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屁理屈推理合戦withキャプ森
[134]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 00:19:47 ID:??? 〜東邦学園宿舎・反町の私室〜 反町「畜生……日向の奴め。あいつのせいで俺のサッカー人生お先真っ暗だ……!」 全国中学サッカー大会決勝戦、その前夜。 反町一樹は誰もいない自分の部屋で、言いたかったが言えなかった事を壁にぶちまけていた。 反町「日向だけじゃない! 日向のお引きの若島津に、そいつらを煽って殺人サッカーを促す吉良監督! タケシはまだ良いとしても、あの3人が居るせいで……!」 その理由は勿論、日向、若島津、吉良という、これまでの反町の人生を全否定するような、 現在の東邦学園サッカー部を牛耳る連中のせいである。 反町「尊敬していた北詰監督は、胃潰瘍が悪化し危篤。 仲の良かった友達からは、日向との癒着をでっち上げられ苛められる。 これも全部、全部、あいつらのせいなんだ……!!」 これまで優等生として、概ね順風満帆なサッカー人生を歩んで来たが故に、 反町は日向達アウトローの存在を認められない、認めたくないという幼い気持ちもあった。 しかしそれ以上に、日向達はまだ中学3年生の少年の心を黒く蝕みすぎた。 反町「そうだ。アイツらだ。アイツラを殺せば。コロセサエスレバ……!」 ――反町はいつしか、日向達の死を強く望むようになっていた。 事故に遭ってくれないか、突然病気になってくれないか、こうなったらいっそ自分がナイフで……! いや、ナイフは足がつく。ならば、何処にいても殺せるような魔法を使って……!!
[135]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 00:21:31 ID:??? 反町「――はぁ。一体俺は何を考えているんだ……!」 しかし同時に、反町は聡明な少年であった。黒い妄想を抱きこそすれど、決して実行には移さない。 それどころか、こうした妄想が何も生まないという事すらも知っていた。 反町「喉が渇いた。自動販売機で、 ドリンクバー でも買って来ようかな……」 だから彼は、気分転換を兼ねて自室を離れようとした。 外の空気を吸えば、自然と建設的な考えも浮かぶ――そう思っていた時だった。 ヒラリ……。 反町「(ん……金色の……蝶?)」 ――反町の私室の窓枠に、黄金の蝶が一羽、舞うのが見えた。 何かの見間違いか。そう思って目を凝らすと、それはゆっくりと人の姿を象り……。 ベアトリーチェ「くっくくく……少年よ。一つ妾と取引をしないか?」 反町「何だって……?」 やがて、蝶は美しい金髪の女性の姿を取った。 その姿は亡霊のように朧げであったが、気品に溢れており、反町は自然と姿勢を正してしまう。 亡霊は続けてこう言った。 ベアトリーチェ「妾は無限の魔女。妾はそなたにこの魔力を貸し与える。 そしてそなたは魔力を使って、妾の代わりに殺人を犯すのだ」
[136]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 00:24:27 ID:??? 反町「な、何だって……!」 ベアトリーチェ「何、心配は要らない。妾の魔法は完璧だ。 警察に足が付く事を恐れているならば、それも心配ない。 魔法による完全犯罪など、赤子の手を捻るより容易い事よ」 その提案は衝撃的だった。それは反町がつい先程妄想していた事を、 眼前の魔女は現実に可能であると断じてみせたのだから。 しかし、反町の疑念はまだ拭えない。それを悟ったベアトリーチェは、先回りするように説明を重ねる。 ベアトリーチェ「……まだ妾の存在が信じがたいとみる。まあ、それも仕方ない。 人間とは元来、抗魔力が高い生き物故、妾の姿など目視できぬ者が多いのよ。 ――そんな中で、そなたが妾を視認できたのはまさしく僥倖。 元より異世界との親和性が高いが故、妾の魔力を敏感に察知できたのではないか?」 反町「いや、異世界なんて行った覚え、ないんですが……」 ベアトリーチェ「くくくくっ、その辺りは妾の推測だ! 気にせずとも良い。 それより肝心なのは、これはそなたの妄想でも何でも無い。 そなたには魔術師としての適性がある。先程の話は、それを見込んでの取引だという事よ!」 反町「取引……?」 ここまで話を聞いて、反町は自然と、この幻想的な出来事が事実ではないかと薄っすら思い始めていた。 気付けば彼は、ベアトリーチェの美しく凛とした声に聞き入ってしまっていた。 ベアトリーチェ「うむ。本来妾は無限の魔女故、殺人など幾らでも犯す事が出来るのだが。 しかし先般、とある事情から魔力の多くを失ってしまってな。 このように、完全なるニンゲンの形をとる事が出来なくなったのだ。 これでは、妾が単独で殺人を犯す事はできぬ。誰かの力を借りるしかない」
[137]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 00:26:15 ID:??? ――ここでベアトリーチェは「とある事情」とぼかしたが、 これは数か月前、森崎に魔女のゲームを提示するも、敗れた事が原因である。 彼女の創り上げた魔女幻想が、人間とトリックにより説明されたことにより、 ベアトリーチェはその存在意義を失って雲散霧消していた。 それを辛うじて現世に繋ぎ止めたのが、今の亡霊のような姿であるため、 正直に暴露すれば、彼女は今追い詰められた状況下にあったのだが――そこは敢えて語らない。 ベアトリーチェ「妾が完全な力を取り戻すには、幻想により、魔女が実在すると多くのニンゲンに認められる必要がある。 しかし今の状態では、妾のみの力では困難だ。 ……故に反町。そなたが妾の代わりに、魔女幻想を起こして欲しいのだ。 これが妾の願い。そしてそなたへの対価は、無限の魔法の使用権となる。 ……どうだ? 聡明なそなたならば、この取引が不公平な物では無い事が分かったろう?」 反町「魔女は魔法で自分の存在を証明したい。俺はその依り代となる代わりに、 俺が望む事を魔法で叶えさせてやる。……そう言いたいのか」 ベアトリーチェ「その通り! どうだ、妾と契約して魔法少年、いや魔術師となってくれぬか?」 どこかのアニメに出て来たマスコットキャラクターのような語り口で、ベアトリーチェは反町を誘惑する。 反町「……」 ベアトリーチェ「ま〜だ悩んでおるのか! 良いか、もしもそなたがニンゲンの下らぬ良心の呵責に囚われてるなら、 それは全く心配せずとも良い! 何故なら妾の無限の魔法はニンゲンの理の先にあるもの。 そうした悩み、そなたが魔法を覚えれば全てどうでも良くなろう!」 反町「……………」 反町は当初、その良心から魔女の誘いを断ろうと考えていた。 幾ら日向達が憎いと言っても、人は人を殺すべきではない。 ……しかしその一方で、ベアトリーチェの提案に魅力を感じている自分が居る事に気付く。
[138]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 00:28:13 ID:??? 反町「(考えてみれば、日向だけじゃない。俺は今まで……誰にも言いたい事を言えない人生を歩んで来た。 物心ついた頃から、サッカーの英才教育を受け、練習後は夜遅くまで塾通い。 両親や、チームの監督や、塾や学校の先生。その期待に応えたいと思っていた。 だから、辛くても辛いと言えなかった。地道に努力を重ねるしかないと思っていた。 ――だけど。そもそもどうして俺だけがこんな目に遭わなくちゃいけないんだ?)」 ベアトリーチェ「そうだ反町ィ。憎い奴らを殺すのは単なるきっかけだと考えよ! これはいわば試練なのだぞ。そなたが下らん大人の価値観を脱ぎ捨て、 言いたい事を言える、立派な一人格となる為のな! 完全犯罪の魔法は五万とある。後はその魔法を解き放つか否か! さあどうする? このまま魔法を否定し、大人や暴君に言いなりの人生を歩むか? それとも魔法でそいつらを殺し、自分らしく言いたい事を言える人生を歩むか?? この絶好のチャンスをみすみす逃すのかソリマチィィィィィィイイィィッ!?」 反町「(そうだ。魔女の言う通りだ。このまま大人しくしていても、食い殺されるだけだ。 やられる前に、やらなきゃダメなんだ。俺が……俺が、日向達暴君どもに、鉄槌を下すんだ! そして、俺は全てから解放されるんだ!!)」 ベアトリーチェの狂気に触れ、反町の心に生じたどす黒い感情はますます高まる。 その感情は毒のように、真面目で聡明な少年の心を蝕んでいき――。 反町「……分かった。取引に応じよう。無限の魔女、ベアトリーチェ」
[139]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 00:29:58 ID:??? ベアトリーチェ「くくくく……! 宜しい。それではそなたに、無限の魔法を授けようぞ!」 ゴオオッ……!! 魔女と人間との取引は成立した。その瞬間周囲に凄まじい量の魔力が迸った。 如何に力の大半を失っているとはいえ、無限の魔女が保有する魔力は規格外。 常人ならばその洪水を受ければ、たちまちに絶命してしまうだろうが――。 パァァァァッ……! ソリマチ・ベアトリウス・ユグドラシル卿(以下長いのでソリマチ卿) 「……くっくっく。くわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーはっはっは! なんだ、これは。これが俺だというのか……! 全身を駆け巡る無限の魔力! 全身の血液がヘロインになったみたいに、爽やかで、満ち足りたっ!」 ――魔女と契約を結んだ魔術師となれば、話は別であろう。 黄金の気を纏った魔術師にとっては、その毒こそが生命の源。 よって、ベアトリーチェの魔力を体内に宿した彼はもはや、 人間としての生命から完璧に逸脱した存在と進化していた。 ベアトリーチェ「うむ……妾の見立て通り。そなたには魔術師としての適性があったようだ。 では殺せソリマチィ! 今こそそなたの積年の恨み、果たすべき時ぞ!」 ソリマチ卿「ふーはっはっはは! 分かっておるわ、ベアトリーチェ卿!」 魔力譲渡を終え、人の姿すら喪い金色の蝶と化したベアトリーチェに対し、 ソリマチ卿はこれまでの理性あふれる少年の仮面を脱ぎ捨て、傲然とした口調で応じた。
[140]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 00:33:15 ID:??? …と、言ったところで一旦ここまでです。今回の森崎の敵は、毒の魔術師ソリマチ卿になります。 次回は肝心の殺人シーンの幻想描写(魔女(魔術師)が自らの主観で現実を歪めたシーン描写)を更新します。
[141]森崎名無しさん:2017/01/09(月) 00:39:43 ID:??? 乙でした また反町が人間を止めてしまったか……
[142]森崎名無しさん:2017/01/09(月) 09:59:58 ID:??? 魔力が53ぐらいありそう(魔王並感)
[143]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 10:51:28 ID:??? 続きを投下します。 >>141 乙ありがとうございます。某スレの影響もあってか、反町君をよく弄ってしまいます(爆) >>142 シュート力は67あります。
[144]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 10:54:24 ID:??? +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 【毒の魔術師の殺人、そして蘇生】 ソリマチ卿「まずは召喚魔法を行う。日向、若島津、吉良! この3名を俺の部屋に転送する!!」 そして彼はまず、数ある魔法体系の中でも基礎である召喚魔法を詠唱した。 すると今や彼専用の魔術工房となった反町の私室に異空間が現れ、 そこから宣言通り日向、若島津、吉良の3名が召喚される。 日向「な、何だ……? 俺は今、東京のヒューガー本社で会議中だった筈だが……?」 若島津「――飛騨の山奥で修行をしていた筈だったが。何故反町。貴様がここに居る……!?」 吉良「ウイ〜ヒック。んあ? ワシは埼玉の居酒屋で飲んどった筈じゃが。記憶が飛んだか?」 ソリマチ卿「くっくくく……! 愚かな暴君どもめ。俺は今から、貴様らを処刑する」 日向「ホウ……? 良く分からんが反町の奴、随分と調子に乗ってるみたいだな。 もしかして貴様、俺のタイガーショットを受ける側に回りたいというのか……?」 ソリマチ卿「ハン! 吠えていろ、駄猫が。 ……ハァァァッ!」 パァァッ……ゴオオオッ! ……ブチンッ! 日向「ぐ、ぐわぁぁぁっ……!!」 第一の処刑は、この状況下を理解せず偉大なるソリマチ卿に楯突く愚かな日向小次郎。 毒の魔術師は魔力による大槌を練ると、次の句も告げぬ間に潰され肉塊と化す。
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0ch BBS 2007-01-24