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【影の役者】鈴仙奮闘記30【天才の相棒】
[695]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/18(火) 00:51:09 ID:??? その後、レミリアは空中で一回転。後方から向かってくるボールに照準を合わせ、 小さくスラリとした足を、空に向けてピンと伸ばしてみせた。 レミリア「みっつめは先の試合でも見せたし、何よりフランが居ないと撃てないから置いといて。 ……今からお前に見せるのは二つ目のシュート。『バイシクルレッドサン』。 これは『マスターオブレッドサン』を、オーバヘッドキックの体勢で撃つだけの簡単なシュートだけど……。 威力は、こちらの方が大きい。まして、貴様への借りで怒りに震えている現状ならば――そうね。 何の制約も無く個人で撃てるシュートとしては、今大会最強になるんじゃないかしら?」 森崎「――微妙な条件付きの最強だな。案外大した事ないんじゃねぇの、それ?」 レミリア「フフ。……そう思うのならば、まずは括目あれ!」 フワァァッ……グルンッ! 軽口を叩く森崎を無視して、ボールが足を通り越した次の瞬間、 レミリアの脚がカタパルトのように機械的に、しかし正確に力強く振り下ろされた。 シュートを撃つ間際、彼女は短く吠えた。 レミリア「――――――――――H A!」 バッ、ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ! ドギュルウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!! 森崎「(……なっ!)」 この時、森崎は初めて戦慄した。否、戦慄することができた。 生物として当然持つべきである生存本能が働いたのだ。 限界を超えたセービングの為に、無理やり封じ込められ鈍っていた森崎の自己防衛欲求を、 レミリアの人智を超えたシュートは、呼び覚ませてくれた。 しかしそれは、森崎にとってある意味では不幸だった。
[696]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/18(火) 01:00:10 ID:??? 森崎「(……く、くそっ! しまった! 身体が一瞬引き攣ってしまった。 あのシュートを食らえばバラバラになる。たったそれだけの恐怖に引きずられて、動きが鈍った!)」 森崎はレミリアのシュートに対し、万全の体勢でセービングに行けなかった。 威力自体は今の『バイシクルレッドサン』も、先ほどの『ダイレクトレッドサン』も、劇的な差は無いにも関わらず。 だからこれはある意味では偶然だったし、もしかしたらこれまでのセービングによる疲労が遠因かもしれない。 ただ、兎にも角にも、森崎はこのシュートへの動きが遅れた。 そして、超一流クラスにおいてその遅れは命取りだった。 森崎「(同じだ。シュナイダーの『バイシクルレッドサン』と……! 殆ど、同じだ!)」 森崎は恐ろしくも気高いレミリアの横顔に、圧倒的な技巧とパワーにかつてのライバルを想起した。 それが現実逃避であると分かっていても、そうしてしまうだけの力が今のレミリアにはあった。 森崎「(……ポスト! ――は期待出来ん。シュートコースは正面下! 枠外やバーも期待は出来んだろうし、そこにぶち当たるようなしょっぱいFWじゃない、あいつは。 だから――要するに、俺が防げないと、負ける! 点をとられちまう!)」 万事休す。森崎の脳裏にそんな単語がよぎった。 世界一の負けず嫌いで弱気が存在しない森崎すら、今のこのシュートはお手上げだった。 ―――――――――――――ゴッ! 強い風が吹き抜ける。いや霧だったか、それとも雲か。雪かもしれない。 それはレミリアのシュートが空を切った際に生じたつむじ風だったろうか。 森崎の意識はその風を受けて、ほんの一瞬だけ飛んでしまっていた。
[697]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/18(火) 01:01:34 ID:??? レミリア「やったか!?」 ……と、言ったところで今日の更新はここまでです。前半はこれで終了となります。 後ろから来たボールをそのままオーバーヘッドするのは難しそうですが、その辺りはお目こぼしください(汗) 皆様、本日もお疲れ様でした。
[698]森崎名無しさん:2015/08/18(火) 02:05:01 ID:??? フラグ乙
[699]森崎名無しさん:2015/08/18(火) 03:52:16 ID:??? 万事休すとかもあるし、体のどこかに当たってくれセービングかな。
[700]森崎名無しさん:2015/08/18(火) 05:57:58 ID:??? シュナは森崎の前でバイシクル作ってないんじゃ?レッドサン違うし
[701]森崎名無しさん:2015/08/18(火) 12:23:47 ID:??? がんばりセービング・改と悟りセービングT(ガッツ回復)・U(一定確率でセーブ成功)の合体技かな? 鈴仙「なにそのチート技」
[702]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/19(水) 00:49:14 ID:??? こんばんは、更新します。 >>698 フラグ乙ありがとうございます。 >>700 すみません、凡ミスと筆が滑りました(汗) レミリアにシュナイダーの影を感じたという事を言いたかったので、 ×:森崎「(同じだ。シュナイダーの『バイシクルレッドサン』と……! 殆ど、同じだ!)」 ○:森崎「(同じだ。この力強さ、蹴り出し、そして気高さ……! アイツと――シュナイダーと……!)」 などと、脳内変換して頂ければ幸いです。 >>699,701 森崎じゃなくて仲間も活躍した! ……という風に書こうと思ってます。 今回については、流石に新セービングはないです。そっちのが絶望感があって良いかもですが(笑)
[703]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/19(水) 00:51:36 ID:??? レミリア「……やったか!?」 シュートが放つ圧力による酸素欠乏で倒れた森崎を尻目に、レミリアは空中で思わずそう小さく叫んでいた。 森崎の全力と自分の全力はほぼ互角。ならば、どちらが最後に立つかどうかは、完全なる運否天賦の世界。 そして結果として、レミリアは森崎よりも長く立っていた。 レミリア「(試合時間は……もう残り十数秒。この段階で同点に追いつけたのは大きい!)」 飛び出し気味の位置に居た森崎が倒れ、もはやシュートを邪魔する者は誰も居ない。 粘り強い攻めはスカーレットムーンズの体力を大きく削いだが、 しかし今、それが成果となって同点へと結びつこうとしている。 レミリア「フランが強烈なシュートを放てなければ、今回の攻撃はそこで終了していた。 咲夜がロングシュートを放たなければ、ブロックに向かうDF陣の戦力を削げなかった。 パチェが身を削ってシュートを撃たなければ、森崎の体力は削げなかった。 美鈴がクリアを成功してくれなければ、そもそも私にボールは回らなかった。 そして……小悪魔や中国(陸)。それに他のメイド妖精達が居なければ、この局面はそもそも訪れなかった。 ――どうだ博麗連合。どうだ人間共。これが我ら紅魔の力。夜の住民たる悪魔の矜持だ!」 フワッ……バサッ。 そう宣言しながらオーバーヘッドの体勢で、そのまま背中から地面に倒れこむレミリア。 彼女は強い力を持ちながらなお、仲間の結束を信じ切っており――そして、それを最高の形に創り上げた。 霊夢「……凄いわ、レミリア。――私、自分がさっき魔理沙にムキになったのが恥ずかしくなる」 レミリア「おや、やけにしおらしいじゃないか、霊夢? とうとう私の軍門に下る気になった?」
[704]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/19(水) 00:53:53 ID:??? そんなレミリアに、霊夢は何時の間にかゆっくりと歩み寄っていた。 前半終盤から今までの彼女達の攻撃は、今の霊夢には無いものであり、純粋に興味を覚えていたからだ。 しかし、彼女がレミリアの元へ歩み寄ったのは、別の理由が主だった。 霊夢「だけど……この勝負、あんたらの負けよ。 今回はたまたま森崎には勝てたかもだけど、ウチのチームにはもう一人、バケモノが居るからさ」 レミリア「……え?」 霊夢はレミリアに同情していたのだ。彼女達はただでさえ強い上に、仲間と結束し、努力も重ねた。 これが漫画か小説ならば、間違い無く今回はレミリア達が勝つべきシーン。 いや、実際に彼女達は、運の要素も混じっていたとはいえ、最大の敵に勝利した。 それを、……ここで突然、雑魚と思っていた者がしゃしゃり出て来て滅茶苦茶にひっくり返したとすれば、 その物語は面白いだろうか。しかし、今の試合は物語では無い。きちんと現実に行われている試合である。 ――よってレミリア達は、面白かろうと、面白くなかろうと。 何時の間にか眼前に広がっていた、この現実を受け止めなくてはならなかった。
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0ch BBS 2007-01-24