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【秋空模様の】鈴仙奮闘記36【仏蘭西人形】
[327]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/05/04(水) 01:42:28 ID:??? ボッシ「一体何が始まるんだ?」 アモロ「ピエールなら何か知っているかな。……でも、人がごちゃごちゃし過ぎて、良く分からないよ」 ルスト「ちょくちょくクラスメートが見えねえな。どこで油を売ってるんだか」 静葉「そうね……。――あ、反町君、穣子も」 反町「静葉さん……。一体、どういう状況なんでしょうか」 穣子「なんか、物々しい感じがするよぉ……」 反町達は首尾よく、静葉を始めとするクラスメート集団に合流できたが、クラス全員がそこに居る訳では無かった。 お世辞にもあまり広いとは言えないこの講堂のどこかに居るのか、サボっているだけなのか、それとも……。 早苗「…………」 スッ……。 反町「(あれは……)」 そんな折、講堂へと入っていく多くの生徒達の流れに反し、 単身講堂を離れようとする早苗の姿が目に入った。 反町「――あの、早苗さん……!」 反町が慌てて声を掛けると、早苗は深刻そうな表情を覗かせたまま振り返る。 しかし、そこから彼女は俯いて、 早苗「反町君、ごめんなさい……」
[328]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/05/04(水) 01:48:47 ID:??? とだけ言い残すと、反町達に合流する事なくこの場を離れていく。 追いかけるかどうか迷う反町だったが、間髪を入れずして講堂の演台に学長が立ち、 演説が始まった事により、思考は中断された。 学長「えー、みなさん。突然お呼びして、大変申し訳ない」 学長は存在感の薄い老人だった。昔は欧州のサッカー協会でそこそこの地位に居た人物らしいが、 現在は名誉職的な学長というポジションに甘んじ、悠々自適の生活を送っていると聞く。 そんな老人は、普段通りのしゃがれた声で、淡々と語り始めた。 学長「――当学校は、本日この時をもって、フランス共和国から日本国の所管となりました。 それに伴い、当学の経営陣及び教育方針が大きく変わる事となります。 えーと、その概要については……生徒会長、頼めるかな」 反町「……!?」 その内容は、講堂の雑然さや学長の暢気な語り口とは裏腹に、非常に重大なものだった。 反町がそのメッセージを受け取り狼狽える中、講堂からは一人の生徒が出てきた。 反町「(あれは……ピエール!)」 長身で長髪、女性的な柔和な顔立ちにしっかりと鍛えられた全身。 まさしくサッカー選手として模範とも言うべき少年――エル・シド・ピエールは、 学級委員長にして生徒会長という高い立場から、厳かに反町達全校生徒の前に立って。 ピエール「……生徒諸君。我々の自立性は、本日限りを持って終わりとなる。 明日からの我々は、機械となる。フランスサッカーを盛り立てる為の機械として、 一切の質問や疑問の余地のない、緻密で充実した教育が行われる。――楽しみにするように」 反町「な、なんだよ、それ……!?」 ――彼は、これまでの学生生活の全てをひっくり返すような発言を放ってみせた。
[329]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/05/04(水) 02:00:30 ID:??? …と、言った所で今日はここまでにします。
[330]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/05/05(木) 01:11:44 ID:??? すみません、今日は所用の為更新をおやすみします。
[331]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/05/06(金) 00:49:54 ID:??? すみません、今日は更新したかったですが、 どうにも文章を書きあぐねているので更新をお休みします。 色々書きたい事はあるのですが、更新できるようにするため思い切ってかなり短くしたいとか考えています。
[332]森崎名無しさん:2016/05/06(金) 04:48:06 ID:??? 連日更新ありがとうございます、いつも楽しませて貰っています 描き続ければ詰まることもありますでしょうし、気楽にやっていきましょ!
[333]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/05/07(土) 02:51:28 ID:??? *** ……それから先の記憶は曖昧だった。 一瞬の沈黙の後、ピエールの発言に騒然とする講堂。 ボッシ「は……? フランスのサッカースクールが、日本に買収?」 ルスト「そんなのはどうでも良い! それよりも、どういう事だ!? 俺達が、フランスサッカーの為の機械だって……!?」 マルセル「そんなの、認められるか! 今のままで良いじゃないか!」 それらは当然にして、彼の発言を否定する方向へと収束していく。 自由な校風を否定され、挙句の果てには人を機械扱いされたのだから、それは当然だった。 そして、今や壇上でかつての仲間達を否定するピエールにとっても、全く想定通りの反応だった。 ピエール「……突然にこうした事を言われても納得いかないのは分かる。 だから、我々は君たちにこうした提案をしたい」 スッ……。 ――ザッ、ザッ…… ピエールがそう言って右手を挙げたのを合図に、壇上に数名の生徒が現れた。 ピエール「先に紹介しよう。諸君たちのクラスとは別に、日本の新体制は既に生徒を育成している。 その結果が彼ら――『フランスユース・ヌーヴォー』だ」 カイエ「……」 ネール「……」 フェルベール「……」
[334]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/05/07(土) 02:52:48 ID:??? 彼らは揃って機械のような冷たい視線で、講堂で慌てふためく生徒たちを見下している。 ピエール「彼らは新体制の正当性を示す為に造られた戦士達。 これまでのフランスユース候補生よりも高い身体能力・判断能力を持つ精鋭たちだ。 国は、特に問題が無ければ、彼らを新たなユースメンバーにしようと考えている。 ……さて、そこで本題に入ろう」 ピエールはここで一旦切って間を置いた。 初めそれは自身の発言に注目させる為の手法かと思われたが、それは違った。 ザッ、ザッ……。 反町「(あれは……!?)」 彼が押し黙る間に、更に数名の生徒が壇上へと上がっていく。ピエールはそれを待っていたのだ。 やがて今度こそ全員が整列を終えると、満を持してピエールはこう投げかけた。 ピエール「先程紹介した『フランスユース・ヌーヴォー』に加えて、 新しい教育方針に賛同した俺を含む有志生徒。それに買収元の日本から来た派遣選手を含めた、 チーム・生徒会。君たちの中の有志11名がこのチームに挑戦し、そして勝利出来れば、 従来の自由な教育方針についても一定の理解を示そう」 ざわっ……! 壇上を見上げる生徒たちは一斉に騒めいた。それは悪しき新体制を潰そうという気概からか、 それとも彼らが放つ威圧感に早くも気圧された為かは判別できない。 反町「(な、なんて事だ……)」 一方反町は、そのどちらの感想を抱く事も無く、新たに壇上に並んだ選手に対して純粋に驚いていた。
[335]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/05/07(土) 02:56:36 ID:??? 中西「ほーん。これがおフランスの学校かァ。なんや、日本と対して変わらへんな」 岬「言葉遣いに気を付けて、中西。……僕達は今まさに、最大のビジネスチャンスの渦中に居るんだ」 買収元の日本から来た派遣選手は、全日本ユースの主力選手――大柄な相撲GK・中西太一と、 かつてはフランスで個人技を磨き、幻想郷においても豊聡耳神子の忠臣として活動したMF・岬太郎。 日本サッカー協会の拡大事業担当者でもある彼らは、旧友たる反町を気に留める事なく、 虎視眈々と眼前にある商機について思いを馳せていた。 ――しかし、反町が驚いた対象はこの二人では無かった。 反町の視線はピエールと中西達サッカー協会組、その後ろに立つ鮮やかな緑髪の少女へと向いていた。 早苗「……」 反町「(どうして……。どうして、早苗さんまで……。あの、自由闊達な早苗さんが、 あのピエールと一緒に、壇上に並んでいるんだ……!?)」 ――早苗は、毅然とした覚悟を秘めた表情で、凛と反町達を見下ろしていた。 かつては密かな憧れと淡い感情を抱いた事もあった彼女と相対している現状に、 反町は完全に絶句していた。
[336]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/05/07(土) 03:03:06 ID:??? …と、いったところで今日の更新はこれだけです。 >>332 応援して頂きありがとうございます。 最近仕事はそこまで忙しくはないのですが、どうにも色々考えてしまい、ストーリーや描写が進まなくなってました。 今こそ初心に返って、即座に何でも書いていければと思っています。
[337]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/05/07(土) 17:21:34 ID:??? *** 穣子「……くん。一樹くぅん……!」 反町「…………。あ、あれ……いつの間に眠って……?」 穣子「! 良かった、気が付いたぁ! わたし、一樹君が死んじゃったかと……!」 静葉「穣子、そんな簡単に人間は死なないわ。……でも、本当に良かった」 気付くと、反町は保健室のベッドで寝かされていた。 視界には目を赤くした穣子と、涼し気な表情を絶やしてはいないが、心労の色が消えない静葉がいた。 静葉「反町君。あなた、講堂で起きた出来事に大きくショックを受けたみたいで、倒れていたのよ。 あれからもう……3時間程は経ったかしら」 反町「3時間も……? ――そ、そういえば! あれから講堂はどうなったんですか!? ピエールが学校を改革するって言って、日本サッカー協会の手の者が出て来て、 フランスユース・ヌーヴォーとかが出て来て。それに、早苗さんが……!?」 反町はがばりと起き上がり、平静を欠いた風にそう詰め寄る。 先程まで言葉に出来ず渦巻いていた疑問や驚きが、一気に吹き出していた。 そんな反町を静葉は優しく窘めつつも、これまでの経緯を簡単に説明してくれた。 静葉「……ピエール君や日本サッカー協会の者が提唱した新体制に反対する者は、当然ながら多かった。 しかし一方で、お上に気に入られて重用されたいと思う者もある程度いた。 だから、彼らは中々団結しなかった。けれど……それを無理やり、ナポレオン君が纏め上げた。 勿論、ピエール君達新体制と戦う方向でね」
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0ch BBS 2007-01-24