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【松山の魂】俺inキャプ森4【はためく鉢巻】
[106]森崎名無しさん:2014/03/06(木) 23:00:22 ID:MVeAoAvs B
[107]森末(仮):2014/03/07(金) 01:40:58 ID:??? >B.森末と話をする ===================================================================== 板野「(そうだ、森末はどうしてるかな? おーい、森末ー?)」 東邦との試合で喫した初めての敗北、そして松山と藤沢の件。 それらに気を取られてすっかり忘れていた、この世界に連れてきてくれた人物(?)の事を板野はようやく思い出した。 勝利――そして決勝進出という栄光を手にして報告する事は出来ないが、 それでも今日の試合の報告をしようと考えた板野はいつも使っている念話を用いて森末を呼びだそうとするのだが……。 板野「(あれ? ど、どうしたんだ森末? 念話が繋がらないなんて今までなかったのに……) ま、松山。 ちょっと俺、散歩してくるよ」 松山「ん……ああ、わかった。 あまり遅くならないようにな」 しかし、今日に限って何故か通じない。 今日のPK戦が終わった直後、同じように森末が板野に念話を送ろうとした際にも同じ事が起こったのだが、 当然ながらそんな事を知る由もない板野は焦りながらも、松山に一声かけてから外へと飛び出す。 念話は起こせないが、森末は自分たちの宿泊している場所の近くで寝泊まりをしていると聞いた。 ならば外を探せば、森末の姿も確認できるのではないかと板野は考えたのだ。 板野「森末……森末、どこにいるの?」 森末「……板野?」 板野「! 森末!」 傍から見れば花壇や茂みを除き込み、人の名を呼んでいる板野の姿は不審者に見られただろう。 あまり長く続けると補導をされてしまったかもしれないが、運よく板野は近くに隠れていた森末を見つける事に成功する。 森末の声が聞こえると、板野は心の底から安心をしたようにホッとため息を吐くのだが、 何やら森末は元気がなく、板野が目を向けても目を伏せている。 その様子に板野は当然気づき、一体何があったのかと問いかけるが……。 森末はやはり力なく、ぽつりぽつりとだがそれでも説明をしなければならないかと口を開いた。 森末「……この顛末は、僕の予定していたものと違うんだ……」 板野「え? ……ちょっと待って、何の事かサッパリわからないんだけど」 森末「実は、今日の試合――僕も会場にいたんだけどね……」
[108]森末(仮):2014/03/07(金) 01:41:58 ID:??? 板野の活躍を見る為、そしてもしもの時の"リセット"の為にと、森末は今日の試合会場に足を運んでいた。 試合は森末の予想をしていた以上に白熱をし、その盛り上がりはこの世界の管理者としては至上の悦楽。 敵にも見せ場があり、主人公にも見せ場があり。 最後は少々ダレてしまった所はあったかもしれないが、それでも名勝負を残せたと森末は出来自体には満足をしていた。 森末「でも、負けた……君は負けてしまった。 ――それが、僕の予定外の事態だという事なんだ」 板野「………………」 森末「最初に僕が言った事、覚えてるよね? 君にこの世界でして欲しい事があるって」 板野「う、うん……。 ……その中の一つは、確かに『中学サッカー大会で優勝をする』事だったけど」 森末「それは定められていた筈、なんだ。 君ならこの言葉の意味、わかるよね?」 板野「……"リセット"の事?」 板野の言葉にうなずき、森末はごそごそと体を探るとどこから取り出したか一つのボタンを板野に見せつけた。 そう、これこそが――森末が持つ、リセットボタン。 管理者として、規定されていた物語に沿わない方向に話が転がりそうになった時、 時を戻してやり直す事が出来るというボタンである。 森末「そして僕は使った。 1度目のPKで負けた後、すぐに」 板野「……それは、覚えてる。 俺は1回目のPKで……若島津に止められてたんだ」 森末「うん。 そしてもう一度負けた……そして、更に僕はボタンを押した」 板野「……だけど、リセットはされなかった」 森末「そうだ。 ……本来なら、こんな事はありえない筈なんだ。 何故なら、この世界は僕が管理をしていて、そして君がこのゲームのプレイヤーなんだから。 なのに、どうしてこんな事になったのか……」 板野「ど、どうしてなの?」 使える筈のリセットが、使えない。 この事態に陥って森末はパニックになったが、時間が経ち、幾分か頭が冷静になるとその原因にある程度の見当がついた。 あくまでも今は仮説の段階である。 しかし、ある程度は納得が出来る仮説に――。 それを確信に至らせる為に、森末は板野に質問をした。
[109]森末(仮):2014/03/07(金) 01:42:58 ID:??? 森末「板野、君の通ってる学校は?」 板野「え、何その質問……」 森末「いいから答えて、大事な事なんだ」 板野「……ふらの中学だよ。 森末も知ってる事でしょ」 森末「1番の仲のいい友達は?」 板野「松山、になるのかな……。 後は矢車くんや多田野くんも友達だよね」 森末「趣味は?」 板野「えっ、と……サッカー……は違うよね? そういえば、趣味ってないなぁ」 森末「お父さんとお母さんの名前は?」 板野「そんなの俺にはいないじゃないか。 森末が親代わりみたいなものだって、森末自身が言ってたでしょ」 矢次早に飛んでくる森末の質問に、板野は訝しがりながらも答えていく。 それらの質問は全て森末が知っているような事ばかりであり、 何故今更になってこんな事を聞いてくるのだろうかと板野は疑問に思うが……森末の顔は(表情はよくわからないが)真面目そのもの。 質問が全て終わると、森末は小さくため息を吐きながら……板野の目を真っ直ぐ見つめ、もう一度質問をした。 森末「板野、もう一度聞くよ」 板野「う、うん……」 森末「 君 が 、 君 の 世 界 で 本 当 に 通 っ て い る 学 校 は ? 」 板野「……俺の、世界?」
[110]森末(仮):2014/03/07(金) 01:43:58 ID:??? その言葉を聞いた瞬間、板野は思い出した。 自分はあくまでも、ただの『キャプテン森崎の読者』であったという事を。 いつものようにスレに張り付き、キャプテン森崎を愉しんでいた所を森末に連れられて『この世界』へとやってきた事を。 自分はいつか、この世界から帰らなければならないと言う事を。 そして、板野は思い出せなかった。 自分の通っていた学校も、仲の良かった友達も、両親の名前すらも。 何もかも――唯一趣味がキャプテン森崎を読む事、そして本編・原作で起こった出来事だけを除いて、 板野の記憶から元の世界の情報というものは全て霧散をしてしまっていた。 板野「あ……ああ……!」 森末「やっぱりだ……やっぱりそうなんだ……」 その事実を理解してしまった瞬間、板野は恐怖に苛まれ声にならない声を上げ。 森末は小さな手で頭を抱えながら、自分の仮説が合ってしまっていた事に絶望をした。 板野が現実世界の事を、元の世界の事を忘れ去ってしまったという事――。 それこそが、森末の持っている力が弱まっている事に影響をしている。 森末「僕は君をプレイヤーとしてこの世界に招いた……だけど……そうじゃない」 板野「ど、どういう事なのさ……!?」 森末「君は……この世界の、1人のキャラクターとして、自立してしまおうとしている。 この世界の住人として、認められ『過ぎた』んだ」 それは板野の溢れるキャプテン森崎愛が森末の予想をしていた以上のものだった為か、 それとも……それとも、他に何か原因がある為か。 板野はこの世界に『馴染み過ぎた』。 故に板野はこの世界の住人として世界に認知され、プレイヤーではなく独立をしたキャラクターとなってしまった。
[111]森末(仮):2014/03/07(金) 01:45:01 ID:??? 板野「そんな! そんなの……そんなのおかしいじゃないか!! 森末がこの世界を……管理してるんだろう!? だったら、認める、認めない……そんなものは森末の決める事じゃないの!?」 森末「違うんだ、板野。 僕たち管理者はあくまでも管理をするだけ……。 キャラクターがいなければ、物語を紡ぐ事は出来ないんだよ。 あくまでも、先にキャラクターがあるんだ」 板野「そんな……」 森末「世界のルールを決めるのは僕だ。 物語の道筋も、立てるのは僕だよ。 ただ、そこに『ドラマ』を生み出すのは……キャラクターなんだ。 だから、これがドラマなのだとしたら……。 僕はその物語を書ききるしかない。 そこは捻じ曲げれないんだ」 悲痛な声を上げる板野にも、森末はあくまでも淡々と……それでも多分に哀しみの色を込めた声を出し、 更に追い打ちをかけるように口を開いた。 森末「リセットの力が使えなくなっていた理由も、だからこそわかる」 板野「どうしてなの……?」 森末「君がプレイヤーでなくなったから……この世界、構成、全てが変わってしまった。 管理者としての権限を、君に対して行使出来なくなってしまったんだろう」 板野「……じゃあ、どうして1度は使えたの?」 森末「まだ、微かにだけど力が残っていたのかもしれない。 君に、プレイヤーとしての。 主人公としての」 リセットを受け付けるのは、プレイヤーキャラ――主人公のみ。 森末が1度リセットをした時までは、板野の主人公としての力が僅かではあるが残っていたのだろう。 だが、その1度だけのリセットで……板野の力はなくなってしまったのだろう。 故に板野は2回目のリセットを行えなかった――世界から、主人公として認められなくなったから。 板野「それじゃあ……どうしたらいいの? 俺は……俺は、このままこの世界に残り続けるの?」 森末「…………」 もはや顔も思い出せないが、板野にも元の世界に家族がいる。 まさかずっと、永遠に、この世界に存在し続ける訳にはいかない。 だが、戻っても――板野は元の世界の記憶がない。 記憶喪失で、本当の家族の元に帰り、本当の通っていた学校へ行き、本当の友達と遊ぶ。 想像をするだけでぞっとするような光景だった。
[112]森末(仮):2014/03/07(金) 01:46:04 ID:??? 森末「それに関しては……少なくとも、記憶の件に関しては、一応僕としても考えがある」 板野「!! な、何それ!? どうすればいいの!?」 森末「ゲームクリアだ。 このゲームを終わらせる」 板野「えっ……」 この板野の疑問に出した森末の答え。 それはこの世界にやってくる際、板野に提示した条件――。 『ゲームクリアするまで、家には帰れない』としたものと全く同じものだった。 一体今更、何故念押しをするような事を言うのか――問題は家に帰った時に、記憶があるか否かだというのに。 思わずそう問い返す板野であったが、森末は首を振って板野の疑問に答えていく。 森末「ゲームクリアをすれば、その時点で、この世界もまた終わるんだ。 物語は続かない、めでたしめでたしで幕を閉じる。 ……その時点で、キャラクターは解放をされる筈だ」 板野「つまり……キャラクターじゃ、なくなる。 記憶が戻ってくる、って事?」 森末「その通りだ……けど、話はそう単純には終わらない。 ただのキャラクターのままなら、『ログ』として永遠に君は残ってしまう。 続かない物語の中で。 だから、君は『プレイヤー』に戻らないといけない」 板野「…………」 森末「主人公に戻るんだ、板野。 もう一度……この世界の中心になるんだ」 そう、あくまでもただのキャラクターとして物語を終えてしまったら、板野はこの世界の住人として認められてしまう。 故に板野は、もう一度森末が設定をした最初の予定通り――プレイヤーに戻らなくてはならなかった。 この物語の中心に、主人公として。 森末「はっきり言おう、今の時点で君はかなり出遅れている。 全国中学サッカー大会はベスト4止まり……主人公としては、かなり微妙な成績だ」 板野「うぅ……」 森末「ここから、盛り返すしかない。 ジュニアユース、海外留学、ワールドユース。 全てで活躍をして、全てでメインとなって、君は主人公になるんだ。 そうすれば物語を終えた時、きっと記憶は戻ってくる。 ……元の世界に戻れるんだよ。 最高の形で」
[113]森末(仮):2014/03/07(金) 01:47:07 ID:??? 板野「本当に……活躍をすれば、主人公に戻れるの?」 森末「その筈だ。 今の君は、世界に認められすぎて一旦キャラクターへと変化をし、 ベスト4という半端な結果を出したせいで主人公とあまり認められていないんだと思う。 だから念話だって使えなくなった。 リセットも使えなくなった」 板野「うぐぅっ……半端とか言わないでよ。 俺も頑張ったんだ! 皆、ふらのの皆、頑張ったんだよ!」 森末「……ごめんよ。 ただ、もっと成果を上げなきゃいけないんだ」 板野としては少し心に突き刺さる言葉も多分にあったが、 それでも森末は心を鬼にして板野を発奮させる為にあえて厳しい言葉を選んだ。 とにもかくにも、板野はこれから今まで以上に活躍し、目立ち、主人公とならなければならない。 そうでなければ、元いた世界にも帰れないのだから。 板野「……とにかく、わかった。 要するに……もっともっと、活躍をして。 もっともっと、サッカー上手くなって……そうすればいいんだね?」 森末「飲み込みが早いね」 板野「少し……ううん、凄くショックだった。 お母さんとお父さんの名前も、顔も思い出せない。 住んでいた場所も、通っていた学校も、友達の名前だって思い出せない。 怖かった……でも……やる事は、今までと同じだよ。 このゲームを、ううん、今は俺は『操作者』―プレイヤー―じゃないんだっけ。 ……この日本で、誰よりも優れた『選手』―プレイヤー―になる。 それを目指す、そういう事だろう?」 森末「そうだ。 その通りだ」 板野「大丈夫……確かにお母さんもお父さんもいないけど、この世界には松山達がいてくれるんだ。 心細くない……森末だって、いてくれるしね」 それは少しだけ強がりも含まれていたが、板野の本心でもあった。 記憶を失くした事は確かなショックである。 だが、それが取り戻せる可能性があり――そして、仲間がいてくれるのなら。 記憶を失った恐怖も、幾分かは和らぐ。
[114]森末(仮):2014/03/07(金) 01:48:11 ID:??? 板野「……ところで、俺が主人公じゃないんだったら、誰が主人公なの? それにプレイヤーは?」 森末「主人公は正直な所、松山とか怖すぎるんだけど……。 松山が主人公ならリセットが発動してもおかしくなかったし、若島津? でもこの後すぐ若林が出てくるからなぁ……」 板野「……要するに、わからないって事?」 森末「もしくは、浮き上がってしまってるか……誰が主人公かわからず、宙ぶらりんな形だね。 プレイヤーについても……わからない。 誰が判定して、誰が選択してるのやら……」 絶望の後に希望アリ。 なんとか希望を見いだせた板野は、ふと思いついた疑問を森末に投げかけるが、この答えはあまり芳しくなかった。 森末としても、やはりこの事態は想定の範囲外。 誰が主人公となったのか、誰がプレイヤーとなったのか……それはまるで見当がついていない。 森末「ともかく、気を付けるんだよ。 ぶっちゃけ外伝なんて誰が主人公になってもおかしくないんだ。 下手したら高杉あたりがなっちゃう可能性だって……」 板野「いや、それは流石に無いと思うけど……ん?」 こうしていつものように、少しばかり和やかなムードになってきた所で、 不意に板野は前方の茂みで誰かが動くのを察知した。 森末もすぐにそれに気づいたのか慌てて誰にも見つからないようにと板野の後ろに隠れ、 板野は息を呑んでその人物の正体を見極めようとし――そして、ついに茂みから大きな物音を立てて人影が姿を現した。 板野「お、お前は――!!」 日向「…………………」 板野「ひゅ、日向ぁ!?」 森末「(……訳がわからないよ)」
[115]森末(仮):2014/03/07(金) 01:49:25 ID:??? そう、姿を現したその人物――それは板野達が、よく知る人物であった。 猛虎――日向小次郎。 原作では大空翼の最大のライバルとして立ちふさがり、全日本を代表するFWとして活躍。 翼に次ぐNo.2という地位を収め、ファンからの人気も高い男。 そして本編ではやはり翼や森崎のライバルとしてキャプテン候補として対立。 原作のワイルドさを更にゆがめたかのような性格の悪さと粗野さ、付け加えて悪知恵の働く頭脳を持ち。 全日本のキャプテン候補の中では選手たちの中で森崎と共に好き嫌いが激しく別れる男となっている。 そんな彼は、本来、この世界には存在をしない。 この世界にやってくる際、板野が難易度『むずかしい』を選択した為に森崎、翼、日向の存在は抹消され、 板野は彼らがいない全日本でこの先を戦っていくと提示されたのだ。 当然ながら板野はそのことを覚えていたし、森末に至ってはその設定を自らが行っているのである。 故に、日向はここにはいてはいけない筈――なのだが、実際にいる。 驚いた板野と森末はしばらく声を発する事も出来ないまま、そのまま日向と対峙をしていたのだが――。 いち早く我に返った板野は、改めて日向の姿を見回すと何かがおかしい事に気づく。 板野「(な、なんだこの格好? まるっきり浮浪者みたいじゃないか……)」 そう、日向の今の姿は正しく浮浪者のようなものであった。 元から浅黒かった肌は垢に塗れ、髪は油で嫌なツヤが出ている。 着ている衣服もところどころ破け、或いはほつれており……。 本編のような成金どころか、原作の貧乏状態でもここまで酷くはないだろうという有様であり。 そして、次に板野が気づいたのは日向が先ほどから何も喋らず、虚ろに宙に視線を彷徨わせている事である。 まるで無気力――いや、魂そのものが抜けてしまっているかのようなその姿に、板野は当然ながら戸惑う。 彼のよく知る日向は、誰よりも血気に逸り闘志に溢れる男なのだから。 板野「(一体なんなんだこの状況? ど、どうするんだ!? さっきから色んな事があって正直混乱し通しだけど……こ、ここは……)」
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0ch BBS 2007-01-24