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【影の役者】鈴仙奮闘記30【天才の相棒】
[660]鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/15(土) 18:00:43 ID:??? 中里「ぬ、ぬうっ……! 少し、遅かったでゴザるか……!」 パチュリー「――今のは肝が冷えたわ。もし貴方が一秒早く跳んでいたら。 私のパスですらも弾かれていたでしょうね」 実況「中里選手は自慢の身軽さを活かしてパスカットに向かいましたが……! しかし、これは後僅かでパチュリー選手の出したセンタリングに届かない! ボールは予想通り、フランドール選手の頭上へと渡ります!」 萃香「えへへっ、来たね吸血鬼妹! ひっさしぶりに私の『ミッシングパープルパワー』が火を吹くかね、こりゃ。 それとも――私の四天王奥義の出番かな?」 天子「ちょっと、私を忘れないでよね。私はブロックもかなり固い!」 玄爺「………」 森崎「(……………フランドールのシュート、か。あれは俺も見た事はあるが確かに中々のシュートだったな。 あれは俺でも、全力じゃないと完璧にキャッチするのは難しい。 弾くだけなら『がんばりダイビング』でも可能だが……レミリアがねじ込みに来ているのも不安、材料……?)」 フラン「よーっし、いっくよーーーっ!」 グワァァァァァァァァァァァアアアアアッ! 実況「で、出た〜〜! 出た出た出た〜〜〜! フランドール選手が高いボールに動きを合わせて右脚を鞭のようにしならせ飛び込んで行った〜〜! これは間違い無く、自慢の『495年の波紋』の体勢! 博麗連合、ここで守れるか〜〜!」 ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ! 森崎「(………いや。違うな。――何かが、おかしい)」
[661]鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/15(土) 18:02:58 ID:??? 森崎「(……紅魔の妹は狂気の妹。普通に考えれば狂気に任せてシュートを撃つに決まっている。 ……筈だが、こいつ。――妙に聞き分けが良すぎないか……?)」 ――フランドールのシュートに対し、観客が騒ぎ、実況が煽り、仲間選手が警戒する中。 この試合ゴールを任されていた森崎は、スローモーションになる光景の中で、 自慢の小賢しい頭をフル回転させていた。 森崎「(……それだけじゃない。フランドールは低空からのシュートを得意とする筈なのに、 パチュリーが上げたさっきのセンタリングは高すぎる。 あの中里をも退けるレベルのパスを撃てる奴が、こんな雑なミスをする訳がねぇ)」 レミリア「(――我ら紅魔は如何な相手だろうと全力で叩き潰す。 けれどその『全力』とは、常に正々堂々公明正大、馬鹿正直で猪突猛進とは限らないのよ……)」 森崎「(そして……アイツの。レミリアの微妙な表情の動き! こいつは間違いねぇ!) ……萃香! これは罠だ! クリアに向かえーーーーーーーっ!」 萃香「へ? クリア!? ……まぁ、別に私の取り柄はブロックだけじゃないけど……さっ!」 バッ! グワアアアアアアアアアアッ……! 視界の隅で、レミリアがほんの僅かに唇を歪ませたのを見て森崎は確信した。 だから、自信を持って、前方の萃香に対してそう指示を出せた。 フラン「え? こ、ここで……ここで来るの!?」 萃香「良く分からんが、お嬢ちゃん。この私が競り合うからには、タダでは帰さないよ!」 グッ! グググッ……ポーーンッ!
[662]鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/15(土) 18:04:26 ID:Oahb6gRA そして、完全に想定外な萃香の動きに対し、フランドールは焦りに動きを強張らせた。 それが隙だと言わんばかりに、萃香が容赦なく空中でフランドールの華奢な身体にチャージを浴びせる。 無論、彼女とて吸血鬼であるため、如何に鬼の四天王が相手であっても一方的にやられるだけでは無かったが。 ――しかし、虚を突かれた事もあり、ボールを後方へと零してしまった。 レミリア「……ほう。良く分かったな、私達の狙いが」 森崎「何勿体ぶってんだよ。こんなの、サッカーの世界じゃ常識だろうが」 レミリアは低いボールに動きを合わせつつも、心底驚いたように目を丸くして森崎と対峙している。 そんな彼女を森崎は嘲笑った。 森崎「フランドールはあくまで囮。本当は高いボールをスルーさせて、 俺が体勢を崩した所を、お前が決めるつもりだったんだろ? あの狂気の妹がかくも献身的なプレーをする訳が無い、という心理的ミスリードのつもりだったのかもしれないが。 ハッキリ言って、バレバレだ。ミステリー小説だったら三流、いや……三十流もいいトコだぜ」 グワアアアアアアアアアアアアアアッ……! レミリア「――ならば今度、パチェに頼んで古今東西のミステリー小説を掻き集めて貰おうかな。 だが、それはそれ、これはこれだ。……狙いは外れたが、ここで私がシュートを決めれば同じだろう?」 森崎「本気でそう思ってるんだったらおめでたいぜ。だったら俺を止めてみろ」 レミリア「ハハハ。ただの人間が、吸血鬼を前にしてその余裕か。 紅霧異変の時に我が館へと特攻して来た、どこかの白黒を思い出す」 森崎「俺をあんなヘタレと一緒にすんな。それよりも俺は心配だぜ。 お前のそのカリスマぶった態度が、俺のせいで粉々にブレイクしてしまう事がな!」
[663]鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/15(土) 18:10:09 ID:??? 実況「あ……ああ〜〜〜っと! これはどうした事でしょう! フランドール選手へのセンタリングは、実はシュートでは無くレミリア選手へのスルーが目的! しかしそのスルーにいち早く察知した森崎選手により、その狙いは外れた! ですが……ですが、脅威の身体能力で飛びついたレミリア選手が諦めず、低空でのダイレクトシュートに向かっています! そして……今! 両雄が真正面でぶつかりあった〜〜〜〜〜!!」 レミリア「――紅く焼き尽くしてくれる、『ダイレクトレッドサン』ッ!」 森崎「――ふざけろ、三下! これが俺の……『がんばりセービング・改』だッ!」 ……バッ、シュウウウウウウウウウウウウウッ! ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ! ―――バァァァァァァァァァァアッ! レミリア「HAーーーーッ!」 森崎「うおおーーーーーっ!」 ……かくして、紅帝は初めて狂王と衝突した。 ダイレクトで放たれた事で威力を増幅されたマスターオブレッドサンが、 森崎のどてっぱらをぶち抜こうと加速し燃える。 その勝負は互角であるかにも見えたが――だがしかし、実は違った。 レミリアが低空シュートに向かい、森崎が全力でのセービングに出た時点で、 この両者にはある程度の実力差があった。そして、今回は――その実力差通りの決着となった。 ……すなわち。 ゴオオオオッ………――――ガ シ イ イ イ イ ッ! レミリア「………ッ!」 森崎「……取ったぜ。お前の負けだ、レミリア・スカーレット」
[664]鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/15(土) 18:11:39 ID:??? ……と、言ったところで一旦ここまでです。 続きは深夜までには更新します。
[665]森崎名無しさん:2015/08/15(土) 18:37:19 ID:??? まあジュニアユース直後の森崎のセービング値は明らかにおかしいからなw
[666]森崎名無しさん:2015/08/15(土) 18:50:36 ID:??? 一人だけ別世界に足を突っ込んでた状態だったからなぁ・・・
[667]鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/16(日) 01:59:30 ID:??? 更新を再開します。 >>665-666 流石にJr.ユースそのままだったら無理ゲーですので、 あれよりは弱くなってますが、それでもこれまでのGKと比べて規格外な強さになってます。
[668]鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/16(日) 02:01:44 ID:??? ワッ……ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!? 観客席から戸惑いも籠った絶叫が鳴り響く。しかし、これも無理のある事では無かった。 ――燃え盛る太陽のシュートは、森崎の掌中に完全に収まっていたからだ。 森崎有三は、幻想郷最高のストライカーであるレミリア・スカーレットに対し……完勝した。 実況「……す、凄い……! これは夢でも見ているのでしょうか! 確かに、確かに森崎選手は前の試合でも星熊勇儀選手が即席で生み出した 倍速二回転大江山嵐――『零歩必殺嵐』を防いだ実績もあったため、 決して今のプレーも不思議ではありません! ですが……やはり何度も見ても凄い物は凄い! 更に凄い事は、この森崎有三という選手は妖怪でも神でも亡霊でも何でもない! 何の力も持たぬ、ごく普通の人間なのです! 人間が、鬼や吸血鬼に勝利したのです!!」 観客「森崎って奴、そんなにすごかったのか!?」「俺、守備嫌いなFWだとずっと勘違いしてた!」 「勇儀姐さんだけじゃなく、レミリアさんのシュートも防ぐなんて……」「もっりさき!」「もっりさき!」 中山(観客席)「少し厳しいシュートだったが……森崎ならばあの程度の水準のシュートは、 これまでも真正面から受けて来ている。勝利は順当だったろう。 無論、あいつでも完璧に防げるかどうかは五分程度だっただろうが……。――ここは、あいつの勝負強さが出たな」 鈴仙(観客席)「(中山さん、嬉しそう……やっぱり森崎君と親友なだけあるわねぇ。 しかし、それにしても……あれが森崎有三! 改めて、本当に規格外のGKだわ……)」 輝夜(観客席)「(えーりんを呼んでも防げる自信が無いわね……アレ。決勝に来たらどうしよ)」 永琳(観客席)「……威力として、レミリア・スカーレットの『ダイレクトレッドサン』は、 星熊勇儀の『零歩必殺嵐』に比較して高くない。 怒りによって、その力が増幅されていたという事実を加味してもね」 慧音(観客席)「だが……レミリア・スカーレットは幻想郷サッカー史でも最古参の選手だ。彼女を信奉している人妖も多い。 だからこそ、星熊勇儀のシュートを防いだ事以上に、今の森崎のセービングは驚きに映っただろう」
[669]鈴仙奮闘記 ◆pXM64Uz50c :2015/08/16(日) 02:03:04 ID:??? レミリア「――サッカーは強い者が勝つんじゃなくて、勝った者が強い。 だから、お前の勝利は偶然じゃなくて運命なんだろう。 ……忌々しいけどね」 森崎「(……こいつ。『アイツ』と同じような事を言ってやがる)――へっ、負け惜しみはそれだけか?」 レミリア「もし私の作戦が嵌ってたら勝ってた。私はダイレクトよりもバイシクルの方が上手い。 運が悪けりゃあんたが普通に負けてた。さっきのシュートはちょっと調子が悪かった。 私は夜行性だからお昼だと眠くてやる気が出ない。新聞の占いが最下位だった。……えっと。後は」 森崎「思ったより多いな……。――ま、吠えてろ。お前が無駄口を叩けば叩くほど、俺の価値は上がるんだからな」 レミリアの超然とした態度に苛立ちながらも、森崎は早速の次の手を考えていた。 勿論、自分がこれから活躍して目立つ為の手である。 森崎「(さーて。そろそろオーバーラップでもするか? それとも寝釈迦ポーズで敵の神経を逆なでしようか? いやいやそれともゴールバーで懸垂してセーブ力の練習でも始めようか?)」 そしてその手には、一見して奇行にしか見えない……いや、奇行そのものが多々ある。 むしろ奇行じゃない手の方が少なかったりする。 森崎は練習の合間に付け足している脳内の奇行ノートから、とっておきのヤツを取り出そうとして――。 ズキィィッ……! 森崎「……ッ!」 ――鋭く走った、自身の腰の痛みによって、その思考は中断された。
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0ch BBS 2007-01-24