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【熱戦烈戦】鈴仙奮闘記37【超激戦】
[821]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/09/19(月) 00:48:47 ID:??? 神綺達プロジェクト・カウンターハクレイの上層部は、あの全幻想郷代表選抜大会の終了時、 霧雨魔理沙と森崎有三の身体を回収していた。 それは将来、彼女達の身体機能を復活の上、鈴仙達と競わせた後共闘させる事により、 結果としてチーム力の底上げと戦力強化を狙ってのものだった。 神綺「……こうなると、既存のメンバーの強化がますます必要になって来る訳よね。 ねぇ魅魔。各派遣選手の状況について、報告は上がってる? 折角の機会だし、現状を教えてよ」 それが今や見込めないとなると、鈴仙達初期メンバーの活躍がますます必要不可欠だ。 神綺はやや機嫌を取り戻した風で、魅魔にそう尋ねた。 魅魔「そうだね。まず鈴仙だが、今の所やや伸び悩んでるフシもあるが……。 それでも、無事にリオカップの第二回戦を突破した。 フランスに派遣した秋姉妹に反町。後アリスさんの成長がそこそこ上手く行ってたのが大きいようだね。 イギリス、イタリア、メキシコも概ね順調だ。ただ……」 神綺「――アルゼンチンが不安、なのね? 大丈夫、分かっているわ」 しかし、神綺の問いかけに対して魅魔は若干言葉を濁した。その意図を神綺は分かっていた。 魅魔は苦々しげに続ける。 魅魔「……因幡てゐ、佳歩、そしてつかさ。彼女達は鈴仙を一番慕ってはいるが、同時に個々の実力では下位ランクだ。 あたしとしては、だからこそアルゼンチンで個人技を磨いて欲しいと思っていたが……。 まだ駄目だ。伸びてはいるが、これからの戦いを考えると、ハッキリ言ってついていけなくなる」 勿論、彼女達とて怠けている訳では無いのだが……とも魅魔はフォローを入れる。 神綺「なるほどね。……でも、私は大丈夫だと思うけど」 しかし魅魔とは裏腹に、神綺は彼女達についてさして心配に思っていないようだった。 魅魔「何故だい? まさか無根拠にそう思い込んでる訳じゃああるまい」
[822]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/09/19(月) 00:51:05 ID:??? 自分の憂慮が流されたようにも感じ、魅魔は少しだけむっとした様子でその理由を聞き返す。 そう聞かれた神綺は少しだけ黙って、 神綺「――そう言えば、悪い知らせばかりで、良い知らせの方を伝えて無かったわね」 ふと、そんな事を呟いた。 魅魔「それは、霧雨魔理沙と森崎有三がヘカーティアの手に堕ちた、 というニュースの埋め合わせになる程度に良い知らせなのかい?」 神綺「うーん、そこまで良い知らせじゃないかしら。 だけど――少なくとも、貴女の心配事が消える程度には、良い知らせだと思うわ」 神綺はそこで切って、声のトーンをやや低くして次を伝えた。 神綺「……八意永琳がね、新たなスタッフを紹介してくれたのよ。 ヘカーティアと純狐を見張る必要がある自分に代わって、私達の計画。 プロジェクト・カウンターハクレイに協力してくれる人物をね」 魅魔「なんだって……? あたしは、そんな事初耳だよ」 神綺「だって、貴女ったら私が最後まで伝えるよりも先に、電話を切ってここまで来たんだもの。 ちょっとせっかち過ぎると思うわよ〜?」 魅魔「うぐぐ……。ま、まあ良いさね。で、どんな人物なんだい、そいつは? そいつの存在がどうして、あたしの心配事――アルゼンチン派遣メンバーの成長に繋がるって言えるんだい?」 少し恥ずかしそうにしている魅魔を尻目に、神綺はその質問に対して簡潔に応えた。
[823]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/09/19(月) 00:55:36 ID:??? 神綺「その人物は――彼女は、月の賢者にして、八意永琳が最も信を寄せる部下。 そして彼女はこう言った。『アルゼンチン派遣メンバーは、必ず成長を遂げるだろう』ってね」 魅魔「前半については分かった。……しかし、後半は何だい? こう言って……それから、どうしたんだい? それとも何か? そいつが『成長を遂げるだろう』って言ったから、その通り成長を遂げるとでも思ってるのかい?」 魅魔はからかうようにそう返した。しかし彼女とは対照的に、神綺は真剣な様子だった。 神綺「ええ、そうよ。佳歩達の修行が失敗しそうな事態を前に、『彼女』は、『修行は成功する』と言った。 ……だから、この修行は必ず成功するのよ」 魅魔「……あたしだって、月の賢者の力は認めてる。だけど、それは通らないね。 幾ら八意永琳でも、アカシックレコードを書き換えるには相応の手間を要するんだ。 それなのに、彼女の部下風情が何の手間もなく、そう易々と運命を改変できる訳が――」 神綺「出来るのよ。……それが、永琳が自分の代わりに彼女を呼んだ理由でもあるのだから。 神代において、言葉のみで運命を捻じ曲げ神をも殺した叛逆の女神。 それが、永琳が放った切り札。……恐らくはもう、自身もその場に出向いている筈よ」 魅魔「………!」 神綺は念を押すように、そう頷いた。魅魔はこれ以上反論のしようがなかった。 そして、このやり取りとほぼ時を同じくして――。
[824]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/09/19(月) 00:58:22 ID:??? ***** ――シュウウウンッ、スタッ。 ??「……久しぶりだ、この穢れた地上も」 アルゼンチンの山奥に、白い光が落ちる。 その光の中心で、美しい銀髪を編み上げた、細身の女性が小さく呟いた。 白いベストの背に片翼をはためかせ、片手を口に当てた恰好のまま、その女性は滑るように街へと歩いていく。 ??「さて。私の役目は既に果たしたけれど……折角の機会だ。 役目ついでに、私も幻想郷のやり方を真似させて貰おうか。その位遊んでも、八意様はお怒りはしまい」 その途中、彼女は無表情の中、少しだけ悪戯っぽく唇を歪ませ、 ――誰にも聞こえないながらも、確かにこう宣言した。 ??「因幡佳歩。貴女は解決できるかしら? 私が主犯となって創り出す『異変』。――『偽ディアス異変』を……」 第三章 プロジェクト・カウンターハクレイ 海外修行編 ――佳歩・てゐ・つかさの章――
[825]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/09/19(月) 01:00:00 ID:??? ***** −アルゼンチン・アルヘンチノス練習場− バシュルルルッ……! パスカル「ヘイ、そっちだカホ! カットしてみろ!」 佳歩「は、はい! てりゃーーっ!」 バッ! ……スカッ。 てゐ「あっちゃー、こりゃ惜しい」 パスカル「てゐも喰らってみろ、俺の『バナナパス』は前より違うぜ?」 グワァッ、バシュルルルルルルッ!! バッ! ……スカッ。 てゐ「む〜ん。中々成長したねぇ、パスカル君。男子三日会わざれば括目してみよ、てのはホントだよ」 ――佳歩達アルゼンチン派遣メンバーが、パスカルも所属する国内名門チーム・アルヘンチノスに 一時加入してから、一週間ほどが経っていた。 当初は慣れなかった南米の気候、下部とは言えプロチームに漂う厳しい空気、 そしてアルゼンチン流の烈しくも華麗な個人技についても、漸く慣れ始めて来たそんな中。 佳歩達はかつてのチームメイトであり、ここアルヘンチノスで再開を遂げたパスカルと共に、 必死の自主練習に励んでいるところだった。
[826]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/09/19(月) 01:01:52 ID:??? つかさ「もう一週間も経ったのに、私達の実力はまだまだ伸びていません。くうっ、歯痒い!」 佳歩「私もだよ、つかさちゃん。練習もついて行くのが精いっぱいだし、コーチは怖いし……。 ううっ、鈴仙さま、姫様、お師匠様。霞ちゃんにCちゃんにDちゃん。それとウサギ達の皆。会いたいよぉ……」 とはいえ、つかさや佳歩はまだ妖怪兎となってから日の浅い子どもである。 中身に強い意志を秘めてるとは言っても、日々の厳しいトレーニングと伸び悩む実力に対して、 こうして辛い感情を隠し切れない事は多くあった。 てゐ「私は鈴仙なんかと会えなくっても全然寂しくないけどね〜。 むしろ、いつもピーピー五月蠅いダメ娘から離れられてラッキーみたいな〜?」 逆に年長者であるてゐは平然とした様子で修行を切り抜けて来ているようだったが。 パスカル「……良く言うぜ。俺に対してはいっつもレイセンの話題ばかり振って来るのによ。 『レイセンは風邪とか引いてないかな?』とか『生水飲んでお腹壊してないかな?』とかさ」 てゐ「ぐ、そ、それは……。――パスカル君が気にしてるかな?と思って敢えて話題にしてやってる大人の気配りだしー?」 ――永遠亭という安定した環境に永年過ごして来た事が祟ってか、 このアルゼンチンという新天地においては、普段の余裕釈然とした態度を上手く取れていないようだった。 そのため必然的に、彼女達の精神的なフォローを行うのは旧友のパスカルとなってしまっていた。 佳歩「パスカルさん、いつもごめんなさい。本当はディアス……さんと一緒に練習したいんですよね? 私達のせいで、迷惑をかけてしまって……」 パスカル「なーに、そこは気にするな。俺だって君たちに触発されたからこそ、ここまで成長できたんだ。 だから、その……ディアスの事は、気にするな」 つかさ「パスカルさん……」 だが、そのパスカルにしてもディアスの名前が挙がるとすっきりしない。……とはいえ、それも仕方なかった。
[827]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/09/19(月) 01:04:37 ID:??? ??「……チッ。またガキの子守りかよ、飽きねーなぁ、パスカルせんせーよ」 てゐ「あいつは……」 ――佳歩達とパスカル以外無人のサッカーコートに、一人の少年が入って来た。 天然パーマの髪型が特徴的で、不敵で傲慢な笑みを隠さない彼。 彼こそが先に佳歩達が述べ、そしてアルゼンチン中の、 いや世界中の誰もがその才能を認める天才10番。ファン・ディアスその人だった。 ディアス「おめーらも自主練頑張ってるみたいだけどよ。ここはプロなんだ。 頑張ってるからご褒美あげますよーの世界じゃないんだぜ? プロでは結果が全て。そして、その結果の為に貢献できない奴は全員クソ扱いだ。 ……ここまで言えば分かるよな? 俺が何を言いにここまで戻ってきてやったか」 パスカル「……つまり、俺がウサギ達のコーチングに夢中で寂しかったって事か。 悪いなディアス。今日は彼女達のが先約だったんだ。だから練習は後30分だけ待ってくれ」 ディアス「フン。折角半年ぶりに会えて、しかも俺の全力プレーに合わせられる程上手くなって嬉しかったのにさー。 お前がそうやって新入りのウサギばっかりに構ってるからジェラってるんだよ、言わせんな恥ずかしい。 ま、お前が言うならわかったよ。30分間だけ待ってやるさ」 つかさ「(ディアスさん……。パスカルさんに気を遣ってか、口調は楽しそうだけど。 それでもやっぱり、私達の事はまだ、受け入れてくれないみたい……)」 てゐ「(チーム内の不和ってイヤだねぇ。なんとかしたいけど、あたしゃ妨害工作くらいしかできんし。 はぁ。鈴仙が居たら、上手い事ふわって纏めてくれるのになぁ……)」
[828]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/09/19(月) 01:06:38 ID:??? ディアスは一方的に話しながらも、パスカルの制止には大人しく従う。 しかし、やはりと言うべきか……。ディアスは、佳歩達を少なからず良く思ってはいない。 その理由としては、先に彼自身で述べた部分が大きいだろうが……その根底にはやはり、 無二の親友であるパスカルを巡っての複雑な感情がある事が見てとれる。 パスカル「(……やれやれ。レイセンみたくどっちも大事に、ってのは俺には向いてないな)」 パスカルもそれを自覚し、肩を竦めて溜息を吐いている。 ……当初の魅魔の憂慮通り、現時点において佳歩達の修行は完全に順風満帆とは言い難かった。 佳歩「(まだまだ慣れない新天地。中々開花しない才能。打ち解けられないチームメイト。 ……こんな状況でも、鈴仙さまならきっと屈しない筈。だったら、私だって、頑張らなくっちゃ……!)」 だが、そんな中でも希望を見つめて前向きに決意する者もいる。 一度練習が再開されると、佳歩は子どもらしい感情を投げ捨て、視線でこう語った。 佳歩「(ディアスさん……! 私は、私達は負けません……! 私達は天才じゃないかもしれないけど。 それでも頑張って食いしばって。そして切り開いてみせます。私達自身の道を……!)」 その影で新たなる月の賢者が舞台を整え、役者を揃えんと策謀を巡らせている事も知らずに。 ――ここに、鈴仙の奮闘記に憧れた一人の少女による、人知れぬ奮闘記が今、始まった。
[829]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/09/19(月) 01:08:02 ID:??? 〜練習フェイズ@〜 −佳歩のターン− パスカル「そういえば、佳歩達は提出したのか? 明日から始まるコース練習の希望届」 佳歩「あっ! わ、忘れてました、どうしよう!?」 ――パスカルとの自主練習の合間、佳歩は大きく慌てふためいた。 てゐ「えっ、マジ? 佳歩ちゃんまだ出してないの?」 つかさ「締め切りは今日の夕食までだったかしら。練習が終わってからでも、コーチに届け出た方が良いわよ?」 佳歩「ううう……でもどうしよう。まだ全然考えてなかったよぉ……」 基本は真面目な佳歩だが、一本気過ぎるが為に枝葉を見逃してしまう事が多い。 この『コース練習』についても、明日から本格的に始まると知っていつつも、 日々の練習に追われて後回し後回しになっていた。 パスカル「じゃあ、佳歩。『パーソナルデータ』は貰ったかい? 今からそれを見ながら、一緒にどのコースを考えようか」 佳歩「あ、はい。それなら貰ってます。はい」 パスカルの心優しい提案に促され、佳歩は監督から毎週貰っている、 自身の評価を客観的に記した紙を取り出し確認する。そこにはこう書かれていた。
[830]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/09/19(月) 01:13:48 ID:??? 選手名 ド .パ シ タ カ .ブ せ 総 高/低 ガッツ 佳歩 52 48 52 47 49 45 46 339 2 / 2 800 所持中のフラグ:タックル 〜必殺技・スキルリスト〜 直情的なドリブル(1/4でドリブル+3、吹飛3) 頭脳的なドリブル(1/4でドリブル+3、吹飛3) 華麗なドリブル(1/4でドリブル+3、吹飛3) 野兎シュート(シュート+4)120消費 ラビットテイル(シュート+7)200消費 真実の友情(シュート+14、要鈴仙、てゐ(※)、ポスト・枠外無効)250×3消費、1試合1回限り ※発動の起点はてゐ。発動には(佳歩と)てゐと鈴仙がゴール前まで上がっている事が必要。 野兎ボレー(低シュート+3)160消費 プランスラビット(近シュート+4)120消費 パスカル「う〜む。幻想郷で一緒にプレーしていた時と、殆ど変わっていないな……」 佳歩「でも悔しいですけど、これが正しいと思っています。……勿論、このままで良いとは思ってないですけど」 パスカル「ああ、そうだな。だが、今回のコース練習は自分の性向と希望に合った分野について、 集中的に大きく伸ばす事が出来るチャンスだ。 これを上手く利用して、レイセンと並び立てる選手となるよう頑張ってくれよ」 佳歩「はい! 頑張ります!」 てゐ「……でさ、佳歩ちゃんに勧められてる練習コースってどんなんよ。 一緒に考えてあげるから、ちょっと見せてみ」 つかさ「私にも気になるわ。見せて貰っていいかしら?」 佳歩「うん、えっと……」
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0ch BBS 2007-01-24