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【イタリアJrは】俺inキャプ森6【弱いはず】
[591]森末(仮):2015/01/17(土) 00:24:00 ID:??? 絶世の美女「はぁ……やはりあのイタリアの強化は貴方の仕業でしたか」 眼鏡の男性「おや? 君たちは……」 和気藹々と、これから変わってゆく世界について話しあう少年たち。 そんな少年たちに呆れたような声をかけたのは――かつて中山が全日本Jrユースの合宿に参加する直前に出会った少年。 その少年の隣についていた、誰もが見惚れるかの如き美貌を備えた絶世の美女であった。 絶世の美女「あまり派手に動かれると困るんですけどね……。 私達にもある程度の力があるとはいえ、この世界はあくまでも私達がいた世界とは別。 歴史を変えるのにも大きな力を使いますし、どんな副作用があるかもわかりません。 何よりまだ私達は表舞台に立てない……その時までに力は蓄えておきたい所ですのに」 眼鏡の男性「何を言うんだ。 君たちだってアルゼンチンを弱体化させたんだろう? お互い様じゃないか。 ……というか、なんで弱体化なんてさせたんだ。 全日本が勝ってしまう」 美女の非難に対し、思わず男性は反論をするのだが……。 これに美女はやはり憂鬱げなため息を吐きつつ、子供に言い聞かせるようにして説明をしていく。 絶世の美女「あなたにはわからないかもしれませんが、この世界はゲームですの。 確かに主人公が負けてくれる方が、私もあなたもとてもやりやすい。 世界を自分のものにする為には、ね。 ただ、その世界が誰にも見向きされなければ意味がないんです。 私には参加者がいなければ――あなたには読者がいなければ。 違いますか?」
[592]森末(仮):2015/01/17(土) 00:25:46 ID:??? 眼鏡の男性「……だから、アルゼンチンを弱体化させる事でバランスを取ろう、と?」 絶世の美女「これでバランスになってるかどうかはわかりませんけどね。 ただ私の世界でのアルゼンチン戦での絶望感が、イタリア戦で味わえ……。 イタリア戦でのそれなりに勝てるという感じがアルゼンチン戦で味わえると思いますよ」 美女もまた、この世界を変革しようとする者の1人であった。 森末の力が弱まり、板野が主人公でなくなろうとしているこの世界。 その世界を乗っ取る為に行動をし、実際に持つの力でこの世界の歴史を変えたのだが――。 それは板野の手助けをするが如き、アルゼンチンが弱体化をしてしまうという正史とは違う改変であった。 何故わざわざそのような事をするのかと言われれば――。 それは多分に、この世界の秩序――バランスを保つ為である、と美女はキッパリ言い切る。 眼鏡の男性「うーん……まぁ、納得をしておくよ。 でもそれでこの世界の主人公だった彼が力をつけたら、責任を取ってもらいますよ」 絶世の美女「心配ありません、手は二手三手先を打ってますから。 如何様にもなります。 それより……ここから先は、少なくともフランス国際大会が終わるまでは共に行動しましょう。 そちらの方が、色々とやりやすいですから」 ???「ゲーッ、マジかよ……コイツと一緒に行動すんのか?」 渋々といった様子で納得をする男性に、涼しげな表情で返答する美女。 更にその美女が一つの提案をした所で……美女の隣にいた少年――中山に声をかけていたどこか性根が悪そうな男が不満の声を上げる。 彼にとって、目の前にいるテバサキ頭の少年は目の仇だったからである。
[593]森末(仮):2015/01/17(土) 00:26:47 ID:??? ???「そんな! どうしてそんな事を言うのさ!」 ???「うげーっ、気持ちわりぃ! そんな顔してそんな事言うんじゃねぇよ! ホモじゃねぇのか!?」 逆にテバサキ頭の少年にとっては、目の前の少年は友人の一人だった為に悲鳴を上げ……。 大人2人は同時にため息を吐きながら、両者の肩を持ち諌める。 絶世の美女「落ち着きなさい、今は我慢する時よ。 いずれこの世界が貴方のものになったら……その時は、全てがあなたの思うがままになるのだから。 その時までは、ね」 眼鏡の男性「彼も僕たちの知る彼ではないんだ。 ただ安心しろ……この世界が君のものになりさえすれば、全ては元通りになるんだからね。 彼も君の事を、『ボールはトモダチ』だという事を教えてくれた大事な恩人だと認識してくれるようになるさ」 森崎「ケッ……わかったよ。 だが百歩譲って手を組んでやってもいいが仲良しこよしは御免だぜ!」 翼「森崎……どうしてそんな事を言うんだ。 俺達はずっと一緒に頑張ってきたチームメイト……友達だろう!?」 少年たちの名前は、森崎有三と大空翼。 それぞれ、別の世界では主人公と呼ばれていた者。 高橋「それで? 僕たちが共に行動する事でどんなメリットが生まれるんだい、ニネー?」 ニネー「まず書く側が一々場面転換する必要がなくなって労力が減りますわね。 私達に関するメリットなら……それは追々話させてもらいますわ」 大人たちの名前は、高橋とニネー。 それぞれ、別の世界では『神様』が如き力を持っていた者達だった。
[594]森崎名無しさん:2015/01/17(土) 00:27:20 ID:??? YO1神とニネーさんwww
[595]森末(仮):2015/01/17(土) 00:27:48 ID:??? 一旦ここで区切らせていただきます。
[596]森崎名無しさん:2015/01/17(土) 01:09:56 ID:??? 一旦乙です。 まさか陽一神と2ねいさんが出るとは……凄い展開だ!
[597]森末(仮):2015/01/17(土) 02:07:05 ID:??? ――西ドイツ ハンブルグ ハンブルグJrユース寮 そして舞台は再び西ドイツ、ハンブルグへと移る。 ここハンブルグJrユース寮では、つい先ほど試合を終えた男――若林源三が荷造りをしていた。 この後全日本Jrユースに合流し、共に遠征に出る為である。 見上「私だ、源三」 若林「! み、見上さん……ど、どうぞ」 そんな若林の元に訪れたのは、全日本代表監督――見上辰夫。 周知の通り小学生時代から見上に世話になっている若林からはいつものような傲慢さは影をひそめ、 気を使うようにしてドアを開けて見上を招き入れるのだが……。 若林「すみません、すぐに支度しますんで!」 見上「どうした、源三。 いつになく神経を使っているようじゃないか。 ……私に叱られるのがそんなに恐ろしいか? それとも、正GKの座が危うくなって精一杯機嫌を取ろうとしているのか?」 若林「! い、いえ……そんな事は……」 普段から他者を顧みない若林の不慣れな対応はあまりにもお粗末、 その行動が心から見上を敬ってのものではなく、単純に機嫌を損ねないようにとしているのは明白であり……。 当然のように、そんな若林の魂胆は百戦錬磨の見上からすれば御見通しである。 思わずため息を吐く見上に対し、若林は必死に否定しようとするのだが、それが通じる相手でもないのは誰よりも若林が知っている。 小さくすみません、と謝罪をすると、しばし部屋に静寂が訪れるのだが……。 やがてその静寂を切り裂き、若林はぽつり、とつぶやく。 若林「見上さん……」 見上「なんだ……?」 若林「どうして……どうしてこんな事になったんですか。 日本で一体何があったんです!? あの板野ってのは何者ですか!? なんで俺が3失点もしなきゃいけないんです! どうして若島津がシュナイダーのファイヤーショットを止められるんです! なんで……!」
[598]森末(仮):2015/01/17(土) 02:08:41 ID:??? 最初はぽつり、ぽつりと小声だったものが……徐々に大きなものへと変化していき、最後には絶叫に近くなる。 それはまさに、若林源三の正直な吐露であった。 何故、どうして……。若林の心の中には、その疑問しかない。 小学生時代全く名前も聞いた事がなかった板野という男が、何故自分からゴールを奪ったのか。 日本時代に無双とも言える程の活躍を見せ、サッカーの本場西ドイツで留学をした自分が何故ここまで失点を重ねなければならないのか。 何故日本時代は自分よりも劣っていた筈の若島津がシュナイダーのファイヤーショットを止められたのか。 それらの質問について、あくまでも見上は表情を崩さないまま淡々と答えていく。 見上「一つ目の質問だが、私も知らん。 小学生時代は、全国大会どころか主要なサッカークラブにも所属をしていなかったらしい。 だが、中学時代――ふらの中学への転入から突如才覚を表してきたストライカーだ。 ……奴のように中学に入ってから伸びてきた者は他にもいる。 奴はただ小学生時代は無名だったが中学生になってからは国内トップクラスのストライカーになった、というだけだ。 二つ目の質問だが、3点目のPKはともかく、1点目はお前が指示したのだろうハンブルグの舐めたプレイとお前の判断ミスでの失点。 2点目は単純にお前が板野との勝負に負けた……というだけだ。 どうしても何も無い。 三つ目の質問だが……私の目から見ても、若島津が10回やって10回シュナイダーのシュートを止められるとは思わん。 10回やって2回、3回……止められればいい方だろう。 その2回か3回かの内の1回が来ていた、というだけに過ぎん。 無論、それだけの実力をつける為に若島津が努力に努力を重ねたのは言うまでもない事だがな」 若林「………………」 見上「いい加減に現実を見ろ、源三。 今の自分の立ち位置が解らん程、馬鹿ではないだろう」
[599]森末(仮):2015/01/17(土) 02:10:00 ID:??? 認めたくない事実、何かの間違いだと言って欲しかった現実。 しかし、それらは全て実際に起こってしまった事なのである。 結果的に、3失点という大口を叩いたのに見合わない失点の数も。 板野という見た事も無かったポッと出の男に点を奪われてしまった事も。 自分より圧倒的に格下であると思っていた筈の若島津が、シュナイダーのファイヤーショットを止められた事も。 全て、現実なのである。 若林「どうしてこうなったんです……どうして……俺は……」 見上「ふん、『小学生時全国大会優勝チームキャプテン』で、『ハンブルグの正GK』だ、とでも言うつもりか?」 若林「!!」 見上「タワケ。 過去の実績も、肩書も、無論評価する際に参考にする重要な要素だ。 だがそれだけでゴールを奪われないというのなら、誰も苦労はせん。 対戦相手は実績や肩書を相手にシュートを放ってくるんじゃない。 シュートを止める際に頼れるのは、己の身一つだけだ」 輝かしい実績に、誇らしい肩書き。 プライドの高い若林にとっては何よりも大事にしてきた心の拠り所なのだが、 それらが実際の試合で役に立つ事は決してないと見上は断言。 これを聞いて若林はショックの余り茫然と口を開けてしまうのだが、更に見上は若林にとって耳に痛い言葉を続けていく。 見上「大体が小学生時代の実績など、所詮は過去の栄光に過ぎん。 お前はこの先……ユース、そしてプロになってもその事を口にして生きていくつもりか? ハンブルグの正GKという肩書にしてもそうだ。 確かにハンブルグは欧州No.1クラブチームと言われている、その正GKとなれば大したものだ……と言って欲しいんだろう。 だが貴様はあくまで正GKであるだけで、欧州No.1GKという訳ではないだろうが」 若林「うっ……」
[600]森末(仮):2015/01/17(土) 02:11:42 ID:??? 確かに小学生時代の実績など、既に過去の栄光でしかない。 全日本Jrユースにも南葛の面々などを初めとして小学生時代から活躍をしている者も複数いるが、 先に見上の言ったように中学に入ってから頭角を現してきた者達も多数存在する。 彼らにしてみれば今日、先ほどの試合で見た若林が全てであり、過去の栄光というフィルターを通しては当然見てくれない。 また、若林はハンブルグの正GKとして活躍を続けていながらも、決して欧州No.1キーパーとは言われてはいない。 ヨーロッパ研修をしていた見上は当然のようにその欧州No.1キーパーと呼ばれている男――。 ジノ=ヘルナンデスのプレイを実際に見学しており、彼がそう呼ばれる所以……。 そして、若林が決してそうは呼ばれない原因というものをよくわかっていた。 見上「小学生時代の栄光より、何故今の栄光を掴もうとせん。 正GKに満足せず、欧州No.1キーパーという異名を手に入れようと何故躍起になれん」 若林「………………」 見上「小学生時代、私のしごきに耐えていた時はコイツは必ずモノになると思った。 それほどまでにお前は才能の塊であり、また努力も出来るだけの根性も持っていた。 それがどうした、この西ドイツに来てからは。 正GKの座につけば早々に満足し、練習はサボり、態度は不真面目。おまけに喧嘩に明け暮れる。 中学3年間、例え環境がよかろうと言われるだけの練習を――。 いや、それすらもサボってきた男が、例え日本という狭い環境でも3年間努力を重ねてきた者達にそう簡単に勝てると……。 本気で思っていたのか?」 やがて見上の説教を聞くにつれて、若林は頭を垂れ、じっとこれまでの3年間を思い出していた。 見上の言うように、若林は決して努力に努力を重ねてきた……とは言い難い。 メニューで組まれている練習すらもおざなりにこなし、自主練習に励むという事は少なくとも記憶になかった。 それだけである程度の結果が出ていたし、それなりにも勝ててきていたのだ。 故に、彼は完全に慢心してしまっていた。油断してしまっていた。 若林にとって幸運だったのは……それを今日の試合で気づけた事。 そして、気づかないフリをしていた所で、しっかりと言い聞かせてくれる恩師がいてくれた事だろう。
[601]森末(仮):2015/01/17(土) 02:13:26 ID:??? 見上「……言っておくが、かつての教え子といえど贔屓はせんぞ。 自分の力で這い上がり、正GKとキャプテンの座を掴んで見せろ。 慢心し、驕っていた分、それなりに厳しい道かもしれんがな」 若林「! (見上さん、今……!?)」 見上「ホテルの住所を書いたメモを置いておく。 準備が出来たら来い」 ガチャッ バタン。 カッカッカ…… 若林「見上さん……俺のせいで、泣いていたのか……」 最後にそれだけ言って、メモを残して去っていく見上。 彼がドアに振り向く際、不意にサングラスの中に映る瞳に涙が浮かんでいた事を知り、 若林は今日、試合で受けたもの以上の衝撃を受ける。 名家の若林家の三男として生まれた彼に、身内に仲のいいものなどはただの一人もおらず。 幼い頃に懐いていたのは、もっぱら家のお手伝いの女性と、コーチである見上であった。 ある意味、若林にとって見上は幼少期の父親代わりだったと言っていい。 その見上が見せた涙――しかも、自分のせいで流させてしまった涙。 それを見て思う所が無い程、若林源三という男は情が無い男ではなかった。 若林「………………!」 若林はしばらくその場で立ち尽くしていたが、やがてそれも終わると、 先ほどとは打って変わってキビキビとした態度で荷造りを始めた。 黙々と荷造りをしながら、新天地での、厳しいかもしれないがそれでも目指すべき道を思い顔を引き締める若林。 見上が流した涙が片桐から借りた遅効性の目薬によるものだったと知らなかったのは……。 彼にとって幸運だったのか不幸だったのか、定かではない。
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0ch BBS 2007-01-24