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【追う蜃気楼は】鈴仙奮闘記39【誰が背か】
[320]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/30(金) 01:10:56 ID:??? 両者ともに緊張を緩めず、互いに牽制する様子を隠さない。 一歩間違えれば殺し合いにすら発展しかねない、そんな危うさが二人を包む。 ……が。それはほんの一瞬の事だった。そもそも彼女達の目的は暴力的な物では無い。紳士的な「話し合い」だった。 幽香「下らないけれど……。確かに、今の全幻想郷選抜の方が更に下らないかもしれない。 紫は崇高な理念を唱え、幻想郷と博麗の巫女の尊さを訴えるけれど、私から言わせると、空虚すぎる。 昔のあいつは、あんなんじゃなかったわ。 ま、その時点で疑念はあったんだけど……今回の『選手派遣』で、その疑念は確信に代わったとも言えるわね」 咲夜「……と、言いますと?」 幽香「簡単よ。紫はイチャモンを付けて私達を海外に飛ばして修行と言っているけれど。 これは私のようなアウトローな大妖怪を外に追いやり、あるいは庇護すべき相手を人質に取る作戦にしか見えないわ。 より大きな、そして人道に欠く『何か』を為そうとする前段階として、ね」 咲夜「成程。そうであれば私達……いえ、お嬢様と同じ考えに、貴女も至ったという訳ですね。 私達が今もこうして泳がせられているという、最大の不安要素はありますが」 幽香「あら。不安に思っていたの? 私は凄くウキウキする要素だと思っていたけれど。 だって、これがもしも相手のミスであれば、その隙を突いて凌辱できるし。 これがもしも相手の罠であれば、その罠を打ち砕いて凌辱できるじゃないの。どっちに転んでも最高だわ」 その嗜虐性、残虐性を隠さずに幽香は可愛らしく微笑む。 かつて謎の向日葵仮面として幻想郷を凌辱の恐怖に叩き落とした怪物は、自身を蔑ろにする部外者達の乱入に、 密やかなフラストレーションを溜め込んでいたのかもしれない。だからこそ、この局面において、漸く彼女は頷く。 他者に追従する事を嫌い、暴力と支配を愛する究極嗜虐怪物が、吸血鬼風情の考えた計画に乗ろうと決意した。 幽香「……ええ。良いわ。やっぱりその方が面白そうだもの。私も一枚噛ませて貰うわ、あんた達の計画――いえ。 計画と呼ぶにも烏滸がましい。最高につまらない、一夜限りのお祭りにね」 その計画の全貌は未だ知れぬが、彼女が浮かべた最高の笑顔を見ると、 それが少なくとも人間にとって好ましい計画では無い事は、火を見るよりも明らかだった。
[321]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/06/30(金) 01:17:16 ID:INDPpa2s ……と、言ったところで今日の更新はここまでにします。 次回からは、鈴仙の章に入りますが、その前にさとりとお燐の最終能力を載せます。 >>313 サイドに居続ける限りでは、お燐は地味に世界最高クラスのプレーヤーですね。 サイド以外でも悪くは無いですが、パッとはしない感じになると思います。 (ちなみにスキル・サイドアタックはスキル・サイドプレイヤー習得時にスポイルされています。もし勘違いしてたらごめんなさい) 【イギリス派遣メンバー 現時点での能力値】 選手名 ド .パ シ タ カ .ブ せ 総 高/低 ガッツ さとり 49 48 48 48 48 47 55 343 2 / 2 825 セーブ力56 お燐 ..54 55 52 53 55 53 47 369 1 / 2 730 〜必殺技・スキルリスト〜 さとり パンチング61、キャッチ58 所持中のフラグ:必殺セーブ 光を掴みます!(1/2でセーブ+3(敵リード時はセーブ+4)) スキル・覚妖怪(PA内のシュートについてセーブ・とびだし・一対一+5、読み違え発生しない) スキル・とびだし+5 スキル・一対一+3 スキル・想起(相対する選手の知り得る技をコピーして使用可。その技に使用するガッツの1.5倍を消費) お燐 所持中のフラグ:サイドディフェンサー、ドリブル、パス、シュート、パスカット、タックル、ブロック キャットランダムウォーク(1/4でドリブル+5) キャッツウォーク(1/4でドリブル+3) スプリーンイーター(シュート+5)160消費 火焔の車輪(1/2でタックル+3、吹飛2) ゾンビフェアリーカット(1/2でパスカット+3) ゴーストブロック(1/4でブロック+4、コーナーキックの時は+6)100消費、 ゴーストタウン(1/4でブロック+6、コーナーキックの時は+8)150消費を習得しました。 スキル・サイドプレイヤー(ライン際に居る時、全能力+2)
[322]森崎名無しさん:2017/06/30(金) 02:13:54 ID:??? 乙でした まあさすがに重複したらドリブルがヤバイことになるからね
[323]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/01(土) 16:48:00 ID:??? 文章パートのみですが、更新再開します。 >>322 乙ありがとうございます。 重複してない現時点でもお燐はかなり強いですし、これで重複だったら流石にヤバいです(汗)
[324]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/01(土) 16:49:12 ID:??? −鈴仙の章C− 〜VS パルメイラス〜 〜回想シーン〜 少年にとって、あの年上の女性は憧れだった。日系を思わせる綺麗な黒髪に、ごく薄く日焼けした肌。 全体的に成熟しきった大人の雰囲気を纏っているのに、その瞳は子供のように、あどけなさと好奇心に光っている。 そして何より――彼女は、少年がサッカーに懸ける人生を歩めるに至った、最大の恩人でもあった。 アヤソフィア「……入団テストに落ちそうなんですか。だったら、一緒に練習しましょうか。 今なら、本物のサッカーボールだってあげちゃいますよ」 カルロス「いいの……?」 ――少年の名はカルロス・サンターナ。 彼が後にここフラメンゴで才能を開花させ、引いては南米随一の選手になる事を、 この時はアヤソフィアを含め、誰一人として知らない。 アヤソフィア「勿論ですとも、天狗はウソをつきません。 ――ただし。一緒に練習をするには、ひとつだけ交換条件があります」 カルロス「交換条件……僕、お金持ってないよ。ここまで来れたのも、今まで頑張って働いて。 父さんと母さんも応援してくれたからだったし……そ、それなのに……もしダメだったら……ううっ」 現に、今のカルロスは自分で話した通り、名門チームの入団テストを受けに遥々上京したが、 夢儚く散りゆく、どこにでも居るブラジルの平均的な少年の一人に過ぎなかった。 正確にはこの時点でもその才能と実力は抜きんでてはいたが、それでも、 早熟ながらその才能を活かしきれず埋没する少年は掃いて捨てる程いたため、彼は特別ではなかった。
[325]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/01(土) 16:50:37 ID:??? アヤソフィア「あ、あややややーっ! 泣かないでください泣かないでなーかーなーいーでっ!? いたいけな子供から金品をせびろうとする程、私も落ちぶれちゃいませんって! ひいいっ、回りの大人の目線が痛いーっ!?」 周囲のスタッフがアヤソフィアに怪訝な目を向ける中、それを否定するように彼女は続ける。 アヤソフィア「コホン。……で、交換条件って言っても、お金とかじゃないです。 ズバリ、ええーっと、カルロス……くんですか。胸の名札にそう書いてあります。 キミがこのチームに入団した暁には、私の弟くんのオトモダチになってあげてほしい。 ――ただ、それだけの事なんですよ」 カルロス「オトモダチ……? 本当に、それだけでいいの?」 アヤソフィア「ええ、そうですよ。というか今日にしたって、私は弟くんのお迎えのために、 わざわざ仕事を切り上げてここに来た位なんですからね」 外見上の年齢よりも幼さを感じさせる、アヤソフィアの悪戯っぽい笑みを見て、 カルロス少年はその警戒心を幾分か和らげていたようだった。 カルロス「うん! わかったよ。僕、お姉ちゃんの弟くんとトモダチになる!」 アヤソフィア「おやおや……入団した暁には、という話だったのに、もう入団できた前提で話してますね? それだけ前向きなキミなら大丈夫だ。ようし、お姉ちゃんが人肌脱いじゃいますよ!」 そしてアヤソフィアもまた、打算の無い満面の笑みでカルロスに頷き――練習を開始した。 アヤソフィアが準備しておいたボールをひったくると、カルロスは無邪気に問いかける。
[326]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/01(土) 16:55:30 ID:??? カルロス「ねえ、お姉ちゃんはの名前も教えてよ!」 アヤソフィア「ええ。私はしゃめ……じゃなくって、アヤソフィアです。 気軽に『アヤお姉ちゃん』とか呼んでくれて構いませんよ?(だったら本名と同じで楽だし)」 カルロス「アヤソフィ……? 何だか、珍しい名前だね。 アヤソフィ……アヤソファ……わかった、アーサーだ! よろしくね、アーサーお姉ちゃん!」 アヤソフィア「う、うえぇえっ? そりゃあ流石に無理がありませんか? っていうかアーサーって男の名前ですし。 私、これでも花も恥じらう乙女なんですけどっ!?」 カルロス「えっへへー。だってその方が面白いじゃん! それじゃ、一緒にパス練習しよう、アーサーお姉ちゃん!」 ダッ! アヤソフィア「あやや、話を聞こうともしない。全く、これだから子どもは……ぶつぶつ」 子供特有の理不尽で不条理なあだ名に不満を抱きつつも、その顔は素直な笑みを湛えている。 それは、これまでの長い天狗としての生活でも、未だ日の浅いブラジル人としての生活でもする事のできなかった、 彼女にとって貴重で、大切な感情の一つだった。 アヤソフィア「(……でも。これできっと良くなる。カルロス君もそうだけど。 彼がトモダチになってくれれば、アルツール君だって、これまでよりずっと楽しく、サッカーができるようになる筈。 ……きっと、こうした方が良いに決まってるわ)」 ――アヤソフィアは満足気に頷き、カルロスを追いかけていった。 ……この時、彼女はまだ知らない。 自分自身の善意の数々が、後により多くの悲しみを呼ぶ結果へと繋がってしまう事に。
[327]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/01(土) 16:56:42 ID:??? 〜回想シーン終了〜 カルロス「……あの時の想い出は、俺にとって何よりも尊く、何よりも掛けがえの無いものだった。 結局あれから行えたのは計画的な『練習』ではなく、『遊び』と呼ぶにふさわしいものだったが。 それでも。アーサーお姉ちゃんは、俺にサッカーボールの感覚を教えてくれただけじゃない。 入団テストに合格するため、結果を出す事に焦っていた俺に、 ボールを通して人と人が繋がり合う面白さ……サッカーの楽しさを、思い出させてくれたんだ」 アヤソフィア「……カルロス君はその後のテストで伸び伸びとしたプレーができ、 その才能を如何無く発揮したそうですな。はてさて、私のきまぐれも、案外大したことあるんですねぇ」 鈴仙達プロジェクト・カウンターハクレイの目指す目標:全幻想郷選抜撃破の為の第一歩でもある、 ブラジルサッカーの登竜門・リオカップ。 その準決勝であるフラメンゴの試合が終わり、観客が帰っていった無人のスタジアム。 そこにカルロスとアヤソフィア――そして鈴仙は立ち尽くしていた。 鈴仙「ちょ、ちょっと待ってよ。アヤソフィア……いや、もう面倒だから本名で聞くけど。射命丸! あんたは、昔にもブラジルに居た事があるの!?」 アヤソフィア「私の事はアヤソフィアでお願いします、鈴仙さん。 詳細は後述しますが、少なくともこの地において、私は射命丸文としてではなく、 アヤソフィアという名のブラジル人として在りたいと思っているのでね」 アヤソフィア――射命丸文が語った内容。自分はかつて、ブラジルの地に来た事があり、 当時のカルロス・サンターナと出会っていたという事実は、鈴仙を驚かせるに充分だった。 そして、良くも悪くも軽薄に見えた彼女の豹変の理由が、その事実と関連している事は明らかだった。
[328]森崎名無しさん:2017/07/01(土) 16:58:01 ID:??? なんだ射命丸って案外大したことあるんだな
[329]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/01(土) 16:58:34 ID:??? 鈴仙「後述って……一体何があったって言うのよ。あんたとカルロス君。そしてブラジルとの間に。 それて、今のあんたの虚無的な態度にも関係してるの……?」 カルロス「……あなたの素性は一旦置いておくとしても、俺も聞きたい。 俺の入団テストの日から今までに、何があった? 何があなたを変えた? 少なくとも、今のあなたは――俺が知るアーサーお姉ちゃんではない」 だからこそ、鈴仙もカルロスも聞きたかった。彼女は今、何を想い、何を目指しているのか。 決して自分の本心を曝さないアヤソフィアの真意を問いただしたかった。 しかし。真剣な表情の二人に反し、アヤソフィアは残酷に嘲笑い、 アヤソフィア「あやや。何があった? と言われましても、それはごくごく明白ですよ? ねぇ、鈴仙さん。カルロス君?」 そう言い放つのみに過ぎない。とはいえ、これには鈴仙も反撃の準備があった。 鈴仙「勿体ぶって話さずとも。どうせアレでしょ?『射命丸って案外大したことなくね?』って皆に言われ続けて、 そのせいで腐ってブラジルでクダ撒いてただけなんでしょ?」 ――そもそも、鈴仙は知っている。今でこそ思わせぶりな態度を見せているアヤソフィアだったが、 その恐らくの理由は、極めて陳腐かつ下らないものである事を。そしてここまでシリアスさをかもし出して来た本人すらも、 アヤソフィア「やめろォ!」 ――と、綺麗なまでのお約束をもって、自らの手でシリアスをぶち壊してみせる。 鈴仙「……ほら。どーせそれがトラウマで拗らせただけなんでしょ」 アヤソフィア「う、うぐぐぐ……ま、まあそれも若干は否定できませんが! 若干は! 否定できませんが!!」
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0ch BBS 2007-01-24