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【もう昨日には】鈴仙奮闘記32【戻れない】
[737]鈴仙奮闘記@ ◆85KeWZMVkQ :2015/11/26(木) 00:26:21 ID:??? 鈴仙「………」 ――そして、鈴仙は説明書きを読み終えて。 永琳と幾つかの質疑応答を交わした後、永遠亭の中庭へと歩み出た。 鈴仙「月、きれい……」 故郷の星が映る空を見上げて、秋の夜の冷え込んだ空気を吸い込む。 鈴仙は途方に暮れていた。 鈴仙「師匠も藍さんも酷いよ。私は確かに、ここまでやってこれたけれど。 私には……師匠達が期待するような力なんて無いのに」 これまで永琳に期待されておらず、雑に扱われる事の多かった鈴仙が、 いざ先程のように過大にも思える期待を投げかけられた時、一体どうなるかと言えば。 ……今度は、その期待に押しつぶされそうになっていた。 鈴仙「(――師匠は前から、私には特別な『何か』があるとは言っていた。 藍さんも同じ。……もしかしたら、前にレミリアさんが言っていたのも、そうだったのかも。 だけど、まさかそれがこんなにも大きな話になるなんて……)」 自分は強くなったという自負はある。しかし、それは仲間と共に得た強さであり、 決して自分自身の強さであると、鈴仙は断言できない。 ……間違い無く自分自身の力で強くなった魔理沙や森崎の姿を決勝戦で見て、 その思いはますます強くなった。
[738]鈴仙奮闘記@ ◆85KeWZMVkQ :2015/11/26(木) 00:27:45 ID:??? ヒュウウ…… 鈴仙「……さむっ」 ――そして、10月も終わりに近づいた日の夜は寒かった。 鈴仙は身体を温めるためにも、その辺りに転がっていたボールを取り出して、 リフティングでも始める事にした。何か作業をやっていれば、嫌な思考から離れられる。 そのうちに、永琳と藍から告げられた問題への答えも見つかるとも思って。 ポーン、ポーン、ポーン……。 ……ジャリッ。 それからどれだけの時間が経っただろうか。 鈴仙が自分のリフティング回数を正確に数えられなくなって来た頃に、 中庭の土を踏みしめる僅かな音が聞こえた。 鈴仙「……誰? ――って、あらっ」 ポーンッ、ポン。コロコロコロ……。――スッ。 中山「――悪いな、鈴仙さん。リフティング、止めてしまって」 その音の主は中山だった。 夜でも相変わらずユニフォームを着ているが、どうやら昼のとは違うらしく清潔だ。 びっくりして零してしまったボールを中山は拾い上げ、鈴仙に近寄った。
[739]鈴仙奮闘記@ ◆85KeWZMVkQ :2015/11/26(木) 00:29:10 ID:??? 鈴仙「どうしたの、中山さん。ひょっとして、これから特訓とか?」 中山「違うよ。……ちょっと、迷う……でも無いが。少し頭がモヤモヤしていて。 さっきまではパスカルと駄弁っていたんだが、奴が先に寝てしまったものだから。 少し特訓でもして、頭を冷やそうとか思ったんだよ」 鈴仙「結局特訓じゃないの……。――でも珍しいね、中山さんがモヤモヤするなんて」 中山「まあな。……ちょっと、森崎の事を考えてて」 鈴仙「大会後の大災害から、まだ誰もあいつと……魔理沙と霊夢の姿を見ていないみたいね。 不死身の中山さんが憧れる程の親友なんだし。まさか、森崎があの程度で死ぬとは思わないけどさ」 中山「はは。鈴仙さんも随分と森崎の事を分かって来たみたいで。 ……それなら、むしろパスカルよりも良いかもしれないな。ちょっと、俺とお喋りしてくれないか?」 鈴仙「あー。……パスカル君だとディアスディアスになっちゃうものね。 ――分かったわよ。私で良ければ付き合う」 中山と鈴仙はそれから、森崎を話題に暫く会話を楽しんだ。 森崎の好きなサッカー選手、森崎の嫌いな選手、森崎の数々の奇行、スーパープレイ……。 仮に本人たちが認めないにしても。 二人は一人の狂人の危険な魅力の虜になってしまっていた。 中山「それでさ。その試合で森崎がゴールポストをけっ飛ばして退場に……」 鈴仙「えーっ。審判厳しすぎでしょ。 ゴールポストを蹴っちゃダメなんて、現代サッカーを否定してるようなものじゃない!」 中山「…………」 鈴仙「そういや、中山さんって……。――って、アレ? 私、何か変な事言っちゃった?」
[740]鈴仙奮闘記@ ◆85KeWZMVkQ :2015/11/26(木) 00:30:19 ID:??? そして――二人が会話を始めて、半時が経った頃。中山は会話の途中で突然と押し黙った。 鈴仙は何か気に障る事を言ったかと思い、慌てて中山の様子を伺うも、彼の態度は変わらない。 ……永遠にも近い気まずい時間が流れた後、中山は鈴仙にこう言った。 中山「……鈴仙さん。強くなったな」 鈴仙「――え?」 中山は感慨深く鈴仙の瞳を見つめてこう言った。 鈴仙も幻想郷の少女の中で背が低い方では無いが、長身の中山と相対すると、 どうしてもそのままでは視線が合いようが無い。 中山は自分の目を見ようと首を上げる鈴仙に向かって微笑みかけながら続けた。 中山「――俺が初めて君と話した時。君は、俺がリフティングをしている最中に割り込んで来た。 それで俺は、君の悩みや苦しみを聞き。そして――烏滸がましくも、一つの道を君に教えた」 鈴仙「そ。そう言えば……そうだったかしら」 中山「――俺が次にここで君と話した時は、大会前だった。 チームを去り、新たな強さを見つけたい俺を君は、全力のプレーで見送ってくれた。 その時君は間違い無く、俺が教えた道を、脇目もふらず全力で走り切ろうとしていた」 鈴仙「………」 中山「――そして、今。俺は逆に、君に新たな道を教えられようとしている。 リフティングをしている最中の君に俺が割り込んだという、奇しくも最初とは真逆の恰好で」 そこまで言って中山は台詞を切る。 鈴仙はそんな中山のどこまでも前向きな口調に少しだけ苛立って。
[741]鈴仙奮闘記@ ◆85KeWZMVkQ :2015/11/26(木) 00:31:24 ID:??? 鈴仙「……私はまだまだよ。中山さんに新しい道を教えるなんてできやしないし、やってもいないわ」 ――と、自分が弱いという事を中山に伝えてやろうとした。 しかし中山は笑うだけで、鈴仙の言葉を肯定しようとしない。 中山「何を言ってるんだ、鈴仙さん。俺はこれまでの君のプレーを見て。 そして、今こうして俺を想って会話に付き合ってくれた君の優しさを見て。 それで新たな道がある事を確信したんだぞ」 鈴仙「――なんでよ。私は森崎みたいに強くなれない。魔理沙みたいに覚悟できない。 ……私は、師匠や藍さんの期待に応える事なんて、出来ないのよ……」 中山は何も分かっていないと鈴仙は思った。 結局自分は強くなったが、それは中山や森崎、魔理沙程の強さでは無かった。 つまり、仲間に頼らない強さ。自分の全てを捨ててでも力を追い求められる強さ。 一つの目的の為に、他の物を切り捨てられる強さが、鈴仙には欠けていた。 鈴仙「私はどこまで行っても臆病だから、何かを捨てる事ができない。 ……けどそれは、中山さんや森崎が言う強さとは、違うでしょ?」 鈴仙は率直な気持ちで自分の弱さを表明した。 中山「違う――それが君の強さだよ、鈴仙」 中山は即断でその鈴仙の弱さを強さと呼んだ。
[742]鈴仙奮闘記@ ◆85KeWZMVkQ :2015/11/26(木) 00:32:38 ID:??? 中山「――泥臭くても、弱くても良い。覚悟出来なくても良い、捨てられなくても良い。 それでも、君は仲間と共にここまで進んで来たんだろう? ……だったら、それを強さと言わずに何という。 確かにそれは、俺が常に語る強さとは違うかもしれない。でもそれは、今の俺には真似出来ない。 例えば俺が決して、『インビジブルデューパー』や『真実の友情』みたいなシュートができないように。 ……だったら、それは鈴仙さんがこれまでの物語で見つけた、また別の強さと呼んでも良いんじゃないか?」 鈴仙「……私が見つけた、強さ」 中山「――そうだ。俺は何も言ってない。永琳さんの教えでも無い。それは、君が自ら切り開いた道なんだ。 君は君自身の意志で、新しい物語を創ったんだ。自分が真なる意味での主人公として、新たな地平へ羽ばたく為の!」 鈴仙「……………」 中山にそう言われてもまだ、鈴仙は自分が主人公を担うに相応しい強さを持っているとは思えなかった。 しかし恐らく、それすらも中山は『それは鈴仙さんの成長だよ』とか言って笑うのだろう。 決して他者の受け売りに流されず、自分で感じた意志に従い行動する事こそが、真の強さと呼ぶのだとしたら。 鈴仙「――結局何だかんだで、中山さんに助けて貰っちゃってるけどね。私」 中山「いや。そんな事は無いさ。むしろ助けて貰ったのは俺の方だ。 森崎を失い絶望していた俺に、君は新たな道を俺に教えてくれた。君は、俺を導いてくれたんだ」 中山は鈴仙に対して深く礼をする。そして、「良く分からないないが、君の夜はまだ長いんだろう?」 と言って、自分の部屋へと去って行く。中山は去り際に鈴仙にこう告げた。 中山「――次の大会、俺は全日本を率いるつもりだ。君がどんな道を進むにせよ、俺は君の最大の障壁になるだろう。 もっとも、パスカルも同じく、相棒と共にアルゼンチンを導く心算らしいが……そっちには負けるなよ、鈴仙さん?」
[743]鈴仙奮闘記@ ◆85KeWZMVkQ :2015/11/26(木) 00:36:45 ID:??? 鈴仙「な、中山さん……! って、行っちゃった」 そして、最後には鈴仙とボールだけが取り残された。 永琳や藍と約束していた時間まで、残り五分も無い。 しかし、結論をどうするかはともかくとして、鈴仙の心は澄んでいた。 それは、中山の交流を通して、鈴仙の中にある覚悟が出来ていたからに違いない。 鈴仙「(――師匠や中山さん。それに他の皆に導かれて奮闘した、私の物語はもうすぐ終わる。 そして始まる。――私が、多くの人や妖怪達を導き目的を遂げる。そんな、新しい物語が……!)」 ――兎にも角にも、自分はこれまで与えて貰った『強さ』を、他者の為に使わなくてはならない。 鈴仙の心には既に、そんな確固たる覚悟があった。 *** 鈴仙「……戻りました」 永琳「――予想よりも早かったわね」 鈴仙が永琳の研究室に戻って来た時、永琳と藍は先程の恰好のまま、静かに鈴仙の左右に佇んでいた。 藍「結論を聞かせてくれる、という事で良いのか? ――先程も、君に過大な期待を与えてしまっていると、君の師匠共々反省をしていたところなんだが」 鈴仙「――いえ。良いんです。私、もう決めましたから」 今度は鈴仙は、力強くそう二人に応える事ができた。 自分には重荷だとか、世界の存亡に責任が持てないとか。そうした事はもはや関係無かった。 鈴仙「この先待ち受けているのが悪夢だとしても。それでも私は行くしかないんですから」
[744]鈴仙奮闘記@ ◆85KeWZMVkQ :2015/11/26(木) 00:47:58 ID:??? 永琳「――そう。よく言ったわね」 永琳はそんな鈴仙を褒めたりはしなかった。 ただ、短い言葉で彼女を労い、選択を促すのみだった。 藍「……それでは、鈴仙。教えて貰おうか。 君がこれから、【プロジェクト・カウンターハクレイ】の一員として大会に参加するつもりなのか。 あるいは、【リアル・幻想・セブン】の一員として大会に参加するつもりなのか。 その心持ちを、是非私に教えて欲しい」 鈴仙「はい。私は――」 鈴仙は暫くの間考えて――そして、こう結論を出した。
[745]鈴仙奮闘記@ ◆85KeWZMVkQ :2015/11/26(木) 00:50:30 ID:mVQ/ixRA ※第二部のルート分岐です。 多数決で決めますので、メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。 A:「――私は【プロジェクト・カウンターハクレイ】の一員として、大会優勝を目指します」 B:「――私は【リアル・幻想・セブン】の一員として、大会優勝を目指します」 *11/26 1:00〜から投票を受け付けます。(それ以前の投票は無効です) *23:00時点で最も多く投票された選択肢が今後のルートとなります。 *同数となった場合は、3票決着の決選投票を行います。 *質問があります場合は、短いですが0:55まで質問を受け付けます。 *各ルートの詳細は>>726を参考にしてください。
[746]森崎名無しさん:2015/11/26(木) 00:52:01 ID:ObrhptOI B
[747]森崎名無しさん:2015/11/26(木) 00:54:16 ID:??? 1時からだよ
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0ch BBS 2007-01-24