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【契約書に名前】鈴仙奮闘記34【書いてみて】
[927]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/14(日) 22:06:07 ID:??? 翼「あーあ。流石に1試合10ゴール10アシストは出来なさそうかなァ」 そして、翼君の口からこんな狂った独り言が飛び出す中――パルメイラスは明らかに戦意喪失。 サトルステギとトニーニョとの間にいざこざがあったらしく、中盤から前線への攻めが上手く行かない。 そうこうしている間に、私がもう一度ハットトリックの機会を伺おうとするも、 キーガンを中心とした最終ラインが粘り、得点の機会は結局無く。 トニーニョ「(……やはり。俺にはキャプテンの器が無いのか。……モリサキが居ないと、駄目なのか……?)」 キャプテンのトニーニョが、ファンからのブーイングを受けながらあからさまに落胆して見せる中。 ……こうして今、試合を終える運びとなったのだ。 妖夢「(終わった……)」 そして試合を終えた私は、ほっと胸を撫で下ろす。 最近は試合が終わった後は喜びや悲しみよりも安堵の気持ちを抱く事が多かったが、 色々と波乱のあった試合である今日においても、その感情は同じだった。 妖夢「(だけど、まだ完全な終わりでは無い。もっと、もっと強くならないと……)」 ――今日の試合は私にとって散々だった。一応2ゴールの活躍は挙げていたため、 名指しで糾弾される程では無かったにせよ、シュートミスの後の態度については、 試合後ロベルト監督(を通した翼君)からきつく注意された。
[928]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/14(日) 22:08:45 ID:??? 新田「あの。姉御……」 新田君がおずおずと私に声を掛ける。試合中、私は彼の気配りに礼を言う事が出来なかった。 妖夢「……ありがとう。ごめんね、新田君」 そのため、私はこの場で新田君に対して感謝の意を告げる。 彼は少し照れたように顔を赤らめて、私にこう言ってくれた。 新田「あの……ホントに、姉御は気に病む必要無いと思いますから。 日ごろの活躍度合いで言えば俺なんてカスですし。あ、勿論現状に甘んじる気はさらさらないですけど。 でも、その……。例え何があろうと、俺は姉御の事、凄く尊敬してますから」 妖夢「………すまない」 再び私は謝罪した。謝罪以外に、私は今の自分の感情を表出させる方法を知らなかった。 サンパウロ 8 − 0 パルメイラス 試合終了!
[929]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/14(日) 22:10:17 ID:??? …と、言った所で一旦ここまでにします。 出来れば今日中に、パチュリーと妖夢等の絡みを書きつつ、 妖夢の章完まで書いていければと思っています。
[930]森崎名無しさん:2016/02/14(日) 22:17:34 ID:??? 判定に一回負ける度にイチイチ落ち込むからむしろ昔より弱くなってる 試合中に判定に勝つごとに耳元で「みんな迷惑に思ってる」とか「何も成長してない」とか絶望的な言葉を吹き込み続ければ簡単に勝てる ……まぁうどんげさん操作なんでそんなこと出来ないんだけどさ!
[931]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/15(月) 00:12:38 ID:??? ***** 〜試合後・スタジアム入口〜 パチュリー「一体どういう事? こんな短い間に……」 試合を一通り観戦していたパチュリーは、スタジアムの選手用出入り口に待ち伏せして妖夢を呼び出した。 サポーター達が試合の余韻に浸って喧噪を作る中から少し離れた、 休憩用のテーブルに座りながら、パチュリーは改めてこう妖夢に問いかけた。 妖夢「パチュリーさん。全幻想郷選抜のコーチ兼選手であろう貴女が、どうしてここに?」 パチュリー「私は今は全幻想郷選抜じゃないのだけれど、それは置いといて。 ――そうね、まぁ。……あんたの活躍を聞いてね。応援に来たのよ」 妖夢「そうだったんですね。……どうでした、私のプレイ?」 妖夢は生意気そうな表情を必死に作って強さをアピールしているようだが、 ハッキリ言って彼女にそういうキャラクターは似合わない。 明らかに無理しているようにしか見えないし、恐らく周囲もそれに勘付いていると思ったが、 パチュリーは敢えてそれを指摘せずに正直な感想を述べた。 パチュリー「あれだけのプレイが出来る選手は幻想郷にもそう居ないわ」 ……一つのミスであれだけ取り乱す選手もそう居ないわ、とまで言わなかったのは、 パチュリーが見せた最低限の優しさだった。 妖夢はパチュリーの評価に対して無機質に軽く頭を下げ、半分冗談っぽくこう言った。 妖夢「ある方からコーチを受けたんですよ。これで私さえ居れば、幻想郷はパーフェクトですよね」
[932]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/15(月) 00:14:14 ID:??? ――その表情は、間違いなくパーフェクトで無かった。 実際、妖夢の試合を見ていたパチュリーは勘付いていた。 彼女の実力は確かに二流クラスから一流へと上がったが、精神面では未熟さが残ると。 ……いや、むしろ。精神面で未熟であるにも関わらず、大きすぎる力を身に着けたが故に、 彼女は今、そのギャップに苦しんでいると推測出来た。 パチュリー「……ある方、ね。聖徳太子がサッカーコーチを兼任するとは、世も末だわ」 妖夢「――聞いているんですね。私が、【ハイパーカンピオーネ】の一員として、 次の『幻想スーパーJr.ユース大会』に出場すると」 パチュリー「当然よ。……正直に言えば、今日はあんたの成長ぶりを視察するのが目的で、 遥々ブラジルまで来てやったのよ、私は」 妖夢「そうですか。……それなら、言っておきますけれど。私はこの程度では終わりません。 もっともっと強くなります。もっともっと完璧になります。……見ていて下さいね」 妖夢はこの台詞を最後に席を立った。「この後、用事があるので」と言っていたが、 パチュリーは深く詮索するのを止めて、深く椅子に座り込んで思索していた。 パチュリー「(豊聡耳神子が主催する【ハイパーカンピオーネ計画】。 私達はこの計画について、詳しくは理解していないけれど、 もしも今の魂魄妖夢のような才能ある選手を、幻想郷のみならず世界中から集めているとしたら。 それは……ある意味では、八雲紫率いる全幻想郷選抜代表よりも厄介な手合いとなりそうね)」 賢者とは常に考え叡智を活かす者と信じるパチュリーの思考は止まらない。 いつしか彼女は一旦妖夢から離れ、現状を俯瞰的に再整理しようとしていた。
[933]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/15(月) 00:15:15 ID:??? パチュリー「(私はなし崩し的とは言え、【プロジェクト・カウンターハクレイ】の一員となった。 これは、八雲紫が率いる全幻想郷代表を倒す事で、妖怪中心だった幻想郷の秩序に一石を投じるもの。 そして同時に、このキャプテン候補である鈴仙は、大会優勝時に発生するエネルギーを使い、 八雲紫の中に潜む恐るべき月の神霊――『純狐』を祓う事を目的としている。 そんな中で、【ハイパーカンピオーネ】は、【プロジェクト・カウンターハクレイ】と『純狐』との戦いにおいて、 いわば第三極として、これまで殆ど目立たず水面下で。しかし、着実に人里の人間の支持を集めていた。 彼らの主張としては、『妖怪の排斥と人間の独立』と、我々と似て非なる発想がベースとなっているようだけど。 ……それが本心からの主張であるかすら、分からないのよね)」 パチュリーが改めて、妖夢が……正確には妖夢の背後で蠢く計画について警戒を強めていると。 ??「やあ。貴女は紅魔館の賢者、パチュリー・ノーレッジさんだったね」 パチュリー「……あんたは」 妖夢に代わり、パチュリーの向かいの席に着く女性が一人居た。 彼女は美しい金髪を梟の耳のように纏め上げ、漆黒のスーツを男性さながらに着こなし、 如才無き笑顔を湛えながら親しげに話しかけて来た。 パチュリー「豊聡耳神子。あんたが直接弟子の試合を観戦しに来ていたとは意外だわ」 パチュリーは憎々しげにそう呟いた。 明らかな敵意を向けられても尚、神子は柔和な笑みを変えないままに話し始める。 神子「……成程。妖夢と会って話したのか」
[934]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/15(月) 00:16:28 ID:??? 周囲の声はおろか、その者の内心の欲や思考すら聞き取れる豊く聡い耳を使い、 神子はいきなり本題を切り出し始めた。……とは言え、その内容は非常に抽象的だったが。 神子「私は思う事があるのだよ。サッカーのコーチはピアニストに似ているとね」 パチュリー「はぁ……。意外に詩人なのね」 神子「――家にあらば 妹が手まかむ 草枕 旅に臥やせる この旅人あはれ。 ……私とて、万葉集に編纂される程度には歌を嗜むさ。……と、話は逸れたが。 どんなに良いピアノでも、弾き手が平凡なら平凡な音しか出ないという事を、私は言いたかったのだよ」 パチュリー「となると、今の妖夢は弾き手に恵まれていないみたいね」 パチュリーは皮肉と率直な感想を籠めて神子にこう返した。 ただでさえ先の全幻想郷選抜大会から神子の一派には借りがあるパチュリーは、 神子の事を決して快く思っていなかった。 神子「はは、そうかもしれないね。……私も、弾き方を変えてみる必要があるかもしれない」 そして、それでも神子はパチュリーの言葉をさらりと流し、 神子「政治と同じく、サッカーは芸術だよ。パチュリー・ノーレッジ。それも高度な芸術だ」 パチュリーに対し、一言警告の言葉を告げて立ち上がった。 神子「……今、イタリアで戦っているシニョーリも芸術品だ。彼は今の時点では妖夢以上の傑作。 もしも貴女がイタリアの地でサッカーを修めるのであれば――彼には注意した方が良い」 タッ……。
[935]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/15(月) 00:18:50 ID:??? パチュリー「……今さら、何故私がこれからイタリアでサッカーをする事を知っているのかは聞かない。 あと、頂いた忠告については素直に謝意を述べてあげるわ。ありがとう。 だけど一つ教えて頂戴。……弟子のケアに行くとしたら、方向が逆よ。どこに行くのかしら」 パチュリーはその言葉を受け止めつつも、 神子は妖夢が去って行った方向とは逆の方向へと向かおうとしたため、彼女をこう問いただした。 すると、神子の口からはパチュリーの予想外の発言が飛び出した。 神子「――おや。私がいつ、彼女の観戦とケアをするためにここに来たと言ったかな。 私が今日、この地に来たのはそれがメインでは無いのだよ」 パチュリー「……? どういう事よ」 神子は口で説明する代わりに、一枚の紙切れをパチュリーに渡した。それは名刺だった。 名刺にはこう書かれていた。 パチュリー「長野県幻想郷市 市長 豊聡耳 神子……?」 神子「――今日は幻想郷でも特色的な民芸品の輸出に関する取引でブラジルに来ただけさ。 そして、今からまた別の姉妹都市協定にかかる会議に出席しないと行けない。 私もそうそう、彼女のコーチングに時間は割けないという事だよ」 神子は今度こそ去って行った。 よく見ると、いつもの豪族とは別の黒服の警備員が彼女の周囲を取り囲んでいた。
[936]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/15(月) 00:22:01 ID:??? パチュリー「正気の八雲紫が、彼女のような政治屋に統治を委任するとは考えられない。 となると。……幻想郷も、いよいよ私の知る幻想郷では無くなりつつある、という事かしらね」 パチュリーはそんな神子の後ろ姿を見て、心底残念だと言わんばかりにそう呟く。 そして、ここには居ない妖夢の親友であり、自身の弟子でもある人物に対して、心の中でこう呼びかけていた。 パチュリー「(強さを得ても尚、より完璧な選手を目指し自らを苦しめる魂魄妖夢。 そんな彼女を操り、自身は狂った八雲紫をも利用しつつ、着実に力を蓄える豊聡耳神子。 ――どうやら、こっちも無視出来なくなって来たみたいよ)」 ――パチュリーも立ち上がってスタジアムを後にする。 彼女もまた、今夜早々にイタリアへと発たなくてはならなかった。 パチュリー「(私が思うに、鈴仙。……今の魂魄妖夢を救えるのは。 彼女というピアノの正しい弾き手となれる人物は、きっと貴女しかいない。 あんたが今、ブラジルで何をやっているのか良く分からないけれど……頑張るのよ)」
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0ch BBS 2007-01-24