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【目指せ】ミサト監督の挑戦3【J2】
[962]森崎名無しさん:2014/07/21(月) 22:41:43 ID:xvU/3/8M C
[963]地獄のミサト ◆lHjY1XBi4o :2014/07/21(月) 23:35:34 ID:??? C ペトレスクの過去 *鬱展開はもう嫌ですので、判定少なめに綺麗に書いていきます。 …まぁ過去ですので、多少の苦さはあるでしょうが。 埼玉から東京に来ても、桜の美しさは変わらないようだ。 クラブハウス兼選手寮が廃校だけに、校庭には桜が咲き誇っている。 ペトレスク「やあ、レイ。桜の手入れか?」 綾波は頷くと桜の枝を切っている。 ペトレスク「……」 切り口をそのままにし、去って行く綾波にペトレスクは声をかけた。 ペトレスク「レイ。切り口に木工用のボンドを当てておけ。」 綾波「…何故?」 綾波はペトレスクを向いた。どうやら興味を引いたらしい。 ペトレスク「桜は弱い木だ。傷口からばい菌が入ると、そこから枯れてしまう事がある。」 綾波「…そう…。」 綾波は事務所に木工用のボンドを取りに行き、場を離れた。 ペトレスク「…桜、か。」 日本人にとって桜は特別な郷愁がある木だという。 オランダ人にとって、チューリップや風車のようなものなのだろう。 ペトレスク「…そういえば、桜は弱い木だと教えてくれたのは誰だったかな…。」 オランダを離れて10年以上。 ペトレスクは桜を見ながら過去に思いを馳せていった…。
[964]地獄のミサト ◆lHjY1XBi4o :2014/07/21(月) 23:55:50 ID:??? ペトレスクは、日本に特別な関心は無かった。 日本といえば、オランダ軍がインドネシアで日本軍から手痛い目に遭わされた、という位の認識だった。 それでもその自分が、まさか日本に留学する事になろうとは考えもしていなかった事である。 大学生活は楽しかった。 白人というだけでそれなりにモテたし、そうした軽薄な女性と関係する事は、ペトレスクの男としての満足もあった。 サッカーも楽しかったし、当時の日本は全く大したレベルでなかったので、本国で落ちこぼれだった自分でも十二分に通用した。 …中には本物もいるもので、一度大会で犬の前身と当たり、片桐にコテンパンにのされた事もあったが。 ペトレスク「(あのFWは、試合中の事故で引退したと聞いたな…。)」 犬リザーブス戦でマッチアップした、天ヶ瀬冬馬。彼は何故かそのFWとダブる。 不真面目であった自分が、これまでサッカーを続けてこれた原動力は、あの悔しさからだろう。 当時の自分を考えると随分勿体無い事をしていたものだ。 女性と関係を持つより、自分を高める方向に向いていれば今より良い選手であっただろうに。 ペトレスク「(…確か大学の四年の時だったか。彼女と会ったのは。)」 大学のサッカー部の花見の席。酔った自分が桜の枝を折った時に強かに一撃を貰ったのだ。 ペトレスク「(今思い起こしても笑える。)」 そこにいた田舎娘…少なくとも、自分が関わり合った女性とは異質な存在が、自分に一撃を喰わせたのだ。
[965]地獄のミサト ◆lHjY1XBi4o :2014/07/22(火) 00:07:35 ID:??? 木工用ボンドを買いに行かされ、木の補修をさせられ… 何故こんな田舎娘に良いようにこき使われなければならないのか。と憤慨したものだ。 「桜は弱い木なんだよ!」 と言われ 「ばい菌で枯れたら、あなたが植え直すの?!」 と怒られ…。 後に仲良くなった時に聞いたが…この子も怖かったという話を聞き、思わず噴き出したものだ。 学内で顔を合わせる機会があり、それまで付き合いのあった女性と異質な彼女が自分の気を引いた。 機会がある度に口説き、それでも頑として受け付けない彼女に負けん気をそそられ… 少なくとも友人というポジションを手にするまで、気が付くと半年かかっていた。 いつしか自分も放蕩をやめて彼女を好きになり、それまでとは違う真摯な態度に出ていた。 周囲は散々コケにしてくれたが。 クリスマスに皆で集まり、打ち上げをした帰り道。 公園で寂しそうに桜を見ていた彼女の姿に、思い切って声をかけてみた。 彼女は自嘲気味に笑いながら… 「ねぇ、桜の染料って何から採れるか知ってる?」 と言うばかりであった。
[966]地獄のミサト ◆lHjY1XBi4o :2014/07/22(火) 00:22:18 ID:??? 大学を卒業し、就職しようとしていたら、たまたま埼玉で新チームを作るという事になり、そこに入団した。 それが埼玉ガラパゴスだった。 当時の自分としては、好きなサッカーでメシを喰えるというだけだったが… 今考えると、彼女を口説く為に結果を残そうと努力をしてきた結果だった。そう思う。 ガラパゴス入団を彼女に伝えると、彼女はとても喜んでくれた。 またあの公園で花見をしないか、と言ったところ、了承され…気持ちが浮き立った事をよく覚えている。 花見は盛り上がり、彼女を送って帰ろうと申し出たが、そこは断られた。 少し飲み直しをし、帰ろうとした自分の前にいたのは…彼女が男と二人でいる姿だった…。 ペトレスク「(今考えると間抜けだよなぁ。)」 よせば良いものを、わざわざ物陰に隠れ二人の会話を聞いてしまった。 単なるアホだ、と自分でも思うが…若かったのだ。 彼女は桜を見上げながら、男に言った。 「坂口安吾?『近頃は桜の花の下といえば人間がより集って酒をのんで喧嘩していますから陽気でにぎやかだと思いこんでいますが、 桜の花の下から人間を取り去ると怖ろしい景色になりますので、 能にも、さる母親が愛児を人さらいにさらわれて子供を探して発狂して桜の花の満開の林の下へ来かかり見渡す花びらの陰に 子供の幻を描いて狂い死して花びらに埋まってしまう (このところ小生の蛇足)という話もあり、桜の林の花の下に人の姿がなければ怖しいばかりです。』 とあるね。」
[967]地獄のミサト ◆lHjY1XBi4o :2014/07/22(火) 00:43:06 ID:??? 男「春の日に咲く、桜については坂口安吾と同意見だ。桜についてはあまり良いイメージがない。」 男も女も、どこにでもいるような二人だ。楽しそうに会話する二人。 男「それだって花見をしちまうんだからな。人間なんて不思議なもんだ。」 女「桜の染料って何から採れるか知っている?」 男は首を振る。 女「桜の木の皮よ。」 男「……へぇ。」 冬の寒い間に耐え、桜は樹皮に桜色を蓄える。寒梅のような凛々しさではないが、花を咲かす為に耐えているという見方も出来る。 女はそう言うとにっこりと笑い… 女「……私ね。桜って大嫌いなの。」 と言った。男も自分も驚き、女を見る。 女「私にとって桜は別れの象徴よ。大切な人と離ればなれになる象徴。」 男「…あの話していた外人さんか。」 女「いや、そうじゃない。ペトレスクは桜が連れてきてくれた人よ。」 心臓が鳴り響く。ということは… 男「…そうかい。俺にとって桜ってのは… 中学の卒業式の時に離れちまった奴と、今、また再会させてくれた木でな。」 …そこからはあまり覚えていない。 偶々会った風を装いながら、二人を冷やかして別れた事は覚えている。 考えると、最初からノーチャンスの恋愛だったのだ。 彼女は自分を一人の友人としてしか見ていなかった…。 それを形として突き付けられただけだ。 桜舞い散る季節。 苦い思い出と切なさのみ残る、片想い…
[968]地獄のミサト ◆lHjY1XBi4o :2014/07/22(火) 01:01:56 ID:??? ペトレスクの回想を破ったのは、綾波だった。 綾波「…教えてほしい。」 綾波はボンドを出すとペトレスクを見る。 ペトレスク「これはな、こうして…」 ボンドを消毒した枝の切り口に貼り、桜が舞い散る。 淡いピンクの喝采の中、ペトレスクは再び回想の海に身を浸した。 ペトレスク「(…それから、サッカーを死ぬ程頑張ったな。)」 あの時が自分の立志だったのだろう。 桜が連れて来た男が、桜を好きになった彼女の自慢になってやろう、と。 あれから十年近く、少なくとも自分はサッカー選手として必要とされている。 彼女の住む埼玉から離れたが、現在もサッカーを続けられている。 不器用な男の不器用な片想いの終わらせ方である。 ペトレスク「(女々しい男だ。男の思い出はフォルダだとよく言ったもんだぜ。 それとも、日本在住が長すぎて日本人の感覚が伝染しちまったか?)」 ペトレスクは自嘲気味に笑い、枝の補修を終えた。 先着一名様で。 ★彼女は !card ★ JOKER…未だ独身 赤札…男と結ばれ、ペトレスクを男と一緒に心から応援している。 スペード…ああ、そういやそんなのいたね。 クラブ…俺様には関係ない! クラブA…覚えていない
[969]森崎名無しさん:2014/07/22(火) 01:04:31 ID:??? ★彼女は ダイヤ6 ★
[970]地獄のミサト ◆lHjY1XBi4o :2014/07/22(火) 01:22:40 ID:??? ★彼女は ダイヤ6 ★ ダイヤ…男と結ばれ、男と一緒にペトレスクを心から応援している 幸せな親子が、ペトレスクのレプリカユニフォームを着てスタジアムにいたら、彼らにペトレスクの事を尋ねるといい。 彼等はペトレスクについて、こう言うはずだ。 「誇り高き男」 だと。 ペトレスクの愛用するバッグには、必ず桜の花弁を模したキーホルダーがついている。 それもまた、彼の心意気なのだろう。 回想の海から出たペトレスクが、綾波の頭に桜の花弁を何枚もつけた。 綾波「…取って。」 ペトレスクはニヤリと笑い、綾波に耳打ちをする。 綾波は頷くと走って寮に戻っていった…。 「シンジに取ってもらいな。」 だがあのペースでは寮につく頃には桜は綺麗に取れているだろう。 大きく伸びをし、ペトレスクは桜を見上げた。 ペトレスク「さて、今日も頑張りますかいのう。」 元埼玉ガラパゴスのバンディエラ。現アルバトロスの精神的主柱はそう呟き、練習グラウンドに向かうのであった…。 END
[971]地獄のミサト ◆lHjY1XBi4o :2014/07/22(火) 01:37:03 ID:??? …またもや重い…。 恋バナを志したはずが あまとう→地獄行き 由乃→原作スピリットを余す所なく発揮 ペトレスク→不器用な愛 明日こそは、笑えて尚且つ軽いノリの話を書けますように…。 よくよく考えてみると、アルバトロスの面々って一筋縄でいかない連中ばかりですね。
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0ch BBS 2007-01-24