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【光を】鈴仙奮闘記22【掴み取れ!】
[236]森崎名無しさん:2014/10/14(火) 21:25:02 ID:??? 兄貴!兄貴!
[237]森崎名無しさん:2014/10/14(火) 21:47:06 ID:??? パルスィに刺激されて目覚めた
[238]森崎名無しさん:2014/10/14(火) 22:29:21 ID:??? ここで相手が下手すると強化か・・・ ただでさえ相手の引きがいいのにつらいな、これは イベントはうれしいけどもっと余裕のある時に来てくれたら・・・!
[239]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/10/14(火) 23:55:11 ID:??? ★てゐ→ドリブル 48 ( ハートQ )( 5 + 3 )+(シロウサギドリブル+3)=59★ ★矢車→タックル 51 ( ダイヤ8 )( 6 + 5 )=62★*イベント発生! ≦−2→地霊殿ボールに。 てゐ「(いんや。 ここは反則狙いじゃなくて――全力で行くっ!) ……どきな。 今の私に近寄るんじゃないよ!!」 ダダダダダダダッ!! 矢車「……はぁ、お前等は良いよなぁ。 どうせ――」 グワァアアアアアア……! それは、矢車がてゐのドリブルに対して抉るようなタックルに向かった時に起こった。 矢車のプレーは些か不安定であるため、下手なマリーシア狙いは危険と、 全力でのドリブルに向かったてゐを追走する矢車は、後少しでてゐの足先にあるボールへ肉薄し――。 ギィィ……イイン!! 矢車?「――ぐっ……!?(……あ、相棒……! 今お前が殻を破るのは危険だぞ……!?)」 グラッ…! バタッ! てゐ「あ、あれ? 私何にもしてないよ?」 こいし「(来た!)」 鈴仙「矢車が、倒れた!?(負傷……では無いわよね。 となると、試合への不慣れが原因によるガッツの枯渇――でもなさそう。 これは……!?)」
[240]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/10/14(火) 23:56:25 ID:??? 実況「おっと! どうした事でしょう! 矢車選手、前半18分の重要なシーンで地面に這いつくばって倒れます! 彼はプレーに絡んでいない時から、センターサークル内で体育座りをしたりはしていましたが、 こんなに苦しそうな様子を見せた事はありません! 一体どうしてしまったと言うのでしょうか! 審判も流石に笛を鳴らし、矢車選手へと駆け寄っていきます」 さとり「日光が眩しすぎて倒れた、という程脆くはないでしょうに。 一体何が起きたというの……?」 ヤマメ「う〜ん、こりゃ交代かなぁ? 折角の貴重な中盤と思ったけど、残念だったねぇ」 パルスィ「私は最初から中盤として数えられていない、という訳ね。 ……妬ましいわ」 お燐「ちょっと。 ……流石に死なれるのは目覚めが悪いんだけど?」 空「うにゅ!? やぐるまさーん、死んじゃやだよ〜!?」 矢車の突然の昏倒に、地霊殿サブタレイニアンローゼスのメンバーも動揺が隠し切れない。 それは純粋に戦力的な面での心配……だけでは無く、 やはり何だかんだで彼を心配する者も一定数は居たからであろう。 永琳「(……成程。 矢車想という人格は言わば、脆い本体を隠し守る為の鎧……と、いう訳か。 この年齢までこじらせるのは珍しいけれど、症状自体はあくまで典型的ね)」 ――そして、一部の人物は理解していた。 矢車という人物――いや、矢車という『現象』の正体に。 つまり、矢車という人物は最初からこの世に存在しておらず。 そして、矢車が自ら称した通り――彼は、『地獄の闇から生まれた存在』であった。
[241]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/10/14(火) 23:57:41 ID:??? 矢車?「う、ぁぁあ……! あにき、あにきぃ………!!」 それを示す証拠が、今眼前でもがき苦しむ矢車――『だった』少年の存在だろう。 背丈が高く、鋭く狂気に満ちた眼光を放つ白髪の男はフィールドから消え失せ。 代わりに、それよりももう少し背が低く素朴で。 しかし整った顔立ちの白髪の少年が、矢車の代わりにフィールドへ横たわっていた。 佳歩「か、変わった……! 一瞬で、別人に代わってる!?」 ウサギD「つ、つかさちゃん!? こんな事って……あるの!?」 つかさ「……Dちゃん。 目の前にある事は――往々にして、その全てが現実よ……!」 白髪の少年「はぁ……はぁ……。 ぐ、ぐぁああああああああっ!! おおおおおおっ! あ、あああああああああああああっ!!!」 ――そして、その少年は、完全に矢車という鎧を捨て去ると……。 両手で目を抑えながら、狂ったように産声を上げた。 矢車のような停滞しきり淀んだ狂気では無く、それは純粋かつ爆発的な狂気。 審判「き、君!? 大丈夫かね!?」 タタタッ! 少年のあまりの狂態に、審判は思わず彼に対して駆け寄る。 こうなっては試合どころの騒ぎでは無い。早急に彼を休ませる必要がある。 そう考えた審判はやがて少年の手を取ろうとするが――。 ブウッ、ガシイイッ!! 審判「!?」
[242]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/10/15(水) 00:00:34 ID:??? こいし「駄目だよ〜。 この子は今まで、おかあさんのお腹の中みたくあったかい無意識の中に眠っていたんだから。 それがいきなり這い出たせいで、混乱しているだけ。 すぐに治るからさ」 その手は、いつの間にか楽しそうな表情で少年に近づいていたこいしにより乱暴に跳ね除けられ。 ――それどころか、その細腕からは考えられぬ剛力で審判を数メートル先へと弾き飛ばす。 さとり「…………! 待ちなさい、こいし。 ――貴女が、元凶なのね? ……この見知らぬ少年を、矢車想という男に変えた事の」 そして、愛妹の乱暴な態度と怪しげな言動に、姉のさとりは静かに怒りを表していた。 こいしはそんなさとりの表情を全く読み取らずに、楽しげに答えた。 こいし「違うよ。 私はただ、この子を守っただけ。 ――この子の意識を守る為に、この子の無意識を肥大化させただけなの。 ……それこそ、その姿形をもガラッと変えちゃう位にね」 永琳「(空想上の友人――イマジナリー・コンパニオン。 古明地こいしは、この少年……松山光のイマジナリー・コンパニオンを、具現化した……という事か。 成程ね、道理も付くわ。 矢車想――矢車草だなんてふざけた名前の男は、 幻想郷にも外界にも存在しない筈なのだから)」 こいしとさとりの問答を聞いていた永琳は、独り結論に至っていた。 つまり――矢車想という人物は、松山光――この少年の名だ――の空想上の存在。 どのような経緯で、あんなふざけた人格が生まれたのかは分からないが、 兎に角彼は、無意識を操る古明地こいしが恐らく気まぐれで発生させた能力により、松山光の体を媒体に受肉。 そうして、主人格たる松山光を守っていた……と、いう事が一連の顛末だった。
[243]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/10/15(水) 00:02:03 ID:??? パスカル「マツヤマ・ヒカル……。 俺は、あいつを知っている。 あいつのプレーを見た事が……ある」 鈴仙「えっ!? パスカル君、知っているの……!?」 そして、その白髪の少年の正体を知る者は意外と多く居た。 フィールド上で僅かな記憶を頼りにその名を思い起こしたパスカルはそのうちの一人だった。 パスカル「ディアスともマッチアップしていた。 流石にディアスのドリブルは止められなかったが――しかし、彼はタックルの名手だった。 実力としては……当時の俺よりも一回りは上だっただろうか」 今なら互角か、もう少し良い勝負が出来そうだけどな……と乾いた笑いを上げるパスカル。 しかし、彼の予想通り――松山について、こうした昔話をしている暇は無さそうだった。 松山「……俺は松山なんかじゃない」 自分の名を呼ぶパスカルの声が聞こえていたらしい松山は、 審判の手を払い除けて、いつしか狂気染みた声も上げずに、 しかし老人のように腰を大きく丸めてジロリ、とパスカルを睨みつける。 それは矢車にも似た仕草だった。 松山「……松山光だった俺は死んだ。 俺は過去の松山の影にしか過ぎない。 ――今だって、こうして出て来たのも。 兄貴にこれ以上負担を掛けたくなかっただけだ。 ああ――そうだ!」 バッ! 不意に松山は大きく仰け反りながら、焦点の合わぬ瞳で叫びだす。 先程とは違い、矢車らしい動作では全く無かった。
[244]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/10/15(水) 00:03:29 ID:??? 松山「そうだ……! そうだよ……! 俺はあの地獄の暗闇の中で、 俺を見捨てないでくれていた矢車の兄貴と一緒にもがき苦しみ続けるって決めたんだ! 羨ましいだろう? 羨ましいよなぁ? バーーーカ、残念でした。 誰が……お前たちなんかに、地獄の闇の苦しさと辛さを教えてやるもんか……!!」 鈴仙「(――矢車みたいな、死人のような狂気じゃない。 これは……本当の狂気ね)」 松山「さあ審判さん、試合を再開してくださいよ。 俺はもう大丈夫です。 さぁ……早く!」 審判「――と、とはいえ君。 チームメイトだって困惑しているんだ。 まずはその辺の事情を説明してからだね……」 松山の態度は頑なであり、審判も思わず彼の申し出を承諾してしまいそうになるが――。 しかし、完全には折れない。 審判は彼のチームメイトに判断を仰ぐ事にしたが。 全体的に、否定的な声は上がらず――むしろ、享楽的な鬼や土蜘蛛を筆頭に、 肯定的な意見の方が大きく聞こえたくらいだった。 勇儀「――よう分からんが。 お前さんが強ければ、私はそれで構わん」 ヤマメ「私も、面白けりゃなんでも良いよ!」 キスメ「……!」(←長い物に巻かれようとしている) 空「良く分からないけど、矢車さんは生きてるんだよね! だったら何でもいいんじゃない?」 お燐「……(何だい。 『本当は悪いヤツじゃなかったんだ〜』……っていうお決まりの展開じゃん。 まぁでも。 さとり様の表情を見ると――あたい如きが何とも言いづらいねぇ)」 さとり「……矢車、君。 ――いえ、貴方は松山君と言うのでしたか。 ……一つ、聞きたい事があります」 松山「何だい? 兄貴の事だったら渡さないよ」 さとり「断じて神に誓ってそれは良いです勘弁してください」
[245]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/10/15(水) 00:04:47 ID:??? ――そんなムードの中、最後に。 さとりは暖簾に腕押しなこいしとの問答を止め、松山に向かって対峙する。 そして彼の絶望に濁った瞳を見て、心を読まずとも……それを通して、矢車の想いが見えるようだった。 さとりは、松山に一つだけ聞いた。 さとり「……松山君。 貴方は、貴方の兄貴――矢車君の事が、好きですか?」 松山「当たり前だろう? 兄貴はロクデナシな俺を見捨てなかった唯一の人で、それで……」 恍惚な声と表情で、空想上の兄貴である矢車への尊敬と畏怖を止めない松山。 終わりそうに無い彼のマシンガントークをやんわりと遮り、さとりは薄く微笑み……こう続けた。 さとり「――ならば、簡単ですね。 松山君……貴方は、大好きな矢車君の為にも、試合に出ると良い。 何故なら……この試合には。 矢車君が、貴方に見せたがっていた物があるでしょうから」
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0ch BBS 2007-01-24