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屁理屈推理合戦withキャプ森
[490]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 21:57:27 ID:??? ストラット「……とにかく、これでもう安心な筈だ」 内側の施錠がしっかりとなされている事を確認しながら、改めてこの密室の強固さを振り返る。 自分の居る『離れの祠』に至るには、ロビーにある『閂の扉』を潜り抜け、 足跡の残る中庭を進み、祠そのものに施された施錠を破る必要がある。 しかし、『閂の扉』にかかっている閂は非常に強固であり、破壊する事は不可能。 奇跡的に扉を破壊出来たとしても、人間は足跡を残さずには中庭を通れぬし、 もし足跡が残れば、それは重大な証拠となる。 それらの困難を潜り抜けて、祠の前まで辿り着く事が出来ても……ダメなのだ。 ストラット「この祠の鍵は、今俺が持っている一つだけ。そして、事前に忍び込むにしても、 この部屋には、隠れられるようなクローゼットやベッドの類は存在しない。 そして何より、今、この部屋には『アイツ』はいない。……俺は、助かったんだ!」 本人による内側からの施錠。そして鍵はその内側にある。 事前に密室内の家具類に隠れている可能性もない。 シンプルながらも最強の密室構築を、ストラットは完成させる事ができた。 これならば、魔女の魔法が入り込める余地などどこにも――― ミアータ「無いと思ったぁ? ウフフ……ストラットったらお馬鹿さん」 ストラット「!?!?!?!?!?!?!?!?」
[491]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 21:58:46 ID:??? ――いや、いた。魔女は既に忍び込んでいた。 金色の鱗粉に姿を変え、扉の隙間から、壁の外側から、地下から、天井から、平行空間から! 魔女の魔法に、ニンゲン風情が考えた密室如きが通用するはずもない。 緑色の体表で体よく草葉に擬態したと思い込んでいる芋虫を、人間が見つける事の如何に容易い事か。 ストラットの必死の努力は、魔女にとっては芋虫の体表程度の欺きにしかならないのだ。 ストラット「ま、待てミアータ! 俺が、俺が悪かった。許してくれ!」 ミアータ「うん、許してるわ。私、貴方の事だったら全てを許そうと思っているもの♪ クビになっても、犯罪をしても、浮気をしても、私を裏切っても。 どんな事をしたって許してあげるわ。だって、私は貴方を愛しているもの」 ストラット「じゃ、じゃあ……頼む。殺さないで……殺さないでくれ!」 同世代のエースストライカーとして、夥しい数のゴールを挙げた彼は今や、 魔女の前では哀れなる乞食も同然だった。しかし、彼に落ち度がある訳ではない。むしろその逆。 彼はあまりに、魔女に愛されていた。それが故に、彼は今こうして、全てを失いつつあるのだから。 ミアータ「あのね、ストラット。私は、貴方を殺す為にここまで来たわけじゃないの。 私は――貴方を黄金郷に招待しに来たのよ?」 ストラット「またそれか! それは聞き飽きた! 何が黄金郷だ。君の言う黄金郷は、ただの無理心中じゃないか!」 ミアータ「……はぁ。本当に可愛そう。反魔法の毒に染まってしまって、黄金の真実が見えなくなっちゃったのね。 でも大丈夫よ。私がそうだったみたいに、すぐに良くなるからね?」 シャキーンッ! カランッ、カランカランカランカランカランッ! ミアータが――愛憎の魔女が指示を出すと、虚空から一本の杭が現れた。 邪悪なる海蛇を象ったそれは、カランカランと部屋中を音速で飛び跳ねまわり、 ストラットの命のカウントダウンを告げる。5、4321……………そして、ゼロ。
[492]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 22:02:38 ID:??? ミアータ「人間の大罪を象りし、煉獄の七姉妹が一。嫉妬のレヴィアタン! あの人を黄金郷に招待しなさい!」 バッ! ズバァァァァァァァンッ! ストラット「あ、が……。な、んで……み、あ……………」 バタリ。 ――彼女が黒き魔女から譲り受けた高級の家具は、あまりにも慈悲深く、男の心臓を貫いた。 そして、倒れ伏せたストラットの亡骸の至る箇所に口づけをしながら、 ……魔女ミアータは、悲し気にこう呟いた。 ミアータ「ごめんね、ストラット。誰よりも愛してるわ。……こんなの、他の男にはしないのよ? 貴方の事が好きで好きで。愛して堪らないからなのよ? 愛が無ければ、殺す事なんてできないんだから」 ある魔女は言った。愛が無ければ、視えないものも存在すると。 ならば、その愛が有り余る場合、一体その風景はどうなるのだろうか? 愛が無ければ、少女は魔女にならなかった。少年は命を落とさなかった。 ……愛が無ければ、視えない。 愛憎の魔女の双眸には、凡百のニンゲンは勿論のこと。 千年以上を生きた大魔女にすらも、視えない風景が広がっているのかもしれない。 彼女を観測する者達は、その風景が、せめて美しいものである事を祈るしかなかった。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++
[493]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 22:04:18 ID:??? ************************************ 〜上位世界・魔女のサロン〜 ベアト「な、なんだこれは……! 妾以外の魔女が、ニンゲンの少女に力を分け与えたと言うのか!?」 ワルギリア「どうやら、そのようです。……航海者権限を与えられたのは、私達だけじゃなかったようですね」 ミアータによる魔法殺人の様子は、森崎達がサッカー合宿を過ごす世界よりも上位に位置する視点にて、 ベアトリーチェとワルギリアによって観測されていた。 碑文を媒体にこの世界へと渡り歩いてきたベアトリーチェとワルギリアだったが、 今回の事件は彼女達にとって想定だったようである。 ベアト「あれだけの力を容易く分け与えられる存在かつ、妾専属の家具であった煉獄の七姉妹を 貸し与えられる者と言えば、おおよそ検討は付くが……今は、犯人探しをしている場合ではない」 ワルギリア「その通りです。彼女を放置しておけば、今殺されたストラットくんだけじゃない。 イタリアJr.ユースのメンバー全体……引いては、この世界のサッカー情勢に致命的な影響が生じます。 そうなると、この世界はロジックエラーを起こし破綻してしまうかもしれない」 ベアトとワルギリアが観測し、今森崎が居る世界は、基本的には『キャプテン森崎』という、 ニネー卿のゲーム盤を下敷きにしたものである。寛大なる彼女の方針もあり、このゲーム盤は 大体の改変や変更は許可されているのだが……その前提となる世界観に破綻が生じた場合、 その波紋はどこまで広がるかは底知れない。別のカケラ世界、別のゲーム盤からやって来たベアト達にとって、 世界の破綻は望む事ではなかった。 ベアト「……魔女の魔法には、ニンゲンのトリックでしか対抗できぬ。 今の妾とお師匠様で魔法対決に持ち込んでも、口惜しいが返り討ちに遭うのがオチか。 ……となると、やはりアイツに。森崎に動いて貰うしかないかァ」 ワルギリア「それが賢明でしょうね。後は、森崎くんが私達の意思に気付くかどうかですが……」 ???「それについては心配ないわ」
[494]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 22:09:12 ID:??? パァァァァッ……。 不意に、靄が生じて人の形をとった魔女が現れる。 ベアトとワルギリアが腰かける椅子の間に立った彼女は、はあ、と溜息を吐きながらもそう応じた。 ベアト「に、ニネー卿ではないかァ! どうもどうも、今日はこのような僻地まで遠路遥々と……」 ニネー「なーにが僻地よ。人の領域で好き勝手に暴れちゃってさ。確かに私、逆転若林とか、 ときめきメモリサキとかはやったけど、屁理屈推理合戦を持ち込まれるとは思わなかったわ。 ……ま、面白いから良いのだけれど」 彼女こそが、話題にも出ていた運命の魔女にしてこの領域の主・大ニネー卿。 あらゆる無限の可能性から絶対の1を抽出し、選び取る魔法に長けた彼女は、 自在に変動する1を無限に並べる魔女のベアト達にも決して引けを取らぬ――いやむしろ、 彼女達を圧倒する佇まいと風格を持って、この場に君臨していた。 ニネー「……で、今回の事件なんだけど、これは一応私の想定の範囲内です。 ストラット君にはナイスなボートが似合うしね。だから、私の方で、もう既に策は打ってあるわ。 いや。策を打たずとも問題無かった、と言うのが正しいかしら」 ワルギリア「ニネー卿。貴方はこの事態を予期していた……と。 私達以外にも、新たな魔女が乱入し、世界を侵食しようと企むであろうと。 そう、仰られるのですね」 ニネー「……ええ。貴女達を前にしては、本音はまだ話せないけれど。大筋はそうね」 おぞましいまでに長く美しい金髪をはためかせ、運命の魔女はそう答える。 決して雄弁ではなく多くを語ろうとはしない彼女であるが、 その言葉の全てには他の者には無い重みがあった。
[495]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 22:21:11 ID:??? ニネー「下。見てみなさい。……さっそくはっちゃけてるからさ。色々と」 ベアト「……む。こ、これは……!?」 故に、ベアトはニネーの指示通りに再び下位世界――森崎達が生活し、今殺人が起きた世界を覗き込む。 すると、そこには――想定外に手早く、事が進んでいるようだった。 ************************************ ミアータ「な、何なのよぉアンタは……私とストラットの愛をジャマしないで!」 森崎「……何なの、って言いたいのはこっちだぜ! クソみたいな合宿場に連れていって、結局やらせるのは殺人事件の屁理屈ゲームかよ! あんのクソ魔女のせいかは知らんが、後で絶対泣かせてやる!」 ――森崎は既に、愛憎の魔女ミアータの存在を認知し、そして早々に勝負を始めようとしていた。 魔女とのゲームもこれで4度目ともなると、森崎も既に手馴れているようだった。 ********* ニネー「(領域の住民たちに、ウイッチハンターの権限を与えておいて正解だったわ。 お蔭で視点である森崎君の志向が強まっている。これなら、少なくとも勝負はすぐに始まりそうね)」 ********* もっとも、それにはニネーの後方での力添えがあってこそ、ではあったが。 ただし少なくとも、彼女の先見の明は、事件の複雑化を防ぐという効果はあった。 早速、森崎とミアータとの間にチェス盤――今回のゲーム盤の情景が再構築されていく。
[496]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 22:25:29 ID:??? 森崎「いいか。ホテルの構図は、こうだ」 森崎はまず、支配人からもらったホテルの平面図を見せながら、状況確認を進めていく。 〜ホテル・プルガトリオ 平面図〜 □□□□□□□□□□□□□□□ □ □ □ □ 会□ □□□□□ □ 議□ □ □ □ 室□ □ 離れ □ □ ・□ □□■□□ □ 客□ ・ □ 室□ ・ □ 等□ ・ □ □ (閂の扉) □ □□□□□□□■□□□□□□□□ (ロビー) □=壁 ■=扉・ドア ・=ストラットの足跡(ロビー→離れ行きの片道のみ) ※壁と壁・扉との間には隙間は無いものとする。 ※その他、魔女側の補足をここに記すものとする。
[497]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 22:35:18 ID:??? 森崎「問題の焦点は3つ――■で記された扉・ドアの密室と、・で記された足跡のトリックの関係だ。 ひとつ、ロビーと中庭を繋ぐ、『閂の扉』。ここにはストラットが入るまでずっと、閂が掛かっていた筈だ。 そして、ストラットの入室後、閂は降ろされた。にも関わらず、犯人は如何にしてこの扉を抜けたのか? ひとつ、中庭にある足跡。中庭にはストラットの足跡、それもロビーから中庭に向かう足跡しかない。 もしもミアータなり外部犯が殺したのなら、そいつの足跡が無くてはおかしい筈だ。 ではなぜ、中庭にはストラットの足跡しか無いのか? ひとつ、死体発見現場である『離れの祠』の施錠。これはストラットが内側から施錠し、 警察が死体を発見するまで、一度も開かれていない。また、内部に潜んでいた可能性を示すにも、 部屋の内部には、隠れられるような家具類・秘密の部屋類は存在しない。 ではどうやって、犯人は密室に入り、ストラットを殺したのか? またどうやって、犯人はストラットを殺した後、姿を消したのか? ……まずは、俺が定義した今回の問題の焦点に間違いが無いならば、関連する赤き真実を貰おうか」 ミアータ「ええ、分かったわ。……分かったけれど、ちょっと提案があるのよ。 私は今からその3つの問題全てに関連する赤を出す事が出来る。でも、そうすると赤の量が膨大になり、 推理に不要な手間がかかる。……これじゃあ、どっちも楽しくないわ。 そこで提案なんだけど――」 そう言いながらも、ミアータは前提となる赤き真実を組み上げていく。 しかしそれは……完璧では無い。彼女が出した赤き真実は、ごく一部のみだった。
[498]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 22:44:03 ID:??? ミアータ「【ロビーから『離れの祠』に通じる扉には、閂がかかっている】! 【ストラットが中庭に入った瞬間のみ、閂はかかっていなかった】! 【ストラットと同時に中庭に入った人物Xは存在しない】! 【『閂の扉』を通らずして、中庭に行ける手段Xは存在しない】!」 バシュッ、バシュッ、バシュンッ! ミアータが出して来たのは、たった四つの赤き真実。 ……すべてが、第一の論点。『閂の扉』に関する謎についてのみだった。 森崎「……ご丁寧に、どうも。魔女が密室を破った順番通りに、俺も順番に密室を破っていけってか」 ミアータ「そうよぉ? そうした方が楽しいし、楽だし、どっちにとっても得でしょお? あ、ちなみに今回の謎。私は勿論、『愛の魔法で扉をすり抜けた』!と主張するけれど。 もしもニンゲンとトリックで説明できるってんなら、やってみればぁ? くすくすくす……!」 森崎「言われなくとも、そうしてやるさ。……さあ来い愛憎の魔女! テメエが作ったカティナチオ、 この俺がオーバーラップからのリバーシブルボレーで、メチャクチャに凌辱してやるぜ!!」
[499]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 22:46:27 ID:??? Episode 4 Catenaccio of the golden witch 〜黄金の魔女の閂〜 第一の晩 開始 −魔女の出題(幻想描写は>>488-492)− 【ストラットは離れの祠で、ミアータにより殺害された】。 しかし、 @【ロビーから離れの祠に通じる扉には、閂がかかっている】 A【ロビーと離れの祠を繋ぐ中庭には、ストラットの足跡しか存在しない】 B【離れの祠の扉は、内側から施錠されていた】 すなわち、ストラットの死体は、@閂、A足跡、B内側からの施錠という、巨大な三重密室の中にあった。 魔女側はこれを、『愛憎の魔女ミアータが魔法で扉をすり抜け、魔法で空を飛んで中庭を超え、 魔法で壁をすり抜け祠へと入り、魔法の家具の力でストラットを殺害した』と、主張する。 人間側は、「魔女の魔法」以外の方法により、今回の状況を再現できる仮説を提示し (仮説は、【赤き真実】に抵触しないこと)、以て魔女の主張を否定する必要がある。 なお、【今回限りの特別ルールとして、人間側は@の魔法から順番に謎を解く必要がある】。 −ルールまとめ− ・人間側(=参加者)は、魔女(=GM)に対し、「復唱要求(=事実の確認)」および、 『青き真実(=魔法を否定するための仮説)』を放つ事ができます。 (復唱要求ならば、要求したい内容を「」に入れて書き込みを。 青き真実ならば、事件の一連を示した内容を『』に入れて書き込みをしてください。) ・魔女は、参加者の「復唱要求」に対し、【赤き真実(=絶対的な事実)】にて復唱することができます。 ただし、魔女は「復唱要求」に応ずる義務はなく、応じない理由を示す義務もありません。 ・魔女は、参加者の『青き真実』に対し、【赤き真実】にて否定する義務があります。 否定の方法は魔女の裁量に委ねられますが、ここで『青き真実』を否定できない場合は、魔女の敗北となります。 ・人間側は、魔女の【赤き真実】に対し、打ち出せる『青き真実』が出なくなった場合、 リザイン(=投了)を表明することにより、敗北となります。
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0ch BBS 2007-01-24