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屁理屈推理合戦withキャプ森
[466]森崎名無しさん:2017/08/25(金) 19:58:50 ID:??? 私も参加させて頂きます
[467]森崎名無しさん:2017/08/25(金) 21:53:08 ID:??? 拙者も参加させていただこう
[468]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:17:20 ID:nPx5i6AA >>465さん、>>466さん、>>467さん、参加表明ありがとうございます。 沢山の参加希望があり大変嬉しいです。 今回のゲーム盤は複雑かつ描写が多いので、明日の開始に先立って文章の投下だけ、 先に初めてしまおうと思います。
[469]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:18:33 ID:nPx5i6AA 屁理屈推理合戦withキャプ森『もりさきのふっとぶ頃に』 Episode 4 Catenaccio of the golden witch 〜黄金の魔女の閂〜 おはようございます。 黄金の魔女は久々のゲームを楽しみにしておられます。 一人でも多くの客人を丁重にもてなしたいと仰っております。 もてなしの内容は勿論、極上の意地悪と極上の屁理屈。 魔女は何時でも、ニンゲンを陥れる為には知恵を惜しみません。 難易度は姑息にして陰湿。 皆様、魔女の善意には何卒ご注意下さいますよう、僭越ながら私からも忠言申し上げます。
[470]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:20:32 ID:nPx5i6AA 〜イタリア・市場〜 「……………」 女が独り、佇んでいた。 「……どうして、ストラット」 彼女の手には、つい先ほど雑貨屋で購入したアイスピック状の杭が握られていた。 捩れた海蛇を象った装飾をしたそれは、さしずめ中世の呪術に用いられた魔道具にも見えるが、 柄には「MADE IN USA」の文字が小さく彫られている。 彼女は、呪いをするために態々これを買った訳ではないのだ。 しかし、オン・ザ・ロックでブランデーを呑むために購入した訳でも無かった。 それを示すかのように、美しいロングの金髪に隠れたその表情は――暗く歪んでいる。 「どうして、他の女なんかと一緒に会話なんてしてたの……? どうして、他の女なんかが吐きだした空気を吸っているの……? どうして、他の女なんかが存在した場所に存在しているの……? もう許せない……」 彼女の心は強い深い嫉妬に苛まれていた。きっかけはふとした事であったとしても、 その闇はもう、どうしようも無いまでに彼女を蝕んでいたのだ。 「……くすくすくす」 ――そして、『魔女』と言えば、人間の心が生んだ闇につけ入る事が世の常だった。 普段来る事の無い雑貨屋に入り、普段使う筈の無い道具を買い、 そして往来にて悩んだように佇む彼女を、黒き魔女は決して見逃さない。 「やるって決めといて、それで立ちすくんで、ウジウジしちゃうなんて。 ……ばっかみたい。ヘソでも噛んで、死んじゃえばぁ……?」
[471]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:22:37 ID:nPx5i6AA 夜の帳のような紫のドレスを身に纏い、腰には子供っぽく可愛らしいリボン。 レースに大きな薔薇の花飾りのついた帽子を被る、まるで御伽噺に出て来るお姫様のような姿をした 愛らしい魔女は、醜く唇を歪めながら、今宵の贄を見定めていた。 「――まぁ。お試しは、あの子で良いかしらね」 果たして、――黒き魔女は黄金の蝶を一羽、天へと放った。 それは濃密な魔力の籠った鱗粉を振りまきながら、項垂れる少女が手に持つ道具を照らすと。 フワァァッ、パァァァァァッ。ギュイーーーン……。 「この力は……!?」 嫉妬に駆られた少女は、魔女の薫陶を受け、新たなる魔女へと変貌する。 ……反魔法の毒素に満ち満ちた、雑踏を通り過ぎるニンゲン共には、 この大いなる変身の意味など決して解りはしない。 「フ……ウフフ……! これなら、殺せる。殺して、愛せる。私は今日、真実の愛を知ったのよ……!! 待っててねストラット。今から貴方を愛しに行くから……。 ウフフフフッ、ウフフフフフフフフフフフブブブフヒィィィィイイヤァァァァヤアァァッ!!」 ――だが、周囲の理解など得られずとも、今の彼女には関係が無かった。 そもそも、いずれ老いさばらえ朽ち果てる肉の檻から解放された彼女にとって。 原始的かつ野蛮な肉欲を捨て去り、真実の愛を知るに至った彼女にとって。 もはや、下等なニンゲンが勝手に創り出した倫理や世界等はどうでも良い。今の彼女にあるのは、果てぬ愛と憎悪のみ。 「くすくすくす……さ。後はお手並み拝見ってトコかしらぁ。 新しい魔女と、先代様の古くさぁい『家具』と。……二つが合わされば、そこそこの退屈凌ぎにはなるでしょうし。 ったく、あのクソババアめ。こんなに楽しい世界、あんたなんかに独り占めなんて、させないんだから……ッ」 その様子を見届けて、黒き魔女は黄金の蝶に姿を変えて消え果てる。 後に遺されたのは愛憎の魔女と、その魔力に呼応して緑色に輝く、悪魔の杭のみだった……。
[472]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:23:43 ID:nPx5i6AA *** 〜イタリア北部・山奥〜 ブロロロロ…… バスが軽快な音を立てて、先が見えない山道を走る中、 やがて背の高い尖塔が全日本ジュニアユース代表一同の視界に入った。 森崎「へぇ。あれがイタリアの合宿施設か」 早田「けったいな形してるなァ。あれがボンジョルノの趣味か?」 次藤「物の本によると、古代エトルリア人が作ったオーパーツ的施設らしいタイ。 なんでも、宇宙人との邂逅を目指したとか、バベルの塔に対抗して作ってみたとか。 ……むむむっ! これはヤバいタイ。来年、イタリアに恐怖の大王が……」 佐野「次藤さん、多分それ観光ガイドじゃなくてムーとか、それ系の雑誌です」 森崎は仲の良い早田や、国内合宿中に日向との一件で絆を深めた次藤達と、バス内での談笑を楽しんでいる。 修学旅行のようにも見える彼らの穏やかな会話を、代表選手らしからぬ気の緩みと謗る者はいない。 というのも、今回の遠征先への旅程は、明らかに長い旅路だったからだ。
[473]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:25:06 ID:nPx5i6AA 松山「Jr.ユース大会を前に、ハンブルグとの練習試合で5−4の勝利を挙げた俺達だったけど、 それでヨーロッパ中のサッカー協会が警戒しちゃって、どことも練習試合を組ませて貰えなかった。 その中で漸く、イタリアJr.ユースとだけは『合同合宿』という形で遠征が出来たのは喜ぶべき、なんだろうけど……」 石崎「くーっ、それにしても合宿会場が遠すぎだぜ!? 俺達今、何時間くらい山登りしてんだ?」 説明口調の松山が言う通り、彼らの目的地はイタリアJr.ユース代表との合同合宿会場だった。 イタリアとスイス国境を隔てるアルプス山脈、その中でも最高峰とされるモンテ・ローザの中腹に位置する その施設への所要時間は、空港から車でおよそ38時間。その間ずっと、彼らはバス生活を強いられていたのだ。 反町「(日本サッカー協会が金欠で、国際サッカー界での発言力が乏しいからって、幾ら何でも舐められ過ぎだろ……)」 日向「喉が渇いたな。オイタケシ、コーラ持って来い」 沢田「はい! 今本社に頼んでコンコルドを手配しました!」 若島津「(モンテ・ローザの奥地にはイエティが棲むという。手合わせしたい物だ)」 とはいえ、彼らの表情は決して暗くはない。それは現状を愚痴っても仕方ないという、 彼らの前向きな気質が現れたとも言え。……あるいは、日本代表という重圧を離れて、 普通の中学生のように友人との旅を楽しむ事が出来る喜びもあったのかもしれない。
[474]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:26:12 ID:nPx5i6AA ブロロロロ……キキッ。 見上「……着いたぞ。ご苦労であった」 ……やがて、彼らが到着したのは森崎が尖塔を目撃してから6時間後の事だった。 バスは古びた城塞のような施設の前で止まり、代表選手達を降ろしていく。 滝「ホテル・プルガトリオか。……ダンテもこんな場所で『神曲』を書いたのかな」 井沢「山の中にある煉獄(プルガトリオ)だからな。となると、次に出て来るのはベアトリーチェか?」 森崎「!? ベ、ベアトリーチェだと!?」 来生「……? 森崎、何ベアトリーチェに過剰反応してるんだ?」 森崎「う、うるせぇ。黙ってろ!」 ……中世のイタリア人作家のダンテは、『神曲』という有名な叙事詩の中で、 『ベアトリーチェ』という名の女性を登場させている。 永遠の淑女として描かれ、天国と地獄の狭間たる煉獄山の頂上で主人公のダンテを迎える彼女は、 やがて彼女の導きによって天界へと昇天する、……という話だったろうか。 森崎「ったく。昔の奴はベアトリーチェを理想化し過ぎだぜ。 あんなの、エログロナンセンス好きの、ロクでもねえ魔女なだけじゃねぇか……」 勿論、森崎の知人であるベアトリーチェは、ダンテの作品の登場人物とは何の関わりもないが、 森崎はそうこっそり悪態を突きたくなる。……しかし一方で、彼は鞄の中のキーパーグローブを撫でつけてもいた。 黄金の蝶の刺繍がなされた、魔女・ベアトリーチェからの贈り物は確かに上質だったし、 森崎は奇跡的にもシュナイダー相手に1失点に留め、チームを勝利に導く事が出来たのだ。 もっとも、「魔女のお蔭じゃねえ。俺の実力だ」と、森崎はそう言って憚らなかったが。 森崎「(流石にJr.ユース合宿までは付き纏ってこなくて助かったぜ。ま、お土産位は買ってやってもいいかな)」
[475]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:28:50 ID:nPx5i6AA すみません、日本語的に気になった部分を修正します。 誤:永遠の淑女として描かれ、天国と地獄の狭間たる煉獄山の頂上で主人公のダンテを迎える彼女は、 やがて彼女の導きによって天界へと昇天する、……という話だったろうか。 ↓ 正:永遠の淑女として描かれ、天国と地獄の狭間たる煉獄山の頂上で主人公のダンテを天界へと導いた ……という話だったろうか。
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0ch BBS 2007-01-24