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【優勝】キャプテン森崎48【エンディング】
[70]2 ◆vD5srW.8hU :2015/05/31(日) 07:13:30 ID:P9T0pqWk 中西「お、おいおい。あんさん、どないしたんや?」 松山「う、ぅう…?」 泣きながら当てもなく歩き続けていれば、その内親切な通りすがりに心配される事もある。 この場合通りすがりはうどんの屋台を引いて開店の準備をしていた中西だった。 中西「…なんかツラい事あったんやな…どや、奢っちゃるから一杯食っていき」 松山「い、いや、その…ん?」 中西「何も言わんでええで。こういう時は好きなだけ泣いて、温かいモン食ってスッキリするのが一番や」 松山「あ、ありがとう…(何だろう…こいつ、何処かで見た様な…)」 中西「あんさん日本代表の松山光やろ?テレビで見たで。ワイも子供の頃はサッカーやっててなぁ…」 松山「…そうなのか?(そう言えば、何時か選手として会った気が…なんだ?段々ムカついてきたぞ)」 中西にとってサッカーはもう遠い過去の物だった。小学生時代に全国大会に出た記憶も最早おぼろげだった。 しかしそんな彼でも日本サッカーの躍進は喜んでいたし、松山を見かけた時そういえばこいつが全国大会で 活躍していたなあとふと懐かしい気分になり、折角だから自慢のうどんを一杯食わせようと善意を働かせたのである。 中西「一応小学生ん時全国大会に出てたんやで?中西太一って言うデカいGK覚えてへん?」 松山「中西…太一…!?(そうだ!こいつ、食堂で…!)」 彼は完全に忘れていた。約8年前、松山と殴り合いをして圧勝し、恥をかかせた事を。 だが松山はしっかりと覚えて恨んでいた。
[71]2 ◆vD5srW.8hU :2015/05/31(日) 07:14:58 ID:P9T0pqWk バキィッ! ドガシャアッ!! 中西「ぐほぁあああっ!?」 松山「思い出したぞ!ここで会ったが百年目!」 中西「な、何すんねん!ワイがあんさんに何したっちゅうんじゃ!」 松山「何をだと?食堂の借りをここで返すんだよ!」 中西「一体何のこっちゃ!?ばほっ!!」 ドガアッ! ガッシャーン! ベキベキベキッ!! 中西「げほっ…ヒイィイイ!?ワイの、ワイの屋台がぁああああ!?」 松山がプレミアリーグに出発する前の最後の3日間をどう過ごしたかを下に短く記そう。 出発3日前:告白して、失恋して、喧嘩を売り、通報される 出発2日前:中西から示談の提案。少なくない金額を払い、プロ契約金が大分目減りした 出発1日前:ゴシップ雑誌に嗅ぎつけられ、ローカル誌の表紙を飾ってしまう 出発の当日:逃げる様に成田空港に向かい、イングランドに向けて飛び立つ この騒動が原因でまたしても松山は地元のヒーローの筈なのに評判が悪化したと言う。
[72]2 ◆vD5srW.8hU :2015/05/31(日) 08:26:29 ID:P9T0pqWk いったんここまで。
[73]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/01(月) 07:38:40 ID:5kKgHQ8Q 〜早田 誠〜 エバートン。イングランド・リヴァプールに本拠地を置くプレミアリーグのサッカークラブ。 それが早田が戦場として選んだクラブだった。 早田「早田です。ソーダじゃありませんよ、飲めませんからね」 どよっ… チームメイト達「(い、いきなり自分の名前をネタにしやがっただと…?)」「(こいつ、何考えているんだ…)」 早田「(なんでえ、ノリの悪い連中ばっかりみたいだな…ん?あのおっさんがキャプテンだっけ)」 キャプテン「さてさて、分からんぞ…お前はワールドユースでは調子に乗っていた様だが、 プレミアリーグのレベルの高さに飲まれるかも知れん。そうなったらお前は泡の様に 消えるかもな…日本のサッカーブームも一時的なバブルに過ぎんと言う事になるだろう」 早田「(お、こいつは反応出来るのか。それなら)へえ、面白い事言うじゃないですか。 でも先程も言ったでしょう?俺はソーダじゃないって」 キャプテン「ほう。じゃあお前は何なんだ?」 早田「俺はカミソリ。ばっさりと刈り取るんですよ。ボールも名声もな。 だからしっかり泡を立てておかないと怪我をしちまうのは…そっちですよ?」 キャプテン「ほ〜う…」 早田「………」
[74]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/01(月) 07:41:27 ID:5kKgHQ8Q キャプテン「フッ。日本人ってのは礼儀正しくて臆病なヘタレ揃いかと思っていたら お前みたいな生意気な野郎も居たんだな…お前が特別なのか?」 早田「いいや、俺、日本代表では大人しい方ですよ」 ドッ! ワハハハハ… チームメイト達「これでかよ!」「日本って実は悪童の巣窟だったのか?」「ウチも他所の事は言えないだろ」 キャプテン「気に入った!そこまでビッグマウスを叩きやがるんだったらチャンスくらいはくれてやる。 精々プレミアリーグの荒っぽさに自慢のほっそいカミソリを折られない様にするんだな!」 早田「ご安心を。俺のカミソリは二枚刃よ!」 彼は持前の気の強さと要領の良さであっさりとチームに溶け込み、偏見や人種差別の問題を軽減する事に成功した。 キャプテン「よーしこいつは俺からの入団祝いだ。日本には無いだろう?」 早田「ん?なんですこの瓶は…マーマイト?チョコレートペーストですかね?」 キャプテン「見た目はチョコレートみたいなモンだが、塩味とコクがある。イギリスのお袋の味だ。まずはトーストに塗ってみな」 早田「フーン。じゃあ明日の朝食に試してみますよ」 早田「げひゃぶーーーーっ!!?なんだこの味わぁあああああああああ!!!」 ただし、そんな彼もイギリス料理に苦しめられたと言う。海外に住むと言うのは生易しい事ではないのだ。
[75]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/01(月) 07:43:39 ID:5kKgHQ8Q 〜若島津 健〜 スカウトされた海外クラブに何事もなく受け入れられた者も居れば、平和的とは言い難い入団だった者も居る。 同じくイングランドの名門アーセナルに入団した若島津の場合はそんなケースだった。 監督「…と言う訳で彼がケン・ワカシマヅだ。皆仲良くしてやってくれ。君はどう呼べばいい?」 若島津「…どうでもいいです。ワカシマヅでも、ケンでも、お好きな様に」 監督「そ、そうか…」 チームメイト達「(なんだこいつは…)」「(見た目以上に生意気な奴だな)」 若島津はお世辞にも愛想が良いとは言えない男である。それを一目で見抜いた監督は彼がチームメイト達と 衝突しない様に色々気を配っていたが、若島津の方ではそんな気遣いに感謝する気は無かったらしい。 先輩DF「じゃあ、これからよろしくな。バカシマヅ」 監督「おい!やめろ!」 若島津「………」 チームメイト達「あーあ、またアイツか」「でも新入りの態度もな…」 先輩DF「こいつが自分で言った事ですよ。どんな呼び方でもいいって」 若島津「ああ、構わんぞ。弱い犬は良く吠える位しかできないからな」 先輩DF「なんだと…!やるのかテメエ!」
[76]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/01(月) 07:45:13 ID:5kKgHQ8Q 若島津「なら、ボールを用意しろ。殴り合いをしてはクラブを追い出されてしまうからな」 先輩DF「へっ、なんでい。お上品なフットボールなら負けないってか?」 若島津「違う。ボール越しのラフプレイなら、お前が怪我をしても100%お前の自己責任だからだ」 先輩DF「なっ…!」 監督「いい加減にしろ!君たちは金を貰っている以上クラブの財産なんだ!勝手にお互いを 傷物にする事は監督のこの私が許可しない!紹介は済んだんだ、練習前のアップに入れ!」 若島津「はい」 先輩DF「…はい」 若島津が信じるのは力、ただそれだけ。弱肉強食を尊び、強い者に従いつつ自らを高める。 そして敵は全てなぎ倒す。この信条の下では先輩DFにいきなり挑発されても何処吹く風である。 若島津「(プレミアリーグは接触プレイの重要性が高く、またシンプルな攻撃の応酬を繰り返す事が特徴と聞いた。 つまり俺が結果を出しつつ己の長所を更に伸ばすのに向いている環境だ。さて、どれだけの力をつけられるか…)」 チームメイト達「(随分目がギラギラした奴が入ってきたな)」「(偶に居るんだよなー、ああいうの)」 監督「(全く…想像以上に厄介な選手だ。だが私の見立てが確かなら、彼は跳ね返し屋としては 即戦力どころではない。上手く機能させればリーグ制覇の原動力にすらなり得る…! しかし元GKなだけあってクリア以外は何とも心細いな。これから忙しくなるぞ)」 自ら望み修羅道を歩む空手家が今、サッカーの母国で暴力を振るい始めた。更に大きな暴力となる為に。
[77]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/01(月) 07:46:52 ID:5kKgHQ8Q 〜三杉 淳〜 そしてもう一人、激しいフィジカルコンタクトを前提とした攻撃的サッカーで知られる プレミアリーグの門を叩いた元全日本ユースの選手が居た。 フィールドの貴公子、三杉は名門リバプールに入団していた。とある野望と共に。 監督「君がスカウトされてきたジュン・ミスギか」 三杉「はい。今後是非ともよろしくお願い致します」 監督「………」 礼儀正しく挨拶する彼に対し老獪そうな監督はほんの少しの間だけ黙り、ほんの少しだけ片眉を上げた。 三杉にはそれだけで十分だった。 三杉「随分ヒョロヒョロしているな。スタミナも平均以下の様だ」 監督「!?」 三杉「本当にこれでプレミアリーグでやっていけるのか…こんな所でしょうか?」 監督「…ああ、その通りだ。君も選手の分析をやっていたのかね?」 三杉「はい。日本代表では選手兼コーチの立場を監督に指名されていました」 監督「そうか…」 三杉は初対面の監督が彼に持った印象をズバリ言い当ててみせた。 指導者が選手を値踏みする視線と言う物を良く知っていた事、そしてそれ以上に彼には不向きではないかと 思われるプレミアリーグに挑戦する際に必ず言われるであろうと予想していた事項だったからだ。
[78]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/01(月) 07:48:42 ID:5kKgHQ8Q 監督「ならば、解せない事が二つあるな」 三杉「何でしょうか」 監督「まず一つ。何故そんな優れた頭脳を持ちながら、そんなあからさまな弱点を放っておいた?」 三杉「答えは実にシンプル。生まれつきの心臓病と言う不可抗力です。それによって僕は 完治するまでの間、成長期のほぼ全てを不満足なトレーニングしか出来ないまま過ごしました」 監督「そうか…突拍子もない話だが、そんな事で嘘を突くメリットがないな」 三杉「既にチームドクターにこれまでの治療記録を渡してありますよ。いくらでも目を通して下さい」 監督「では二つ目。何故プレミアリーグを選んだ?」 三杉「このフィジカルを改善するまで通用しないし、成長期を逃したツケは大きい。 今から鍛えても上限があるだろう。他のリーグの方がやり易いのでは…と言う事ですか?」 監督「その通りだ。通じないとは言わん。私は既に君のビデオは見ている。そのテクニックや 戦術眼を持ってすればプレミアリーグでも通用するだろう。だが通用するだけで、大成は出来ない。 ウチは取りあえずパスとパスカットに長けたMFが欲しかっただけだ…いずれ用がなくなれば 君を飼い殺しにするかも知れん。あるいは二束三文で売るかも知れん。分かっているだろう?」 三杉「はい。リバプールがプレミア向きではない僕を誘った理由はそうだろうと推測していました」 監督「それにも関わらず、君はウチのスカウトに乗った。何故だ?それが知りたい。 君と話せば話す程嫌な予感がしてくる。何かとんでもない事を企んでいる気がする」 三杉「とんでもない、とは言いませんが…企みはありますよ」 監督「…言ってみたまえ」
[79]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/01(月) 07:51:07 ID:5kKgHQ8Q そして三杉はクラブの監督を抱き込むべく、あっさりとその野望を明かした。 三杉「フィジカルが要らないサッカー。フィジカルでは対応できないサッカー。 フィジカルをいざと言う時の為に節約しておけるサッカー…」 監督「…君は…まさか!」 三杉「プレミアリーグの中で、リバプールだけがこの武器を上手に使いこなしていたら…どうなると思います?」 監督「……………」 三杉「それが僕の企みですよ。僕がプレミアリーグに合わせるのではない。プレミアリーグを僕に合わせるんです」 監督「………その野望、私以外には口に出すなよ。全ては私の管理と責任で行われなければならない」 三杉「勿論。秘密と言うのも武器の一つですからね」 監督「…詳細は後日聞く。使えそうな部分だけ使うぞ。さあ、チームメイト達に挨拶をしてきたまえ」 三杉「はい。それでは失礼します(…手応えあり、だな。辛抱強く、しかし大胆に事を進めればいずれ…)」 ずっと後の時代にこの監督は語る。あの時、三杉が退室してから冷や汗をかいていた事に気付いたと。 弥生「ああ…もうすぐご主人様が帰ってくる…ベッドシーツは完璧…シャワーも…な、縄も… ああああ、もう待ちきれない!早く、早く可愛がって下さいご主人様…!」 三杉がそんな大それた野望を抱く様になったキッカケは知らぬが華である。
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0ch BBS 2007-01-24