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【一筋の】きれぼしサッカー2【光明】
[920]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2015/08/02(日) 19:15:03 ID:??? …といったところで、本日の投稿はこれまでにします。 このスレでの本編の投稿も以上とし、これ以降は外伝を投稿する場といたします。
[921]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2015/08/09(日) 11:55:00 ID:??? これより当スレ39さん提案の「バグマシーンの失敗例!?」を投稿させていただきます。 内容 「今から2年前、若林財閥の支援でバグマシーンの試作品が作られた。 井沢が実験台に名乗り出たが、結果は大失敗に終わった。 外見は井沢、能力はポブルセン、嫉妬心は無いが暗い性格、体つきは微妙に女性化。 という変な分身が誕生してしまった。 困り果てた若林は、監視を兼ねてクラウスというFWとして入団させた。 そんな折、ハンブルガーはルブラン率いるシャンゼリゼと親善試合を行うことになった。 最悪なことに、若林とクラウス以外の主力は、怪我などで出場出来ないというのだ」
[922]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2015/08/09(日) 11:57:06 ID:??? 1990年某月。 ハンブルガーSVユース部門は深刻な人材難に陥っていた。 メッツァ「うわあああああああっ!」 グオオオオオオオオン! バギグアアアン! メッツァはキャプつば名物の交通事故にあい、 ボプルセン「なんで跳ね飛ばした位でレッドカード出しやがるんだ、この…ド低脳があーッ!」 バギッ!ゴッ!グシャアッ! ボプルセンは裁定を下した審判に暴行を加えたかどで、2か月間の出場停止処分が下された。 また、この時期はドイツサッカー連盟による若手選手集中強化策として、有望選手を外国に送り出す時期であった。 ハンブルグからはカルツがイングランドへ、カペロマンがメキシコへと旅立つ。 カルツ「それじゃ、ワシがいない間のハンブルグは頼むぜよ、ワカバヤシ」 カペロマン「帰ってきて驚くなよ、サイドワインダーだけじゃないってところを見せてやる」 こうしてハンブルガーSVは核となる選手が若林しかいないという、一時的とはいえ寒々しいチーム構成となったのであった。
[923]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2015/08/09(日) 11:58:34 ID:??? ちょうどその頃、若林財閥は秘密裏にあるプロジェクトを進行させていた。 一言でその計画を語るとすれば、最強の肉体に最強の科学装甲をまとう生体強化戦士を作り上げることである。 生物の限界を、コンピューター等に見られるバグ発生とその影響に関する諸現象を生物学的に援用する事により、 肉体的能力を飛躍的に高めようとする試みは若林財閥でも行われ、 かなりの時間と費用と人的資源を費やす事で達成しようとしていた。 そして遂に、1人の生体強化戦士の試作人を生み出すことに成功した。 彼を見た若林源三は顔面蒼白のまま「馬鹿野郎……」そう口走ったという。 若林「……これが、井沢か?」 研究の末に生み出された井沢らしきものに指差して、研究者達に問いただした。 財閥からアスリートの提供を依頼された若林は、自らの子分である井沢を誘い、 研究対象として彼ら技術者に預けていたのだ。 研究者達「ジャンボー!」「ハラショー!」「アイゴー!」「ナバットォー!」 国内外の研究所からかき集めた屈指の頭脳数百名を未知の課題に取り組ませ、不眠不休で完成させた労苦は 若林も訪問前に聞き知っていたため、彼らをなじるつもりは無かった。 ただ、今目の前にいる井沢は異質であった。
[924]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2015/08/09(日) 12:05:22 ID:??? 見た目こそ殆ど変っていないものの、腰や胸回りをはじめとした体つきが丸みを帯びており、 色気さえ感じそうな艶めかしさを漂わせている。なによりも、 井沢?「すみません……俺なんかじゃいたって何にもなりませんよね、 いやそもそもこんな出来損ないなんか目に映るのもけがわらしいですよね……」 若林「待て待て別にこっちはお前を責めてる訳じゃない!……こっちの博士連に文句があるだけだ。 ……おい、井沢をどうしてくれるんだ?随分と人間が違っているみたいだが」 目の前の井沢?は井沢とは異なり、ひどく暗く内向的な性格であったからだ。 研究員「その事について幾つかお話を。まず彼はあなたが呼び寄せました井沢守ではありません」 若林「井沢じゃない?」 研究員「はい、一言で申し上げますと、井沢守をベースとしてつくり上げた人造人間です」 若林「人造人間!?そんなものを作ったというのか!?」 研究員「はい。財閥の資産をことごとく投げ打つように投入して、ようやく目途がつきました」 若林「……そ、そうだ、こいつが井沢じゃないとすると、井沢は?」 研究員「その事につきましてもご心配無用です。既に十分謝礼を渡して帰国させました。 別に海に沈めたり記憶を消したりといった危害は一切加えていない事は、誓ってもよろしいです」 若林「そうか……」 井沢の無事を知り、取りあえず安心する。だが次に語った研究員の言葉により、再び若林は混乱に陥った。
[925]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2015/08/09(日) 12:08:27 ID:??? 研究員「それでは若林様、しばらくの間ハンブルガーSVで彼を預かってもらいます」 若林「なっ!?こ、こいつをか!?」 井沢?「いいんですよ、俺なんかほっとけばすぐ消えるんですから……」 若林「だから違うって言ってるだろ!どうして俺がこの、えっと……」 研究員「クラウス・ブーアメスター、私どもは彼をこう名付けています」 若林「クラウスか、こいつの名前は……いやそうじゃない、ハンブルガーに預けるって……」 研究員「既にチームには許可を取っております」 若林「しかしこいつは……」 研究員「能力についても心配はいりません。若林様のチームメイトたる クリストフ・ポブルセン様から、健康診断の名目でデータを収集いたしまして、 ポブルセン様をベースとした能力を植え付けさせております」 若林「しかしどこから来たか説明できない人間をそんなに長く置いたら……」 研究員「そちらも問題ありません。彼、クラウスはあと1週間程度で消滅します」 若林「なっ!?い、一週間!?」 矢継ぎ早に疑問を先まわる形で封じられた挙句、突然の消滅宣言。 人造人間制作の過程で癌でもできたかと思ったが、実際の話はそれ以上に救いの無いものであった。
[926]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2015/08/09(日) 12:11:43 ID:??? 研究員「研究の現状を申し上げますと、バグ現象に関する研究は緒に就いたばかり、 分からない所や推測によるところも多々あります。 我々としましてもそうした事が無いよう吟味を重ねたのですが、残念ながら上手くいかず」 若林「上手くいかずだと!勝手に生み出しておいて何だそれは!」 研究員「1週間後には泡のように消えるようになっています。いまわの際に苦しみを感じる事は無いでしょう」 若林「そんな事を聞いてるんじゃない、クラウスはどうすればいいかって事だ!」 研究員「……申し訳ありません」 あまりと言えばあまりの言い草に若林も怒ったが、すぐにどうにもならない事と悟った。 彼ら世界有数の頭脳を持った片桐財閥の頭脳がこうであれば、 サッカー以外はただの人間である若林が出来る事などない。 その後、ハンブルガーの選手寮までの道を、若林はクラウスと共に歩いていた。 研究所で何と言って研究員達と別れたかは覚えていないし、思い出す気にもなれなかった。 横で歩いているクラウスも若林以上に暗い顔をしており、少しずつ頭が下に降りていっている。 そうした中で、クラウスが蚊の鳴くような声でつぶやいた。 クラウス「どうしよう……」
[927]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2015/08/09(日) 12:13:57 ID:??? 呼気にため息を混じらせながらの一言に、一層若林はやるせなくなる。 いくら出会ったばかりとはいえ、超常現象的な消滅であるとは言え、 これからチームメイトになる仲間が一週間後に死ぬという事実に平然としていられる訳が無かった。 若林「……すまん、俺にはどうする事もできん」 人間は他人の不幸に対して無限の忍耐力を持っている。誰の名言か知らない言葉がフッと浮かび、 腹ただしげに返事をする。 クラウス「えっ、いや、若林さんならこういう事知ってると思って」 若林「お前は俺をどんな人間だと思っているんだ。俺は聖人でもなんでもない。無理なんだ」 どうしようもない事を問われて、苛ただしげに言葉を返す。 それに対し、諦めきれないのか、なおもクラウスは話し続けた。 クラウス「いや、もうハンブルガーSVに何年もいるのですから知っていると思いまして。 初対面の相手にどう接すればいいか」 若林「…は?」
[928]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2015/08/09(日) 12:16:32 ID:??? これからのチームメイトとのファーストアタックについて。 思いもしない内容の質問に若林は絶句する。聞き入っていると勘違いしたクラウスは そのまま話し続ける。 クラウス「いや、人との付き合い方ってやっぱり初めが肝心だと思うんですよ。 下手すると『なんだこの根暗、ちょっとシメてやろーぜ』とか、 『なんでもハイハイと聞きそうだな、上手い事金ヅルにしてやるか』とか思われるかもしれませんし」 若林「い、いや……」 クラウス「もしかして若林さんもそう思ってました? ……そうですよね、こんな後ろ向きでマイナス思考が気にいられる訳……」 若林「待て待てそんな事思ってない!それより、お前気にしてないのか!?」 クラウス「え、何を……」 若林「何をって……お前1週間後に消えるんだぞ!死ぬんだぞ!!怖くないのか!?」 クラウス「あー……それなんですけど」 顔をわずかにねじったり、イソギンチャクのように手の指を動かしたりして、 クラウスは考え込んだ。口にするのが怖いといったような恐怖の感情は顔に浮かんでいない。
[929]きれぼしサッカー ◆5qvYBJdbJQ :2015/08/09(日) 12:21:07 ID:??? クラウス「なんかこう、想像できないって言うか、実感がわかないというか、 どうしてかあんまり恐怖心が湧いてこないんです。まだ死んだ事がないせいですからかね……」 場の空気を暗くしないようにと愛想笑いを浮かべるクラウスの言葉に、 今日何度目かの混乱を若林は味わった。 あの時のやり取りはクラウスも間近にいたのだから、聞き逃しはありえない。 海馬に何か細工をされたかとも考えたが、死ぬという事を覚えている以上その可能性はない。 あれこれ考えたが答えは出なかったので、若林は考えるのを止めた。 ウジウジと悩める間は幸福だ、本当に辛い事に遭うと悩む事もできなくなるのかもしれない。 思考を止めた後は取りあえず、クラウスの問いに答えるべく、返事をした。 若林「まあいい、お前の問いについてだが、簡単だ。相手は畑の芋だと思え。 余計な事を考えてオドオドしてても何にもならん」 クラウス「あ、は、はい、わかりました!ありがとうございます!」 ホッとした顔つきになって礼を言うクラウスの顔に、やはり死の不安は見られなかった。
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0ch BBS 2007-01-24