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【天ぷら】鈴仙奮闘記26【大好きです。】
[840]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/03/01(日) 22:45:37 ID:??? 神奈子の親馬鹿(親では無いが)に対し、早苗は辟易したようににじり寄る。 神奈子「大丈夫さ、早苗。お前は強い子だからね。 きっと、今日の試合では奇跡を起こしてくれると信じているよ(審判には結構積んだからね)」 早苗「は、はい……」 神奈子「……大丈夫。お前は私達の言う通りにしていれば良いんだよ。 ――今まで私達が早苗に対して、何か間違った事を言ったかい?」 早苗「……ありません」 神奈子「うんうん。そりゃあそうだ。なんせ早苗は、私達の自慢の風祝だからね!」 ピエール「……まぁまぁ、カナコさん。 サナエはどうやら緊張しているようだ、あまりそうやってプレッシャーを掛けるのも良くないぞ」 早苗「……いえ。ピエール君、大丈夫。そんな事ないです。 ――ええ! 勿論です! 私達は守矢の信仰回復の為、更なる躍進が必要! この大会で優勝する事で、私達が他より優れている事をアピールしなくちゃなんですから!!」 諏訪子「……早苗。無理してるよね」 早苗「無理してません! 緊張してません! 何言ってるんですか諏訪子様までっ!」 神奈子から与えられる重すぎる期待、諏訪子やピエールの痛々しい気遣いを知りながら、 早苗は無理して明るい声と表情を作った。そして「信仰の敵を打ち滅ぼす!」……と口では豪語する一方で。 早苗「(みじめ、みじめ、みじめ。 ――ああ、私ったら……ほんとうに、みじめ)」 この時の早苗の心情は、最高に惨めだった。
[841]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/03/01(日) 22:47:00 ID:??? 〜回想シーン〜 ――早苗は、まだ自分が自分の才能の限界に気付いていなかった頃を思い出す。 早苗「(あの頃はコドモだったなぁ。 ちょっと生まれが特別で、回りの子ども達よりもちょっと勉強やスポーツが出来るからって。 ――あの頃の私は、自分が世界で一番優秀で大切な存在だって、間違いなく信じてた)」 あれは、丁度今から一年か二年程前になるだろうか。 早苗が幻想郷に越してくる前に、外の世界であった大きなサッカー大会。その準決勝である。 女子でありながら、自分の中学のどの男子よりも上手かった早苗は、キャプテンを任されていた。 早苗が入部するまでは一回戦止まりだったチームは、今回破竹の快進撃で準決勝まで駒を進めており、 早苗はこれを自分の満ち溢れた才能のお蔭であると確信していた。 ――しかし。 早苗「(――でも、あの時私は負けた。マグレや奇跡じゃない、純粋に実力で)」 早苗のチームは、準決勝で当たった県内でも屈指の名門校には勝てなかった。 自分と互角な程優秀なトップ下、堅実なボランチ、突破力に優れたセカンドストライカーにウインガー。 全方面での守備力に優れたセンターバック。そして何より、キャプテンだったセンターフォワードの圧倒的な攻撃力。 悔しくて様々な奇跡を使ってみたものの、基本的な実力差からして違ったため、通用しなかった。 早苗のチームは呆気なく敗北した。5−1という大差で。 ――が、これだけならば、早苗もまだ自尊心を保てていたかもしれない。 自分は確かに優秀だった。しかし相手の層が厚すぎた。それに相手は強すぎた。 だから、自分が負けるのもある意味では仕方無い――と、言い訳をする事で。 しかし、早苗にはそんな言い訳すら許されなかった。
[842]森崎名無しさん:2015/03/01(日) 22:48:16 ID:??? どこかで聞いたようなw
[843]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/03/01(日) 22:49:18 ID:??? 早苗「(……でも、もっと悔しかったのは。私達を圧倒したチームが、大会一回戦で。 しかも、優勝候補でもなんでもない普通のチームに、1−5でボロ負けしちゃった事ですよね)」 早苗と互角のトップ下も、堅実なボランチも、圧倒的なCFも何もかも皆が、 全国という舞台では単なる名無し選手か、それ以下でしかなかった事である。 そして、それはつまり、そんな名無し選手に敗北した早苗の才能など、 日本全体で見ればなんら大したことの無いという事を意味していた。 その時から、自信と希望に満ち溢れていた早苗の生活に、少しずつ罅が生じ始めた。 早苗「(幻想郷に行ったのも、今考えてみれば……逃げ出したかったからかもしれない。 中途半端な才能しかない私でも、幻想郷に行けば、また前のような天才少女として輝けるかもしれないって)」 ――それから早苗は、神奈子達の言いつけでは無く、自分の意志で幻想郷へと向かう事を決意した。 それはどちらかと言えば、現実からの逃避と言う方が正確だった。 しかし早苗はここでも、現実以上に厳しく、自らの才能の無さに絶望する事になる。 早苗が向かった先の土地には、早苗と同い年で、早苗以上の才能を持ち合わせる少女が居たのだ。 今代博麗の巫女である、霊夢である。 スペルカード勝負、弾幕アクション勝負、サッカー勝負……その全てにおいて早苗は負け続けた。 早苗「(――でも、それから先は余計に惨めだった。霊夢さんは何時でも私より強くて、カッコよくて、皆の人気者で。 神奈子様と諏訪子様の期待を裏切るたびに、お二人が優しい顔をしてくれるのが辛かった!)」 「早苗は私達の自慢の風祝だ」「早苗は早苗のままで良い、霊夢を目指す必要なんてない」 ……そんな事を言われる位だったら、「案外大したことない」とか「長野県最強のMF(笑)」とか、 冷たく言われる方がマシだった。
[844]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/03/01(日) 22:50:47 ID:??? 勿論、それを表情に出したりはしない。 早苗は何時でも明るくて、自信に溢れていて、時には信仰目当てに暴走してしまうような。 そんな神奈子達にとって理想の少女であり続けたいと思ったし、それが自分の存在価値であると信じて疑わなかった。 ――そうして頑張り続けた早苗の心が折れたのは、昨日の夜の事だった。 夜中、厠に行こうと自室を出た早苗は見てしまったのだ。聞いてしまったのだ。 本殿にて密会を交わす神奈子と……幻想郷の管理者、八雲紫の式の姿を。 神奈子「――金なら幾らでも出す」 そして、神である神奈子が木端妖怪に過ぎぬ紫の式に対して土下座して、こう懇願しているのを。 神奈子「――お願いだ、貴女の力で私達の早苗をどうにか幻想郷代表……いや、それが無理なら。 それが無理ならば、内々裡に進んでいる計画・『リアル・幻想・セブン』の一員に! どうにか、明日の結果が如何様であろうとも、ねじ込んではくれないだろうか……!」 藍「……金など受け取れません。それに、こんな事せずとも彼女はきっと活躍します。どうにか考え直して――」 神奈子「そんな事言わずに。早苗は私の、いや、私達の希望なんだ……ううっ……!」 神の威厳をかなぐり捨てて、畳に頭を擦り付けて泣きながら、藍にそう哀願する神奈子の姿は、 これまでくすんでいた早苗の自尊心を、決定的に打ち砕くに充分だった。 早苗「(お仕えすべき神にあのような失態を演じさせるなんて。私は、風祝失格です……)」 早苗は大会前の夜、一睡もできずに泣いていた。
[845]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/03/01(日) 22:57:20 ID:??? 〜回想シーン終了〜 ――しかし、早苗は悲しい事に強い少女だった。 とっくに自尊心なんて壊れているのに、彼女は今もなお、無理やりに普段の明るい東風谷早苗を演じていた。 早苗「(――だけど。これで倒れたら私は……本当に、神奈子様に見捨てられるかもしれない。 それだけは絶対に許されない事なんだ。そう、これは神が私に与えたもうし試練………!!) ――さあさ、皆! 行きましょう! 神の名の下に勝利するのです! イア! モリヤ!」 目の下のクマを慣れない化粧でごまかして、 早苗は諏訪子やピエールの腕を引っ張り、元気にフィールドへと足を踏み入れる。 それは本人以外にとって痛々しい光景だったが、しかしそんな早苗を支えられる者は居ない。 早苗「イア! モリヤ! イア、イア……きゃっ!」 ズルッ! ピエール「大丈夫かい?」 ……スッ、ガシッ。 早苗「あ、ありがとう、ございます……」 ふらついた早苗はフィールドへと続く階段に足を踏み外し、頭から倒れそうになる。 幸い、ピエールが早苗の身体を抱き留めてくれた事により、早苗は助かった。 しかし、ピエールはこの時、どう見ても無理をしている早苗が居たたまれ無かった。 ピエール「……貴女の気持ちは分かる。その上で言わせてくれ。――決して、無理はするな。貴女には、貴女の生き方がある」
[846]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/03/01(日) 22:58:22 ID:??? ――と、抱き留めたままに、彼女の耳元にそっと囁く。しかし、早苗はそんなピエールの思いやりすら惨めだった。 明らかに苛立った声で、早苗はピエールの腕を振り払い、 早苗「そんな事、言われなくても分かってるわよ……」 と、誰にも聞こえないように呟き、再び元の明るい少女に戻ってチームメイトを案内していた。 今の早苗を支えられる者は、やはり誰も居なかったのである。 *** 諏訪子「(――早苗の想いに関わらず、私達は勝利しなくちゃいけない。 その為に必要なギミックや仕掛けも、盛りだくさんに準備して来た。でもさ……神奈子)」 そんな中、神奈子と並び守矢神社に祭られている土着神・洩矢諏訪子は、やるせない感情を覚えていた。 蛙のようにしゃがみこんで、稲のように長く輝く金髪を地面に垂らしながら、大きな麦わら帽子を左手で押えて空を見上げて、 諏訪子「(……本当に、良いのかな。あんなにも一生懸命で、あんなにも私達を慕ってくれる早苗を。 私達はその感情すら手玉に取って、都合よく利用しようとしている。 ――私達さ、バチ……当たんないかなァ)」 ――と、神でありながら神らしからぬ事を、誰にと言わずぼやくのだった。
[847]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/03/01(日) 23:01:56 ID:??? ――と、言ったところで一旦ここまでです。続きは試合直前のイベント+コイントスになります。 ひょっとしたら今日はこれで終わりになるかもです。 >>842 リスペクトはしてますが別人ですねw 本物だったら10−1 とかですので、弱いです。
[848]森崎名無しさん:2015/03/01(日) 23:02:26 ID:??? 早苗の話を見る限りだと審判買収にとっくに勘付いてそう… さあ、矢車さんの妹におなり
[849]森崎名無しさん:2015/03/01(日) 23:03:43 ID:??? 割とマジに矢車さんの妹に って書こうとしたらもう書かれていた
[850]森崎名無しさん:2015/03/01(日) 23:04:50 ID:??? 地獄少女SANAE誕生
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0ch BBS 2007-01-24