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第二回鈴仙奮闘記キャラ人気投票
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【契約書に名前】鈴仙奮闘記34【書いてみて】
[933]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/15(月) 00:15:15 ID:??? パチュリー「(私はなし崩し的とは言え、【プロジェクト・カウンターハクレイ】の一員となった。 これは、八雲紫が率いる全幻想郷代表を倒す事で、妖怪中心だった幻想郷の秩序に一石を投じるもの。 そして同時に、このキャプテン候補である鈴仙は、大会優勝時に発生するエネルギーを使い、 八雲紫の中に潜む恐るべき月の神霊――『純狐』を祓う事を目的としている。 そんな中で、【ハイパーカンピオーネ】は、【プロジェクト・カウンターハクレイ】と『純狐』との戦いにおいて、 いわば第三極として、これまで殆ど目立たず水面下で。しかし、着実に人里の人間の支持を集めていた。 彼らの主張としては、『妖怪の排斥と人間の独立』と、我々と似て非なる発想がベースとなっているようだけど。 ……それが本心からの主張であるかすら、分からないのよね)」 パチュリーが改めて、妖夢が……正確には妖夢の背後で蠢く計画について警戒を強めていると。 ??「やあ。貴女は紅魔館の賢者、パチュリー・ノーレッジさんだったね」 パチュリー「……あんたは」 妖夢に代わり、パチュリーの向かいの席に着く女性が一人居た。 彼女は美しい金髪を梟の耳のように纏め上げ、漆黒のスーツを男性さながらに着こなし、 如才無き笑顔を湛えながら親しげに話しかけて来た。 パチュリー「豊聡耳神子。あんたが直接弟子の試合を観戦しに来ていたとは意外だわ」 パチュリーは憎々しげにそう呟いた。 明らかな敵意を向けられても尚、神子は柔和な笑みを変えないままに話し始める。 神子「……成程。妖夢と会って話したのか」
[934]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/15(月) 00:16:28 ID:??? 周囲の声はおろか、その者の内心の欲や思考すら聞き取れる豊く聡い耳を使い、 神子はいきなり本題を切り出し始めた。……とは言え、その内容は非常に抽象的だったが。 神子「私は思う事があるのだよ。サッカーのコーチはピアニストに似ているとね」 パチュリー「はぁ……。意外に詩人なのね」 神子「――家にあらば 妹が手まかむ 草枕 旅に臥やせる この旅人あはれ。 ……私とて、万葉集に編纂される程度には歌を嗜むさ。……と、話は逸れたが。 どんなに良いピアノでも、弾き手が平凡なら平凡な音しか出ないという事を、私は言いたかったのだよ」 パチュリー「となると、今の妖夢は弾き手に恵まれていないみたいね」 パチュリーは皮肉と率直な感想を籠めて神子にこう返した。 ただでさえ先の全幻想郷選抜大会から神子の一派には借りがあるパチュリーは、 神子の事を決して快く思っていなかった。 神子「はは、そうかもしれないね。……私も、弾き方を変えてみる必要があるかもしれない」 そして、それでも神子はパチュリーの言葉をさらりと流し、 神子「政治と同じく、サッカーは芸術だよ。パチュリー・ノーレッジ。それも高度な芸術だ」 パチュリーに対し、一言警告の言葉を告げて立ち上がった。 神子「……今、イタリアで戦っているシニョーリも芸術品だ。彼は今の時点では妖夢以上の傑作。 もしも貴女がイタリアの地でサッカーを修めるのであれば――彼には注意した方が良い」 タッ……。
[935]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/15(月) 00:18:50 ID:??? パチュリー「……今さら、何故私がこれからイタリアでサッカーをする事を知っているのかは聞かない。 あと、頂いた忠告については素直に謝意を述べてあげるわ。ありがとう。 だけど一つ教えて頂戴。……弟子のケアに行くとしたら、方向が逆よ。どこに行くのかしら」 パチュリーはその言葉を受け止めつつも、 神子は妖夢が去って行った方向とは逆の方向へと向かおうとしたため、彼女をこう問いただした。 すると、神子の口からはパチュリーの予想外の発言が飛び出した。 神子「――おや。私がいつ、彼女の観戦とケアをするためにここに来たと言ったかな。 私が今日、この地に来たのはそれがメインでは無いのだよ」 パチュリー「……? どういう事よ」 神子は口で説明する代わりに、一枚の紙切れをパチュリーに渡した。それは名刺だった。 名刺にはこう書かれていた。 パチュリー「長野県幻想郷市 市長 豊聡耳 神子……?」 神子「――今日は幻想郷でも特色的な民芸品の輸出に関する取引でブラジルに来ただけさ。 そして、今からまた別の姉妹都市協定にかかる会議に出席しないと行けない。 私もそうそう、彼女のコーチングに時間は割けないという事だよ」 神子は今度こそ去って行った。 よく見ると、いつもの豪族とは別の黒服の警備員が彼女の周囲を取り囲んでいた。
[936]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/15(月) 00:22:01 ID:??? パチュリー「正気の八雲紫が、彼女のような政治屋に統治を委任するとは考えられない。 となると。……幻想郷も、いよいよ私の知る幻想郷では無くなりつつある、という事かしらね」 パチュリーはそんな神子の後ろ姿を見て、心底残念だと言わんばかりにそう呟く。 そして、ここには居ない妖夢の親友であり、自身の弟子でもある人物に対して、心の中でこう呼びかけていた。 パチュリー「(強さを得ても尚、より完璧な選手を目指し自らを苦しめる魂魄妖夢。 そんな彼女を操り、自身は狂った八雲紫をも利用しつつ、着実に力を蓄える豊聡耳神子。 ――どうやら、こっちも無視出来なくなって来たみたいよ)」 ――パチュリーも立ち上がってスタジアムを後にする。 彼女もまた、今夜早々にイタリアへと発たなくてはならなかった。 パチュリー「(私が思うに、鈴仙。……今の魂魄妖夢を救えるのは。 彼女というピアノの正しい弾き手となれる人物は、きっと貴女しかいない。 あんたが今、ブラジルで何をやっているのか良く分からないけれど……頑張るのよ)」
[937]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/15(月) 00:28:25 ID:??? ***** 〜サンパウロFCホームスタジアム・観客席〜 ――そして、パチュリーが去った後のスタジアムには、彼女のみが残された。 鈴仙「――妖夢。あんたもここで……色々と、頑張って、いたんだね」 今や無人となった観客席の一番前で、兎耳の少女は一人佇んでいた。 かつての友人との知られざる邂逅を経て、彼女は友人の栄光と苦悩を同時に知り……そして決意する。 鈴仙「……これからは、私も、頑張らなくっちゃ」 ――魂魄妖夢の物語をその足掛かりとして。 鈴仙・優曇華院・イナバの新たな物語は、今ここに動き出した。 第三章 プロジェクト・カウンターハクレイ 海外修行編 ――オープニング 妖夢の章―― 完
[938]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/15(月) 00:33:56 ID:??? ……と、言ったところで今日の更新はここまでにします。 明日から漸く鈴仙の章に入れると思います。 人気投票結果の発表もやりたいですが、気分的に本編を進めたいので、 暫く鈴仙の章を進めてからにしようかなと思っています。 >>930 6差で負けたり7%しかないポストを引き当てたりしてるから、ここまで落ち込んでるってのもあるので、 もっと実力の高い相手に普通に負けた場合は、ここまで落ち込まないと思いますw 妖夢への精神攻撃は有効ですが、悪質な攻撃はサンパウロの仲間達が黙ってないですね。 それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。
[939]森崎名無しさん:2016/02/15(月) 00:49:23 ID:??? 長野県「またウチが舞台になるのか壊れるなぁ」
[940]森崎名無しさん:2016/02/15(月) 23:15:06 ID:??? 乙なのです 妖夢さん……本来は素晴らしい成長を見せつけて鈴仙さんにカッコよくライバル宣言するはずだったのに
[941]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/15(月) 23:33:31 ID:??? こんばんは、更新していきます。 >>939 洩矢神社や諏訪湖が幻想郷に引っ越して来た=幻想郷は長野県という説が有力ですが、 三月精やら深秘録の描写を見ると幻想郷と同じ座標?に東京みたいな大都市が広がってるので、 実際どうなのかよくわかりません(汗) このスレでも早苗さんが赤口中学のエースやってそうな世界なので、また長野県という事でお願いしますw >>940 乙ありがとうございます。どうも情けない感じになっちゃいましたね…w ま、まあその分、新田君とかバビントン君とか翼君とか、サンパウロメンバーのキャラをより掘り下げられたから(震え声)
[942]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/15(月) 23:34:49 ID:??? 第三章 プロジェクト・カウンターハクレイ 海外修行編 ――鈴仙の章 その1―― ――時は、妖夢と鈴仙の邂逅の二週間前にさかのぼる。 鈴仙「……うわぁ! ここがブラジルの首都・サンパウロですか!」 魅魔「何言ってんだい。ブラジルの首都はブラジリアっていう、もっと内陸の都市だよ。 とはいえ、このサンパウロの方が栄えてるってのは事実だけどね。 人口はおよそ一千万。ブラジル最大かつ南半球最大のメガシティさ。 ……さて。さっそく行こうか。何、レンタカーを使えばすぐさ。あたしが運転する」 幻想郷を離れた鈴仙は怪しげなスカウト・魅魔と共にブラジルへと渡った。 正式に【プロジェクト・カウンターハクレイ】の一員となった鈴仙の修行の地。それが、ここサンパウロ。 近代的なビルディングと古典的な教会が立ち並び、 数多の人種が慌ただしく行き交うこの街こそが、幻想郷に代わる新たな物語の舞台だった。 鈴仙「(魅魔さんは、これから私が所属する予定のクラブチームへと案内してくれるって言っていた。 一体、どんなチームなんだろう。今からワクワクが止まらないよ……!)」 鈴仙は期待に胸を膨らませながら、魅魔が運転するかなり古臭い黄色の車に乗り込んだ。
[943]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/15(月) 23:36:35 ID:??? ブロロロロ………。 子どもA「キャハハ! いくぜみらーじゅしゅーと!」 子どもB「ハッハー! そんなのラクショーだぜ! それっ、ぎがんとぶろっくー!」 バシッ、バシッ……。 鈴仙「危ないなぁ。あの子たち、路上でサッカーなんてしてて。大人は怒らないんですか?」 魅魔「誰が怒るか。未来のスタープレーヤーは皆、こうやって小さい頃からサッカーセンスを磨いて来たのさ。 ま。……お前さんは今から、あんなサッカー漬けの人生やって来た人種ばっかりと過ごすんだけどね」 鈴仙「は、はい!(……まさにサッカーの街、って訳ね。このブラジル・サンパウロって街は)」 クラブチームへと向かう道中、サンパウロの街はサッカーに溢れていた。 路上でサッカーに興じる子ども達、専門的なサッカー談議を止めようとしない若者から中年達。 浮浪者の老人ですらも、見事なリフティングを見せながら物乞いを行っている。 10月のカラリとした秋晴れの中、彼らの全員がそれぞれ、幻想郷には決してない輝きを放っていた。
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0ch BBS 2007-01-24