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【優勝】キャプテン森崎48【エンディング】
[109]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/05(金) 11:13:43 ID:d18vpdcU 元女中「…あの。これは、ドイツについてこい、と言う意味で…?」 若林「違う。今までの礼と、さっき庇わせてしまった埋め合わせだ」 元女中「………そう、ですか…」 だが若林は彼女が期待した程の優しさは見せず、彼女を突き放す。 若林「俺は若林源三。あんたが大嫌いな若林だ。そしてそれを変えたくもない」 元女中「…もう、居ないのですか?私に和菓子を強請っていたあの腕白な男の子は…」 若林「ああ、居ない。俺の人生の歩み方は既に決めてあるし、実家や家族の事などどうでもいい。 そしてあんたを俺の人生の一部にする事も出来ない。俺は若林でありたいからな」 元女中「………わか、り、ました…っ…お世話に、なりまし…ひぐっ…ぼっちゃ、ま………」 若林「…さようなら、ねえや」 自分すら幸せにしていない男がどうやって他者を幸せに出来ようか…それが若林の決意だった。 若林「(…どんな形でもいい。人生を上手くやり直してくれ。そして早く俺の事など忘れてくれ)」 カルツ「(時々こいつはやたらと深い表情をするんだよな…何を考えているのやら)」 友の数は少なく、愛は尚得られそうにない。それでも若林は己の生き様を貫く。 若林「(どれだけ泥に塗れようと、どれだけ差をつけられようと…俺は森崎に勝つ)」
[110]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/05(金) 11:17:35 ID:d18vpdcU いったんここまで。
[111]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/06(土) 07:52:03 ID:CYeeWqvU 〜カール・ハインツ・シュナイダー、ジークムント・フライハイト、?????〜 ワールドユース大会では3位と言う結果に終わったものの、大会単独得点王で 最優秀FWに選ばれたシュナイダーの名声は大会後に更に高まった。 元々15歳と言う脅威の若さでプロデビューしていた彼は今や 誰もが認めるバイエルンの若きエースであり、将来は薔薇色と言えた。 シュナイダー「う、うぉおおお…マリー、マリー、まりぃいいい…」 フライハイト「またか…ハァ」 そんな彼が最近クラブハウスでちょくちょく嗚咽を漏らしていると知ったらファンはどう思うだろうか。 持前のプロ精神で公の場では隠す様にしていたものの、私生活でも同じ時間を過ごす事が多い フライハイトには良い迷惑である。雨が降らない限り淡々とした態度を崩さない彼ですら溜息は堪えられない。 フライハイト「一応聞くが、今度は何なんだ?」 シュナイダー「うううう…マリーが、マリーが口を聞いてくれないんだ…」 フライハイト「なんだ、またヘルナンデスからの手紙を破いたのか?」 シュナイダー「違う!イタリア留学に反対したら…ううううっ」 フライハイト「ふぅ…妹に嫌われたくないのなら我慢して祝福しろと言っているだろう」 シュナイダー「殺されたくないなら自殺しろと言うのかお前は!」 フライハイト「…付き合いきれん」
[112]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/06(土) 07:53:17 ID:CYeeWqvU 知る人ぞ知る事実。カール・ハインツ・シュナイダーは病的なシスコンである。 その為ヘルナンデスに想いを寄せるマリーに徐々に嫌われつつあり、 それを何とかしようとして負のスパイラルに陥っているのが彼の最近の日常であった。 フライハイト「(仕方がない、また妹をダシにするか)そろそろ練習時間だ、頭を切り替えろ。 お前はこのクラブのエースでありドイツサッカーの希望の炎。そんなお前が家族とのトラブルで パフォーマンスを落としてみろ、第三者の勝手な言葉を嫌がった妹が即刻イタリアに行くかも知れんぞ」 シュナイダー「くっ………分かった。スー、ハー…よし、大丈夫だ」 それでも彼がサッカーに私情を持ち込まずプロに徹するのは流石の貫禄と言うべきか、 それともフライハイトの操縦の上手さを褒めるべきか。簡単に心機一転したシュナイダーは フライハイトと共にクラブハウスのロビーに向かい… フライハイト「(何故その精神力を妹離れに使えないんだ…おっと、今は話題を逸らさないとな) では行くぞ、今日は新選手の入団もあるんだ。さっきロビーが騒がしかったから、既に来ているかも知れん」 シュナイダー「ん?…ああ、そういえば監督が新戦力を加えるかも知れんとか言っていたな」 フライハイト「ああ、相手がアジア人なだけに首脳陣が躊躇っていたらしい」 シュナイダー「アジア人?…ウチに加われる程のアジア人選手………まさか?」 ??「よう、シュナイダー!」 シュナイダー「な、なにィ!お前は!」 そして今後のプロ生活の頼もしき仲間を得た。 後日地元紙はこう書いた。ブンデスリーガが欧州4番手と言う過小評価はバイエルンと バイエルンのワールドユース三羽ガラスが終わらせてくれるかも知れないと。
[113]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/06(土) 07:55:15 ID:CYeeWqvU いったんここまで。
[114]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/06(土) 09:11:43 ID:CYeeWqvU 〜中里 正人〜 スペインのリーガ・エスパニョーラの強豪クラブと言えば大抵の者が バルセロナとレアル・マドリードの2強をまず挙げるだろう。 そしてその2つ以外は?と問われると今度は答えに詰まる者が多いかも知れない。 あるいはアトレチコ、ビルバオ、バレンシアなどを挙げるかも知れない。 中里をスカウトしたのは2強ではなくそれに劣ると評価されるバレンシアだった。 スピーディで派手な攻撃的サッカーが喜ばれるリーガ・エスパニョーラでは中里の DFらしからぬ攻撃力が評価される確率も低くない為、彼にとっては打ってつけのチームと言えただろう。 中里「ムッフッフ…せっかく西班牙に来たのだから、是非ともラテン美女の裸体は拝んでおかねば。 そして短い時間を最大限に有効活用するには質と量両方を確保する…つまり、貴族の家ならば選び抜かれた女中達と 上流階級の女人の入浴両方を覗く事が出来る!後ほど父上にも分けて進ぜよう…」 だが念願のプロ選手になれた彼が今何をしているかと言えば、とある没落貴族の家に 忍び込んで家主の入浴を覗いていた。彼がどんな狼藉を働こうとしているのかは言うまでもない。 中里「ムムム、これはまさしくシャワーの音!しからばごめん、名も知れぬ女人よ。我が狼藉を許したまえ」 ちなみに彼の父親は彼を素質はあるとしながらも下調べを軽視する悪癖があると評価している。 中里「おおお…見える、見えるぞ。蜂蜜色の長い髪。日焼けに乏しいまるで作り物の様に美しい肌に…走る、紫の蛇…? 鍛錬の跡を隠せぬ筋肉質の背中と臀部…蹴られればさぞかし痛いであろう鍛えられた脚…はぁ、またでゴザルか…ぬおっ!?」 シャキーン! 家主「愚かな蛆虫よ。我が比類なき美を理解できた功績だけは認め、私が直々に紅く染めてやろう!」 中里「なっ…鉤爪!?仮面!?こ、こやつまさかスペイン忍者かーっ!?」 スポーツ忍者中里正人。彼は今日もサッカーとは無関係な場所で自業自得な修羅場に陥っていた。
[115]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/06(土) 09:14:30 ID:CYeeWqvU いったんここまで。
[116]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/06(土) 12:41:31 ID:CYeeWqvU 〜大空 翼、ファン・ディアス〜 ディアス「あれっ?」 翼「君は…!」 その年、バルセロナFCは現存するサイクロンの使い手二人を同時に獲得した。 ディアス「なんだ、お前もここにスカウトされていたのかよ。ちぇっ、俺と技が被っちゃうのに」 翼「…お互い様だろう。それにプロの世界では同じ技の使い手なんていくらでも居るさ」 世界的タイトルには恵まれないものの底知れないセンスを持つと評されるアルゼンチンの天才ディアス。 本人にしか分からない苦悩があるものの客観的には栄光の街道をひた走り続けている日本の天才翼。 共に地球の反対側から生まれた多くの同じ技と全く違う過去を持つ二人の天才が今ここに揃った。 ディアス「………」 翼「…良い目をする様になったじゃねーか、とか考えているのかい?」 ディアス「お、やるじゃん。正確には少しはマシな目、だがな」 翼「全く…お眼鏡に適ってなによりだよ」 ディアス「この程度で不機嫌になるから少しはマシ程度なんだよ。満面の笑顔で相手を堂々と見下そうぜ?」 翼「あいにく、そういうのは俺のやり方じゃない。俺は俺でやるさ」 ディアス「ふーん…ジュニアユースの頃の甘ちゃんじゃなくなったな。リオカップの時はガラス細工か?と思ったもんだが」
[117]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/06(土) 12:43:15 ID:CYeeWqvU 二人の出会いは友好的なのか喧嘩腰なのか非常に判断が難しい物だったが、そこにはお互いを認め合う雰囲気があった。 ディアスはもとより、様々な苦難を経た翼もプロのサッカー選手らしく振る舞う事が出来ていた。 翼「色々あってね…これ以上メンタル面の隙で失敗するつもりはないよ。そこは安心していい」 ディアス「いまいち信用できねーな。ま、いいや。何がお前を変えたんだ?」 翼「別に…プライベートが安定した、とだけ言っておくよ」 ディアス「なんだ女か。月並みな奴」 翼「(やれやれ、森崎とは別の方向で付き合い辛いな…今夜、早苗に愚痴らせてもらうか)」 翼は今、心の支えを取り戻しかつてない程に安定していた。 翼は誰にも語る事はないだろう。ワールドユース大会後、日本で早苗と交わした二人きりの会話を。 早苗「翼くん…来てくれたのね…」 翼「あ、ああ…」 翼は早苗に呼び出されていた。去年ジャパンカップ終了後に二人に破局が訪れ、 彼が彼女から逃げ出した南葛市を見下ろせる小山に。 死刑囚の様な心境で現れた彼は早苗があの日と全く同じ服装をしていたのを見、 心臓を削り取る様な思いで今すぐ後ろを向いて逃げ出したくなる足を前に進めた。 早苗「何から話せば良いか分からないから…まずはこれ。あの時返し損ねた物だよ…」 翼「これは…サッカーボール?」
[118]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/06(土) 12:44:52 ID:CYeeWqvU 早苗「ええ…あの時、貴方が置き去りにしたボール…」 翼「(…そうか。これは俺が彼女にした仕打ちの象徴なんだ…)」 彼女の姿そのものが彼の心を罪悪感と自己嫌悪で震え上がらせる。 ましてや彼女からあの時の悪夢の証のボールを差し出されると腕も足も震えてしまう。 自分がサッカーの重みを彼女に押し付け、逃げ出した事をまざまざと思い出させられる。 受け取りたくない。こんな重い罪を背負おうとしたらまた潰れてしまう。 受け取りたくない。これを返されたら彼女との絆が完全に消えてしまう。 翼の心が悲鳴を上げ、逃げろ逃げろと絶叫する。 翼「(…ならば受け取らなくちゃいけない。彼女を自由にする為に…)」 早苗「…まだ、サッカーは嫌い…?」 翼「いや。今はもう嫌いじゃない…」 早苗「そう…良かった。私のせいでずっと嫌いなままだったらどうしようかと…」 翼「君は何も悪くないよ…俺が、自分の弱さを君のせいにしたんだ…」 それでも彼の腕は動き、信じられない程重く感じるボールを受け取ってくれた。 翼の心が悲鳴を上げる。これでもう彼女と会える事がなくなってしまうと。 翼の魂が涙の川を流す。これでやっと彼女を自分から解放出来たのだと。 早苗「…そうだよね。翼くんは、弱かったんだよね…」 翼「(来た!…目を逸らすな!汚い涙を流すな!一歩も動くな!俺が押し付けた 醜いモノを全部受け止めるんだ!それが俺の男として取れる最後の責任だ!)」
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0ch BBS 2007-01-24