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【イタリアJrは】俺inキャプ森6【弱いはず】
[589]森末(仮):2015/01/17(土) 00:21:50 ID:??? やがて我に返り、自身の反応に自ら驚く岬を尻目に、 少年はニコッとこれまたわざとらしすぎる程に清々しい笑みを浮かべてそのまま立ち去って行った。 後に残ったのは茫然とする岬に、転々と転がる少年が置いて行った"トモダチ"。 しばらく呆けていた岬だったが……それでもようやく転がるボールを回収すると、 改めて少年が去って行った方角を見つめ、物思いに耽る。 岬「(一体……一体、なんだったんだ……? 初対面の相手に頭で考える前に先に言葉が口から出るなんて、今まで無かった事なのに……。 それに……これは……この気持ちは……?)」 ボールを持ちながら、不意に岬が瞳を閉じれば……。 その瞼に映るのは、つい先ほどまでそこにいた謎の少年の快活な笑み。 笑顔を得意な顔であると自負する岬から見ても、それはあまりにもわざとらしすぎたものだったのだが……。 それでもそれは、何故か深く深く、岬の心に刻まれてしまっていた。 しかも悪印象ではなく、好印象として。 あの笑顔を見るだけで、気持ちが嬉しくなる。 共に笑いあいながら、サッカーをプレイしたい。 それは遠い昔、岬がまだ利己主義に目覚める前――本当に純粋にサッカーを楽しんでいた頃に、置いてきた筈の感情。 この世界では……少なくとも、このフランスに移り住んだ頃には既に、その感情は失くしてしまっていた筈である。 それを思い出させた――否、「本来あるべき岬太郎」に近づけたのは、間違いなくあの少年の笑顔。 一体あの少年は何者なのか……そして、自分の心に一体何が起こってしまったのか。 岬がそれを知る事になるのは、まだ先の事である。
[590]森末(仮):2015/01/17(土) 00:22:57 ID:??? タッタッタッタッ ???「ただいま、神様!」 眼鏡の男性「ああ、おかえり。 どうだった、久しぶりの再会は?」 一方、岬の元から立ち去った少年は、やがてこのフランス……パリにある公園へとやってくると、 そこで待ち構えていた男性――眼鏡をかけ、やや痩せた体型の壮年の男へと駆け寄り、首尾を報告していた。 ???「やっぱり、岬くんが俺の事を覚えてないのは悲しいよ……。 この調子だと石崎くんや若林くん……それに、ロベルトも俺の事を覚えてないっていうのも本当なんだろうね」 眼鏡の男性「仕方ないさ、ここはそういう世界なんだからね。 でも大丈夫、落ち込む事はないよ。 この世界も、いずれ、僕の思うように……。 そう、『キミ』を中心とした、『キミ』の世界に変貌する筈なんだからね」 しょげ返る少年を慰めるように優しげな口調で話す男性。 彼もまた、少年のようにこの世界にはいない筈の存在――。 いや、存在しないどころではない……本来ならばこの世界の事など、知る由もない筈なのがこの男性である。 しかし、彼は間違いなくこの世界の存在を感知し――そして森末が恐れていた通り、変革しようとしていた。 眼鏡の男性「まず手始めに、イタリアを強化しておいたよ。 僕が今まで描いて来た中だと弱いイタリアっていうのは読者からは不評だったようだし、ね。 あれだけ強化すれば、この世界で主人公『だった』男はかなり苦戦する筈だ。 そうなれば、彼は主人公では完全になくなる。 大会の決勝にすら出れない主人公が、存在する筈がないからね」 ???「そっか……全日本が負けちゃうのは悲しいけど……。 でも、ゲームでの俺とチームメイトだったストラットも活躍出来るなら、それは嬉しい事だね」 そして実際に、男は行動を起こしていた。 イタリアJrユースが強化されている原因――。 チェザーレ=ストラットが暴力事件を起こしていない、という歴史を『創り出した』のは、この男の所業によるものだった。 管理者と言える森末以外にストーリーを曲げる事が出来ない筈のこの世界。 その世界で、新たな歴史を作りだせたという事実こそが――少年が彼を『神様』だと呼んでいる一つの要因だった。
[591]森末(仮):2015/01/17(土) 00:24:00 ID:??? 絶世の美女「はぁ……やはりあのイタリアの強化は貴方の仕業でしたか」 眼鏡の男性「おや? 君たちは……」 和気藹々と、これから変わってゆく世界について話しあう少年たち。 そんな少年たちに呆れたような声をかけたのは――かつて中山が全日本Jrユースの合宿に参加する直前に出会った少年。 その少年の隣についていた、誰もが見惚れるかの如き美貌を備えた絶世の美女であった。 絶世の美女「あまり派手に動かれると困るんですけどね……。 私達にもある程度の力があるとはいえ、この世界はあくまでも私達がいた世界とは別。 歴史を変えるのにも大きな力を使いますし、どんな副作用があるかもわかりません。 何よりまだ私達は表舞台に立てない……その時までに力は蓄えておきたい所ですのに」 眼鏡の男性「何を言うんだ。 君たちだってアルゼンチンを弱体化させたんだろう? お互い様じゃないか。 ……というか、なんで弱体化なんてさせたんだ。 全日本が勝ってしまう」 美女の非難に対し、思わず男性は反論をするのだが……。 これに美女はやはり憂鬱げなため息を吐きつつ、子供に言い聞かせるようにして説明をしていく。 絶世の美女「あなたにはわからないかもしれませんが、この世界はゲームですの。 確かに主人公が負けてくれる方が、私もあなたもとてもやりやすい。 世界を自分のものにする為には、ね。 ただ、その世界が誰にも見向きされなければ意味がないんです。 私には参加者がいなければ――あなたには読者がいなければ。 違いますか?」
[592]森末(仮):2015/01/17(土) 00:25:46 ID:??? 眼鏡の男性「……だから、アルゼンチンを弱体化させる事でバランスを取ろう、と?」 絶世の美女「これでバランスになってるかどうかはわかりませんけどね。 ただ私の世界でのアルゼンチン戦での絶望感が、イタリア戦で味わえ……。 イタリア戦でのそれなりに勝てるという感じがアルゼンチン戦で味わえると思いますよ」 美女もまた、この世界を変革しようとする者の1人であった。 森末の力が弱まり、板野が主人公でなくなろうとしているこの世界。 その世界を乗っ取る為に行動をし、実際に持つの力でこの世界の歴史を変えたのだが――。 それは板野の手助けをするが如き、アルゼンチンが弱体化をしてしまうという正史とは違う改変であった。 何故わざわざそのような事をするのかと言われれば――。 それは多分に、この世界の秩序――バランスを保つ為である、と美女はキッパリ言い切る。 眼鏡の男性「うーん……まぁ、納得をしておくよ。 でもそれでこの世界の主人公だった彼が力をつけたら、責任を取ってもらいますよ」 絶世の美女「心配ありません、手は二手三手先を打ってますから。 如何様にもなります。 それより……ここから先は、少なくともフランス国際大会が終わるまでは共に行動しましょう。 そちらの方が、色々とやりやすいですから」 ???「ゲーッ、マジかよ……コイツと一緒に行動すんのか?」 渋々といった様子で納得をする男性に、涼しげな表情で返答する美女。 更にその美女が一つの提案をした所で……美女の隣にいた少年――中山に声をかけていたどこか性根が悪そうな男が不満の声を上げる。 彼にとって、目の前にいるテバサキ頭の少年は目の仇だったからである。
[593]森末(仮):2015/01/17(土) 00:26:47 ID:??? ???「そんな! どうしてそんな事を言うのさ!」 ???「うげーっ、気持ちわりぃ! そんな顔してそんな事言うんじゃねぇよ! ホモじゃねぇのか!?」 逆にテバサキ頭の少年にとっては、目の前の少年は友人の一人だった為に悲鳴を上げ……。 大人2人は同時にため息を吐きながら、両者の肩を持ち諌める。 絶世の美女「落ち着きなさい、今は我慢する時よ。 いずれこの世界が貴方のものになったら……その時は、全てがあなたの思うがままになるのだから。 その時までは、ね」 眼鏡の男性「彼も僕たちの知る彼ではないんだ。 ただ安心しろ……この世界が君のものになりさえすれば、全ては元通りになるんだからね。 彼も君の事を、『ボールはトモダチ』だという事を教えてくれた大事な恩人だと認識してくれるようになるさ」 森崎「ケッ……わかったよ。 だが百歩譲って手を組んでやってもいいが仲良しこよしは御免だぜ!」 翼「森崎……どうしてそんな事を言うんだ。 俺達はずっと一緒に頑張ってきたチームメイト……友達だろう!?」 少年たちの名前は、森崎有三と大空翼。 それぞれ、別の世界では主人公と呼ばれていた者。 高橋「それで? 僕たちが共に行動する事でどんなメリットが生まれるんだい、ニネー?」 ニネー「まず書く側が一々場面転換する必要がなくなって労力が減りますわね。 私達に関するメリットなら……それは追々話させてもらいますわ」 大人たちの名前は、高橋とニネー。 それぞれ、別の世界では『神様』が如き力を持っていた者達だった。
[594]森崎名無しさん:2015/01/17(土) 00:27:20 ID:??? YO1神とニネーさんwww
[595]森末(仮):2015/01/17(土) 00:27:48 ID:??? 一旦ここで区切らせていただきます。
[596]森崎名無しさん:2015/01/17(土) 01:09:56 ID:??? 一旦乙です。 まさか陽一神と2ねいさんが出るとは……凄い展開だ!
[597]森末(仮):2015/01/17(土) 02:07:05 ID:??? ――西ドイツ ハンブルグ ハンブルグJrユース寮 そして舞台は再び西ドイツ、ハンブルグへと移る。 ここハンブルグJrユース寮では、つい先ほど試合を終えた男――若林源三が荷造りをしていた。 この後全日本Jrユースに合流し、共に遠征に出る為である。 見上「私だ、源三」 若林「! み、見上さん……ど、どうぞ」 そんな若林の元に訪れたのは、全日本代表監督――見上辰夫。 周知の通り小学生時代から見上に世話になっている若林からはいつものような傲慢さは影をひそめ、 気を使うようにしてドアを開けて見上を招き入れるのだが……。 若林「すみません、すぐに支度しますんで!」 見上「どうした、源三。 いつになく神経を使っているようじゃないか。 ……私に叱られるのがそんなに恐ろしいか? それとも、正GKの座が危うくなって精一杯機嫌を取ろうとしているのか?」 若林「! い、いえ……そんな事は……」 普段から他者を顧みない若林の不慣れな対応はあまりにもお粗末、 その行動が心から見上を敬ってのものではなく、単純に機嫌を損ねないようにとしているのは明白であり……。 当然のように、そんな若林の魂胆は百戦錬磨の見上からすれば御見通しである。 思わずため息を吐く見上に対し、若林は必死に否定しようとするのだが、それが通じる相手でもないのは誰よりも若林が知っている。 小さくすみません、と謝罪をすると、しばし部屋に静寂が訪れるのだが……。 やがてその静寂を切り裂き、若林はぽつり、とつぶやく。 若林「見上さん……」 見上「なんだ……?」 若林「どうして……どうしてこんな事になったんですか。 日本で一体何があったんです!? あの板野ってのは何者ですか!? なんで俺が3失点もしなきゃいけないんです! どうして若島津がシュナイダーのファイヤーショットを止められるんです! なんで……!」
[598]森末(仮):2015/01/17(土) 02:08:41 ID:??? 最初はぽつり、ぽつりと小声だったものが……徐々に大きなものへと変化していき、最後には絶叫に近くなる。 それはまさに、若林源三の正直な吐露であった。 何故、どうして……。若林の心の中には、その疑問しかない。 小学生時代全く名前も聞いた事がなかった板野という男が、何故自分からゴールを奪ったのか。 日本時代に無双とも言える程の活躍を見せ、サッカーの本場西ドイツで留学をした自分が何故ここまで失点を重ねなければならないのか。 何故日本時代は自分よりも劣っていた筈の若島津がシュナイダーのファイヤーショットを止められたのか。 それらの質問について、あくまでも見上は表情を崩さないまま淡々と答えていく。 見上「一つ目の質問だが、私も知らん。 小学生時代は、全国大会どころか主要なサッカークラブにも所属をしていなかったらしい。 だが、中学時代――ふらの中学への転入から突如才覚を表してきたストライカーだ。 ……奴のように中学に入ってから伸びてきた者は他にもいる。 奴はただ小学生時代は無名だったが中学生になってからは国内トップクラスのストライカーになった、というだけだ。 二つ目の質問だが、3点目のPKはともかく、1点目はお前が指示したのだろうハンブルグの舐めたプレイとお前の判断ミスでの失点。 2点目は単純にお前が板野との勝負に負けた……というだけだ。 どうしても何も無い。 三つ目の質問だが……私の目から見ても、若島津が10回やって10回シュナイダーのシュートを止められるとは思わん。 10回やって2回、3回……止められればいい方だろう。 その2回か3回かの内の1回が来ていた、というだけに過ぎん。 無論、それだけの実力をつける為に若島津が努力に努力を重ねたのは言うまでもない事だがな」 若林「………………」 見上「いい加減に現実を見ろ、源三。 今の自分の立ち位置が解らん程、馬鹿ではないだろう」
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0ch BBS 2007-01-24