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【優勝】キャプテン森崎48【エンディング】
[99]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/04(木) 11:14:30 ID:SuVMKbK2 〜次藤 洋〜 ドイツのプロサッカーリーグ、ブンデスリーガもまた世界に名を馳せる高レベルなリーグである。 このリーグの特色を上げろと言われれば合理性と力強さ、そして精神力の強さあたりが一般的な評価だろうか。 次藤「ヘヘヘ…ジュニアユース以来タイ。ドイツよ、ワシは帰ってきたとね!」 見た目通りの力強さと見た目通りの精神力。そして見た目を裏切る合理的な頭脳を持つ次藤が ブンデスリーガの上位クラブ、ドルトムントの誘いを受け入れたのは必然だったかも知れない。 先輩達「お前が新入りか…」「良いガタイしているじゃねえか」「見かけ倒しじゃねえだろうな?」 次藤「(お、早速先輩達に挨拶ばい。第一印象ば良かせんと)ジトーです。これからよろしくお願いします。 特にFWん人たちなサディストになったつもりでシュートばよーけ撃ち込んでください」 先輩達「おー、言うじゃねえか」「ガッツもあるみたいだな」「ブンデスリーガは甘くないぜ。ヘバるなよ」 次藤「ヘヘヘ…楽しみですタイ」 先輩DF「ところで、お前のその喋り方はなんなんだ?日本訛りか?」 次藤「………うがぁあああああああああ〜〜〜〜〜!!!」 次藤くん強引なドリブル! 先輩DFくん吹っ飛ばされ…なかった。 先輩DF「いてっ!てめえ、いきなり何しやがる!」 次藤「標準語がなんじゃ!!方言の何がダサいタイ!?」 そして彼が言語のコンプレックスで初日からいきなりケンカを売ってしまったのも必然だったかも知れない。
[100]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/04(木) 11:15:38 ID:SuVMKbK2 いったんここまで。
[101]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/05(金) 08:41:47 ID:d18vpdcU 〜中山 政男〜 ワールドユース大会で最優秀DFともなれば引く手あまたと言って良い。 今回その栄誉を得た中山はいくつもの名門クラブからの誘いを受けた。 中山「ナカヤマです。本日よりよろしくお願いします!」 ミッターマイヤー「うむ。キャプテンのミッターマイヤーだ」 そんな彼が選んだのはブンデスリーガの上位クラブ、シュツットガルトだった。 現在彼はドイツ代表選手でもあるキャプテンのミッターマイヤーに挨拶をしていた。 ミッターマイヤー「早速君の事を少し知りたいと思う。いささかぶしつけな質問をしていいかね?」 中山「はい、いくらでもどうぞ」 ミッターマイヤー「まず最初に言っておこう。私はこのクラブに所属している以上、 このクラブで栄光を狙うつもりだ。ブンデスリーガは勿論、ヨーロピアン・カップも制覇を狙う。 それは決して実現不可能な夢ではないと思っているし、当然努力を惜しむつもりもない」 中山「………」 ミッターマイヤー「…だが、現実的に言えばシュツットガルトは今季のリーガ優勝候補筆頭ではない。 トップ5には間違いなく食い込んでいるが、戦力面からの確率論で言えばバイエルンが本命だ。 ましてやヨーロピアン・カップでは残念ながら大穴扱いされるのが客観的な評価だろう」 中山「はい。俺はドイツに来たばかりですが、その評価が妥当だと思います」 ミッターマイヤー「分かっているのなら話が早い。何故このクラブに来た? 君程有望な若手選手なら、もっと上のクラブが声をかけていたと思うのだが… ひょっとして、シュツットガルトに何か特別な思い入れでもあるのかね?」
[102]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/05(金) 08:43:49 ID:d18vpdcU ミッターマイヤーとの会話で中山は何故ここに来たのかと問われる。 それに対する返答は実に彼らしい物だった。 中山「いえ、シュツットガルトには何の縁もありません。ですがこのクラブを選んだ理由は2つ… いえ、3つと言った方が良いかな?ともあれ、理由があるんです」 ミッターマイヤー「ふむ。言ってみたまえ」 中山「まず一つ目。ブンデスリーガの他のクラブに俺が戦いたい相手が居るんです」 ミッターマイヤー「ほう…バイエルンのカール・ハインツ・シュナイダーかね?」 中山「シュナイダーもその内の一人です。他にも何人も居ます」 ミッターマイヤー「他にも何人も、か…よろしい。一人のライバルに傾倒するのは視野が 狭くなるが、複数のライバルを持ち緊張感を保ち続けるのなら有用だ。続けてくれ」 中山は欲していた。自分が知っている強者達との戦いを。 中山「二つ目はコンスタントに、そしてすぐに出場機会が欲しかった事ですね。確かに俺は 超名門クラブからも声をかけられましたが…どんなに努力してもレギュラーになるまでは時間がかかったでしょう。 下手をすれば飼い殺しにされたりレンタル移籍に出されたりするかも知れません。俺は頻繁に戦いたいんです」 ミッターマイヤー「出場機会か。クラブを選ぶ際には極めて重要なファクターだ。あえて出場困難な 環境に身を置き自分を追い込むと言う考えもあるから、どちらが良いとも言えんがな。さて、三つ目は?」 中山は飢えていた。継続的に戦い続けられる環境に。 中山「三つ目は二つ目と似た様な理由ですが…」 ミッターマイヤー「……………」
[103]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/05(金) 08:45:45 ID:d18vpdcU 中山「俺は勝ちたいんですよ。勝たせて“もらう”んじゃなくてね」 ミッターマイヤー「…ほほう。それは確かに既に化物どもが集まっている超名門では出来ないな」 中山は望んでいた。自分の力で勝ち更に強くなる事を。 ミッターマイヤー「求めるライバル達と頻繁にレギュラーとして戦え、そして現実的な確率で 栄光を狙える程度の強豪…そんなクラブを求める君のお眼鏡に適ったのがシュツットガルトか」 中山「はい」 ミッターマイヤー「くっくっく…礼儀正しいのに野心的で、自分をしっかりと定義した上で 他者を正確に見定める。なるほど、面白いな君は。実に面白い」 中山「サッカーは面白いですから、俺もサッカーを面白くしませんとね」 ミッターマイヤー「気に入ったよ。それではその気迫と信念が口だけに終わらぬ様練習に励んでくれ。 そんな心配は要らなさそうだが、一応キャプテンとしては言わないといけないのでな」 中山「はい!粉骨砕身の覚悟で頑張ります!(よし…俺の全てが燃え尽きるまで戦い抜いてみせるぞ!)」 全日本ユースの闘将、中山政男のドイツにおける戦いの記録はこうして始まった。 中山「…ところで、ドイツにわさビーフってありますかね…?」 ミッターマイヤー「わさ…?なんだそれは。ビーフは牛肉の事か?」 中山「いや、すいません、知らないんなら良いです…(やっぱりないのか…)」 ミッターマイヤー「???」
[104]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/05(金) 08:47:12 ID:d18vpdcU いったんここまで。
[105]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/05(金) 11:06:07 ID:d18vpdcU 〜若林 源三〜 若林のワールドユースでのパフォーマンスは活躍したとは言い難い物だったが、 彼は少年時代から既にブンデスリーガの名門ハンブルガーSVに所属しており、 ユース部門でも優秀な成績を出してワールドユース本大会前に既にプロ入りしていた。 カペロマン「おい!おい!天変地異だ!ポブルセンに若い女の子がプレゼント渡した!」 メッツァ「えっなにそれこわい」 カルツ「ほー?物好きな女も居るんじゃのう。で、何を貰ったんだ?」 ポブルセン「ケッ!欲しけりゃくれてやらぁ、ゴミ処理しろ!」 カルツ「おい、流石にそれはモラル的に………縄?蝋燭?」 メッツァ「あ…なんか納得…」 カペロマン「良かった…世界は滅びずに済む…」 ポブルセン「クソ野郎どもが。死ね。苦しんで死ね。10回死ね」 カルツ「…スマン。今のはワシが悪かった」 若林「(馬鹿どもが…)」 そして彼と共にカルツ他ハンブルガーSV所属のドイツユースの主力選手達も トップ入りしているのだが…彼の場合、昔馴染みの仲間達と和気藹々の雰囲気になったりしない。
[106]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/05(金) 11:08:22 ID:d18vpdcU カルツ「あー、ワカバヤシ。お前さんは女っ気はないのか?」 若林「そんな物はない」 カペロマン「すごい即答だな。日本に残していた彼女とか居ないのか?」 若林「居ないし作る気もない」 カルツ「取り付く島も無いとはこの事じゃのう…」 若林が欲するのは実力、勝利、そして復讐。それ以外は非常にストイックな男である。 そんな彼にも出会いや縁が無かった訳ではないが、彼はそれを選ばなかった。 カルツ達は知る由もない。ワールドユース大会後、嫌々里帰りした若林に何があったかを。 若林は家族から呼び出しに近い誘いを受け一時帰国し、実家に滞在していた。 無論彼が望んだ事ではない。家族達との腹の探り合いと遠回しな嫌味の応酬の為である。 最早彼はそれに慣れっこになっており、面倒くさいと思うだけだった。 若林家女中「…いい加減にしてください!何故そこまで坊ちゃまを苛めねばならないのですか!」 若林「………?」 彼の代わりに感情の奔流を抱き、それを決壊させたのは彼の幼少期から若林家に仕えていた女中だった。 かねてより若林が家族と冷え切った交流を強制されていた事に不満を抱いていた彼女は 勇気を爆発させ若林を庇ったが、それによって彼女が得られたのは若林の怪訝そうな表情。 若林家当主「…君はどうやら暇が欲しい様だね。1時間以内に荷物をまとめなさい」 そして何時の間にか近くにあったゴミに気付き不快になった…そんな表情の雇い主からの宣告だった。
[107]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/05(金) 11:10:25 ID:d18vpdcU 若林家女中「!!?」 若林夫人「何を驚いているのです。早く行かねば警備員に摘み出させますよ?」 若林「……………」 彼女に出来る事はそれだけだった。決死の覚悟の苦言は雇い主達には無意味な雑音としか受け取られず、 庇われた若林も彼女を庇い返す素振りなどまるで見せずに黙っているだけだった。 一時間後、誰にも見送られる事なく彼女は屋敷に向かって一度だけ深く礼をしてから立ち去ろうとした。 若林「馬鹿な事をしたな…」 元女中「坊ちゃま!?」 塀の外で待っていた若林が声をかけたのはその時だった。 若林「もう坊ちゃまと呼ばれる歳でもないし、呼ばれる関係でもなくなったがな」 元女中「…そうでしたわね…もう、お呼びしては駄目ですか…?」 若林「したいなら好きにしていいが…そこまで俺の事が特別だったのか?」 元女中「…はい。坊ちゃまにとって私は沢山居る使用人の内の一人にしか 過ぎなかったのかも知れませんが…私にとって、坊ちゃまは特別です」 若林「ますます理解が出来なくなったな。俺はあんたを我儘で困らせた記憶しかない。 ある程度の親近感を抱いていたとしても、俺を親父達から庇おうとするなんて夢にも思っていなかった」
[108]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/05(金) 11:11:59 ID:d18vpdcU 元女中「はい、あなたは昔からとても我儘でした。まだ仕事に慣れていなかった私は 幾度も幾度も困らされた物です。そしてその度に、貴方だけはこの家の方でも人間臭く感じた物でした」 若林「…人間臭さ、か…」 元女中「あなたが急にドイツに発って以来、私の胸にはぽっかり穴が開いた様でした。 この寒い寒いお屋敷の中で唯一の暖炉が消えてしまい…そしてたまにお会いする度に あなたが段々旦那様達に似てきて、あの冷たい会話にも耐性が出来ていくのを見るのは とても辛かったのですよ…そんな綺麗な笑顔をしないで、そんなに簡単に嫌味を聞き流さないで、と…」 若林「……………」 ある時は絶対的なガキ大将。ある時はサボリ癖のついた問題児。ある時は復讐に燃える青年。 ある時は諦めと義務感を漂わせる無表情。ある時は見事な作り笑顔と心の籠もらない美辞麗句。 若林が見せてきた顔はそんな物ばかりだったが、それ以外の顔と心を知る者も居た。 ありのままの彼を見知り、ありのままの彼を受け入れた女が今ここに居た。 若林「そこまでさせてしまったのなら、男として責任を取らねばな」 元女中「えっ?」 それを理解した若林は苦笑と共に一枚のカードを差し出した。 若林「ハンブルガーSVで稼いだ金が入っている。親父達がどれ位払っていたかは知らんが、 多分今まで貰った額より多いだろう。ああ、俺の事は心配するな。試合で勝つ度に数百万円貰える」 元女中「えっ?………えっ?」 突然差し出された大金と責任を取ると言う宣言に彼女は驚愕し、やがて少しずつ頬を染めて行った。
[109]2 ◆vD5srW.8hU :2015/06/05(金) 11:13:43 ID:d18vpdcU 元女中「…あの。これは、ドイツについてこい、と言う意味で…?」 若林「違う。今までの礼と、さっき庇わせてしまった埋め合わせだ」 元女中「………そう、ですか…」 だが若林は彼女が期待した程の優しさは見せず、彼女を突き放す。 若林「俺は若林源三。あんたが大嫌いな若林だ。そしてそれを変えたくもない」 元女中「…もう、居ないのですか?私に和菓子を強請っていたあの腕白な男の子は…」 若林「ああ、居ない。俺の人生の歩み方は既に決めてあるし、実家や家族の事などどうでもいい。 そしてあんたを俺の人生の一部にする事も出来ない。俺は若林でありたいからな」 元女中「………わか、り、ました…っ…お世話に、なりまし…ひぐっ…ぼっちゃ、ま………」 若林「…さようなら、ねえや」 自分すら幸せにしていない男がどうやって他者を幸せに出来ようか…それが若林の決意だった。 若林「(…どんな形でもいい。人生を上手くやり直してくれ。そして早く俺の事など忘れてくれ)」 カルツ「(時々こいつはやたらと深い表情をするんだよな…何を考えているのやら)」 友の数は少なく、愛は尚得られそうにない。それでも若林は己の生き様を貫く。 若林「(どれだけ泥に塗れようと、どれだけ差をつけられようと…俺は森崎に勝つ)」
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0ch BBS 2007-01-24