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【秋空模様の】鈴仙奮闘記36【仏蘭西人形】
[324]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/05/04(水) 01:36:35 ID:CE7B1vVk 〜イベントフェイズ・その4〜 【出会い散りゆく秋】 ――文化祭から数週間、反町は何の変哲も無い学生生活を送っていた。 穣子「一樹くん! 朝だよ起きてっ!」 反町「う、う〜ん……」 朝は穣子が窓から忍び込んで起こしに来てくれて。 キーン、コーン、カーン、コーン…… 静葉「ねぇ反町君。さっきの授業で教官が言ってた理論についてだけど……」 反町「ああ、あれですね。俺としては、あの理論は……」 授業の合間には静葉と穏やかながらも白熱したサッカー議論を重ね。 早苗「皆さーん! 今日も屋上で集合ですよー! 私、今日は トマト を手作りしたので皆さんにもお分けしますね! 勿論自信作ですよー!」 昼休みはすっかり恒例となった、女子4名との昼食会を楽しんで。 アリス「……ウフフ……今日も一緒に練習しましょうね、ボールくん……?」 練習を経て放課後は最近キャラが変わった気がするアリスさんを眺めて楽しむ。 反町「(……魅魔さんから示された留学カリキュラムも後僅かだけど。 まだまだ終わって欲しくないとさえ思ってしまうな……)」
[325]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/05/04(水) 01:37:49 ID:CE7B1vVk ――そんな平穏な日々は、反町一樹にとってまさしく理想郷だった。 東邦学園での詰め込み教育でも無い、日向による恐怖政治でも無い、 森崎による極端な競争社会でも無い、自由で独立した学生生活。 フランスの自由で合理的な気風は、反町に非常にマッチしていた。 穣子「どうしたの〜、一樹君? そんなにニヤニヤしちゃって」 反町「……あ、ああ。うん。良かったなぁと思って、フランスに来れて」 ある日の放課後、誰も居なくなった教室で、反町は穣子と二人きりで話をしていた。 反町「自由だけど秩序を大事にしている気風も良かったし、 サッカーの練習設備もしっかりしているし、それに……自分に自信を付ける事ができた、気がするし」 穣子「自信ってもしかして、文化祭でナポレオン君に勝っちゃった時の事がきっかけ? あのときの一樹君、とってもカッコ良かったよ〜。一樹君、まるで騎士様みたいだったもん」 反町「あはは……。まあ、そうだけど。穣子さんを守りたいという一心で、何時の間にか運よく勝ってたというか……」 穣子「……あれは運じゃない。一樹君の、強さだったよ。自分を信じる強さ。 それが強かったからこそ、一樹君は持てる力の全てを発揮できた。 ――人間は、信じる力があれば、変わる事ができるんだよ」 反町「穣子さん……」 反町はふと隣に座る穣子の顔を見る。 いつも通りの元気で明るくて、何もかもを受け入れてくれそうな、温かな笑み。 普段は当たり前のように見ているそんな笑顔は、とても尊いものだと反町は気付く。
[326]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/05/04(水) 01:39:54 ID:??? 反町「……穣子さん、俺……!」 穣子「……うん」 ……反町は言いたい事を言いたかった。 いつも自分の隣にいてくれて、自分の為に喜び泣いてくれる彼女に対して、何か言葉を告げたかった。 反町「あの、その。……俺、やっぱり穣子さんが、一番、……」 穣子「……うん」 穣子は顔を赤らめながら、普段とは違って淑やかに頷いた。 ふと見せる彼女の儚さと可憐さにどぎまぎしながらも、 反町は言いかけた言葉を最後まで紡ごうとして―――。 ――ピーン、ポーン、パーン、ポーン……。 穣子「……あれ、校内放送だ」 その言葉は、機械的なチャイム音に掻き消された。 校内放送「……只今より、全校集会を開催します。 寮に戻った学生、自主練習中の学生を含め全員、1階の大講堂に集合してください。 繰り返します……」 反町「こんな時間に珍しいな。何かあったんだろうか」 穣子「……とりあえず、行ってみようよ」 反町と穣子は脳裏に一抹の不安を抱きつつ講堂へと向かうと、 そこでは同様に困惑した様子の学生達が無秩序な群れを作っていた。
[327]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/05/04(水) 01:42:28 ID:??? ボッシ「一体何が始まるんだ?」 アモロ「ピエールなら何か知っているかな。……でも、人がごちゃごちゃし過ぎて、良く分からないよ」 ルスト「ちょくちょくクラスメートが見えねえな。どこで油を売ってるんだか」 静葉「そうね……。――あ、反町君、穣子も」 反町「静葉さん……。一体、どういう状況なんでしょうか」 穣子「なんか、物々しい感じがするよぉ……」 反町達は首尾よく、静葉を始めとするクラスメート集団に合流できたが、クラス全員がそこに居る訳では無かった。 お世辞にもあまり広いとは言えないこの講堂のどこかに居るのか、サボっているだけなのか、それとも……。 早苗「…………」 スッ……。 反町「(あれは……)」 そんな折、講堂へと入っていく多くの生徒達の流れに反し、 単身講堂を離れようとする早苗の姿が目に入った。 反町「――あの、早苗さん……!」 反町が慌てて声を掛けると、早苗は深刻そうな表情を覗かせたまま振り返る。 しかし、そこから彼女は俯いて、 早苗「反町君、ごめんなさい……」
[328]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/05/04(水) 01:48:47 ID:??? とだけ言い残すと、反町達に合流する事なくこの場を離れていく。 追いかけるかどうか迷う反町だったが、間髪を入れずして講堂の演台に学長が立ち、 演説が始まった事により、思考は中断された。 学長「えー、みなさん。突然お呼びして、大変申し訳ない」 学長は存在感の薄い老人だった。昔は欧州のサッカー協会でそこそこの地位に居た人物らしいが、 現在は名誉職的な学長というポジションに甘んじ、悠々自適の生活を送っていると聞く。 そんな老人は、普段通りのしゃがれた声で、淡々と語り始めた。 学長「――当学校は、本日この時をもって、フランス共和国から日本国の所管となりました。 それに伴い、当学の経営陣及び教育方針が大きく変わる事となります。 えーと、その概要については……生徒会長、頼めるかな」 反町「……!?」 その内容は、講堂の雑然さや学長の暢気な語り口とは裏腹に、非常に重大なものだった。 反町がそのメッセージを受け取り狼狽える中、講堂からは一人の生徒が出てきた。 反町「(あれは……ピエール!)」 長身で長髪、女性的な柔和な顔立ちにしっかりと鍛えられた全身。 まさしくサッカー選手として模範とも言うべき少年――エル・シド・ピエールは、 学級委員長にして生徒会長という高い立場から、厳かに反町達全校生徒の前に立って。 ピエール「……生徒諸君。我々の自立性は、本日限りを持って終わりとなる。 明日からの我々は、機械となる。フランスサッカーを盛り立てる為の機械として、 一切の質問や疑問の余地のない、緻密で充実した教育が行われる。――楽しみにするように」 反町「な、なんだよ、それ……!?」 ――彼は、これまでの学生生活の全てをひっくり返すような発言を放ってみせた。
[329]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/05/04(水) 02:00:30 ID:??? …と、言った所で今日はここまでにします。
[330]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/05/05(木) 01:11:44 ID:??? すみません、今日は所用の為更新をおやすみします。
[331]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/05/06(金) 00:49:54 ID:??? すみません、今日は更新したかったですが、 どうにも文章を書きあぐねているので更新をお休みします。 色々書きたい事はあるのですが、更新できるようにするため思い切ってかなり短くしたいとか考えています。
[332]森崎名無しさん:2016/05/06(金) 04:48:06 ID:??? 連日更新ありがとうございます、いつも楽しませて貰っています 描き続ければ詰まることもありますでしょうし、気楽にやっていきましょ!
[333]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/05/07(土) 02:51:28 ID:??? *** ……それから先の記憶は曖昧だった。 一瞬の沈黙の後、ピエールの発言に騒然とする講堂。 ボッシ「は……? フランスのサッカースクールが、日本に買収?」 ルスト「そんなのはどうでも良い! それよりも、どういう事だ!? 俺達が、フランスサッカーの為の機械だって……!?」 マルセル「そんなの、認められるか! 今のままで良いじゃないか!」 それらは当然にして、彼の発言を否定する方向へと収束していく。 自由な校風を否定され、挙句の果てには人を機械扱いされたのだから、それは当然だった。 そして、今や壇上でかつての仲間達を否定するピエールにとっても、全く想定通りの反応だった。 ピエール「……突然にこうした事を言われても納得いかないのは分かる。 だから、我々は君たちにこうした提案をしたい」 スッ……。 ――ザッ、ザッ…… ピエールがそう言って右手を挙げたのを合図に、壇上に数名の生徒が現れた。 ピエール「先に紹介しよう。諸君たちのクラスとは別に、日本の新体制は既に生徒を育成している。 その結果が彼ら――『フランスユース・ヌーヴォー』だ」 カイエ「……」 ネール「……」 フェルベール「……」
[334]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/05/07(土) 02:52:48 ID:??? 彼らは揃って機械のような冷たい視線で、講堂で慌てふためく生徒たちを見下している。 ピエール「彼らは新体制の正当性を示す為に造られた戦士達。 これまでのフランスユース候補生よりも高い身体能力・判断能力を持つ精鋭たちだ。 国は、特に問題が無ければ、彼らを新たなユースメンバーにしようと考えている。 ……さて、そこで本題に入ろう」 ピエールはここで一旦切って間を置いた。 初めそれは自身の発言に注目させる為の手法かと思われたが、それは違った。 ザッ、ザッ……。 反町「(あれは……!?)」 彼が押し黙る間に、更に数名の生徒が壇上へと上がっていく。ピエールはそれを待っていたのだ。 やがて今度こそ全員が整列を終えると、満を持してピエールはこう投げかけた。 ピエール「先程紹介した『フランスユース・ヌーヴォー』に加えて、 新しい教育方針に賛同した俺を含む有志生徒。それに買収元の日本から来た派遣選手を含めた、 チーム・生徒会。君たちの中の有志11名がこのチームに挑戦し、そして勝利出来れば、 従来の自由な教育方針についても一定の理解を示そう」 ざわっ……! 壇上を見上げる生徒たちは一斉に騒めいた。それは悪しき新体制を潰そうという気概からか、 それとも彼らが放つ威圧感に早くも気圧された為かは判別できない。 反町「(な、なんて事だ……)」 一方反町は、そのどちらの感想を抱く事も無く、新たに壇上に並んだ選手に対して純粋に驚いていた。
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0ch BBS 2007-01-24