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【もう昨日には】鈴仙奮闘記32【戻れない】
[686]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/15(日) 23:52:17 ID:??? ――紫はあれから多くの観客及び選手。そして一部の外界の住人に対して大会の開催を宣言した。 彼女は生憎とスタジアムを修復してくれなかったが、 大会を開催する半年後までには今以上のスタジアムを建設する事で守矢の理解を得、 そこから大会の概要についての質問数点を聞いた後に、いつも通りマイペースにスキマへと消えて行った。 ……相次ぐ大会中の事故に対する、観客達からの苦情を受け流しながら。 鈴仙達ルナティックスメンバーは疲れ切った状態のまま永遠亭へと取りあえず帰還し、 こうして紫が示した大会について意見を交わしているところだった。 そんな折、永琳が言った「行方不明」という単語にとりわけ強い反応を示す者が居た。 中山「…………」 佳歩「あ……。そういえば、森崎さんもあの崩れたスタジアムから行方不明になってるんでしたっけ……」 鈴仙「魔理沙も一緒にね。――まさか、あの程度でアッサリ死ぬ奴じゃないと思うけど」 それは中山だった。 森崎の大の親友である彼は、霊夢と同時に森崎が失踪したという事実に大きく心を痛めていた。 中山「……何、鈴仙さんの言う通りさ。 それに俺だって森崎のいる前で銃に撃たれたりもしてるが、今もピンピンしてるようなモンだ。 あいつだって今頃、どこかで上手い事やってるに決まってるよ」 勿論、中山はそれだけでふさぎ込む程弱い男では無い。 その相手が森崎となれば尚更だ。彼は森崎の事を誰よりも信じている。 ゴキブリ以上にしぶとい森崎の事だ。今頃自分や鈴仙に仕返しする為の奇策でも考えているに違いない。 中山は真剣にそう考えていた。……が、それでも心配という気持ちは完全には消えはしないものである。 しかし鈴仙はここで、中山に対してこれ以上気の利いた言葉を掛けてやる事ができなかった。
[687]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/16(月) 00:01:10 ID:??? 鈴仙「(……中山さんの事は心配だけど。今は私にだって、心配事がある)」 何故なら――鈴仙の本音としては、今は中山の事を気遣う程の心の余裕が無かった。鈴仙はチラリと永琳の顔を見る。 永琳「……」 永琳は氷のような無表情を崩さずに、小さくコクリと頷く。それが合図だった。 鈴仙「――ごめんなさい。私、先に部屋で休んでいるわね」 スッ……。 鈴仙は一同に会したチームメンバーを尻目に部屋を出た。そこから暫くすると永琳も同時に部屋を出て、鈴仙と目が合った。 永琳「――昼間の約束の件。覚えていてくれたのね」 鈴仙「……はい。忘れたくても、忘れられませんよ。気がかり過ぎて」 鈴仙は永琳と少しの会話を交えながら、彼女の研究室兼私室へと向かった。 ……それが、今日の夕刻。紫が去った後の広場にて、鈴仙が永琳と交わした約束だったからだ。 永琳はあの時、こう鈴仙に話していた。 ――こうなってしまった以上、私は貴女に全てを話す必要がある。今夜、私の部屋に一人で来て頂戴。 ……そしてできれば、その場で教えて欲しいわ。貴女が今後、どうした道を歩みたいのかを。 ギィ……。 永琳は表面的には普段通りにドアを開けた。鈴仙は緊張を隠せないままにそれに続いた。 そして二人が研究室の椅子に座って、暫くしてから――永琳が、重々しくこう口を開いた。
[688]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/16(月) 00:03:13 ID:??? 永琳「鈴仙――ごめんなさい。私は今まで貴女を騙し、道具として利用してきました」
[689]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/16(月) 00:15:55 ID:??? ――と、いったところで今日の更新はここまでにします。 明日から暫くして、これまでの物語で謎だった永琳の思惑について明らかにしつつ、 これまでの論点を整理しながら、第二部のルート選択に入ろうと思っています。 ルート選択の際は、よりメタな情報を入れつつ、極力不公平が無いようにしたいと思います。 >>677 実際は引き裂かれた程じゃないですねw このメンツだと、鈴仙は永琳を差し置いて女神になるのでしょうか。 >>678 紫と見せかけ藍ですかね… >狂信者の塔について リグルを連れてくと翼が仲間になります。(FF6感)しかしそれだとリグルパパはアサシンやってそうですね… カグヤ狂信者の塔はポストで出来てそうですね。多分妹紅がバーサク状態で活躍してくれると思います。 それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。
[690]森崎名無しさん:2015/11/16(月) 06:15:52 ID:??? れーせんはその代償として師匠の○○を奪うことにしたのだ... 浮き玉補正をあげるんDA!
[691]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/17(火) 00:29:35 ID:??? すみません、続きが書き上がらないので今日は更新をお休みします(汗)
[692]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/18(水) 01:02:43 ID:??? こんばんは、途中まで書き上がったので更新します。 >>690 今なら狂気度25ポイントで低い浮き球補正を4にできます(宣伝)
[693]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/18(水) 01:05:07 ID:??? 鈴仙「――あの。師匠、今まで私を騙したって。謝りたいって。その――ど、どうして……ですか?」 普段は冷静沈着。鈴仙に対しては上の目線から話す事の多い永琳が、 今この場で頭を下げた事に戸惑い、鈴仙はしどろもどろになりながら訊き返すが。 永琳「――私が謝りたい理由。それは私が自分の計画の為に、貴女の力を利用したから。 これまで色々と調子の良い事を言って、貴女に私の真意を見せないようにして、それで済むと思っていたけれど。 今日のような出来事が起きたとなれば、話が別だったのよ」 鈴仙「……師匠が謝る必要がある事は分かりました。 だけどやっぱり、状況が分からないと、私は何にも言えませんよ。 私の力ってどんな力ですか? 私の力を利用って言いますけど、師匠の計画ってどんな計画だったんですか? 今日の出来事は結局何なんですか? そして何より――師匠の真意は、一体何なんですか?」 自分の力が、永琳の壮大な計画を実行する為の道具として使われていた。 謝罪とともにそう告白された鈴仙だったが、怒りや同情や哀しみとかの感情は全く覚えない。 それ以前に、今の鈴仙には疑問符しか湧いてこなかった。 永琳「――一つずつ、答えていくわ。まずは貴女が持つ力について」 永琳の口調は相変わらず淀みない。 しかし、その言葉の端々には彼女らしからぬ人間的な後悔が見え隠れていた。 永琳「……もう誰かに聞いているか、それとも自分で調べているか分からないけれど。 この世に存在するあらゆるエネルギーは皆、なんらかの『波長』を持っている。 光も、音も、熱も、時間さえも。 私達の目には見えない波長の動きが折り重なって、複雑な宇宙を構成しているの」 研究机の上に規則正しく乗っている書類を並び替えながら、永琳はそう話す。 まるで普段の医学の講義のようだが、今の鈴仙は教科書を持っていない。
[694]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/18(水) 01:06:32 ID:??? 永琳「優秀な玉兎は、我ら月の民を模倣した、神にも近しい能力を備えている事が多い。 たとえば、人が触れざる異次元を操り、弾丸を撃ち放つ能力を持つ玉兎。 たとえば、「団子を食べる程に強くなる」等自己暗示を具現化させ、世界の秩序をも変革させる能力を持つ玉兎。 そんな中で貴女は、波長を管理・操作するという。玉兎の中でとりわけ優れた能力を持っている」 永琳の視線が机上の書類から鈴仙の瞳へと移る。先程までは後悔が見え隠れた視線を向けていたが、 今この時に限って、彼女の視線はまさしく神が全てを見通すかの如くだった。 永琳「私と初めて会った当時の貴女はまだ、その力を誇りながらも満足に使いこなせていなかった。 精々が他人の気質の波長を狂わせたり、五感の一部を狂わせるのみに過ぎなかった。 貴女はそれで満足していたでしょうけど……私はその時から、貴女の能力は「使える」と思っていた。 いずれ貴女が瞳を成長させ、より多くの波長――エネルギーをため込みコントロール出来るようになれば、 世界の大改変とて不可能ではない。……それが貴女の持つ力の、本当の意味よ」 日頃の口調よりは柔らかいとはいえ、永琳の口調は断定的だった。 鈴仙が何かを話すよりも先に、永琳は話題を鈴仙の力についてから、自身の計画の全貌へと移す。 永琳「そして、その事実に真っ先に気付いたからこそ――私は計画を始めた。 鈴仙・優曇華院・イナバを利用し、莫大なエネルギーを自らの管理下とするための遠大な計画を。 ――もっとも、計画がどんなものであったかは、今の貴女もおぼろげに理解できる筈だけど……改めて説明しましょうか。 まず、この計画は三つの工程に分けられるわ。 一つ。膨大なエネルギーをため込んだ存在を貴女に引き合わせて、貴女の力を成長させる。 二つ。成長した貴女を利用しつつ、より大きなエネルギーを発生させる。 ……たとえば、既存の秩序を打ち壊すような、歴史的勝利を果たすなどでね。 そして三つ。私が貴女の瞳に溜まった、莫大なエネルギーを回収する」
[695]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/11/18(水) 01:07:34 ID:??? 永琳「――この計画の結果については、貴女も良く知っているわね? 中山政男は、一つ目の工程を達成するためには充分すぎる存在だった。 二つ目の工程も、貴女は当初の心配を乗り越え無事に達成してくれた。 三つ目の工程については……語る必要が無いわね。 本当に技術的。失敗や成功も無く、私がいつでも手を下せるだけだから」 鈴仙「……私は」 そしてここまでの説明を聞き、鈴仙はこの時点で漸く、永琳が最初に謝った意味を理解した。 永琳は鈴仙の「波長を操る程度の能力」のポテンシャルを知っていた。 だからこそ永琳は、鈴仙のこれまでの物語を作り、演出した。 その行為がどれだけ許されざる事か。 ――これまで人一倍の涙を流し、人一倍の喜びを味わった鈴仙は、 今日の災害の意味等に関する疑問符を消すよりも先に、永琳に噛みついた。 鈴仙「……私は結局。師匠の計画を達成するために、貴女の掌の上で踊り続けて来ただけなんですね。 私だけじゃない。中山さんも、パスカル君も、佳歩達も……もしかしたら、八雲紫や日向小次郎。豊聡耳神子でさえ。 師匠が作ってくれた、『私が主人公になれるストーリー』の筋書きに従わされて来ただけなんですね……!? ――プロジェクト・カウンターハクレイも何もかも。私の活躍や幻想郷の今後には興味がなく。 ただ単純に、私がその、波長エネルギーの優秀な器として成長する為の実験にしか過ぎなかった!」 永琳「……半分はノーで。半分はイエスと言えるわ」 鈴仙「……!」 永琳は鈴仙の反応を予想していたらしく、机上にあった無関係な診療録に視線を戻した。 神々に相応しい万能の目は、鈴仙が真実を見抜いた事により失われ。 そこには後悔に暮れる、年相応の女性が一人座っているだけだった。
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0ch BBS 2007-01-24