※人気投票開催中※
01/17(日)00:00-01/30(土)23:59
第二回鈴仙奮闘記キャラ人気投票
※新板できました※
ダイス創作物語板
ブログ
現行スレ
投票
最新20
板
1-
前
次
新
レス
【滅びの】俺inキャプ森8【バーストマグナム】
[658]森末(仮):2015/02/23(月) 01:58:59 ID:??? こうしてボールを奪い返したアルゼンチンは、当然このボールをエースに渡した。 イタリアからボールを奪える機会はそう多くない。 確実なチャンスを確実に決めるには――どうしても絶対的なエースに頼るしか彼らに選択肢は無かったのだ。 ブラウン「頼む、ディアス!」 ディアス「頼まれたぁ!」 ダダダダダダダーッ!! そして、頼られたエースは、ようやく到来したチャンスに歓喜しながら迷う事なくゴール前からドリブルを開始した。 彼にもわかっていた。どうやってもアルゼンチンが勝つには自分に頼るしか選択肢が無いという事に。 実況「ボールはディアスくんに渡ったーっ! ディアスくん、これを……そのまま持って上がる! 上がります!! パスは出さない! 出す素振りすら見せない! まさかまさか、自陣ゴール前から一気に攻め上がるつもりなのか!?」 ストラット「く、くそっ! ここで奪い返しさえすれば……」 ランピオン「アルゼンチンは穴だらけになる筈なんだ!」 ディアス「そいつぁ無理な相談だ! そらっ!」 ピョーンッ! ストラット「ば、化け物め……!」 ディアス「(お前が言うなっての)」 当然、このゴール前からのドリブルという一見すれば無謀にしか思えない行動にイタリアは憤慨しディアスにプレスをかけた。 感情に任せた行動である。これは、結果的に失敗だった。 ストラットもランピオンもタックルは下手ではない――だが、一流レベルでも無い。 そんな彼らのタックルが、天才・ファン=ディアスに通用をする筈が無く、ディアスはあっさりとストラット達を飛び越えた。
[659]森末(仮):2015/02/23(月) 01:59:59 ID:??? ディアス「どんどんかかってきな! この俺を止められるもんならなぁ!!」 ヘルナンデス「挑発に乗るなよ、みんな! 下がれ、下がるんだ! PA内を固めろ!」 そして更に速度を上げ、中盤を越え、一気にイタリア陣内に入るディアス。 普通ならばプレスをかけて前目で止めようとするこの状況で、加えて言えばディアスも挑発めいた言葉を吐いている中。 それでもキャプテンのヘルナンデスは、作戦通りディアスから安易にボールを奪いに行く事を禁じ、 引いて守るよう指示を飛ばした。 中盤で、今すぐにディアスの元へと向かう事が出来るだろう選手に対してもである。 実況「イタリア、ここでプレスをかけない! 下がります、目一杯下がる! これは再びPA内を堅め、最終ラインで止めようという作戦でしょうか!? フィールドではディアスくんと並走するようにしてイタリア選手がPAへと戻るというなんとも珍しい光景が繰り広げられています!」 ディアス「どうしたどうした、そうやって引きこもるのがご自慢のカティナチオって奴なのか? そりゃそんだけ固めたら並の選手じゃゴールは割れないだろうな〜? いやー、たいしたもんだぜ」 観客「何やってんだイタリア、奪いに行けよ!」「また引きこもりか!」「ディアスにビビリ過ぎだろ!」 これに対してディアスは更に挑発を上乗せし、それに呼応するかのように観客席からは無責任な罵声が飛んだ。 彼らの目にはイタリアが必要以上にディアスを恐れ、臆病な戦いしか出来ていないように見えたからである。 しかしディアスからの挑発に、観客たちからの罵声。 これらを受けてもイタリアメンバーはそれでもPA内を固めた――かのように見えた。 ディアス「(さてさて、これだけ罵声が飛んでるんだ。 1点目の時と同じ……いや、それ以上かな? そうなればどうなるか)」 ヘルナンデス「気にするな、みんな! 絶対に飛び出すんじゃ……」 ジェンティーレ「ファン=ディアスゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!!!」 ディアス「(釣れた〜っ!!)」
[660]森末(仮):2015/02/23(月) 02:01:08 ID:??? ヘルナンデスが更に言い含め、絶対に飛び出さないようにと指示を出そうとした瞬間、フィールドに咆哮が響き渡った。 ある者はその声量に驚き、ある者はその形相に驚き――そしてある者は、その姿を見て笑みを浮かべる。 サルバトーレ=ジェンティーレ。 ディアスが挑発を繰り返すたびに再びその顔面を真っ赤に染め上げ、 やがて怒りの沸点が最高潮に達すると同時に彼はヘルナンデスの指示を無視して一気にディアスの元へと駆けて行った――。 そう見えた。 ズダダダダダダダダダダーッ!! ストラット「ジェ、ジェンティーレ!?」 ランピオン「(なんて顔をしてやがんだ……ありゃ鬼だ)」 ヘルナンデス「……。 ジェンティーレ、戻れ!!」 このジェンティーレの暴走に、イタリアメンバーは一瞬呆気にとられた後、 すぐさま平静に返り彼を落ちつけようと声を張り上げた。 だが、ジェンティーレにその声が届く事はなく、彼は般若が如き形相でディアスへと迫る。 傍から見れば、どう考えても度重なる挑発と観客に対する恥辱に耐えきれなくなった彼の暴走でしかない。 ディアス「(こういうプライドの高そうな奴程、泥沼にハマるんだ。 やりやすくって敵わないぜ。 よし、このままもう一度反則を"させて"やれば間違いなく退場だ)」 そして、ディアスは当然のようにジェンティーレを相手にマリーシアを繰り返す事を決断した。 必要以上に熱くなり、プレイに集中出来ないような相手はどれだけ実力があろうとディアスにとってカモでしかなかった。 ジェンティーレ「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」 カモが怒声を張り上げながら突っ込んでくるのを見て、ディアスはほくそ笑む。
[661]森末(仮):2015/02/23(月) 02:02:28 ID:??? 2人が激突する刹那。 トリノ「! ジェンティーレ!!」 ジェンティーレ「!!」 ガキィイイイイイイイイイイイイイイイイインッ!! イタリアDFの1人、トリノの声がジェンティーレの耳に届き、その数瞬後、ジェンティーレとディアス。 世界最高峰のドリブラーとDFの両者は、一対一でぶつかり合った。 ディアス「(うおっ! やっぱり重い、上に速い! だがそれだけやりやすい!)ぐわあああっ!!」 ガシャアアアアアアアアアアアッ!! ジェンティーレの鋭いスライディングタックルは、やはり強烈だった。 速度、力、技術、全ての面においてディアスが今まで経験した事が無い程のやり難さである。 ディアスは殆ど故意ではなく、彼の力によって吹き飛ばされた。 ドタンッ!! ディアス「ぐうっ……ぐ、ぐぅ……」 ジェンティーレ「………………」 そして、故意に――必要以上に痛がりながら、地面に倒れ込んだ。 2人が接触をした場所から大きく離れた場所で、足を抱えて。
[662]森末(仮):2015/02/23(月) 02:04:22 ID:??? ピピィーッ!! ディアス「(よし、これで楽出来るな)」 うつ伏せになりながら審判の笛を聞いて、ディアスはほっと安堵の溜息を吐いた。 2度の立て続けのファウル、しかも今度も相手は頭に血が上っておりとても偶然には見えない状況。 この状況でジェンティーレにカードが出されない筈が無いと、ディアスは考えていたのだ。 ざわ……! ざわ……!! やがてディアスの耳に観客たちのざわめきが聞こえてきた。 動揺したかのようなその声は、恐らく予想外のジェンティーレの退場にうろたえるものなのだろうと考える。 アルゼンチンメンバー「あ……あああ!?」「ば、ばか、な……」「うそ、だろ……?」 ディアス「(ん?)」 そして、次に飛び込んできたアルゼンチンメンバーの声を聞いて――ディアスは疑問を抱いた。 彼らの声には悲壮な――それこそ、この世の終わりが来たかのような絶望感が漂っており、 とても敵の主力が退場した事を喜ぶものには聞こえなかったからである。 審判「……立ちなさい」 ディアス「え……?」 混乱するディアスの耳に最後に入ったのは、怒気を含んだ審判の声だった。 思わず咄嗟にディアスは顔を上げ……審判を見やる。 彼は一枚の札を持ち、ディアスに対して提示していた。
[663]森末(仮):2015/02/23(月) 02:05:40 ID:??? ディアス「………………」 ジェンティーレ「(フン、子ザルが。 下手糞なマリーシアにこの俺が二度もかかると思ったのか?)」 何が起きたか理解出来なかったディアスは、不意に視線を横に向けジェンティーレを見やった。 そこには――危険なスライディングタックルではなく、立ちあがった姿勢のままボールを確保しているジェンティーレの姿がある。 ジェンティーレは決して頭に血が上り、平静を失ってディアスに突撃をした訳ではなかった。 彼はもう一度ディアスがマリーシアを仕掛けてくると考え、妙案を編み出していたのだ。 それは案というにはあまりにも滑稽で、案とすら言えない程の陳腐なもの。 『圧倒的な実力でどこからどう見ても文句の無いプレイでボールを奪い、ディアスが過剰に痛がっているのを露呈させる』 ただ、それだけだった。 無論、それが出来れば誰も苦労はしない。しないからこそ、ディアスに対して手を拱く者達ばかりだったのだ。 だが、ジェンティーレは違った。彼は世界最高峰のDFだった。 この大会、一対一の対決でディアスに一番勝つ可能性が高い選手はと問われれば、間違いなく彼が上がるだろう程に。 よって、彼はこの案を考えつくと同時に実行に移した。 まずジェンティーレはDF達に、自分は『あえて怒ったように見せかけ突撃するからフォローに来るな』と言い含めた。 これはDF達が影となってプレイが審判に見えなくなるのを恐れた事が1つ。 彼らも同時にディアスに向かえば、ディアスがこの演技を見抜いてしまうかもしれないと考えたのが1つだった。 次にジェンティーレは自分がディアスに接触する直前、審判のいる位置を知らせるようにともDF達に伝えておいた。 より正確に足がボールに行っている事を証明する為に審判の位置に気遣う。 それはディアスの突破をただ止めるだけではなく、マリーシアを発覚させる為には必要な情報だった。 最後にジェンティーレはスライディングに行くと見せかけ、直前で手でブレーキをかけてその反動で立ち上がり、 足の先だけでディアスの持つボールを抑えた。 その一連の動作は、口で説明するだけならば簡単であるが実際に行うのは難しい。 しかし、中学生離れしたパワーを持つジェンティーレの腕力ならば地面を叩いた反動で起き上がる事も、 また、足の先だけでディアスの持つボールを捉え吹き飛ばす事も十分可能だった。
[664]森末(仮):2015/02/23(月) 02:06:42 ID:??? 結果、ジェンティーレは作りだした。 どう見てもジェンティーレの足はボールに行っており、ディアスはその反動で吹き飛ばされた――。 否、わざと大仰に吹き飛ばされ、ジェンティーレに反則を"させよう"とした状況を露呈させる舞台を。 一対一の為に周囲には誰もいなかった。 よって彼らの攻防の一部始終はフィールドに立つ者――それだけではない、観客たちにすら筒抜けだった。 そして、この攻防を見た誰もが疑いようもない事実に気づいた。 『ディアスはわざと吹き飛ばされ、怪我をしたように振る舞った』と。 ディアス「………………」 それを理解した瞬間、ディアスは怒りの余りジェンティーレを睨みつけた。 罠にかけたつもりが、実際には罠にかけられていた。 これ程屈辱的な事を、ディアスは今までの人生の中で経験した事がなかった。 ディアス「(サルバトーレ=ジェンティーレ、か……)」 今日の試合、ファーストプレイで彼に止められた際、もっと早くに気づいておくべきだった。 彼は今まで自分が戦ってきた自称・天才を止められるDFとは全く違う男であるという事に。 本当に、天才を止められる力を持つ世界最高峰のDFであるという事に。 だが、どれだけ後悔をしても後の祭りだった。 ディアスに提示されたのはジェンティーレに提示された黄色の札ではない。 今ディアスが口の中の肉を噛み締め、悔しさを静かに発散させたときに生じた血の色と同様。 その札は真紅に染まっていたからである。
[665]森末(仮):2015/02/23(月) 02:08:04 ID:??? >>648 乙ありです。 一旦ここで区切らせていただきます。 続きは一応書きますが、眠くなったら寝ますので今日中に更新出来るかはちょっとわかりません。
[666]森崎名無しさん:2015/02/23(月) 02:19:37 ID:??? 乙です。退場だゼェェェェェェェェェェット!
[667]森崎名無しさん:2015/02/23(月) 07:16:30 ID:??? 乙です。ここから何失点してしまうのか…
前
次
写
0ch BBS 2007-01-24