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【熱戦烈戦】鈴仙奮闘記37【超激戦】
[792]森崎名無しさん:2016/09/07(水) 00:03:11 ID:??? 乙なのです 鈴仙「頑張れアリス。お前がナンバーワンだ」
[793]森崎名無しさん:2016/09/07(水) 00:09:26 ID:??? 乙でしたー サントス戦が濃すぎてもう狂気成分はお腹いっぱいだぜ
[794]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/09/08(木) 00:50:33 ID:??? すみません、今日は無判定パートを書いていましたが、終わらなかったので更新をお休みします。 明日くらいには纏めて幕間パートを終わらせる予定です。 >>792 乙ありがとうございます。実際総合力的にはアリスさんがナンバーワンなんですよね…。 序盤の練習や特訓の引きの悪さが効いていますね。 >>793 乙ありがとうございます。リオカップ編はこれ以降シリアス目になる予定です。
[795]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/09/10(土) 18:05:39 ID:??? ********** 【Interlude】 場面は一旦移り、ブラジルからは地球の裏側となる幻想郷にて。 紫「…………」 八雲紫は――今もなお彼女をこう呼称して良いのならば――、私室に籠り、 静かな表情で自らが選出した全幻想郷代表メンバーの一覧を眺めていた。
[796]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/09/10(土) 18:06:43 ID:??? 全幻想郷選抜代表 メンバー (このメンバーは、今後の必要に応じて、適宜追加変更がなされる場合がある。) FW: ・レミリア・スカーレット ・星熊 勇儀 ・洩矢 諏訪子 ・フランドール・スカーレット MF: ・博麗 霊夢、 ・八意 永琳 ・風見 幽香 ・聖 白蓮 ・十六夜 咲夜 ・東風谷 早苗 DF: ・西行寺 幽々子 ・八坂 神奈子 ・比那名居 天子 ・レティ・ホワイトロック ・藤原 妹紅 GK: ・八雲 紫 ・蓬莱山 輝夜 ・伊吹 萃香
[797]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/09/10(土) 18:09:27 ID:??? それは数か月ほど前、彼女が幻想郷中に発表した代表選手リストと全く一致しており、真新しい情報ではない。 しかしそれでも、紫は一人一人を愛おしむように、この名前の羅列を眺めている。 紫「(……このリストは、決して完璧という訳ではない)」 月の狂気を一身に纏った妖怪の賢者は、思念を統合させる手段として、 今一度全幻想郷のユニフォームを纏うべき選手について思いを馳せているようだった。 紫「(……本来このリストに最優先で載るべきだった、パチュリー・ノーレッジにアリス・マーガトロイド。 それに、レギュラー陣の穴を埋める補欠として検討していた、寅丸星に古明地さとり。 加えて、三下政治家の豊聡耳神子が引き抜いた魂魄妖夢に、勝手に行方をくらました射命丸文。 ――彼女達が私の下に降りてくれれば、このチームは間違い無く完璧だったでしょうけれど。 ……それでも、私には勝算がある)」 窓を閉ざした暗い部屋にはろうそくの明かりだけが灯り、 彼女の孤独を妨げる者はもうこの世界のどこにも居ない。そんな錯覚すら抱かせる。 ガラリ……。 ラズリー「入るわよん」 ……八雲紫の新たな友人である、彼女を除いては。 ラズリーはその名前に沿った青いセミロングを揺らしながら、 全く遠慮する気配を見せずに紫の傍へと歩み寄った。
[798]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/09/10(土) 18:11:00 ID:??? ラズリー「んもー、またリストを眺めてるのね? 心配性なんだから」 紫「心配などしていないわ。あらゆる可能性を想定して、計算を重ねていただけよ」 ラズリー「それを世間一般では、心配してるって言うのよ」 かつての忠臣である八雲藍は追放された。 今頃は地獄の大神殿の奴隷として石運びに夢中…とはラズリーの弁で、 実際に彼女が今、何を感じ何をしているかは紫には知り得ない。 が、すでに紫にとって古い式は興味の埒外。 今の彼女の関心の全ては全幻想郷代表と、その勝利のみに向けられていた。 ラズリー「まあいいけど。で、計算の結果はどうだったのー?」 そんな紫とは対照的なのはラズリーだった。格式も何も無いおちゃらけたシャツに、 意味も無く派手なスカートを身に着ける彼女は、頭上の球体じみたオブジェも込みで、 笑いによって女帝を諌め操る道化師と呼ぶに相応しい。 道化師の間の抜けた問いかけに、紫は楽しそうに応じた。 紫「――勝てるわ。だけど、それには三つ程条件がある」 ラズリー「ふーん。で、その三つって?」 紫「第一。八意永琳が反旗を翻さないこと」 紫は病的に細い指を一本だけ立てながら答える。 紫「――と、言っても。これは殆ど可能性が無いと考えているわ。 全幻想郷代表として召集したメンバーのうち、私を倒し得るのは彼女だけだけど……」 ラズリー「ああ、なるほどね。貴女と私という二対一の不利な状況下でクーデターは起きえないから、問題にならないと。 ま、仮に起きたらその時は、少なくとも惑星の一つ二つが吹っ飛ぶ事は覚悟しないといけないしね」
[799]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/09/10(土) 18:12:24 ID:??? 紫「彼女はとても計算高い。この星を丸ごと犠牲にしてまで、勝ち目の薄い戦いはしないわ。 だから少なくとも大会終了までは、この均衡した状況が続くと考えられる。これが一つ。 そして二つ目だけど……それはラズリー。貴女の方が詳しい筈よ」 ラズリー「えっと、私の方が詳しいっていうと……ああ」 ラズリーはぽんと拳を叩いてわざとらしく承知してみせる。 ラズリー「世界各地にバラ撒いた、代表選手の育成『とか』の事ねー。 確かにこれが上手く行かなかったら、大会優勝はかなりおぼつかないものね。 地味だけど、確かに気になる要素だわ、これ」 くすくすと笑って、彼女は『とか』に変なアクセントを加えつつ、紫に代わって二本目の指を立てた。 ラズリー「その辺はそいつら次第……ってワケだけど。 でもとりあえず、一足先にフランスでのサッカー留学を終えた東風谷早苗は、 技術的にも精神的にも、一回り成長した感があるわね。 イタリア、メキシコ、イギリス……他の地域に派遣した子も同じ位成長してると仮定すれば、 その辺りは心配ないかな、って思うわよん」 だけどあの小娘嫌なのよねー、ファッションセンス皆無だし……と愚痴りながらも、ラズリーは自信を持って紫に応えた。 全幻想郷の代表選手達のうち、数名を海外へと派遣するというのはラズリーの提案だった。 だが、その理由は前述に述べた選手の強化だけでは無い。 ラズリー「あと……あんたが心配していた、『紅魔派閥』に力を持たせないようにも配慮しといたわ。 私の部下のピースを使って、サッカースクールの編入試験時に睡眠薬を盛らせたのが効いたみたいね。 独学で鍛えたFWとしての個人技は中々だけど、あれだけじゃ、代表にねじ込むのは難しいもの」 紫「私としては、そっちの方が喜ばしい報告ね」 ラズリーが先程『とか』と、敢えて強調して答えた理由こそが、紫の憂慮の2番目だった。 つまり、レミリア・スカーレットを中心とした『紅魔派閥』の台頭である。
[800]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/09/10(土) 18:13:56 ID:??? 紫「レミリア・スカーレットとその一派は明らかに私達を敵視している。 加えて、一匹狼である事を好む風見幽香や比那名居天子、藤原妹紅と違い、 彼女の下には十六夜咲夜やフランドール・スカーレットなど、強力な派閥構成員が居る。 隙あらば彼女は全幻想郷を離反し、新たなチームを立ち上げようと画策しているように見えるわ。 ……だから、八意永琳の次に優先して、彼女達に目を配る必要があった」 ラズリー「そんな意味でも良かったでしょ? あいつら以外の全幻想郷代表選手も、海外に派遣するってアイデア。 私達を出し抜いてドイツに渡ったチスイコウモリの妖怪も、今頃悔しがってる筈よ」 八雲紫は、『大きな舞台で全幻想郷代表を勝たせ、幻想郷の秩序の絶対性を証明する』という当初の目的を貫くつもりだ。 八意永琳との最終戦争を開始し、幻想郷を含めた全宇宙を焦土にするつもりは毛頭無いし、 反抗的な下級吸血鬼を暴力で従える事も、無論可能ではあるが敢えてはしない。 あくまで、正々堂々としたサッカーの世界で勝つからこそ、その正当性を広く証明できると考えている。 彼女の目的は、サッカーによる世界の支配だ。紫は続けた。 紫「……そして。第三の条件だけど」 ラズリー「昔の貴女の事だったら、ここまで勿体ぶる事なく、素直に狼狽えてたと思うのに。 それが一番大きな理由なんでしょ? チーム的にも、『八雲紫という名の妖怪』的にも」 そこで紫は後ろにある闇に眼を交わし――ラズリーはようやく初めて、 この場所に居るのが自分と紫の二人だけでは無い事が分かった。 蝋燭の明かりが見えない奥に、彼女は確かに『いた』。
[801]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/09/10(土) 18:16:04 ID:??? 霊夢「……………」 紫「……霊夢はあの大会以来、人形のように虚ろになってしまった。 昔の私ならば、そこに哀しみだとか後悔だとか、そんな感情を抱いたのでしょうけれど。 今の私にとっては、彼女の選手としての復活こそが、大会優勝の為の大前提であると。 それ以上の感想を抱けないの」 病的に白い紫よりも更に白い肌。不愛想ながらも感情豊かだった表情は失われている。 あの全幻想郷選抜大会の決勝戦。一瞬は博麗の巫女として純化された存在となった筈の彼女は、 純粋過ぎた故に、崩壊するスタジアムで見届けた親友の喪失に耐え切れず、虚ろとなっていた。 紫「可愛い可愛い私の霊夢。……全幻想郷代表の誰よりも高い総合力を持ち、 誰よりも強力な必殺技を持ち、私に逆らう事の無い忠実な駒である可愛い霊夢。 ――ええ、やっぱり私は今も、霊夢を可愛いと思っている。 だけど昔の私も、こんな理由で霊夢を可愛いと思っていたのかしら?」 そして紫もまた、内心では戸惑っていた。 彼女の内心に生まれた狂気は、前よりも確実に彼女自身を蝕んでいた。 しかしそれを気にする事なく、無神経な程楽しそうにラズリーは、 ラズリー「……ま、そんなことはどうでも良いじゃない。 愛っていうのは突き詰めて考えれば損得勘定の一致、とも言うワケだしさ。 それにそれにっ。今日私が来た理由はズバリ、八意永琳対策にもなり、紅魔派閥対策にもなり! そして何より、霊夢復活の為にも、必要不可欠なピースを持って来たからなのよー」 あたかも予定調和を楽しむかのように、ウキウキ顔でそう答えた。 そして彼女が闇の中振り向き促すと、霊夢はまるで人間のように目を丸くして、 霊夢「……ぁ」 ――と、久しぶりになる声を出した。そう。ラズリーが始め霊夢に気付かなかったように。 この舞台上には、霊夢が予想もせぬ第四の人物が立っていたのだ。
[802]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/09/10(土) 18:20:12 ID:??? ラズリー「いやー、流石の私も一人で魔界の神を相手取るのは大変だったわ。 だけど、八意永琳の一派――プロジェクト・カウンターハクレイにも相当の深手を負わせる事にも成功したし、 レミリア・スカーレットとも同格と言える、幻想郷最高のFWを確保する事にも成功した。 これでFWはレミリア一強ではなくなる。今後彼女の発言力は、多少なりとも衰えるでしょうね。 ――そして最後に。彼女の存在は博麗霊夢にとって、とっても大きい存在である。 どう? これまでの憂慮事項を全部都合良く埋めてくれるジョーカー。それを私は拝借して来たってワケ」 魔理沙「――霊夢。会いたかった……」 霊夢「ま、りさ……。生きていたの……?」 紫「――成程。道理であの大会決勝の日、崩壊したスタジアムから彼女の遺体が見つからなかった訳ね。 プロジェクト・カウンターハクレイが首尾よく回収し、復活し次第、 同じ志を持った仲間として協力して貰う予定だったのかしら」 紫は敵への侮蔑を籠めた視線を籠めながら、その少女を見やる。 ――少女の名前は霧雨魔理沙。先の全幻想郷代表選抜大会で、その右脚を犠牲にしつつも最後まで戦い、 そして何処かへと消えた事になっていた、人間の魔法使いであり――霊夢の親友だった。 紫「……感謝するわ、ヘカーティア。――いや、ここではラズリーと呼ぶべきでしたね」 ラズリー「それでよしそれでよし。ここでの私は単に優秀なだけのチェスの駒なんだからね。本当は盤面をひっくり返したり、 ルールそのものを改竄できるんだけど、そこはやらないからね。だって、そしたら楽しくないもの」 ラズリーはそう嘯きながら紫に対して微笑み返した。……彼女は本来、ここに居るべき存在ではない。 また、便宜上紫の味方をしているが、本来はその義務すらない。彼女はただ、楽しみたいだけなのだ。 ラズリー「(だから、あの事は紫に言わなくても良いわよね? 霧雨魔理沙と一緒に魔界に居た、『もう一枚のジョーカー』。 ……その封印も、この私が一緒に解いちゃった事は)」 故に、彼女は紫に対して一つの秘密を敢えて話さない。 そして、夜はますます更けていき――何時の間にか、全幻想郷代表のリストがこのように更新されていた。
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0ch BBS 2007-01-24