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屁理屈推理合戦withキャプ森
[389]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/03/01(水) 00:48:36 ID:??? 大分間が空いてしまいましたが、真相描写を書いていきます。 >>388 ありがとうございます。新しい試みとして何かできないかと思い始めました。 ベアトの出産トリック外しは少し不親切でしたね… 生まれた順番が鍵だったのでリザインは出来なかったですが、もう少し上手い方法があったと思います。 ※今回の真相描写ですが、暴行・惨殺描写が含まれております。 露骨な表現は(多少は)避けていますが、苦手な方は無理して読まない方が良いかもしれません。
[390]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/03/01(水) 00:49:41 ID:??? ************************************** 【とある少女の復讐】 オギャァ、オギャアァ……と、喉を枯らして泣く赤子の声。 暗い暗い空間に立ち尽くす私を苛立たせるのが、その泣き声だった。 私は堪らず、殺していた筈の情けない声を漏らしてしまう。 「あにきぃ……あにきぃ……助けてよぉ……」 上京した兄が助けてくれる筈もない。しかし、今の私には他に頼れる人はいないのだ。 性別を偽っていた事がバレたのをきっかけに、ふらの中のサッカー部員はこぞって自分を虐めるようになった。 陰湿な嫌がらせが始まった時は、彼らを全く疑っていなかった。 しかし、嫌がらせは少しずつエスカレートしていって、最初はかけがえの無い仲間だった筈の彼らは、 私を人気の少ない場所に誘い込んで、――とても口では言えない事を、私にやった。 それでも、まだ仲間を信じたいという想いが残っていて……。 「ねぇ、私。……誰かの、母親になるかもしれない」 「……はァ? ふざけんじゃねーぞ! そうしたら俺達、どうなるか……!」 「俺の父ちゃんは議員なんだ。父ちゃんに迷惑はかけたくねえ……だから降ろしてくれよ。な?」 「つーか、お前だって満更じゃなかったクセに……」 「そうだ……閉じ込めようぜ。俺達には関係ないからな。お前が勝手に産んで、お前が勝手に死なせるんだ……」 「いいなそれ! 普通ならバレるけど、あいつ孤児で、唯一の身寄りの兄貴は東京だからさ……!」 「……えっ?」 ――そう考えている内に、私は閉じ込められた。 サッカーではそんじょそこらの男に負けない自信はあったけど、 単純な力勝負では、私は男に勝てなかった。
[391]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/03/01(水) 00:50:45 ID:??? 「あにきぃ……痛いよぉ……」 彼らに殴られた時、押し倒された時、そしてここに追いやられた時。 色んな時に出来た傷が今も痛む。しかし一番痛いのは、「あれ」をこの世に放り出した時だった。 どうしてこんな痛いのだろうか? ……結局は自分が悪いのかもしれない。だけどそれ以上に、仲間に裏切られたという想いが、 仲間を信じていただけに強く、重く、私の心を蝕んでいたからだろう。 オギャァ、オギャアァ……。 暗闇に支配された体育用具室の中で、「あれ」は無力に泣き続ける事しかできなかった。 ……いや、正確には「あれ」には名前があった。 と言っても、それは名前というより呪いに近かったのかもしれない。 なんせその名前は、とあるの部族の言葉で「不幸」を意味しているのだから。 「光を掴もうと思っても、……結局はこうなんだ。痛いしっぺ返しを食らうだけなんだ……」 私の内心は絶望に覆われていた。光を目指して前に進んでいた筈の自分の人生は、もう無い。 あるのはただただ辛い現実と、真っ暗闇の無間地獄だけだった。 だから――そこにもう、普通の人間と同じような良心だとか感情だとかは、残っていなかった。 ……キャッキャッ。 「……笑って、いるの」
[392]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/03/01(水) 00:51:59 ID:??? 気付けば、その子は笑っていた。口元を歪めて、泣き声以外の音を出そうとしていた。 ……笑うって、どうやるんだっけ。彼はそれすらも判らない様子だった。 そう。その子は――彼は、何も知らない。無垢な赤子に罪は無いのだ。 そして彼は決して、彼の父親と同じようにはなるとは限らない。彼には、無限の可能性が残されている。 「――何、笑ってんのよ……!」 ……にも関わらず、私は、その無垢さが泣き声以上に腹立たしかった。 全てを失い、暗闇の狂気に囚われた私は、光を掴もうと笑うそいつが憎らしかった。 「……今、……笑ったか? ……俺の事を……笑ったか?」 サッカーは楽しいが、男のスポーツだ。女はマネージャーとして男を支えるべきだ。 少なくともふらのの町では、その認識が絶対だった。 だからこそ、私は小さいときからずっとサッカーに夢中であるとともに――自分の性別を偽り続けて生きて来た。 「俺」の一人称は使い慣れているし、好きだ。使っていると、自分も強い男になれる気分になれるから。 …………。 私の表情に本能的な恐怖を覚えたのか、赤ん坊はもはや笑っていなかった。 しかし、私の怒りは、私の狂気は、私の憎しみは――もう止まらない。 「……笑うな。……笑うな。……笑うな笑うな笑うなワラウナワラウナァアァァァ!!」 女の癖に男のスポーツをして、男に勝って、でも結局は力に負けてしまう道化な私を笑うな。 お前もあいつらと同じ男だ。結局は私の事を笑うんだろ?そうに決まっている。 ふざけるな。何がママだ。何が母親の務めだ。何が母性だ。 世間一般で語られる赤子に対する印象など、今の私には無い。あるのはただ殺意だけだ。
[393]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/03/01(水) 00:53:56 ID:??? ドガン。ドガン。ドガンドガンドガンドガン。 「あはっ! あはははははははははっ! 何よ! 弱すぎィ! あいつらも生まれて来た時にこんな風に潰したかった! 潰してやりたかったァ!! アハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!」 そんな中、あの愚かな赤子――「不幸」を意味するマツ=ヤマと名付けられた忌み子の頭蓋を潰した時、 私は麻薬的な快感に包まれた。こんなに気持ちいいのなら、あいつを産んだ時すぐに首を捻っておくべきだった! そんな後悔すら抱きながら、私は何度も、何度も、まだ柔らかい骨が千切れるまで踏みつぶし続けた。 暗闇に閉じ込められてからマツ=ヤマを一人で産んで以来、私は最高に満たされた時間を過ごした。 「あにきぃ。あにきぃ……ごめんなさいぃぃ……」 ――にも関わらず、私は何故泣いているのだろうか。 それは残った理性か、我が子への愛情か。それとも命を奪った事への純粋な謝罪か。 どっちにしろ、私の感情の残滓こそがこの涙であり。 それから先の私は、単純に光を憎むだけの悪魔に過ぎないのだから。 「良いよなァ……お前は、どぉせ俺なんか……!」 どうせ私なんか、絶対に幸せになれない。 暗闇に閉ざされて、禁忌を犯して、そして罰せられるのがお似合いだ。 でも、どうせ罰せられるんだったら――俺だって、罰してやる。
[394]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/03/01(水) 00:54:59 ID:??? 「おい、さっきの音は一体どうした――って」 「えっ……!? あ、あれは……」 バンという音と共に、まぶしい光が私の目を刺す。 体育用具室に私を閉じこめていたふらの中サッカー部員の数名――小田と加藤が、 先程の騒ぎを聞いて、扉を開け放ったようだった。 ――我が子すらも喜んで殺したような私が、最も悪逆な方法で私を穢した男達を許す筈がない。 「マブシインダヨ……オマエハ……!!」 ドンッ! ……ブウンッ、ガシイッ! 私は、二人を思いっきり弾き飛ばすと、近くにあった角材で彼らの頭を吹き飛ばした。 この細い身体のどこにこんな力があるのか分からなかった。 これこそまさに、悪魔が取り憑いたからなのだろうか。 しかしもはやどうでも良い。どうせ、私はこれから残りの奴らも殺すのだから。 我が子の父親かもしれず、私の夫かもしれない名もなき男達を。 「――夜具、瑠真(やぐ るま)……!」 ……その決意を後押ししてくれたのは、皮肉にもあの時真っ先に私にのし掛かって来た小田だった。 彼は私の名前を呼んだだけなのだが――それが、私の過去を再認識させる。 ――そう。そうだった。私もまた、望まれない子なんだった。 この辺りの部族で「悪魔」を意味する言葉。それが、……捨てられた私に付けられた名前だった。
[395]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/03/01(水) 00:58:29 ID:??? *** ――ふらの中サッカー部は全員死亡。 警察はただちに容疑者とされる15歳の少女を逮捕したが、すぐに心神喪失と判定されて病院に送られた。 犯行前の彼女を知る者達は口を揃えて、「明るく、快活な性格だった」と語るのに対し、 病院での彼女は、常に自分自身を罰する為に鎖を巻き、「闇の底にはどんな声も聞こえない」と、心を閉ざし続けるのだった。 後日。面白がった新聞各社はこれを悪魔憑き――「地獄の悪魔ヤグ=ルマによる所業」として、大体的に報じた。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
[396]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/03/01(水) 00:59:52 ID:??? …と、言ったところで一旦ここまでです。
[397]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/03/01(水) 23:44:36 ID:??? 今日は更新をお休みします。
[398]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/03/03(金) 00:04:24 ID:??? すみません、今日も更新をお休みします…
[399]森崎名無しさん:2017/03/05(日) 21:36:42 ID:??? おおっと、更新が来ていた お疲れ様です、「からだ だいじに」でいきましょう
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0ch BBS 2007-01-24