる業だが、この時ばかりは拷問にしかならなかった。 何処に希望を探そうとしても、絶望ばかり見えてくるからだ。 シュナイダー「(フライハイトは…立ってはいるが、もう走れていない…歩いているだけだ… ポブルセンは…本人は疲労を自覚していなくても、体の動きそのものはまるでスローモーションだ… カペロマンは…ここも変わらない、痙攣した足で走ろうとしても到底間に合わない… そもそもこの3人はもうマトモなシュートは撃てない…マーガスは!?あいつならまだ余力が… ダメだ…!アマラウともつれて倒れ込んでいる!間に合わない、間に合わない、間に合わない!!)」 ブラジルの守備陣は完全に粉砕された。だがドイツにも最早攻撃陣が残っていなかった。 その現実が時間切れの敗北と言う悪夢を刻一刻とシュナイダーの眼前に近づける。 それでも尚諦めず、諦められず、シュナイダーはボールの行方に視線を戻したがそこにも絶望しかなかった。 ズシャシャシャーッ! ガガッゴッガッ! バシィーーーーーーーーーン!! カルツ「(ああっ…!すまんシュナイダー、すまん皆…!)」 シュナイダー「(ダメ…なのか…?)」 こぼれ球をフォローしたカルツは、ネイ、トニーニョ、サンタマリアの3人に囲まれ、突破を阻まれ、 ボールを更に後方に向けて高く跳ね上げられていた。最早カルツの突進すらなくなったのだ。
[49]2 ◆vD5srW.8hU :2014/03/14(金) 21:24:44 ID:RsHIX4qs シュナイダー「!!!?」 だが更にボールの行方を目で追った時、シュナイダーはまるで予想していなかった物を見た。 ジェトーリオ「ふーっ!やーっとこれで終わりっと」 今度のこぼれ球に一番近かったブラジルユースの選手はジェトーリオ。上空から落ちてくるボールを 見上げるその表情は安堵と歓喜に満ちていた。やっとこれで終わる、やっとこれで勝てるのだと。 カルロス「ジェトーリオ!まだだ、前を見ろーーーっ!!」 ジェトーリオ「へ?」 ミューラー「ウォオオオオオオオオオオオ!!!」 バッ!バッ! だがまだ終わりではなかった。ジェトーリオがそれに気付いた時には遅すぎた。 ジェトーリオ「えっうそっちょっと待ってちょっと待ってぇえええええ!!?」 バコォオオン!ドゴオッ! ジェトーリオ「ぐべああっ!」 カルロス「くっ!くそォ!」 グルッ!ダダダッ! ミューラー「シュナイダー!立ちやがれ、この愚図野郎!立ってゴールを決めろォオオ!!」 シュナイダーが見た物。それはオーバーラップしていたミューラーが自分の頭上に向けてボールをヘディングで跳ね返した所だった。
[50]2 ◆vD5srW.8hU :2014/03/18(火) 06:05:10 ID:U2tcOuNY 放送「あああああっ!!?ぼ、ボールが…ハイボールが、再びブラジルゴール前へぇええええ!!!」 観客「なんだとォーーーーッ!!?」「笛、笛はどうした!」「もうタイムアップだろ!」 「シュナイダーは倒れてい「そのまま座ってろ立つ「ゲルティス立てよ!」ウセウはもうダメか!?」 「クリア出来る奴が誰も「いやーーーーー!!」たれる撃たれるーっ!!」「神様助けて!」 絶対絶命。あれほど苦労して奪ったリードが最後の最後で不意にされてしまう悲劇。 実況も観客も遠慮なく悲鳴を上げに上げたが、それらはシュナイダーには殆ど聞こえなかった。 シュナイダー「(この高さ…ヘディングでは届かない、オーバーヘッドキックではなくては…なのに!)」 今の彼の意識を占めていたのは彼の上空に向かってくるボール、そして。 シュナイダー「(…くそっ…足が、足がっ!)」 いくら気力を振り絞っても悲鳴ばかり上げる己の体だった。 シュナイダー「(動け、俺の足!もっと速くだ!)」 このまま彼が蹴らずに見送ったらこのボールはわずかにゴールポストの横を逸れていくだろう。 シュナイダー「(19年間共に走り続けて来たじゃないか!こういう時の為に!世界を獲る為に!)」 故にどうしても立ち上がらなければならない。彼が立って、跳んで、蹴らなければ全てが終わりなのだ。 シュナイダー「(後1回だけ!後1回だけでいいんだ!それで休ませてやるから!)」 なのに彼の足は彼の叱咤に応えてくれない。立ち上がりつつは居る。だがそれが遅い。 これでも間に合うのか?もう絶対に間に合わないのではないか… 諦めたい。もう休みたい。 この試合何度も脳裏を掠めた思いが彼の闘志をいよいよ消そうとする。
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0ch BBS 2007-01-24