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【天ぷら】鈴仙奮闘記26【大好きです。】
[46]森崎名無しさん:2015/02/08(日) 13:38:43 ID:??? 妖夢はハイパーカンピオーネじゃなくて完璧超人(あやつ派閥の方)に入ると良いと思う 多分あやつの好みのタイプだよ今の妖夢
[47]森崎名無しさん:2015/02/08(日) 16:58:23 ID:??? 一度の負けで自害必須なんですがそれは 無量大数軍の異名つけるとしたらなんですかね、「完みょん」とか
[48]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/02/08(日) 19:45:08 ID:??? ***** 鈴仙「あっちゃあ。 シュート、決まんなかったわね……」 パスカル「仕方が無いさ。 充分手ごたえはあったから、次以降の試合に期待するしかあるまい」 話を僅か数分前へとさかのぼる事にする。 試合終了のホイッスルが鳴った直後、鈴仙とパスカルは前線にて必殺のツインシュート ――『リフレクトバレット』が決まらなかった事について、残念そうに話しあっていた。 精度は問題無かったから、後は速度とパワーがどうとか、勝利の余韻はさておいて、そう反省会をしていた時である。 タタタタタッ……。 パスカルの頭越しに、銀色と白色の混じった何かが、両チームの選手達と交わる事も無く、弾丸のようにフィールドを走り去っていった。 妖夢「…………ッ!」 その影は、しっかりと確認するまでも無く妖夢だった。 目をぎゅっと瞑り、自分が僅かに残してきた何かへの未練を断ち切るよう、 他の西行寺亡霊連合のメンバーが気付くよりも早く、妖夢は人里サッカーコートの選手用の出口へと走っていた。 鈴仙「ちょ、ちょっと妖夢……!」 自分のチームの選手と遭わないように、妖夢はルナティックス側の出入り口へと向かっていた。 鈴仙はパスカルを放置して堪らず走り出した。 何か言うべき事がある訳でもない。兎に角、鈴仙は妖夢を追いかけずにはいられなかった。 タッ、タッ、タッ……! 妖夢「はぁ、はぁ……!」 鈴仙「見つけたわよ、妖夢……」
[49]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/02/08(日) 19:46:08 ID:??? ――結果として、鈴仙は割と簡単に妖夢を見つけて呼び止める事が出来た。 チームメイトが気付くよりも先に飛び出したとは言っても、 ルナティックスのベンチの隣にある出入り口を抜けた時点で、補欠の名無しウサギからの証言は充分にあったし、 出入り口を抜けた時点で、試合終了後のサッカーコートの周囲には多くの観客が居る。 それこそ空でも飛んで行けば、鈴仙やその他の追っ手を容易に撒く事が出来たのだろうが、 どうやら今の妖夢には、そんな簡単な事すら思いつかなかったようだ。 妖夢の表情は純粋な驚きにより、明確にこわばっていた。 鈴仙「……そんなに、驚く事じゃあないわよ。 いくらあんたが俊足だからって、 空でも飛ばない限り、出入り口は限られるんだから。 それにまさか、人を切り捨ててでも逃げおおせようだなんて、流石に思わないでしょうし」 妖夢「……どうして」 息を切らしながら饒舌になる鈴仙に、妖夢は悲痛な面持ちで疑問を口にし。 そこから先は、まるで堰を切ったように、妖夢は半分泣きながら鈴仙に言い放った。 妖夢「――どうして、鈴仙は私にそうやって構い続けるの!? 前に言ったじゃない、私がどんな道を選んだって、鈴仙は私を応援してくれるって! だったら、私なんてほっといてよ! 私は一人で強くなる。鈴仙は皆と一緒に強くなる。 どう頑張ったって、私と鈴仙との道はもう二度と交わる事なんてないんだから。 ――だから、これ以上、私を惨めにしないでよ……!!」 それは、これまで鈴仙が聞いて来た中でも、一番悲痛で、かつ真実に迫った妖夢の言葉だった。 そして同時に、鈴仙は改めて、自分と妖夢の選ぶ道には大きな溝があるという事実に気付いた。 妖夢「……鈴仙が悪いんじゃないよ」 時間が経ったからか、それとも周囲の野次馬の視線が気になりだしたのか、 妖夢は声のトーンを落として、今度はぽつりぽつりと語り始めた。
[50]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/02/08(日) 19:47:11 ID:??? 妖夢「……鈴仙があの時――あの特訓の時に、仮に私を引き留めていたとしても。 私はきっと、『ハイパーカンピオーネ』計画の一員になっていたと思う。 それが私の選んだ道だから。 だから、鈴仙はなんて後悔する必要ないし……むしろ、後悔なんて、死んでもして欲しくない。 だって、後悔や同情なんてされたら……私は永遠に、鈴仙と同じ位置に立つ事なんてできなくなる。 例え、私がどんな道を選んだとしても」 鈴仙「…………」 鈴仙は何も言えなかった。 自分が考えた言葉の全てが、妖夢を惨めにするだけにしかならないと思った。 いっそ妖夢を張り倒してやりたい気持ちだったが、英雄でも狂王でも無い、 根本はただの臆病な少女である鈴仙に、そんな主人公のような行動が出来る筈も無かった。 妖夢「……鈴仙、ありがとう。 何も言わずに居てくれて」 妖夢はそう言うと振り向き、サッカーコートを歩き去ろうとしていた。 彼女は最後に幽々子に対して家を空ける旨伝言してくれるよう鈴仙に依頼し。 最後に妖夢は――鈴仙に対して優しい声で、こう告げた。 妖夢「――鈴仙。図らずとも私と貴女は、また戦う事になると思う。 それは、たぶん貴女が思っているよりも、ずっと早い段階で。 だから――その時まで、さよなら」
[51]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/02/08(日) 19:50:12 ID:??? ****** 幽々子「……成程。 そんな事があったのね。 食事は中西君や幽霊達にお任せするとしても、 まさか妖夢が、そこまで思い詰めていただなんて……」 鈴仙「すみません、止められなくって……」 鈴仙からの一連の話を聞き受けた幽々子は、う〜んと彼女なりに難しい顔をして腕を組む。 幽々子「こう見えても、色々と私だって思うところはあるわ。 あの時こうすれば良かった、だとか、あの時ああじゃなかったら……とか。 だけどね。 そんな後悔やたられば程、人生においてムダな物は無いと思うの。 一度悪い事が起きたら人は、どうしてこうなったのか、どうすれば良かったのかを考えて次に繋げようとする。 それ自体は悪い事じゃないかもしれない。 だけど……そうやって突き詰めていけば、全ての行動が悪いように思えてきちゃう。 過去の反省が却ってその人を縛る枷となり、正しい行動を取る邪魔をしてしまうの。 ううん。ひょっとしたら……その人は、過去の正しかった行動すら間違いだったと、そう勘違いしてしまうかもしれない。 でも、それは正しくないと思うし。 何より、楽しく無いなぁ……って思わない?」 鈴仙は元々幽々子とはそこまでの付き合いは無かったが、 恐らく彼女がここまで長々と話をする事は珍しいのではないかと思った。 それだけ、彼女自身も鈴仙の分からない場所で妖夢について悩み、考えていたという事なのかもしれない。 幽々子「……ま、年寄の繰り言だったかもだけど。私があなたに言いたいことは妖夢とおんなじよ。 ――あなたは、決して自分の選択について後悔してはいけない。 ……それが一見、間違いだらけの結果だったように見えてしまっても、ね」 幽々子は鈴仙にそれだけ言って「中西く〜ん、ご飯作って〜」と、ふらふらとゴールの方向へと去って行ってしまった。 果たして幽々子はどうした気持ちで、あるいはどうした意図で、鈴仙にここまでを告げたのかは分からない。 しかし、鈴仙の中での妖夢への後悔や罪悪感は、幾許かは薄くなっているような気がした。
[52]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/02/08(日) 19:51:13 ID:??? 鈴仙「(妖夢。 ……私はあなたを信じたい。 だから――また会う日まで。 そして――また、共に肩を並べて戦う日が来るまで、……さよなら)」 鈴仙はかつてのような穏やかな気持ちで、心の中で、妖夢との別れをする事が出来た。 藍「……お取込み中の所、失礼するよ」 ――しかし、鈴仙が妖夢について顧みる事が出来たのはそこまでだった。 鈴仙の思考は、不意に後ろから呼び止められた声により中断させられる。 鈴仙「――貴女は……藍さん。 ……どうしたんですか」 鈴仙に声をかけた長身で金髪、青と白を基調とした導師服を来た美しい女性 ――西行寺亡霊連合の助っ人トップ下・八雲藍は、感情の灯らぬ視線を鈴仙に向ける。 何故彼女が、永琳でも無く自分の元へ挨拶に来たのだろうか。 藍の事を知ってはいたが、しかし接点が少ない鈴仙は、訝しげに返事をした。 そうした鈴仙の態度は想定内だったらしい藍は、少しだけ穏やかな笑みを見せ、鈴仙にこう言った。 藍「……何。 大した話じゃあない。 ――ちょっと、これから散歩でもどうかと思ってね」 鈴仙「……へっ? 私が、藍さんと――散歩? 一体どうして……?」 鈴仙はこの時、藍の事をかなり警戒していた。 鈴仙は前に永琳と輝夜を通じて、『プロジェクト・カウンターハクレイ』の一員になる打診を受けている。 そしてその『プロジェクト・カウンターハクレイ』というのは、 サッカーを通じて、博麗の巫女と妖怪を中心とする幻想郷の在り方を変えようとする計画。 だとすれば、今の幻想郷を取り仕切っている境界の妖怪・八雲紫が警戒していてもおかしくはない。 だから、差し当たり紫の忠実な式である藍を刺客として、鈴仙に差し向けて来たのかもしれない。 鈴仙は素直に藍の怪しすぎる申し出に頷けなかったが。
[53]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/02/08(日) 19:52:14 ID:??? 藍「……安心して欲しい。 今、私は紫様の式としてでは無く。 この幻想郷に住まう一匹の妖怪として、君に話をしたいと思っている。 ――『プロジェクト・カウンターハクレイ』。『ハイパーカンピオーネ』。 これらの計画が動く中で、幻想郷はどうあるべきかについて、 『プロジェクト・カウンターハクレイ』のキャプテン候補でもある君に、私は話をしたいんだ」 鈴仙「――どうして、それを……!」 藍「……何故、私がそれを知っているのか。 そして、これを知った上で、私は君に何を話したいのか。 もしも君が私に着いて来てくれるのならば、私はその一切合財を説明してあげよう」 鈴仙「……卑怯ですよ。 そんな事言われたら……断るにも断れないじゃないですか」 藍「それは済まない。 だけど、どうしても私は君と話をしたい。 いや――正確には、話を通じて、君にお願いをしたい事があるんだ。 ――どうだろう、聞いてはくれないか」 ここまで言われて、また、ここまで事情のある相手に対して、鈴仙は断る訳にも行かなかった。 鈴仙は永琳と輝夜に「少し寄り道してから帰る」とだけ告げて、藍の誘いに乗る事にした。
[54]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/02/08(日) 19:54:19 ID:c+Lh/gaY ****** 〜人里〜 秋風の涼しさの中、鈴仙と藍は、人里に走る細長い運河の土手を歩いていた。 道すがらには忙しなく人間や獣人、果ては妖怪とも思しき少女や妖精の姿も見える。 決して混み合う程では無いが、しかし寂れた様子も無い、いつも通りの人里の光景だった。 藍「ここは『柳の運河』とも呼ばれていてね。 ご覧、この並んで植わっている柳が風に揺れていて、夏でも随分と涼やかで良い通りなんだ。 ――もっとも、夜はろくろ首が出るとかで、別の意味でも涼しい所だけどね」 鈴仙「その位知っていますよ。 私達だって、外界との接触を始めてからもう何年にもなります。 特に私達、永遠亭の妖怪ウサギは人里とも懇意にさせて頂いてるんですから……」 藍「――む。 それもそうか。 ……だったら、この一角にある豆腐屋は知っているか? 最近、粋の良いバイトが入ったとかで、油揚げの味も格段に良くなった」 鈴仙「えっ、それは知らない。 今度、姫様へのお土産に買って来てあげようかしら」 藍と鈴仙が歩き始めて暫くになるが、藍はこうして人里の名所や名店を歩き回って、 こうして鈴仙に場所の紹介や説明しかしていない。 これではまるで、藍が鈴仙を連れて観光デートをしているみたいではないか。 鈴仙「――あの。 ところで藍さん。 ――話したい事って……?」 藍「ああ……。 もうちょっと待って欲しい。 待ってほしいんだが……そうだな」 試合での疲労も相まって、鈴仙はさっさと藍の話したい事を聞きたかった。 そして、藍から初めてまともな投げかけがあったのが今この時だった。 藍はお勧めの豆腐屋の主人から油揚げ 271 個を買い付けながら、 まず、鈴仙に対してこう質問をした。
[55]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/02/08(日) 19:55:19 ID:c+Lh/gaY 藍「――では、まず一つだけ。 ……君は、今の幻想郷をどう思っている? 妖と人とが共存し、各地にはありのままの自然が残り、神々が集い憩う理想郷と思うかい? それとも、妖怪は人間を飼い殺しにし、文明の恩恵は不当に剥奪され、弱者の努力は封殺されるディストピアと思うかい? ――いや、もちろん完全なユートピアなど、物語の中でしか存在しえない。そうした意味では前者はあり得ないか。 ……だが、今の幻想郷が君にとって住みよい場所か。それとも、君にとって住みづらい場所か。 そういう観点ならば、ある程度ハッキリと明確に応えられるのではないかな? 私が話をする為には、もう少しだけ時間が掛かる。 だが、その話をする前提として、まずは――鈴仙。君の今の考えを教えて欲しい。 何、ここでどんな回答をしたところで、私は意地悪もしなければ、特段の便宜を図る事も無いよ。 あくまでアンケートだ。 そのつもりで答えて欲しい」 『今の幻想郷をどう思うか。良い場所と思うか、良くない場所と思うか』 藍は長々と語ったが、聞きたい事の要点は一行で纏められた。 鈴仙「(私は……どう、思っているのかしら。 今の幻想郷を)」 藍が聞いて来た事は、鈴仙にとって盲点だった。 これまで鈴仙は、『ハイパーカンピオーネ』だの『プロジェクト・カウンターハクレイ』だの、 幻想郷の今後を揺るがす計画についての話を散々……とまでは行かないが何度も聞いて来た。 しかし、結局自分は、幻想郷の今後について。今の幻想郷について、どう考えているのだろうか。 鈴仙「(私はかつて日向に、幻想郷は、生まれつき力の強い妖怪や才能のある人間が得をする…と語った事がある。 それは真実かもしれない。 でも、その時の質問と今の問いかけとはまったく別。 あの時は幻想郷での努力という概念に関する質問だったが、今回はそれも含めた、もっとスケールの大きい話。 だから、改めて考え直す必要はあると思うけれど――)」
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0ch BBS 2007-01-24