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【優勝】キャプテン森崎48【エンディング】
[58]2 ◆vD5srW.8hU :2015/05/28(木) 10:07:26 ID:TNrrR3c+ 〜高杉 真吾〜 高杉「もし、若林さんが森崎に勝っていたら…もし、森崎なんか最初から居なかったら…」 高杉は諦めの境地に入っていた。彼は間違いなく今の日本の現役サッカー選手の中で TOP50に入っている人物である。JSLでも即レギュラーが保障される程の。 高杉「それでも…結局俺なんか目立てなかったんだろうな…」 そんな彼でも次藤や早田には敵いそうにない。そしてそんな次藤や早田ですら苦戦する 世界では彼の出番はない。成人間近になってようやく彼は冷たい現実を受け入れる事が出来ていた。 高杉「せめて、親父とお袋に楽をさせる事を目標にするか…」 上を見ても下を見てもキリがない。故に己を見続けるしかない。殆どの人間はそういう生き方に幸せを見つける。 大抵のサッカー選手は彼を雲の上の存在と見るが、彼もまた雲の上を見上げる事しかできない人間だった。
[59]2 ◆vD5srW.8hU :2015/05/28(木) 10:08:55 ID:TNrrR3c+ いったんここまで。
[60]2 ◆vD5srW.8hU :2015/05/29(金) 08:43:40 ID:D3IANEbQ 〜来生 哲兵〜 来生「ヒャッハー!」 来生は復活していた。 来生「ちょっとオレ〜見な〜♪エースがは〜し〜る〜♪」 ワールドユースで結局最後の最後まで出番が無かった時、彼の自我は一度崩壊した。 来生「怖い物〜無し〜♪街中〜は〜しゃ〜ぐ〜♪」 そして大会の一週間後、彼は復活した。都合の悪い事を忘れたのではなく、 開き直ったのでもなく、ただ単にこの先に栄光があると勝手に思い込んで。 事実、それはある程度は正しい。彼の力量ならJSLでは瞬く間に得点王ランキングの常連になれる。 何時までも落ち込んでいても仕方がないのだから気持ちを切り替えられたのは建設的と言って良いだろう。 子供「ママー、なんであのお兄ちゃんサッカーボールで玉乗りしながら歌ってるの?」 母親「シッ!見ちゃいけません!さっ、行くわよ!」 来生「超々…うぉわっ!?壁、壁〜〜〜っ!?」 ドンガラガッシャーーーーン!!! ただし、その前向きさの原動力は相も変わらず知性の欠如だった。 それが彼にとって喜劇なのか悲劇なのかは意見の分かれる所だろう。
[61]2 ◆vD5srW.8hU :2015/05/29(金) 08:47:38 ID:D3IANEbQ 〜滝 一〜 滝「う〜ん…」 チームメイト達「す、すごいじゃないか!」「また抜かれた…どうしてだよ」 「なんて正確なクロスだ…」「噂通り!素晴らしいサイドアタックだ!」 滝「は、ははは。どうも…(うわ〜、なんか違和感が凄い…)」 滝は小学生、中学生、そして高校生の間一貫してウインガーとして名声を得ていた。 それが功を成し、彼は加入したJSLのチームでいきなりサイドアタックの達人として持て囃されていた。 滝「(これが日本と世界の差って事なのかなあ…)」 だが常識人で割と素直な性格の滝もこれを安直に喜ぶ事は出来なかった。 確かに彼はサイドアタックに自信があるが、この分野に置いても彼の上を行く者は 全日本ユースにも何人も居たし、ましてや世界を見渡せば全く威張れた物ではない。 ドイツのカペロマンの様な正にサイドのスペシャリストと言える選手を見てしまった後では 滝は己の唯一の武器と言って良いサイドアタックに何の誇りも持てなくなってしまっていた。 しかしそんな彼のサイドアタックがJSLでは突出した必殺の武器と化す。 しかもそれ以外の分野でも滝が「普通に上手い」レベルとしてカウントされる。 滝「(レギュラーは楽に確保出来そうだけど、これでいいのか日本サッカー… 早くリーグのレベルが上がらないと後々大変な事になるんじゃないのかこれ?)」 ワールドユースでは一度も出番がなかった自分がスターとして持て囃される。 まだまだ日本サッカーの行方は前途多難だと危惧する滝であった。
[62]2 ◆vD5srW.8hU :2015/05/29(金) 08:49:24 ID:D3IANEbQ 〜井沢 守〜 ギャルサポ「キャー!井沢くーーーん!」「こっち向いてーーーっ!」「差し入れ受け取ってくださーい!」 チームメイト達「いやあ、今日もモテモテだなあお前」「羨ましいもんだぜ。どうよ、好みの娘居ないか?」 井沢「いやあ…今は恋人を作る訳にはいかないですね。まずはリーグ戦に慣れていかないと」 井沢は学生サッカー時代同様JSL入りしてすぐに多くの女性ファンが出来た。 こういう存在は彼にとっては迷惑千万以外の何物でもない。 常にチームメイトから嫉妬されるリスクの原因となり、ともすれば練習の邪魔にすらなりかねない。 かと言って邪険に扱う事は厳禁。それどころかファンサービスさえ求められてしまう。 井沢「(全く、ここでも俺はサッカーのいろはも知らない女共に付きまとわれるのか… ああ〜うざったいうざったい!お前ら俺の事を応援しているんなら今すぐ家に帰れ! って叫べたらなぁ…お前らなんかに用はないんだよ!俺が用があるのは…)」 彼にとってそんな女性ファンは障害物以外の何物でもない。遥か空の向こうに旅だってしまい、 何時まで経っても差を広げられるばかりの標的大空翼に集中させてくれない障害物。 井沢「(翼…あの野郎…ああ、思い出すだけで腹の底が熱くなる…!)」 彼がひたすら妬みと恨みをぶつける相手、大空翼はその感情に気付いているかどうかすら怪しい。 井沢はそれが憎くて憎くて堪らなく、嫉妬で己の足を動かし続ける。 井沢「(何年かかってでも、お前のその鼻っ面を…!)」 嫉妬を力に変えひたむきに練習する硬派なその姿がまた女性ファンを増やし、彼を妨害する。 彼はこの後実力でも実績でも話題性でもJSLを代表する選手の一人となるのだが、 それで彼が満足する訳がない。何時の日か奇跡的に翼の力量に追いつけない限り、彼は満たされない。
[63]2 ◆vD5srW.8hU :2015/05/29(金) 08:50:45 ID:D3IANEbQ いったんここまで。
[64]2 ◆vD5srW.8hU :2015/05/31(日) 00:40:19 ID:P9T0pqWk 〜立花 政夫、立花 和夫〜 全日本ユースの選手達の中でも上位の攻撃力を持ちながら、他者との連携が無ければ 力の半分も発揮できないと言う特性の為ワールドユースでは出番の無かった立花兄弟。 政夫「だ〜〜〜っ、やっぱりダメだーーーっ!!」 和夫「最高がスペインの三部クラブかよ…いくらなんでもなあ」 その為彼らに注目する海外クラブは少なかった。そして興味を示した数少ないスカウトも 彼らの特性を良く知るにつれ首を振って立ち去り、マイナークラブが二束三文を出そうとするのが関の山だった。 政夫「しょうがねえな。何時までもブラブラしている訳にはいかないし…」 和夫「諦めてJSLのチームに入るしかないな。全く…」 何時までも試合から遠ざかっている訳にはいかない。止むを得ず、 一旦は誘いを断ったJSLのチームに入る。これが二人の取った現実的な選択だった。 政夫「そうと決まれば山籠もりの総仕上げだ!行くぞ和夫、競争だ!」 和夫「へへっ、いーのか?負けた方が飯奢りだぜ!」 ちなみに彼らは今埼玉県にある通称“無能橋”と言う大変危険な橋の上に居る。 赤錆びたワイヤーとスカスカの細い踏板で構成された地上から数十m上の釣り橋。 彼らはここを勝手に訓練場として使っていた。 ………現実的?
[65]2 ◆vD5srW.8hU :2015/05/31(日) 00:51:24 ID:P9T0pqWk 以上7人は海外に飛び立つ事が出来ず、ひとまず日本でプレイする事にした。 そして残りの16人は欧州プロリーグに舞台を移すが、勿論彼ら一人一人にドラマがある。 各国のライバルの様子も交えてそれらを描写していこう。 〜岬太郎、エル・シド・ピエール〜 ピエール「ミサキ!」 岬「ピエール!」 岬はフランスの空港にて浅からぬ縁のピエールと再会していた。 ピエール「君とまた会えてこの上無く嬉しいよ。マルセイユ入団を心から祝福する」 岬「有難う。これからは僕たちはプロのライバルだね」 岬が選択したのはフランスのリーグ・アンの名門マルセイユ。3年間の滞在と国際Jrユース大会で 現地を良く知っており、知名度もある為彼にとってやり易い環境だと誰もが納得する選択だった。 岬「(この年代でライバルになりそうなのはピエールとナポレオンだけ。 リーグ・アンの特徴もレベルも良く理解している。危険を伴う大金よりも 確実に入る小金を狙う。そして将来の為の名声とコネも確保。これだよね)」 無論そこには腹黒い計算もあるのだが、それを知る者はいない。邪推する者なら居るだろうが、 岬にはそんな邪推を否定もせずオブラートに包み言い換える事も朝飯前である。
[66]2 ◆vD5srW.8hU :2015/05/31(日) 00:55:10 ID:P9T0pqWk ピエール「ところで…フライトの影響か?何だか顔色が良くない様だが」 岬「あ、ああうん…上手く眠れなくてね…(う、思い出しちゃった…)」 しかしそんな彼の人生も全てが順風満帆と言う訳ではない。 岬太郎には美子と言う妹が居る。彼の父と離婚した母が再婚相手と産んだ父違いの妹である。 ところが何の因果か美子は彼を実の兄だと知らないまま惚れ込んでしまい、 運が味方したチャンスを逃さず押しかけ女房同然に彼女の地位を獲得してしまった。 リスクを恐れた岬は中々真相を言い出せずに居たが、ひょんな事から二股野郎との 汚名まで着せられてしまった為これ以上長引かせる訳にはいかないと決意し、 ワールドユース大会後に家族と共に集まり真相を美子に告げた。 美子「ああ…とうとうお父さんとお母さんにお話をして下さるのね、岬様!」 岬「…美子。確かに大事な話なんだけれど、そういう話じゃないんだ」 美子「えっ…?」 岬は告げた。彼と美子は実の兄妹である事を。同じ母から産まれた事を。 岬は告げなかった。彼が最初からその事を知っていた事を。 両親とその再婚相手の強力をとりつけ、彼もつい最近知ったのだと言う事にした。 美子「………」ポカーン 岬「(よし、茫然としている!今の内に畳みかけるんだ!)だから、僕は 君の恋人じゃなくて兄なんだよ。こんな事になってしまって大変申し訳ないけど、 どうか許して欲しい。言い訳でしかないけれど、僕も知らなかったとしか言い様がないんだ」
[67]2 ◆vD5srW.8hU :2015/05/31(日) 00:56:58 ID:P9T0pqWk それを聞かされた美子は目を丸く開き、次に目を潤ませた。 美子「つまり…岬様は、私のお兄様なんですか…?」 岬「うん。僕は、君の兄なんだ。今更だけど、兄として受け入れて貰いたいと思っている (よしよし、どうやら諦めてくれた様だ。後は適当に可愛がっておけば満足して…)」 岬も、彼に協力した父、母、再婚相手の3人もこれでホッと一安心した。 衝撃的な真実を何事もなく受け入れてくれて良かったと。 だが事態は最悪の展開を迎える。 美子「 す て き 」 岬「えっ?」 美子「岬様がお兄様でもあって運命の王子様でもあるなんて、すてき♪♪♪」 岬・大人達『えっ!?』 美子「お兄様〜〜〜♪♪♪私、可愛い妻になります〜〜〜♪♪♪」 この時岬は初めて実感した。知識としては知っていたが、実体験で学習した。 この世には禁忌を冒す事を喜びとする人種も居ると言う事を。 岬「(とりあえず日本に置いてきたけど…距離を置いただけじゃ絶対あきらめないよな… ううう、あの爆弾がある限り僕の日本サッカー乗っ取り計画が危ういのに…どうしよう…)」 策士、策に溺れる。神をも欺く男も、計算外の事は常に有り得る。
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0ch BBS 2007-01-24