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【契約書に名前】鈴仙奮闘記34【書いてみて】
[943]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/15(月) 23:36:35 ID:??? ブロロロロ………。 子どもA「キャハハ! いくぜみらーじゅしゅーと!」 子どもB「ハッハー! そんなのラクショーだぜ! それっ、ぎがんとぶろっくー!」 バシッ、バシッ……。 鈴仙「危ないなぁ。あの子たち、路上でサッカーなんてしてて。大人は怒らないんですか?」 魅魔「誰が怒るか。未来のスタープレーヤーは皆、こうやって小さい頃からサッカーセンスを磨いて来たのさ。 ま。……お前さんは今から、あんなサッカー漬けの人生やって来た人種ばっかりと過ごすんだけどね」 鈴仙「は、はい!(……まさにサッカーの街、って訳ね。このブラジル・サンパウロって街は)」 クラブチームへと向かう道中、サンパウロの街はサッカーに溢れていた。 路上でサッカーに興じる子ども達、専門的なサッカー談議を止めようとしない若者から中年達。 浮浪者の老人ですらも、見事なリフティングを見せながら物乞いを行っている。 10月のカラリとした秋晴れの中、彼らの全員がそれぞれ、幻想郷には決してない輝きを放っていた。
[944]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/15(月) 23:39:05 ID:??? 魅魔「……おっ、見えて来たか」 そして、その輝きが収束する地点がサンパウロにはあった。 都心であるにも関わらず、その周辺だけは広々とした芝地が広がっており、 良く見るとその芝地の全てがしっかりと整備されたサッカーフィールドであると分かる。 数多くの子どもから少年、そして大人がそこでハイレベルなサッカーを行っており、 しかも驚くべきことに、こうしたフィールドは鈴仙が見た限りでも四面程確認できた。 鈴仙「! 魅魔さん、これって……!」 鈴仙の自信は、その中央に聳える未来的な銀色の建物を見て確信に変わった。 魅魔はそんな鈴仙の輝く目を肯定するかのようにコクリと頷いて、解説を始めた。 魅魔「サントスFC。ブラジルで初めて南米王者と世界王者に輝いたクラブチームであり、 今現在においてもブラジルでサンパウロに次いで勢いがあるとも評される、最高のチームさ。 現在は経営者がやり手の若社長に変わって、スウェーデンから輸入した科学トレーニングを導入。 特に、あのクラブハウスのてっぺんにある球形の建物は凄い。地球上の2倍から100倍までの重力を発生させ、 選手に超人的なサッカーパワーを与えるという、超最新鋭の技術が使われていると聞くよ」 鈴仙「凄い……! こんな凄い街の、こんな凄いチームで修行できるなんて……!」 魅魔の解説を聞いて、鈴仙はすっかり恍惚する。 もはや鈴仙の思考は、これから自分が送るであろう、バラ色のブラジルエリートサッカー生活への希望に独占されていた。 鈴仙「(高い意識と能力を持ったライバルとの切磋琢磨。幻想郷には無い、最新鋭のノウハウをふんだんに凝らしたトレーニング。 そして豪華な設備に囲まれた、何不自由ないサッカー生活………! ど、どうしよう! こんなトコで修行したら、私……中山さん程度、軽く超えるんじゃない!?)」
[945]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/15(月) 23:42:31 ID:??? 鈴仙「(ウフフ……永琳様。今度からサッカーにおいては、私の事を師匠と呼んでも良いのですよ……ウフフ……)」 魅魔「……さーて。後15分位かな」 ブロロロロ…… ――それ故、鈴仙はすぐに気付けなかった。 鈴仙を乗せ運転する魅魔のオンボロレンタカーが、サントスFCの駐車場を何食わぬ顔で通り過ぎ、 そのまま整然とした都市から、裏通りにあるスラム街へと角を曲がっていった事に。 *** ――そして、それから魅魔の見立て通りに約15分後。 鈴仙「え……? 何ですか、この場末のバー……。というか、アレ? 私の銀色で立派なクラブハウスは……?」 魅魔「何寝ぼけてるんだ。車酔いかい? ……ま、いいや。ちょっと待ってな」 鈴仙は汚物と犯罪の臭いが漂うこのスラム街でも一際醜悪な地区で、 魅魔から無理やり車を降ろされ、少しずつ現実を認識していった。 廃車寸前の車の部品をたかろうとする乞食達を煽りながら、 魅魔は腐った木かあるいは段ボールで出来ている酒場の玄関ドアを叩いた。 ドンドン! 魅魔「おい、ジジイ! 約束通り選手連れて来たよ! あん? 借金取り? ヤクザ? こんな美少女なヤクザが居る訳ないだろう!? ボケてないでさっさとドアを開けな! さもないとクラブハウスにガソリン蒔いて燃やすよ!」
[946]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/15(月) 23:44:23 ID:??? ヤクザそのものとしか思えないドスの効いた声で魅魔はドアの向こうの主と問答している。 これまで春だった鈴仙の脳裏に、今年一番どころか観測史上最大規模の寒波が吹き荒れた。 しかしそれも無理はない。 魅魔が発した言葉の中でサッカーらしい単語なんて、「選手」「クラブハウス」位しか無かったのだから。 ギイ……。 そして、軋むドアを開けて場末のバーから出て来た老人と魅魔のやりとりは、 既に不安で凍え切った鈴仙の脳内に追い打ちと言わんばかりに、 更なる絶望という名の液体窒素のシャワーを浴びせる結果となった。 老人「ホゲホゲ。……お前さん、エエケツしとるの」 魅魔「折角会ったと思ったら。なーに言ってるんだい、コーチ。 あたしが魅力的なのはケツだけじゃなくて、顔や胸とかもだろう? ま。……生憎と新しい選手は、顔はともかく、尻も胸もほとほと貧相なのが申し訳ないけれど」 コーチと呼ばれた白髪をボサボサに伸ばした老人は、ヨボヨボと魅魔の尻を撫でまわしながら、 ギョロリと半魚人のような白目を鈴仙に向けて、品定めするかのように兎耳からつま先までを見たかと思うと。 コーチ「……ままま、合格じゃ。貧相なトコロもそれはそれでそそるってモンじゃ。 それに何よりバニー耳がエエ。あれならそこそこ上玉じゃああよ。エエバニーさんになれるゾイ。 どれどれ。もっと近くで見てみたいのお……。最近、視力が悪うて悪うて……」 ズッ、ズッ、ズッ……。
[947]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/15(月) 23:47:01 ID:??? 鈴仙「ひ、ひいっ……、ち、近寄って来たよっ!?」 老人は左脚を引きずりながら鈴仙ににじり寄る。 鈴仙は恐怖て後ずさるが、廃墟ビルの壁が邪魔をして逃げられない。 老人の顔が近づく。酒と煙草臭い息が鈴仙の意識を更に錯乱させる。 いよいよ最後に老人は、鈴仙の腕をがしりと握りしめた。 鈴仙「(……わ、私。騙されたんだ。【プロジェクト・カウンターハクレイ】とか言うのも全部嘘で。 私はこのまま、このおじいさんのオモチャにされちゃうんだぁぁぁ……!?)」 玉兎としての高い運動能力も、幻想郷の結界が破られてからは上手く働かない。 それでもこんな老人位、その気になれば返り討ちにする程度は余裕の筈だったが……。 パニックになった鈴仙が幾ら抵抗しても、老人は鈴仙を捉えて離さない。 鈴仙「(……!? い、意外と力が強い。そして近づいて思ったけれど。 こいつのプレッシャー、並の人妖が持つソレじゃない……! 熟練の軍人や長命の大妖怪が持つような、隙の無さを感じる……!?)」 コーチ「グヒヒ……お嬢ちゃん、エエ目をしとるな」 臭い息を吹きかけながらコーチは顔を醜くゆがめる。それは彼の笑い方だった。 そして、その表情のままに魔物は、鈴仙に対して――こんな、残酷な現実を突きつけた。 コーチ「遠いトコからようこそ、お嬢ちゃん。ここがあんたがこれから所属するチーム。 スポーツ・クラブ・コリンチャンス・バウリスタ。SCコリンチャンスのクラブハウスじゃ。 ワシはコーチの、ヒ……いや、ソ……? アレ。ワシの名前って何じゃったっけ。 ま、いっか。ワシはこのチームのコーチ兼監督じゃ。これから、イロイロと宜しくな。 ……グヒヒ。エロエロとじゃないから安心して良いゾイ。……なんつって。……グヒヒ」
[948]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/15(月) 23:48:26 ID:8EnEEX02 鈴仙「………は、はい?」 鈴仙は凍った思考のまま、オウムのように頷き返す。 それから反射的に魅魔の方を見るが、彼女は彼女で屈託のない笑顔で。 魅魔「――鈴仙。これがあんたのミッションだ。お前さんはこれから、 かつてはブラジル1の名声を誇ったコリンチャンスを、このコーチや随時合流する仲間と共に立て直し。 そして、ブラジル若手サッカー界の登竜門であるリオ・カップに優勝するんだよ!」 ……そんな、例えるならば棍棒と布の服で魔王を倒しに行って来いとか言うような、狂気的なミッションを。 まるで隣町までお使いを頼むと言ったような口ぶりで、鈴仙に対して突きつけて来た。 鈴仙「……、み、魅魔……さん。私……!」 これに対し、中山やパスカルと出会い、幻想郷で様々な苦難と挫折を乗り越えて、強く逞しい少女へと成長した鈴仙は――。 鈴仙「そ、そそそ……。そんなの。そんなの、できるわけないでしょうがぁぁぁぁぁああああああああああぁぁぁぁぁっ!!」 ――白目を剥いて、口角泡を飛ばしつつ。 サンパウロはおろかブラジル中にも響き渡るような絶叫を持って、そのミッションの遂行を拒絶した。
[949]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/16(火) 00:15:50 ID:YCfKTKyw ……と、言ったところで今日の更新はここまでにします。 明日はオープニングイベントを終え、最初の練習フェイズ位には入って行ければと思っています。 鈴仙の章その1の進行は、具体的にこうなります。全8ターンで、8ターン後にリオカップの第一試合があります。 ターン開始 ↓ ・練習フェイズ:能力値を一つ選んで練習します。 ↓ ・イベントフェイズ:イベントが起こります。選択肢や判定で鈴仙が成長したりしなかったりします。 ↓ 次のターンへ なお、鈴仙の練習のシステムについては、基本的にはこれまでの方法・才レベルを踏襲しつつも、 前にあったご意見を踏まえ、練習での上限値や伸びやすさは、リオカップ時の才レベルに合わせる方式を取ろうと思います。 具体的には、現時点の鈴仙の練習での伸びやすさはこうなります。 A ドリブル(53) 上がりにくい B パス(53) 上がりにくい C シュート(54) 上がりにくい D タックル(51) 普通 E パスカット(50) 普通 F ブロック(47) 上がりやすい G せりあい(52) 上がりにくい 所持中のフラグ:スルー(15/20)、オフサイドトラップ(18/20)、フェアプレイ精神(17/20) ※現時点で既に「上がりにくい」が多いですが、これは鈴仙が既にそれだけ強い選手である為です。 なお、リオカップ前の能力値の上限値は57としています。(才レベル8相当) ※所持フラグについては、練習一回で!dice分の経験値が取得できるようにします。 もしも何かご意見ご質問等ありましたら、可能な限りで対応します。 それでは、皆さん、本日もお疲れ様でした。
[950]森崎名無しさん:2016/02/16(火) 23:23:18 ID:??? 乙なのです 今さらだけどオフサイドトラップどうしよう マスターとアリスが合流したら意味なし? この二人が同時にフィールドにいないことは少ないだろうし
[951]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/17(水) 00:26:59 ID:KPOJ4iDY 鈴仙「はぁ、はぁ、はぁ……」 魅魔「漸く叫び疲れたみたいだね。気は済んだかい」 鈴仙「全然済みませんよ。もう……! 冗談ですよね?」 少女が一人叫んでいても、サンパウロのスラム街は平和だった。 正確には、少女の一人二人が泣き喚いている位が、ここにとっての平和だった。 鈴仙はぜいぜい肩で息をしながら、救いを求めて魅魔の方をチラリと見るも……。 魅魔「いーや。冗談じゃない。さっきの説明通り、あんたはこれからコリンチャンスの一員となって貰う。 そしてそのコリンチャンスってのは、この場末のバーがクラブハウスで、 浮浪者のおっさんに石投げられてそうな不潔なジジイをコーチ兼監督に任命しているチームだ」 彼女は改めて、絶望的な現実を鈴仙に突きつけるのみだった。 鈴仙「なんで……なんで、こんなチームに、私が……。っていうか、そもそも本当にコレ、チームなんですか!?」 魅魔「間違い無くチームだ。間違い無くチーム登録している。これはあたしが保障するよ」 鈴仙「チームっていうなら、メンバーはどこに居るんですか!?」 魅魔「えっと。……ま、そこら辺のサッカー好きの子どもを集めれば、11人位行くだろ」 鈴仙「練習用のフィールドは!?」 魅魔「んー。……そりゃ、この狭くてごちゃごちゃしたスラム街の路上だよ。 あんたも知ってるだろうけど、アラン・パスカルとファン・ディアスはストリートサッカーから大成したんだよ。 ルールに囚われない感覚を、今ここで身に着けるチャンスじゃないか!」
[952]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/02/17(水) 00:29:10 ID:KPOJ4iDY 鈴仙「立派なクラブハウスは!? 経営スタッフ陣は!?」 魅魔「……馬鹿だね。クラブハウスなら、あんたの目の前にあるじゃないか」 鈴仙「あれって、ただの場末の立ち飲みバーですよね!? しかもそこら中穴とか空いてるし!?」 コーチ「失敬な。あれは地域密着型のチーム運営を目指して作った、バー一体型クラブハウスじゃゾイ! ……グヒヒ。雇ったバニーさんとワシは常に密着しとるがな。……グヒヒ」 鈴仙「あんたは話に入らないで下さい!? そして何気にお尻触らないで下さい!」 やけくそになってツッコミまくる鈴仙。それをのらりくらりと躱しまくる魅魔。 そして偶に乱入しては尻を揉んでくるエロコーチ。 狂気的な三人はこのまま狂気的を暫く繰り返していたが、 やがて埒が明かないと思ったらしく、魅魔はこう鈴仙に対して冷たく言った。 魅魔「やれやれ。あの中山政男とサッカーをしていたと聞いたから、 さぞかしハングリー精神が強いと思っていたんだが。 所詮は、八意永琳に守られた環境じゃないと、こうも泣きだすモンか」 鈴仙「……それ。挑発してるつもりですか」 魅魔「さあね」 肩を竦めてそう嘯く魅魔だったが、中山政男という単語に鈴仙の心が幾許か揺れたのは間違いない。 しかし、結論から言うと鈴仙がこのチームの所属を決定したのは、中山政男に関する事よりも、 次に魅魔が発言した事に関する事情の方が大きかった。
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0ch BBS 2007-01-24