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屁理屈推理合戦withキャプ森
[9]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2016/12/30(金) 03:43:29 ID:??? 〜南葛中グラウンド・用具室〜 森崎「マジかよ……」 森崎は自分の頬をつねった。これで 752 回目だった。 石崎「つ、翼……つばさ、つばさぁぁぁぁっ! うおおおおおっ!!」 滝「……死因は分からない。だけど、確かに翼は死んでいる」 石崎と滝に案内されて用具室の鍵を破ると、……そこには、滝の言う通りだ。翼が死んでいた。 彼の宿敵であり永遠のライバルは、こんな暗くて狭い場所で、ただ孤独に息を引き取ったのだ。 森崎「……そりゃ確かに、何度もお前なんてくたばっちまえ! とか思ってたけどよ。 まさか、マジのマジでくたばる事はねぇだろうよ……!!」 警察の聴取を終え、石崎と滝が帰った後も、森崎は一人立ち尽くしていた。 これまでの人生で最大の宿敵が消えた。それは森崎にとって一つの生きがいの喪失を意味していた。 パァァッ、フワァァァッ……! ベアトリーチェ「どうだ? これでそなたも妾を魔女だと認めてくれるか?」 そんな中に金色の蝶が舞い、そこからベアトリーチェの姿が現れた。 翼が死んだにも関わらず、この魔女は喜色満面の笑みで、 まるで父親に褒められたい子供のようにパタパタと森崎に向かってアピールをしている。
[10]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2016/12/30(金) 03:46:06 ID:??? ベアトリーチェ「な、な? 妾の魔法は凄いだろう? 完全な密室だぞ? なのに死んでるんだぞ?? あの翼とか言う男の死に顔見たか? 傑作だったよなァ! 『自分は絶対に死なない』って顔しくさっちゃってさァァアァ! あっはははははは! ぶっひゃっひゃひゃひゃ! あー超ウケる!」 森崎「………」 ベアトリーチェは上機嫌だ。 どんなに面白おかしい魔法で、どんな面白おかしく翼を殺したのか、森崎に語りたくて堪らなかった。 本性であろう下品な言葉遣いを隠さずに、上品な顔立ちを汚らしく歪ませて大笑い。 森崎「……ふざけるな!!」 ベアトリーチェ「!?」 ――そんな態度を前にしては、森崎でなくとも激昂するのが普通だった。 森崎「確かに冗談半分で言った俺も悪かったかもしれねぇ。 だが……だからと言って、人を殺して笑うヤツを、誰が魔女として認めてやるかよ! 戻せよ! 俺はこんな形での勝利は望んでない!」 ベアトリーチェ「えー? 別に良いじゃんよー! だって、これでお前がナンバーワンだぜ? キャプテン争いしても勝利不可避! 良いコト尽くめじゃんよ! お前らしくもないなァ、認めろよ〜? 『大嫌いな翼が死んで嬉しいです』って認めろよォ! 別に小学校の道徳の授業じゃねえんだ。本音かっさばいて万歳三唱しちまいなよォオォ!? 比較的、というレベルではもはや済まない。ベアトリーチェという魔女は醜く下品にその本性を剥きだしにしていた。 人の生死を嘲笑い、それをもって千年の生の慰みとする悪魔。 森崎は無配慮に悪魔との契約を結んでしまった事を後悔しながらも、その言葉に対し静かに打ち震えていた。
[11]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2016/12/30(金) 03:47:52 ID:??? 森崎「……ったく、一周回って可哀想になって来るぜ。 ベアトリーチェさんよ。お前は『男の友情』ってのを、全く何も分かってねぇ!!」 ベアトリーチェ「やれやれ、分かってないのはどっちの方だか……。妾の機嫌を損ねると大変な事になると言うのに」 森崎「んだよ。俺も殺すのか……?」 ベアトリーチェ「いいや、殺さぬ。代わりに、妾はそなたを《屈服》させる事にした」 森崎「屈服……だと……?」 平行線となりそうな会話を打ち切り、ベアトリーチェはそう言い放った。 すると彼女は虚空をまさぐり、大きな水晶玉を取り出して宙に浮かべた。 ベアトリーチェ「先程、そなたは妾に、『人を殺して笑うヤツを、誰が魔女として認めてやるかよ!』 ……と、言ったな。だがしかし、現に魔法はあるのだ。妾はそうやって、翼を殺したのだから」 森崎「ハァ? 確かにお前の存在は魔法っつーか夢みたいだけどよ。実際はトリックか何かで殺してるんだろ? 少なくとも、人間に不可能な事はお前でも出来ない筈だ」 ベアトリーチェ「くっくくく……! 良い事を言ったな、『人間に不可能な事は魔女にもできぬ』。 ――果たして、それが本当かどうか、今お前に魅せてやろうぞ!」 パァァァ……! ベアトリーチェの宣言に応じ、水晶玉が明るく輝いた。 ベアトリーチェ「今から妾がそなたに見せるのは、大空翼なる男の最後の瞬間。 妾の黄金の魔法がヤツの心臓を凍てつかせるその瞬間よ! さあさ御覧なさいな、魔法の実在を! 妾の存在の証明をッッ!!」
[12]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2016/12/30(金) 03:49:05 ID:??? +++++++++++++++++++++++++++++++ 「一体、どうしてこんな事に……」 大空翼はまさしく今、最期を迎えようとしていた。 「無様な姿だなァ? ヒーロー君。遺言なら幾らでも聞いてあげるぜェ?」 その傍らには、黄金の魔女がその形を成して、煙管片手に傲然と立ち尽くす。 外界から一切閉ざされたこの部屋に、彼女は秘密の魔法で壁をすり抜け侵入したのだ。 「俺は……死にたくない。まだ何も成し得ていないのに……」 「知るか。簡単な理由で生まれも死にもする。それがニンゲンの本質よ」 既に虫の息の翼に対しても、黄金の魔女は何の情けも容赦もない。 千年を生きた魔女にとって、百年も生きぬ人間の生き死にの如何に無価値な事か。
[13]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2016/12/30(金) 03:50:53 ID:??? 「飽いた。醜く生き永らえるよりも余程美しく、この妾がお前を殺してやるよ」 だから魔女は、この哀れな男を自らの魔法の実験台にすることとした。 彼女が煙管を杖のように一振りすると、男の体は宙に浮かび上がる。 「やめろ……やめてくれぇぇぇ」 「良いね良いねその安っぽい命乞い! もっとやってみろ、気紛れで生き永らえさせてやるかもしれんぞ?」 「お願い……俺はプロになって……日本をワールドカップに」 「やっぱ飽きた。死ね」 ――そして、この時点で彼の生存は絶望的だった。 気紛れな魔女に見捨てられた男の全身は空気の入った蛙のように醜悪に膨らんで。 パーン! パーン! パーーーン!! 「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁッ!!」 「あっははははははははははははははッ!」 破裂。再生。また破裂。グロテスクな音と魔女の高笑いが密室に響く中、その遊びは数十分程繰り広げられ――。 「くっひゃっひゃっひゃ、はぁはぁ……笑い疲れたから、もう寝る」 ――遊びを終えた魔女は、死体を残したまま、再び壁をすり抜け、どこかへ立ち去るのだった。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++
[14]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2016/12/30(金) 03:52:38 ID:??? 森崎「……なんだよ、これ」 映像を見終えると、森崎の怒りは頂点を越え……逆に冷静になっていた。 森崎「こんなの、夢以外にあり得ない。魔法なんて、ある訳がない……」 ベアトリーチェ「何度頬をつねってもムダムダァ! こ・れ・が・現実なんだよ!! 魔法はあるし魔女はいる! そんで魔法で翼は死んだ! これが現実!! さっさと諦めて現実を受け入れろよモロサキィィィイイイィィィッ!! くひゃひゃひゃひゃひゃはははははははァァァアッ!!」 用具室にベアトリーチェの下品な笑い声が響き渡る。森崎は……それに対し抵抗したかった。 しかし、今の森崎には抵抗する為の武器が無い。道具が無い。 森崎「俺は諦めん。テメエを否定してみせる……」 ベアトリーチェ「ああどうぞどうぞ!! でも聞くけど、お前これどうやって否定すんの? さっきの映像見た!? どう見ても魔法で壁すり抜けて、魔法で死体が破裂してたなァ!? 言っておくけど、この用具室にそんなワイヤーとかCGとか発生させる装置なんて無いぜェ!? あれは誰がどう見てもま・ほ・う! 魔女の魔法で翼は死んだ! な、それでいいじゃね〜か〜? めんどくさい事なんて考えずにさァ、さっさと魔女に屈服しちまおうぜェェェェェェ〜〜〜〜〜!?」 森崎「諦めん……俺は、あきらめん……!」 しかし、ベアトリーチェの度重なる罵倒を受けても、森崎は決して屈しない。 ここで屈しては、翼の死をも嘲笑られると思った。それは引いては、自分自身を嘲笑われるに等しいと思った。 そして、そんな森崎の信念が――彼に、思いがけぬ救いを齎した。 フワァァァッ……。 白髪の魔女「……見つけたわ、ベアトリーチェ」
[15]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2016/12/30(金) 03:59:55 ID:??? ――と、言ったところで今日はここまで。 ふとネタが思いつき、単発短編で数日で終わりそうだったので、勇気を出してスレ立てさせていただきました。 明日中か遅くとも明後日の昼までに、チュートリアル編を更新したいと思っています。 肝心の推理ゲーム本編については、12月31日の夕方〜夜の時間に出来ればと思っています。 (具体的な時間は直前に告知します。) 色々未熟なところが多いと思いますが、うみねこor推理合戦知らない人でも楽しめるようにしたいと思ってますので、 暖かい目で参加して頂ければ嬉しいです。
[16]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2016/12/30(金) 15:05:06 ID:??? ベアトリーチェ「……んげ!? お、お師匠様ァ!? どうしてこんな辺鄙な場所に!?」 森崎「……あんだよ。また魔女の助っ人か……?」 項垂れる森崎の傍に、新たな魔女が現れた。 年の位は少女らしさが残るベアトリーチェよりは上だが、老婆では無く妙齢の女性と言える。 白髪で山高帽をかぶり、物語に出て来るような古風な出で立ちのまさしく魔女は、 穏やかながらも決然とした表情で、傲慢なるベアトリーチェに対峙した。 白髪の魔女「……ワルギリア。そう呼んでください。 詳しい事を語る暇はありませんが、少なくとも今は、私は貴方の味方です」 森崎「誰が信じるかよ、こんな状況下で」 森崎の拒絶にも、ワルギリアと名乗った魔女は、目を細めたまま小さく笑みを作るのみ。 彼女は彼女で、強い意志と芯の通った女性である事が伺われる。 そう言われる事を見越してか、ワルギリアは二言目にこう言った。 ワルギリア「……では。この状況下で、あの魔女――ベアトリーチェを倒し。 なおかつ、翼君を元通りにする方法がある。そう言ったら、貴方は私を信じてくれますか?」 森崎「先に方法を示せ。でないと信じない」 ワルギリア「ほっほっほ。中々に冷静な子だこと。でも、その方が理解が早そうで助かるかしら」 ワルギリアは警戒を解かぬ森崎に慈母の笑みを見せながらそう独り言ちる。 しかし、すぐに表情を真剣な物に戻すと、 ワルギリア「では。本当は一から理論を説明したいのだけれど。貴方はそういうのは嫌いでしょうし。 まずは実戦を見せてあげましょう」
[17]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2016/12/30(金) 15:07:20 ID:??? ベアトリーチェ「ちぇっ。また北風と太陽作戦ー? お師匠様って、いっつも妾に厳しいよなー」 ワルギリア「違いますし、私があなたに厳しいのはどう見ても自業自得です……! さあ、行きますよ!」 親しげに言葉を交わし合うベアトリーチェを、ワルギリアは受け入れようとしない。 森崎が二人の関係性に考察を深めていると、不意にその「ゲーム」は始まった。 ワルギリア「――情報が足りません。まずは「復唱要求」ッ! 「翼は死んでいる」、加えて「事件時、用具室の入口は出入り不可だった」!」 ベアトリーチェ「くっくくくく……! 良いだろう、復唱! 【翼は死んでいる】!【事件時、用具室の入口は出入り不可だった】!」 ブウウンッ! ワルギリアの発言に呼応して、ベアトリーチェは復唱する。 しかし、ワルギリアの場合と違い、ベアトリーチェは発言するたびに、自身の周囲に赤い刃が出現していた。 そしてその赤い刃を目がけて、ワルギリアは、 ワルギリア「ならば、『用具室には隠し通路があった。犯人Xは隠し通路を通って用具室に侵入、翼を殺害』。 犯人Xが如何なる人物であるかについては、悪魔の証明により証明不要!」 ドーーンッ! 宣言と同時に青色の杭を打ち込んだ。その杭はベアトリーチェの赤刃を断ち切ろうとするも――。 ベアトリーチェ「ではこう切ろうか。【用具室に隠し通路は無い】!」 ブウウウンッ! バギイイッ! 反対にベアトリーチェから新たに生まれた赤い刃によって、杭は呆気なく叩き折られてしまった。
[18]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2016/12/30(金) 15:09:33 ID:??? 森崎「な、なんだ今のは……?」 ワルギリア「……前提からお話しましょう」 突然に何かの戦闘を始めた事だけは分かったが、森崎にはちんぷんかんぷんの出来事だった。 ワルギリアはベアトリーチェに纏われた赤き刃を注視しつつも、森崎に簡単な説明を始めた。 ワルギリア「我々人間側にとっての敗北が、魔法を認める事による《屈服》としたら。 魔女側にとっての敗北とは、一体何だと思いますか?」 森崎「魔女にとっての敗北……? 逆に、魔法を認めないって事か?」 ワルギリア「概ね正解です。正確には、《今回の犯行が人間でも(=魔法を使わずとも)再現可能》 である事を魔女に突きつけてやる事が、人間側の勝利条件になります」 森崎「あ、あん……?」 勝利条件――とは言われたが、森崎には今一つピンとこない。 あの映像を見る限り、翼は壁をすり抜けた魔女によって侵入され、魔女の魔法によって何度も殺され、 そして壁をすり抜けた魔女によって脱出されているのだ。 (勿論、自分は疑っているが)これは、どう見ても魔法が実在する事の証明では無いのだろうか。 ワルギリアは森崎の抱く疑問を読み取り、ほっほっほ、と優しく笑って答えてみせる。 ワルギリア「……魔女の《幻想描写》に怯える事はありませんよ?」 森崎「幻想描写だと……? あれが全部、デタラメとでも?」 ワルギリアは首肯する。
[19]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2016/12/30(金) 15:11:20 ID:??? ワルギリア「もしもアレが全部事実だとしたら、私達は屈服せざるを得ないでしょう。 ……だけれど。真実は依然、用具室という狭い猫箱の中。 開けるまで誰にも中身が分からない事を逆手にとって、 魔女は一方的な認識によって、猫箱の中身を説明しているにすぎません」 森崎「つまり……俺達も、勝手に「魔法は無い」という前提で、猫箱の中身。 要するに、翼がどうやって殺されたのかを説明する事が出来る、って事か?」 ワルギリア「その通り! 今私達が応酬していたのは、まさにそれを巡ってのこと。 《翼は魔法により死亡した》と主張する魔女に対し、私達は《翼は魔法によらず死亡した》と否定する。 これが、魔女との戦いの大前提。私達が目指すべき目標です」 森崎が呼び出してから今この瞬間まで、魔女――ベアトリーチェの目的は一貫している。 魔法を認め、もって自身の――即ち魔女の存在を認めて貰うこと。 そのためには、魔女は自身の殺害がいかに人間では(魔法無しでは)再現不可能かを語る必要がある。 そして、森崎がそれを否定するには、単に彼女の言葉に耳を傾けないだけでは足りない。 客観的な事実を通じ、ベアトリーチェの発言(魔法の実在)を否定する必要がある。 ベアトリーチェ「ひゃーっはっはっは! ま、頭の悪そうなお前にゃどーせ無理だけどなァ!」 森崎「チッ。いちいちムカつく野郎だぜ……! まあ、勝つ為の方法は分かった。 じゃあ、どうやって勝つか。俺達にはどんな武器や道具があるのかを教えてくれ、ワルギリア! さっきお前達がやってたドンパチ。アレがそうなんだろう?」
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0ch BBS 2007-01-24