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【深遠なる】鈴仙奮闘記24【蒼きフィールド】
[138]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/18(木) 00:03:32 ID:??? ――と、言った所で今日の更新はここまでですが、松山のイベントはもう少し続きます。 (前回の試合後にちらっとアナウンスしていたものです) ラーメン効果で松山との親交も深まったので、より鈴仙がイベントに絡める形になると思います。 それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。
[139]森崎名無しさん:2014/12/18(木) 20:47:47 ID:??? 乙でした。 松山君は今の状況を受けるべくして受けたと思い込んでいるのか。 早く自分を許してやって欲しい。
[140]森崎名無しさん:2014/12/18(木) 23:49:25 ID:??? 聖徳には小田もいたけど高杉もいた 妖精チームと当たるなら来生とも絡むのかー?
[141]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/18(木) 23:55:06 ID:??? こんばんは、今日も描写だけになりますが更新します。 >>137 オー○ムドライブの威力が67〜68くらいなんで、それほどでもないですね。 >>139 乙ありがとうございます。 松山の心情描写は難しいですが、自分を許したい気持ちと許せない気持ちがせめぎ合っているようなイメージです。 試合時の松山は前者が優位で、今の松山は後者が優位な感じですが、この辺りを上手く書きたいですね。 >>140 高杉と来生については、少なくとも軽くは絡む予定ですね。この二人はある意味対照的な存在だと思います。
[142]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/18(木) 23:56:59 ID:QXAbfd76 *** さとり「……おや。 どこか賑やかとは思えば」 鈴仙「――んげっ」 ラーメンを汁まで啜り終わり、それでもどこか心地よい無言の中で、ノンビリと腰を落ち着けていた鈴仙(と松山)。 そんな二人の前に――乱入者が現れた。 さとり「……貴女の事はお燐から聞いています。 だから、『ふ、不法侵入で逮捕されたらどうしよう!?』……とか、思わなくても大丈夫よ」 鈴仙「あ、あはは……そりゃあ失敬」 地霊殿の当主にして、地霊殿サブタレイニアンローゼスの守護神でもある古明地さとりが、 松山の食事の入ったお盆を手に、牢獄に入り込んでいたのだ。 彼女は相変わらずのぶっきら棒な無表情で鈴仙につかつかと歩み寄り、頼みもしないのに心を読む。 さとり「どうしてあなたが、こんな所に……? ――えっ?『特に理由は無い』……ですって? こいしじゃないんだから、そんな抜けた理由で態々こんな所、来ないで欲しいわね……」 鈴仙「う……うるさいわね。 暇なのよ」 さとり「……暇でも、普通はこんなところ来ませんよ。 ……そう言って来ている私も私だけれど。 どうしても、こんな場所に来たがるペットなんか居なくって。 お燐だったら行ってくれそうだけど、あの子は矢車君を嫌っているから」 松山「……嫌なら、来なくても、良いんだ……」 さとり「……別に好きで来ている訳ではありません。 ただ流石に、野垂れ死にされると寝覚めが悪いのでね。 ――ちなみにこれは本心からの言葉であって、一般的なツンデレ的要素は全く含まれていないので誤解無きよう」
[143]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/19(金) 00:00:30 ID:/mjs3LOQ さとりは慣れた様子で松山の言葉をあしらい、 簡単にではあるが牢獄に散らかったゴミの片づけや、室内用具の手入れを始める。 鈴仙が持ち込んだ二つのカップラーメンについても、何一つ感想を述べる事無く淡々とゴミ袋に入れて行く。 鈴仙「――さとりさんって、毎日この矢車……いや、今は松山なんだっけ……の面倒を見てるんですか?」 さとり「――少し彼に、思う所がありまして。 ……先に言っておくけれど、愛とか恋とかそういうありがちなネタは要らないので」 鈴仙「言ってもないし、思ってもいないってば……」 さとり「……なら良いです。 ――時に、松山君。 最近は、随分と自身の存在を保てるようになったようですね。 まさか部屋に入った時から、あなたがその形態を発現させているとは思わなかったわ」 松山「……何だよ、兄貴でもない癖に恩着せがましいぞ、お前」 さとり「兄貴だったら恩着せがましかった良いのね。 ……爽やかで恩着せがましい感じの矢車君。 私は見たく無いけれど」 無表情で淀みないくせに、何故かどこか必死なさとりの言動を聞き流しながら。 さとりと松山とで同居人らしい会話が始まった事を機に、鈴仙はいよいよ所在無げに牢獄をぶらぶらとし始める。 特に深い理由も無く来たので、より松山と関係の深い人物が現れた以上、 鈴仙がこうして気まずい空気になるのはある意味必然ではあったが。 ガッ……! 鈴仙「きゃ、きゃ〜っ! い、今なんか小石に蹴躓いたっ!」 ……暗い地面にあった何かに足をぶつけた鈴仙は、そんな空気をぶち壊しにする程の間抜けな絶叫を上げた。 松山「おいおい。 ……お前、さっきから一体何なんだよ。 本気で何しに来たんだ?」 鈴仙「わ、私にも正直分からないわよ。 研究したかったような、カウンセリングしたかったような、ラーメン食べたかったような……。 思兼の神にそそのかされて、無理やりやらされたのよきっとぉ……」
[144]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/19(金) 00:02:56 ID:??? さとり「(……松山君の言う通り。 この子は本当に何をしにここに来たのかが良く分からない。 会った時からずっと、心を読んでいるつもりだけど、肝心な本質が掴めない。 さっきまでラーメンでも食べて親睦を図っていたようだけど、それだけの為に遥々地底まで来たとは考えづらい。 松山君を懐柔することによる、何かしらの利益を狙ったのかもしれないけれど、 それなら、もっと投資のし甲斐のある選手なんて山のように居るから、そっちにすれば良い。 ……まるで、精神分裂病の患者のように、非合理的な思考と行動が多すぎる。 ――となると。 ひょっとして彼女の来訪は……自分の意思。 いえ、正確には表層意識によるものでは、無い……? この原因はあの子……? いえ、それとも……彼女が所持しているであろう、「何か」が原因……?)」 午前の試合観戦に続けてお尻をしこたま打ち付けた鈴仙は、泥の付いたスカートを摩りながら、 半分涙目で知性の低そうな台詞をブツブツと呟いている。 さとりはそんな鈴仙の危機感や目的意識が「無さ過ぎる」様子を見て、ある仮説を立てていた。 そして、その仮説の正しさは大した苦労も経ずに、当の鈴仙によって証明された。 鈴仙「はぁ〜。 ハンカチハンカチ……っと。 あれっ、これハンカチじゃない……」 鈴仙は何気なく、本当に何気なく無意識にポケットをまさぐって布きれを一枚取り出していた。 そして。 松山「そ、そのハチマキは……! いや、でも、しかし……それは俺が許されない象徴だった……!」 ガタッ! ガタガタガタッ……!! ――松山がその布きれ――「愛のハチマキ」を見た矢先。 それがトリガーであったがごとく、松山は今日一番の動揺を見せた。
[145]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/19(金) 00:04:02 ID:??? さとり「(これは……成程。 前者と後者が混じった、「両方」という事ね……)――鈴仙さん。 貴女はまずハチマキをしまって。 そして、医学的見地から彼に処置をお願いします。 私は能力を応用して、少しでも彼の精神を安定させてみせます……!」 鈴仙「えっ、えっ……! は、はい。 分かりました! (――ハチマキ……ハチマキ。 ……そう言えば! あのハチマキと松山君には何か関係があるかもしれないって。 そう思っていたんだわ、試合の時の私は……! ――どうして、今の今まで忘れていたんだろう……!?)」 松山が崩れ落ちる声。 さとりがトーンは低めのまま焦りを見せた声。 そして……かつてのハチマキが必死に発していた声。 様々な声を一遍に聞いた鈴仙は、無意識というもやが晴れていく錯覚に陥った。 さとり「(――無意識により行動を制約されながらも、ハチマキに残された強烈な残留思念が、 彼女を更なる無意識に掻き立てていた……、という事かしら)」 それと時を同じくして、古明地さとりもまた思案していた。 憑き物が取れたかのように決然と松山の呼吸と脈を測る鈴仙を見て、 脳内で、自身の立てた仮設の正しさを少しずつ立証していく。 さとりの中で、松山の狂気から鈴仙の登場。 そしてハチマキが持つ力についての意味付けが明確となっていき。 ――そんな彼女の思考は、ここで一旦停止された。 さとり「(……流れ込んで来る! ――今まで封じられた彼のトラウマが、私の第三の目を焼き尽くさんと流れ込んで来る!)」 他者の心を読み取り、トラウマを想起させる覚妖怪の能力を逆用し、 他者のトラウマを封印する事で、一時的な精神の安定を図っていたさとりの瞳に、 封印しきれぬ松山の過去が、雪崩のように入り込んで来た。 それは完全に、自身の能力の制御にある程度以上自信を持っていたさとりにとって、予想外だった。 ……ブウ……ン。
[146]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/19(金) 00:07:25 ID:??? 鈴仙「――こ、これは……!?」 さとり「……気を付けて下さい。 ――どうやら私達……彼のトラウマに、取り込まれつつあるみたい……!」 ブウウ……ン! ブウウ………ッ……ン、ンン……!! つまり、松山の記憶の鼓動は、さとりの瞳から溢れる程に強烈だった。 また、他者の精神の波長を読み取るらしい鈴仙の狂気の瞳と、さとりの第三の目とに親和性があった事も災いした。 さとりによって読み取られた松山の記憶は、鈴仙によって波を描いて周囲に拡散し、 やがて牢獄の暗闇をスクリーンに、映像として投影されていく。 ――冬の大地。降り積もる雪。夏のラベンダー畑。色彩豊かなパノラマ。学校。仲間。サッカー。試合。敵。敵。地獄。 断片的な単語がビジョンとしてその場に展開されては消え、しかし次第にそのビジョンは暗闇にこびりついていき――。 松山「う、あ……うあぁぁあァァァァアアアアアアアアアアァァァァァァァァアアァァァァァァアァアァァ!」 バァン! …………ザワザワ。 ワーワー……。 キーン、コーン、カーン、コーン…… 鈴仙「さ、さとり、さん……? 一体、私達に何が……?」 松山の絶叫と何かが破裂する音を聞いて、意識を一瞬失った鈴仙が再び目を開けると、そこは既に地霊殿の地下牢獄では無かった。 少年少女達の話し声や笑い声が聞こえ、チャイムの音が響き渡るコンクリート製の建物の広い廊下がどこまでも続く。 さとり「…………」 鈴仙の傍に居たさとりは、茫然とした様子で周囲を見回していた。 どうやら、人の心を読む彼女ですら、こうした状況に陥った事が無いらしい。 普段の無表情が随分と崩れ、年相応の少女らしい焦りと怯えを抱いている様子だ。 さとりは諦めたように溜息を吐くと、鈴仙に向かってこう言った。 さとり「鈴仙さん。 どうやら私達は――松山君の心象世界に、閉じ込められてしまったようです」
[147]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/19(金) 00:10:19 ID:??? ――と、超展開になったところで今日の更新はここまでです。 明日は付き合いがあるので、更新できないかもしれません。 松山の脳内イベントは、1〜2日程度で終わらせる予定です。 それと、>>143で、 さとり「兄貴だったら恩着せがましかった良いのね。 …」 とありますが、これだと意味が分からないので、 さとり「兄貴だったら恩着せがましくても良いのね。」 ……と、言った風に脳内変換して頂ければ助かります。 それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。
[148]森崎名無しさん:2014/12/19(金) 22:02:25 ID:??? こんなことに巻き込まれたのも全部鈴仙ってやつの仕業なんだ
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0ch BBS 2007-01-24