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【レイセン】鈴仙奮闘記33【アレアレオー】
[576]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/29(火) 00:53:16 ID:??? すみません、文章がまだ書きあがらないので今日の更新もお休みします。 コメントだけ返信します。 >>572 交渉については、鈴仙とは別視点のキャラになる予定ですね。 基本的にはどのキャラも鈴仙との仲の良さ、そのキャラの選手としての格が難易度に絡んできます。 >>573 エドモンドは分かりませんが、レティさんはDF枠ですね。 JOKER引いたらSGGKになるかもしれません。 >>575 ありがとうございます。 年末年始は31日以外は割と休めそうなので、ゆっくり書かせて頂こうと思います。
[577]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/29(火) 21:16:25 ID:??? 〜大会20日目・午後・固定イベント〜 【新しい青】 ――幻想郷の結界が崩壊して早2日が過ぎ、八雲藍は今も尚結界の修復に奔走していた。 幻想郷と外界を分ける「概念」による結界は、科学が進展し妖怪を畏れぬ外界の人間達から、 幻想郷に生きる妖怪や神々、妖精その他種族を守る為にも欠かせない。 紫はそう思ってこの結界を、この場所を。この幻想郷を数百年もの間守り続けていた。 そして彼女が実質的に不在の今、自分こそがその代役を務めなくてはならない。 そんな強い想いで、疲労を推して作業を続けてはいたが――。 藍「――こちらも駄目か。やはり、こうも根本から概念を崩されると……」 彼女の努力も虚しく、強烈な悪意によってこじ開けられた結界は、 既に取り返しの付かないまでに破壊されていた。 無論、途方も無い妖力を持つ上、紫によって「式」を設定された藍の演算速度は、 外界最先端のスーパーコンピューターにも劣りはしない。だが、それでも作業が追い付かないのだ。 藍の見立てでは、自分一人で結界を全く元の形に修復するまでに掛かる時間は――。 藍「ざっと見て、百年以上はかかるだろうか……」 苦々しげにそう呟く。彼女はあくまでも式であり、概念を統制し、抽出し、創造する力は少ない。 博麗の巫女の才能が、八雲の大妖の妖力がなくては、幻想郷の維持は不可能。 しかし、今はその両者は……もう、居ない。
[578]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/29(火) 21:17:47 ID:??? 藍「(私は分かっていなかった。これまでの平和が、如何に薄氷の上に立つ、儚いものだったかを。 そして、それを取り戻すには、私の力など取るに足らないものという事実を……!)」 鈴仙がプロジェクト・カウンターハクレイにつく事を決めて以降も、 藍は結界の修復の傍ら、当初の計画――リアル・幻想・セブンを利用した、チームの内部改革を進めていた。 しかし、その結果は今の結界修復作業以上に、実の成らないものに終わった。 藍「(……リアル・幻想・セブンに入りそうな有力選手候補にはおおよそ目星がつく。 しかし、その全員が私の計画にまで賛同してくれる保障は無い。 ……中には、鈴仙と同じくプロジェクト・カウンターハクレイへの参加を表明した者すら居る。 私の方から別の選手をプッシュするにしても――ハッキリ言って、代表やその下部組織にも入らない者で、 鈴仙に準ずる程の人望、あるいはカリスマを持つ者はいない)」 藍は大きく溜息を吐く。そして、弱弱しくこう漏らした。 藍「(万事休す、か……)」 鈴仙がリアル・幻想・セブンの一員とならなかった時点で、藍の計画は破綻する。 純粋なる狂気に支配された八雲紫を変えるには、鈴仙の狂気の瞳が必要と言うならば、それは必定だった。 それを知りつつも彼女はあがいていたが――。奇跡は、当然にして起こらない。 スッ……。 紫「――八雲藍。……だったわね」 藍「紫、様……」 そして。与えられた範疇を越えた越権行為を繰り返す、無能な部下が罰せられるのは必然。 藍が自らの身を砕いてまで尽くした主に裁かれる時が、遂に訪れたのである。
[579]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/29(火) 21:20:42 ID:??? 紫「貴女が余計な事を繰り返しているのは、知っていますわ」 夜の闇に紛れて現れた彼女は、そのまま闇に紛れたままに藍を見つめる。 虚ろにして深淵を眺め渡すその眼は、藍が昔から知る主のそれに似ているようで大きく違った。 藍が押し黙るのを良い事に、八雲紫によく似た少女は歌うように続けた。 紫「……境界を操る能力なんて、下らない。そんなのが無くてもね、藍。 最近の私は全てを知る事ができるんだから。そう、私は未来すら見えるのよ。 私の可愛い霊夢が勝って、私達の幻想郷が再び帰って来るという明るい未来がね」 そんな未来はどこにも見えない。 嬉々として明るい未来を話す紫の瞳の底には、純粋なる狂気と破壊のビジョン以外は見えなかった。 ……が、藍のそうした感想は今や問題では無い。 紫「――でもね。今日はそんな事を言いに来た訳じゃない。 今日は、いつも頑張ってる貴女に、ちょっとしたご褒美を与えようと思って来たのだから」 紫がそれを「ご褒美」と表現した事について、藍は面喰らった。 しかし結論としては、先ほど紫を見た時に覚悟していた内容と全く同じだった。 紫「……藍。貴女はこれより八雲の姓を名乗る事を禁じます。加えて、この私がかつて貴女に与えた式。これを解かせて貰います。 ――要するに、貴女はクビよ。藍」 藍「……何故、とは聞きません。私は「今の」貴女の意に反する事を行い続けて来た」 だからこそ、藍は主より与えられた暇に対し、冷静に受け応える事が出来た。 ここまでは藍の予想の範囲内だったし、今や完全に豹変した主から離れる事に悔いはない。 リアル・幻想・セブンに関する計画は破綻したが、フリーランスとして、自分がやれる事はまだある筈だ。 また、紫はこれまで多くの業務を藍に任せていた。この中には雑務に加え、紫自身の行動にかかる部分もある。 つまり、自分が暇を出された事で、紫の行動はある程度制限される筈だ。 ――藍は俯きながらも、そんな現実的な計算を働かせていた。……しかし、ここには二つの誤算があった。
[580]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/29(火) 21:21:44 ID:??? 紫「――そ。もの分かりの良い部下で助かったわ。……それじゃ、ちょっと失礼するわね」 ブウン……バシュウッ! 藍「――!?」 第一の誤算。八雲紫は豹変してはいても賢く狡猾な妖怪である事には変わりない。 そんな彼女が、そこそこ強力な力を持ち八雲の秘密を知る藍を、みすみす野放しにする筈が無かった。 紫が放った小さな気弾が藍の懐を貫き、彼女はよろめき地面にへばりつく。 藍「あ、ぐ……!」 紫「言ったでしょう。私は全てを知っているのだと。……ああ。そうだ。 折角だから今の内に紹介してあげましょうか。貴女の後任者を。……ラズリー、来なさい」 そうして藍が身動きできないでいるうちに、紫は優雅に微笑みながら小さく溜息をつき。 それから彼女は、第二の誤算――藍に代わって紫を補佐する、優秀な後任者の名を呼んだ。 カツ、カツ、カツ……。 ??「……はいはーい。じゃ、今から地獄に持ってくわねー。 ――大丈夫よ。魔術的なブーストを施すだけだから、死にはしないし後遺症も残んないわ。 ……ちょっと、意識やら感情やらがブッ飛んじゃうだろうけど」 紫「お願いするわね、ラズリー」 今まで紫に呼ばれるタイミングを見計らっていたかのように、彼女は闇の奥から現れた。 ラズリー「貴女が私の前任者ね? 私の名前はラズリー、紫様の秘書を務めるしがない一般妖怪です。 以後お見知りおきを。……フフフッ」
[581]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/29(火) 21:23:18 ID:??? ラズリーと名乗ったその少女を、藍は地面を這いながら睨みつけた。 炎のように燃えて肩まで掛かる、赤いセミロングの髪。 背丈は長身の藍より少し低い位で、概ね十代半ばか後半程度に見えるその少女は、 その瞳だけは深い深淵を湛える。人間では無い――いや、妖怪ですら無い「何か」だと藍は確信した。 純粋な容姿としては普通に可愛らしい、という印象までにしか過ぎないが、 彼女が纏う神秘的な雰囲気が、そうした陳腐な感想を否定していた。 藍「……ラズリ(Lazuli)の割には、私ほど藍(あお)くはないな」 外界でよく見かけるようなシャツを着こんだ少女を睨んだまま、藍は思わずそんな感想を呟く。 あまりに間抜けた感想だったが、満身創痍の上に攻撃を食らった彼女に、精神的な余裕は残されていなかった。 ラズリー「大丈夫よ。じきに青くなるわ。……もう、日が明けないうちには、ね」 ラズリーは髪を掻き揚げてそう薄く微笑むと、確かにその髪は赤から青に移り変わったような気がして。 ……それが、藍が見た最後の光景となった。 藍「…………」 ラズリー「……さ、眠らせたわよん。――この子の式……だっけ? の、仔猫ちゃんはどうしたら良いかしらねぇ」 紫「放っておきなさい。野にかえれば、やがてその魔性を取り戻す筈よ」 ラズリー「あっそ。……それじゃ、明日から宜しくお願いするわねん、じゅ……じゃない、紫サマ」 こうして、幻想郷最後の夜は過ぎて行く。 金色に輝く少女と、それに付き従う不思議な少女は……再び、どこか深い闇の底へと消えて行った。
[582]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/29(火) 21:24:23 ID:??? …と、言ったところで一旦ここまでです。
[583]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/30(水) 01:11:54 ID:??? 〜第二章・エンディング〜 【運命の子達】 ――大会開会から21日目の朝。 それは全幻想郷選抜代表選手が決まり、プロジェクト・カウンターハクレイが本格的に始動し、 鈴仙がこの地を発つ手筈となる運命の朝。 佳歩「れ、鈴仙さま大変ですっ! そ、外……それに空とか海とか大地とか呪われし姫様とか……!?」 鈴仙「ふにゃ……え? 大地……? 姫様がどうかしたって……?」 暢気に熟睡していた鈴仙を起こしたのは、血相を変えた佳歩の報告だった。 全く要領の得ない単語を喚き散らす佳歩を尻目に鈴仙はゆっくりと起き上がり。 ふと縁側から外の光景を見てみると――。 鈴仙「え。 ……え? う、う、……うにゃぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
[584]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/30(水) 01:15:53 ID:??? 〜永遠亭・外〜 ガヤガヤ、ガヤガヤ……。 アナウンサー「――こちらが、近日忽然と現れた長野県・幻想郷地区の一角です! 竹林に囲まれた豪華な和風建築に出入りするのは、兎耳……の、コスプレをした 幼稚園から小学生程の少女たちが居ます! これはどういう文化でしょうか!?」 永遠亭を囲う迷いの竹林は、今や無数の人間達によって四方を包囲されていた。 彼らはカメラやマイク――幻想郷では河童か鴉天狗以外は身に付けないであろう機材を持っており、 奇異の目線で外で働く名も無き兎妖怪を見つめている。 輝夜「くぉらぁ! 一体どーいう騒ぎよこれは! お蔭で親フラと勘違いされたでしょうが!!」 アナウンサー「あ! 家主らしき女性が出てきました! すいませーん、ここは一体、どういう施設なのでしょうか!?」 輝夜「え? まぁー、病院みたいなトコよ!」 アナウンサー「え、病院!? こちらではどういった治療を行っているのですか?! 貴女がドクターなのですか!? 医療法上の届出はどうなってるんですか?」 輝夜「うーん。詳しい事はえーりんに聞いて貰わないと困るんだけど……まぁ、アレよ。 最近はやりの水素水とかアーユルヴェーダとか。そんな系な治療よ、多分!!」 アナウンサー「そ、それは医師免許を持った医師が行っているのでしょうか……」 輝夜「大丈夫大丈夫! えーりんは天才だからそんな免許とかに縛られる器の小さい女じゃないし、 それに私、こう見えても「ブラックジャック」全巻読んでるから!! 後自分が死んだ時も自分で縫合とかやってるから、多分大丈夫っしょ!?」 アナウンサー「え、えーと。多分違法だと思いますが。その、えーりんというのは、どういう宗教用語で……?」
[585]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/30(水) 01:16:59 ID:??? やがて周囲の喧しさに耐えかねた輝夜が外に出たらしく、 マスコミに対して幾つか受け答えをしているが……。 鈴仙「(良く分からないけど、姫様が永遠亭の恥を全世界に曝してるような気がする……。 ――と、兎に角。そんな事言ってる場合じゃないわ!)し、ししょーっ!? 皆ー!!」 鈴仙はここで寝ぼけた状態から覚めた。異常事態を把握し、ドタドタと家内を駆け回る中、 途中で何度か他人とぶつかって転んでも気にせず永琳の部屋へと向かう。 永琳「……ウドンゲ。漸く起きたのね」 鈴仙「す、すみません。熟睡でした……。――それより、この騒ぎは!?」 この騒ぎにも関わらず、永琳は相変わらず冷静だった。 想定の範囲内だ、とでも言いたげな表情で研究室の患者データを見比べながら、 永琳は鈴仙に事態を説明してくれた。 永琳「当然の事が起きただけよ。あの日――全幻想郷選抜大会の決勝戦に幻想郷の結界が壊れ。 それにより我々の存在が外界の人間に感知され。 そして……今日になって漸く、外界のマスコミが特ダネを得ようと、幻想郷各地を嗅ぎ回っているだけ」 鈴仙「だけ、じゃないですよぉ。どうして人間達が、迷いの竹林を越えてここまで来ちゃってるんですか。 この竹林は特別な進み方をするか、空でも飛びさえしないと、永遠に同じ所をグルグル回るだけなのに……」 永琳「それも自明の理。結界の崩壊に伴い、今まで密閉されていた大気中の魔力や妖力が、 外の世界にも漏れ出した。よって、竹林自身の自衛作用が働かなくなった……。 ――ウソだと思うなら、一度空を飛ぼうとして見ると良いわ」 鈴仙「え。ひょっとして……」 永琳に促されて、鈴仙はその場で飛ぼうと精神を集中させるも……。
[586]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/12/30(水) 01:18:19 ID:??? ……シーン。 鈴仙「そ、そんなァ。私、飛べなくなってます!?」 永琳「……あんたクラスの妖怪が飛べないんだったら、今頃一大事ね。 きっと今頃、妖怪の山の下級天狗達は謎の転落事故に四苦八苦してると思うわ」 この私ですら、今は連続1200時間程度、最高時速400キロメートルでしか浮遊できないのに…等と、 自虐風の自慢をかます永琳をよそに、鈴仙の頭はますますパニックになっていた。 鈴仙「あの。今日は全幻想郷選抜選手の発表とか、プロジェクト・カウンターハクレイの計画始動日とかでしたよね。 大丈夫なんでしょうか? あ。あと中山さんとかパスカル君とかはどうすれば良いでしょうか。 今のが外の世界の人達だったら、私達、未成年者誘拐とかで、しょっぴかれたりとかしませんでしょうか……?」 永琳「……ウドンゲ。安心なさい。私は既にある程度の策は練ってある。 まず、中山君とパスカル君については、それぞれ事情を知った本国のサッカー協会関係者に引き取らせるわ。 プロジェクト・カウンターハクレイについては、私達が責任を持って、あんた達を送り出すわ。 そして、全幻想郷選抜選手の発表については――そろそろよ。空を見なさい!」 鈴仙「そ、空??」 永琳が不意に人差し指を天にかざした。鈴仙はそれにつられて窓越しに青空を見ると――。 鈴仙の慌ただしい朝はここにピークに達した。 ――ブウウウ……ン。
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0ch BBS 2007-01-24