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【深遠なる】鈴仙奮闘記24【蒼きフィールド】
[144]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/19(金) 00:02:56 ID:??? さとり「(……松山君の言う通り。 この子は本当に何をしにここに来たのかが良く分からない。 会った時からずっと、心を読んでいるつもりだけど、肝心な本質が掴めない。 さっきまでラーメンでも食べて親睦を図っていたようだけど、それだけの為に遥々地底まで来たとは考えづらい。 松山君を懐柔することによる、何かしらの利益を狙ったのかもしれないけれど、 それなら、もっと投資のし甲斐のある選手なんて山のように居るから、そっちにすれば良い。 ……まるで、精神分裂病の患者のように、非合理的な思考と行動が多すぎる。 ――となると。 ひょっとして彼女の来訪は……自分の意思。 いえ、正確には表層意識によるものでは、無い……? この原因はあの子……? いえ、それとも……彼女が所持しているであろう、「何か」が原因……?)」 午前の試合観戦に続けてお尻をしこたま打ち付けた鈴仙は、泥の付いたスカートを摩りながら、 半分涙目で知性の低そうな台詞をブツブツと呟いている。 さとりはそんな鈴仙の危機感や目的意識が「無さ過ぎる」様子を見て、ある仮説を立てていた。 そして、その仮説の正しさは大した苦労も経ずに、当の鈴仙によって証明された。 鈴仙「はぁ〜。 ハンカチハンカチ……っと。 あれっ、これハンカチじゃない……」 鈴仙は何気なく、本当に何気なく無意識にポケットをまさぐって布きれを一枚取り出していた。 そして。 松山「そ、そのハチマキは……! いや、でも、しかし……それは俺が許されない象徴だった……!」 ガタッ! ガタガタガタッ……!! ――松山がその布きれ――「愛のハチマキ」を見た矢先。 それがトリガーであったがごとく、松山は今日一番の動揺を見せた。
[145]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/19(金) 00:04:02 ID:??? さとり「(これは……成程。 前者と後者が混じった、「両方」という事ね……)――鈴仙さん。 貴女はまずハチマキをしまって。 そして、医学的見地から彼に処置をお願いします。 私は能力を応用して、少しでも彼の精神を安定させてみせます……!」 鈴仙「えっ、えっ……! は、はい。 分かりました! (――ハチマキ……ハチマキ。 ……そう言えば! あのハチマキと松山君には何か関係があるかもしれないって。 そう思っていたんだわ、試合の時の私は……! ――どうして、今の今まで忘れていたんだろう……!?)」 松山が崩れ落ちる声。 さとりがトーンは低めのまま焦りを見せた声。 そして……かつてのハチマキが必死に発していた声。 様々な声を一遍に聞いた鈴仙は、無意識というもやが晴れていく錯覚に陥った。 さとり「(――無意識により行動を制約されながらも、ハチマキに残された強烈な残留思念が、 彼女を更なる無意識に掻き立てていた……、という事かしら)」 それと時を同じくして、古明地さとりもまた思案していた。 憑き物が取れたかのように決然と松山の呼吸と脈を測る鈴仙を見て、 脳内で、自身の立てた仮設の正しさを少しずつ立証していく。 さとりの中で、松山の狂気から鈴仙の登場。 そしてハチマキが持つ力についての意味付けが明確となっていき。 ――そんな彼女の思考は、ここで一旦停止された。 さとり「(……流れ込んで来る! ――今まで封じられた彼のトラウマが、私の第三の目を焼き尽くさんと流れ込んで来る!)」 他者の心を読み取り、トラウマを想起させる覚妖怪の能力を逆用し、 他者のトラウマを封印する事で、一時的な精神の安定を図っていたさとりの瞳に、 封印しきれぬ松山の過去が、雪崩のように入り込んで来た。 それは完全に、自身の能力の制御にある程度以上自信を持っていたさとりにとって、予想外だった。 ……ブウ……ン。
[146]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/19(金) 00:07:25 ID:??? 鈴仙「――こ、これは……!?」 さとり「……気を付けて下さい。 ――どうやら私達……彼のトラウマに、取り込まれつつあるみたい……!」 ブウウ……ン! ブウウ………ッ……ン、ンン……!! つまり、松山の記憶の鼓動は、さとりの瞳から溢れる程に強烈だった。 また、他者の精神の波長を読み取るらしい鈴仙の狂気の瞳と、さとりの第三の目とに親和性があった事も災いした。 さとりによって読み取られた松山の記憶は、鈴仙によって波を描いて周囲に拡散し、 やがて牢獄の暗闇をスクリーンに、映像として投影されていく。 ――冬の大地。降り積もる雪。夏のラベンダー畑。色彩豊かなパノラマ。学校。仲間。サッカー。試合。敵。敵。地獄。 断片的な単語がビジョンとしてその場に展開されては消え、しかし次第にそのビジョンは暗闇にこびりついていき――。 松山「う、あ……うあぁぁあァァァァアアアアアアアアアアァァァァァァァァアアァァァァァァアァアァァ!」 バァン! …………ザワザワ。 ワーワー……。 キーン、コーン、カーン、コーン…… 鈴仙「さ、さとり、さん……? 一体、私達に何が……?」 松山の絶叫と何かが破裂する音を聞いて、意識を一瞬失った鈴仙が再び目を開けると、そこは既に地霊殿の地下牢獄では無かった。 少年少女達の話し声や笑い声が聞こえ、チャイムの音が響き渡るコンクリート製の建物の広い廊下がどこまでも続く。 さとり「…………」 鈴仙の傍に居たさとりは、茫然とした様子で周囲を見回していた。 どうやら、人の心を読む彼女ですら、こうした状況に陥った事が無いらしい。 普段の無表情が随分と崩れ、年相応の少女らしい焦りと怯えを抱いている様子だ。 さとりは諦めたように溜息を吐くと、鈴仙に向かってこう言った。 さとり「鈴仙さん。 どうやら私達は――松山君の心象世界に、閉じ込められてしまったようです」
[147]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/19(金) 00:10:19 ID:??? ――と、超展開になったところで今日の更新はここまでです。 明日は付き合いがあるので、更新できないかもしれません。 松山の脳内イベントは、1〜2日程度で終わらせる予定です。 それと、>>143で、 さとり「兄貴だったら恩着せがましかった良いのね。 …」 とありますが、これだと意味が分からないので、 さとり「兄貴だったら恩着せがましくても良いのね。」 ……と、言った風に脳内変換して頂ければ助かります。 それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。
[148]森崎名無しさん:2014/12/19(金) 22:02:25 ID:??? こんなことに巻き込まれたのも全部鈴仙ってやつの仕業なんだ
[149]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/20(土) 00:28:46 ID:??? 思ったより早く帰ってこれたので、ほんのちょっと更新をします。 >>148 これは間違ってないですねw
[150]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/20(土) 00:30:01 ID:??? 鈴仙「松山の心象世界って……! ――な、なんで私まで……? っていうか、そんな事本当にあるんですか………!?」 さとり「――普通は、こんな事起きる筈は無い。 私の能力はあくまで、人の心を読み取るだけに過ぎない。 精々でも読み取ったトラウマを弾幕で再現出来る程度です。 恐らくは……言っては悪いけど、貴女のせいですね」 鈴仙「わ、私は悪い事してないわよっ!? ……たぶん」 さとり「それは知っています。 だから、今回の一件は単なる事故。 私の目と貴女の瞳が共鳴して超振動を起こした結果、こうした心象風景が具現化されたのだと思います。 ……ふふ。 こうして言ってみると如何にもジュブナイルでファンタジー的ですよね」 鈴仙「……あの。 ひょっとして楽しんでます? 今の状況」 さとり「色々形を取り繕おうとも、他者の心を読み取り支配する事こそが私の本質。 そうした意味では、他者の心の世界を旅行する事は、ある意味最大級の愉悦ですわね」 鈴仙「試合の様子とか、地上との親交を深めたいとか言ってるのを聞いて、良い妖怪なのかな? ――って思っていたけれど。 貴女も地底の妖怪のご他聞に漏れず、良い性格してますよね……」 さとり「隠さず言って下さり、非常に助かります。 ……さて、鈴仙さん。 折角ご一緒した縁ですし、この世界を探検してみませんか? ここで口論していても、状況は好転しませんし」 鈴仙「むう……そ、そうですね……」 終始マイペースを貫くさとりに翻弄される鈴仙だったが、彼女の言う通り、ここで討論していても話は進まない。 しかし幸いに、鈴仙達には話を進める為の手がかりはある。 鈴仙「とりあえず、いつの間にか消えてる松山……君でも探してみます?」 さとり「……それで良いと思うわ。 ここが彼の心の世界である以上、 今この場に居ない松山君こそが最重要人物である事は、まず間違い無いと思いますし」
[151]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/20(土) 00:32:36 ID:DykbGsZA ――心象風景に塗りつぶされるようして姿を消した、松山光の捜索。 恐らくこれこそが、鈴仙達の脱出やこの世界の正体を掴む為には必要となるだろう。 鈴仙「――しっかし。 どこをどう探してみれば良いのやら……?」 さとり「……まぁ、探すとしたらこの施設――恐らくは外界の「学校」――の中になりますかね。 一応普通の人間の松山君が、市町レベルに広大な精神世界なんて作れる訳ないでしょうから」 ……さとりが言わずとも、鈴仙には何となくそんな予感がしていた。 間違い無く、松山は恐らくこの「学校」という名の施設に居る。 残るは、この施設の何処に居るかが問題だ。 鈴仙「……うーん。 教室か、グラウンドか、サッカー部室か、それとも実はこの廊下を通りかかる予定か。 ここが悲惨な過去だったら、トイレとか体育倉庫とか、そんな暗い場所も対象になるかしら……?」 さとり「――明確なアタリは無いと思いますね。 むしろ、「私達が訪れた」という事実をトリガーに、何らかのイベントが起きる可能性も高い。 ……だから、貴方が好きなように決めちゃってください。 松山君が居そうな場所を」 鈴仙「え。 ええーっ。 そんな適当でいいんですか?」 さとり「……人の心とは、存外に適当なものですし。 むしろ、そんな非必然的で適当な行動こそが人間の心を決定するとも、どこかの本で読んだ記憶があります」 さとりはあまり自分で行先を決めるつもりが無い――。 いや、正確には行先をどこにしようとも、ある程度の結果は得られる…と。 そう考えているようだった。
[152]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/20(土) 00:33:38 ID:DykbGsZA 鈴仙「(松山がどこに居るか、と言うよりは。 私達が松山のどんな側面を見てみたいか…… っていう観点で行先を選びなさい、って意味かしら。 要するに、適当でオッケーって事でしょうけど……どうしようかな。 どこに行こうかしら?)」 A:教室に行ってみる。 B:グラウンドに行ってみる。 C:サッカー部室に行ってみる。 D:男子トイレに行ってみる。 E:体育倉庫に行ってみる。 F:その他 鈴仙とさとりで行ってみたい場所をご自由にどうぞ 先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。 *今回の選択はアドベンチャー的な要素のため、どこを選んでもゲーム的な有利・不利は生じません。 松山がどんな場所に居て、その場所で何を思っていたら面白そうか……と、言った観点で選んでくだされば幸いです。
[153]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2014/12/20(土) 00:36:28 ID:??? …と、言ったところで本当に短く恐縮ですが、今日の更新はここまでです。 明日は夜に予定があるので、昼ごろに集中的に更新したいな、と思っています。 皆さま、本日もお疲れ様でした。
[154]森崎名無しさん:2014/12/20(土) 00:39:59 ID:cnD26DrM F男子更衣室
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