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【もう昨日には】鈴仙奮闘記32【戻れない】
[558]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/06(金) 00:50:47 ID:??? ……――ピィイイイイイイイイイイイイイッ!! 試合再開のホイッスルが鳴っても尚、鈴仙の思案は止まらない。 鈴仙「(――もしも中山さんやパスカル君が、今の魔理沙みたいな事が起きたらどうなるかな)」 中山ならば、笑うよりも先に、足を取り戻す手段を画策するだろう。 パスカルならば、色々と考えて、最初から足を失わず成功する手段を思いつくだろう。 では、鈴仙ならば。自分だったらどうするだろうか。 鈴仙「(……うん。やっぱり私は、そこまで割り切れない。 きっと途中で逃げ出すか、逃げる隙すら見失って。それからウジウジ後悔してそう)」 ――そう考えて、鈴仙はこれまでの成長を経てもなお、自分は中山やパスカルのように強くないと思った。 鈴仙「(――そもそも私がここまで努力して来れたのも。 この大会においてここまで目覚ましい成績を挙げられたのも、全部他の誰かのお蔭だもの)」 鈴仙は魔理沙や森崎達のように、自分一人だけで強くなった訳ではない。 中山とパスカルに導かれ、てゐや佳歩達と共に成長した鈴仙は、 仲間との結束というある意味では大きな力を得るに至ったが、しかし仲間は永遠に鈴仙の傍に居るとは限らない。 鈴仙「(――プロジェクト・カウンターハクレイだとか、リアル・幻想・セブンだとか。 この大会が終わった後にも色々な道があるけれど……そのいずれを選ぶにしても、 今の永遠亭ルナティックスのメンバーでサッカーをする事はできない。その時に、私は――大丈夫なの?)」 鈴仙は強くなった。それは間違いない。 しかしその強さは、中山や森崎が伝え、魔理沙が実践しようとしていた強さとは少し異なっていた。 魔理沙の姿を見てそれをハッキリと悟った鈴仙は、自分の進むべき道を見失いかけていた。
[559]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/06(金) 00:54:12 ID:??? ――バシッ、バシッ、バシッ。 てゐ「これが最後だ。いくよ、『エンシェントデューパー』!」 バシュッ、ギュンギュンギュンッ! アリス「……と、取れないわ!」 衣玖「やはり駄目……でしたね」 鈴仙がこう思いを馳せる間にも、パスワークは恙なく継続している。 途中アリスや衣玖によりパスをカットされる事も数度あったが、 その度に厚くした中盤の守備陣でボールを奪い返していたため、 ルナティックスが窮地に陥る事はほぼ全くと言って良い程無かった。 霊夢「…………」 また、魔理沙を失った霊夢のプレーが明らかに精彩を欠いていた事が、 ルナティックスのこうした状況を大いに支えている事も明らかだった。 バシッ、バシッ、バシッ……。 ――そして、時間は流れて後半戦も残り僅かとなっても尚、 博麗連合は決定的なチャンス一つすら作れないでいる。 試合は既にクライマックスを終え、後は消化されるのみとなっていた。
[560]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/06(金) 00:55:16 ID:??? ――と、言ったところで非常に中途半端ですが、今日の更新はここまでにします。 明日はシュートシーンをやって、出来れば試合終了までやっていきたいと思います。 それでは皆さま、本日もお疲れ様でした。
[561]森崎名無しさん:2015/11/06(金) 18:54:36 ID:??? 姫様、カグヤファンと遊びすぎて疲れるの巻
[562]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/06(金) 22:00:02 ID:??? すみません、今日は早く帰ってこれたのですが、ちょっと風邪を引いたので更新お休みします(汗) >>561 そういや実際姫様ってポストを呼ぶ以外ほぼ何もしてないですね…w
[563]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/07(土) 23:36:44 ID:??? そして、ここまでの一連の流れを見た、試合を観戦していた多くの観客達はと言うと。 ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!! ブウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!! 観客「なんだよ博麗連合!」「もっと頑張れよ!」「博麗の巫女って案外大したことなくね?」 「時代はやっぱり鈴仙とか中山さんとか……だな!」「おいおい、パスカル君忘れんなって!」 「俺達人間も、頑張ればああなれんのかな」「私達妖精も?」「頑張れば鬼とかに勝てる……?」 「ああ! サッカーに人間も妖怪も、種族の貴賤も関係ないって事だ!」「このまま勝てー! ルナティックスー!」 ――耳をつんざく様な歓声と、耳をつんざくような罵声を交互かつ同時に行うのみとなっていた。 そして歓声の全てはルナティックスに向けられており、罵声の全ては博麗連合に向けられていた。 それも当然だった。 博麗連合は既にキャプテンの霊夢を始めとして、多くのメンバーが既に戦意喪失状態。 この中で唯一最後まであがきそうな選手である森崎は極度の疲労。 その一方で、ルナティックスの選手達は未だ高いモチベーションで精度の高いパスワークを行っている。 実況「試合は……間もなくロスタイムに入ります! 幻想郷のあらゆる勢力が結集し、そして力を競い合った全幻想郷選抜大会! その決着が、もう間もなく、後5分足らずで決してしまうのです! しかもその決着は恐らく前代未聞! なんと常勝・博麗連合では無く……永遠亭ルナティックスが! 博麗の巫女が率いないチームが、大きな大会において優勝の栄冠を勝ち得るという歴史的瞬間を、 我々幻想郷のあまねく人間、妖怪、妖精、妖獣、その他種族からなる観客達は見る事になるのです!」 ――ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!! モリヤスタジアムに萃まった数千数万ものあまねく種族達は、 もはや感情すら置いてけぼりにして、歴史が、幻想郷が変わる瞬間を心待ちにしていた。
[564]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/07(土) 23:38:03 ID:??? 〜モリヤスタジアム・上空〜 藍「紫様、もはや結界の歪み、ズレ、破綻は無視できないレベルです!」 紫「……そう」 藍「無礼は承知で申し上げますが、紫様の計画は……完璧に破綻しました」 紫「…………」 観客達の熱狂は、幻想郷と外界とを隔てる結界にも干渉し始めていた。 そもそも幻想郷の結界というものは常識の境界。 外界において常識があるなら、非常識が幻想郷の理となり。 外界において否定された存在があるなら、それは幻想郷において肯定され存在し得る。 そして外界において、ある常識や存在の否定の度合いが強くなれば強くなるほど、幻想郷の境界は強くなる。 藍「異変の元凶である中山政男は当初、外界における常識――努力の概念や種族間の平等――を幻想郷に持ち込んだ。 鈴仙・優曇華院・イナバは中山政男が持ち込んだ常識を拡散・強化させた。 アラン・パスカルがこの二人を強化したという件については、今回は据え置くとして。 それら一連の行為は、幻想郷と外界との常識の均一化を図るという時点で、結界の弱体化に繋がりました」 藍は黙して動かぬ主に対し、これまでの現状を整理するかのように語りだす。 藍「また、中山政男の思想は、幻想郷の人間と妖怪の在り方についても変革を及ぼすものでした。 努力すれば、弱い人間でも、強い妖怪に勝てるという思想は、 人間は妖怪を恐れ、妖怪は人間を襲う。そして異変は巫女が解決するという、幻想郷における秩序に影響を来します。 そうなるといずれ人間は成長し、内側から結界の破壊を行う事になるでしょう。今の観客達のように……。 ――結界そのものへの直接攻撃と、結界の内側に暮らす住人を介した間接攻撃。 この二つの力により、幻想郷の秩序と、それを支える結界には大きな負荷が掛かっております」
[565]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/07(土) 23:39:30 ID:??? 紫「藍。話が長い。……それでどうして、私の計画が破綻と言うのかしら?」 藍「――失礼しました。紫様の計画について、話を戻します。 紫様の計画は、先程に申し上げた二つの力を防ぐために設けられたものです」 紫の発言には普段の叡智に溢れる鋭さは無かった。 しかし彼女からの鈍い叱責を受けてもなお、藍は主への忠誠を失う事なく続ける。 藍「紫様は、中山政男の思想が陳腐なものであると認定するため。 そして『異変は巫女が解決する』という、幻想郷の秩序の形を再現するため、この、全幻想郷選抜大会を開催しました。 ……いや、当初はもっと大きな計画だった筈です。 世界の強い人間を集めた大会を更に開き、それを霊夢率いる幻想郷選抜メンバーが倒す。 それにより、幻想郷の秩序を再確認し、結界をより強固なものにするという」 紫「……そうね。そうだったかしらね」 藍「――ですが、現実は違った。 中山政男の思想は受け入れられ否定されず、巫女は異変を解決できなかった。この試合展開が、全てを物語っています。 また、それだけではありません。私達の敵は、中山政男だけではありませんでした。 豊聡耳神子が中山政男の思想を一部利用し人間を煽り立て、 日向小次郎がヒューガーという企業を介し、幻想郷の資本主義化――外界の常識との同化――を助長した事実は、 中山政男程の影響力こそ無いにせよ、結界と幻想郷の住人に大きな影響を与えています」 藍は紫の衰弱は、乱心はヒューガーが原因であると断じた事もある。 彼らの高い科学技術が、幻想と現実との境界を誤らせ、恐怖を否定したのではないか――と。 確かにその側面は否定できないにせよ、今の彼女はそれだけでは説明が付かないまでに衰弱しているのだが。
[566]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/07(土) 23:41:29 ID:??? 藍「私の計算では、……幻想郷と外界とを隔てる結界は、この大会が終了した後、恐らく間もなく崩壊するでしょう。 そこから先、妖怪達は、人間達は……どうなるか、私には皆目見当がつきません。 外界の富を得て、新たな進化を遂げるか、新たな文化と常識に適応できず消え去るか。 ――いずれにせよ分かる事はただ一つ。 紫様が愛し、私もまた愛した。そしてもしかしたら、他の皆が愛した幻想郷は、その形を大きく変える事になるという事のみです」 紫「……もう昨日には、戻れないのね」 紫は先程までよりは穏やかな口調で、藍の結論を一言で纏めた。 藍は静かに頷きつつ紫に近づき、彼女の自分以上に細い身体を静かに抱き寄せようとした。 そうでもしないと、彼女がどこかへ消え失せてしまいそうだったからだ。 主に対する無礼だとか、そうした事を考える余裕は今の藍には無かった。 ――しかし。 紫「――藍、待ちなさい。貴女の発言はおよそ正解だけど……間違いが一つある事に気付いたわ」 藍「……!?」 その折、紫が下界を見下ろしながら、かつての煌めきを取り戻しつつそう言い放った。 唐突に覚醒したように、ビクンと体を震わせた彼女の姿に、藍は思わずたじろぐ。 動揺を見せた藍に対し、紫は上機嫌で――遥か下界のフィールドを指差した。 紫「貴女は私の計画が『完璧に』破綻したと言ったけれど。正確には――『半分は』破綻しただけだったみたいよ?」 紫が指差した先には――博麗の巫女が居た。 しかし彼女は魔理沙を失って以降プレーに精彩さを欠き、観客から罵詈雑言を浴びせられていた筈だ。 それにも関わらず何故、主は博麗の巫女を見て『半分は』成功したと言えるのだろうか。 藍「――こ、これは。彼女が放たんとしているシュートは、もしや……!?」 藍が抱いたその疑問への答えは、巫女の表情と――彼女が試合終了間際に放ったシュートが、的確に表していた。
[567]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/07(土) 23:45:16 ID:??? 藍「中山さんとか鈴仙とかパスカルのパワーで幻想郷がヤバい」 ――と、いった所で短いですが今日はここまでです。 これまでのまとめ的な話も多かったですが、これだけ長く続いた(2年半以上)話だと、 適度にこうしたまとめシーンを入れた方が、展開が分かり易くなっていいかなと思っています。 それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。
[568]森崎名無しさん:2015/11/07(土) 23:50:46 ID:??? 乙でしたー 分かってたけど妖怪側から見たら暢気で穏やかな幻想郷がなくなるのはなんか寂しいなぁ どうなるかは鈴仙の行動次第だけどエンディングでは皆がハッピーになれたらいいな
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0ch BBS 2007-01-24