※人気投票開催中※
01/17(日)00:00-01/30(土)23:59
第二回鈴仙奮闘記キャラ人気投票
※新板できました※
ダイス創作物語板
ブログ
現行スレ
投票
最新20
板
1-
前
次
新
レス
【追う蜃気楼は】鈴仙奮闘記39【誰が背か】
[343]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 01:45:44 ID:??? 〜回想シーン終了〜 カルロス「……あまりに忌々しい記憶だったから、俺はずっと口に出さないようにしていた。 サンタマリアは勿論、ジェトーリオですらも、この事は話題に上げた事がない。 だが、俺は知っている。……アルツールは――俺の親友は、アーサーお姉ちゃんが言う、 『案外大したことなくね?』というフレーズと共に、奪われたと」 アヤソフィア「――私がそれを知ったのは、つい半年前。二度目の機会としてブラジルに訪れた時の事でした。 6年前、突然の勘当という体で飛び出した私の真意を、ジャイロさんと弟くんは 気付いていたのかもしれない。もしそうなら、もう一度会いに行きたい。 そう願って懐かしのスラム街を抜けた先にあったのは、既に売りに出された廃屋でした」 鈴仙「…………」 アヤソフィア「『あの天才のアルツール君の事だ、きっと既にトッププロ入りして、高級マンションにでも住んでいるに違いない』 『惜しくもサッカーを諦めて、その代わり安定した職を見つけて細々と働いているに違いない』 『もしや、ホームレス寸前の生活をしながら、賭けストリートサッカーと無銭飲食で食いつないでいるのかもしれない』 ――調べれば調べる程、私の都合のいい幻想は消え失せていきました。 まず、フラメンゴにもどこのチームにも、アルツール・アンチネス・コインブラという選手は所属していない。 サンパウロ市のどこの企業にも、同名の職員は勤務していない。 浮浪者や好ましくない連中にすら聞いてみましたが、彼という痕跡はどこにも見当たらなかった。 その中で見つけたのが、アルツール君が試合に負けて暴徒化したファンと揉み合いになり、 交通事故に遭ったというニュースでした。……今も、市内の病院で植物人間状態となっています」 カルロス「………………」 その事実を改めて確認し、表情を一層暗くしたのはカルロスだった。 彼は一歩前に躍り出て、半ば懇願するようにアヤソフィアににじり寄り、 カルロス「アーサーお姉ちゃん。もしあなたが弟を失った事への復讐を望んでいるとしたら。それは俺に対してやってくれ!」
[344]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 01:47:49 ID:??? 土下座に近いポーズすら取って這い蹲り、カルロスは涙でフィールドを濡らす。 サッカーサイボーグとすら呼ばれ、冷静で大人びた立ち振る舞いが特徴的なカルロス・サンターナらしからぬ、 気弱で、孤独で、自信の持てない平凡な少年のような仕草だった。 アヤソフィア「……記事には、『同年代での1位を決める重要な試合で、エースストライカーの選手がミスを連発。 それに対して『案外大したことない』と煽り立てる一部のファンに対し、アルツール君が『やめろォ』! と、噛みついた事により、事件が起きた』と書いてあります。――カルロス君。貴方の事だったんですね」 カルロス「そうです! だからアルツールも……アーサーお姉ちゃんも誰も悪くない! 無論、一番悪いのは暴徒と化したファンだったとしても、……失敗をしたのは俺なんです! だから、もうそんな冷たい瞳をするのは止めてほしい!!」 全てのプライドをかなぐり捨ててでも泣きはらすカルロスに対し、アヤソフィアは――。 アヤソフィア「大丈夫ですよ。カルロス君は何一つ悪くありません。全力を尽くしたって、失敗する時だってありますし。 それで私が、貴方がしくじったせいで弟くんが事故に巻き込まれた、だなんて言う訳がないでしょう? むしろ、感謝さえしています。 ……フラメンゴでずうっと、弟くんの――アルツール君の親友として居続けてくれたのですから」 ――と、恐らくは過去に良く見せていたのであろう、柔らかく穏やかな笑みを浮かべた。 想定していなかった反応に対し、カルロスは一旦冷静さを取り戻す。 カルロス「……では、当時のファンを憎んでいる、と? 確かにあの一件がショックとなり、 アルツールの養父も体調を大きく崩し、昨年には亡くなってしまったが……」 アヤソフィア「ファンの方も、仕方ありません。好きな物を全力で応援したい気持ちは分かりますし、 もう既に遺族への謝罪や賠償など、然るべき措置は取られたと記事にもありました。 それ以上、私刑を加える気もありませんよ」 カルロス「……分からない。では一体、アーサーお姉ちゃんは何を恨んでいるんだ? ずっとブラジルに居れない事情があったとはいえ、どうして今になってさえ、そんな暗い瞳をしているんだ!?」
[345]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 01:49:47 ID:??? 鈴仙「………あんた、まさか」 ――カルロスとアルツールを巡る過去については何も言えない鈴仙だったが、 会話が核心に近づくにつれ、自分の知る情報と、最近のアヤソフィアの影とが、 これまで提示された過去と組み合わさり、パズルのようにピタリと当てはまる感覚を覚える。 鈴仙「……あんたはこれまで、『案外大したことない』などと馬鹿にするファンの心無い感情を浴び続けて来た。 日本で。幻想郷で。ブラジルで。自分自身に対して。自分以外の人に対して。 マイナスの感情が理不尽に叩き付けられる光景を、何度も見続けて来た!」 アヤソフィア「………」 今度はアヤソフィアが黙る番だった。彼女は小さく頷き、鈴仙に続けるよう促した。 鈴仙「でも、あんた自身に掛けられる声については、あんたは仲間の手を借りながらも乗り越えて来た。 だけど、ブラジルの地で、あんたはこれまでを超える、どうしようも無い理不尽を知った。 辛い目に遭いながらもサッカーを愛し続けた少年が、サッカーが引き起こした感情に殺された事実を知り。 根は生真面目なあんたに、黒い決意を抱かさせるに至った。つまりそれは――」 ここで、アヤソフィアが手を翳して制する。 鈴仙が続けようとした目的の正体を、アヤソフィアは自らの口で語った。 アヤソフィア「……そう。全ての元凶は、『サッカー』というスポーツがあるからこそ起きた。 サッカーさえ無ければ、才能と愛を併せ持つ者が虐げられる事がなく。 そして、理不尽な罵声も、理不尽な暴力からも逃れられるのです。 私は、『サッカー』そのものを憎みます。愛を向ける者に対して唾を吐き、愛無き者への暴力を促すサッカーを。 私は、この手で葬り去ろうと考えているのですよ……!」
[346]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 01:54:19 ID:??? 射命丸が虚無系ラスボスに良くある「皆死ねば救われる」的な発言をしたところで、今日はここまでにします。 明日には練習の選択肢に入れると思います。文章が長くなってしまいすみませんが、読んで頂ければ幸いです。 (突っ込み所は多々あると思いますが、その辺りは優しく笑って下されば幸いです(汗)) 本日もお疲れ様でした。
[347]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 10:59:28 ID:??? カルロス「サッカーそのものを、この手で葬り去る……!?」 ――傷つきながらもサッカーを愛そうとした少年への仕打ちの原因を、 アヤソフィアは短絡的に特定個人によるものと考えていなかった。 彼女は、サッカーというスポーツ。22人の人間が球を蹴り合うという行為そのものが、 人を狂わせ傷つける全ての元凶であると信じきっていた。 鈴仙「そんなの……狂ってる!」 意味も解らず鈴仙が叫ぶ通り、彼女のそうした思考は狂人のそれであった。 アヤソフィアが、射命丸が体験した出来事については理解したし、そこで抱いたであろう感情も共感できた。 しかし、最後の結論だけが、どうしても理解できない。そんな鈴仙に、アヤソフィアはおどけた態度を取る。 アヤソフィア「あれ? 理解できませんかね? 鈴仙さんだったら、私が言ってることも、 感覚的に理解できると思ったのですが。だって……ホラ。感じませんでした? リオカップ開会式で、試合後で発生した膨大な数の観衆の狂気を。 単なるスポーツに熱狂し、人生を賭け、そこで散る事すら良しとする少年達の狂気を! 貴女の瞳が、それを『視て』来たのではないですか? 狂気、感じるんでしたよね?」 鈴仙「――そ、それは……!」 しかし、その中で彼女が語る内容は、鈴仙にも心当たりがあった。 リオカップだけではない。先の全幻想郷選抜大会でも、 サッカーによる同じような感情のうねりを――狂気の渦を目の当たりにした。 そしてそれは、鈴仙が捉えきれる範囲すら越え、月の狂気を呼び起こし、 最後には――幻想郷を隔てる結界すら破壊してみせた。
[348]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 11:00:37 ID:??? アヤソフィア「貴女が永琳さんからどのような説明を受けてるかは知りませんが。 経験則として、こと人間の狂気程危うく、制御できないものはありません。 そしてサッカーという場は、人間の狂気を殊更に増幅してしまう。 ――であれば、こうしたものを放置しておくのもおかしいでしょう?」 カルロス「だ、だが。サッカーを通して救われる人も大勢いる! 俺もそうだった! そして……あなたが誰よりも愛したアルツール自身がそうだったんじゃないのか! もしもこの世からサッカーが無くなれば、一番悲しむのはあなたの義弟だ!」 たじろぐ鈴仙に割り込んだのはカルロスだった。彼は狂気の概念は分からないにしても、 少なくとも今のアヤソフィアを見て、アルツールが喜ぶ訳がない事は理解していた。 しかし、そうした呼びかけは彼女としても想定内だったのだろう。 アヤソフィアは少しだけ表情を曇らせつつも、 アヤソフィア「……ええ、そうでしょうね。ですが――もう決めたのです。 彼が悲しもうが、私は、サッカーを滅ぼさなくてはならない、と。 そうでなければ、彼のような悲劇は永遠に繰り返されるでしょうから」 と、改めてその狂った計画に殉ずる事を決意した様子で頷く。 アヤソフィア「――さて。私のお話はこれでおしまいです」 スッ……。 カルロス「ま、待ってくれ! まだ疑問は沢山ある! どうしてそこまで頑なになる必要があるんだ! そもそもどうやって、サッカーという世界中で流行しているスポーツを滅ぼそうと思っているんだ! それに、それに……!!」 追いすがるカルロスの手を払いのけ、アヤソフィアは一点だけ答える。
[349]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 11:02:08 ID:??? アヤソフィア「前者についての回答はパスで。しかし、後者について。 ――私がどのように、サッカーを滅ぼそうとしているのかについては、お答えしましょうか。 ……私は次の幻想スーパーJr.ユース大会で、ブラジル代表として出場します。 そして、ブラジル代表を優勝へと導きたいと思っています。 これにより、私はサッカーが滅んでいくものと確信しています」 鈴仙「?? ブラジル代表が優勝すれば……」 カルロス「サッカーが、滅ぶ……? 一体どういう事だ! 俺達をからかっているのですか!?」 アヤソフィア「今お答えできるのはこの程度。 鈴仙さん。今日を機に私はチームを去ります。楽しかったですよ、貴女がたとの友情ごっこ。 カルロス君。同じブラジル代表として、また貴方とサッカーができる日を楽しみにしてますよ。 ……あはははっ。あははははははははっ!」 スッ……。 そうして、アヤソフィアは消えた。まるで蜃気楼のように、始めからここに居なかったようにすら思える。 カルロスは彼女のその見えない背中を追うように走り続けて……。 カルロス「どうして……どうして、こうなってしまったんだ……!」 ――と、悲しく項垂れる事しかできないでいた。
[350]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 11:04:47 ID:5lYnVivE 鈴仙は、そんなカルロスに対し…… A:「カルロス君。……アヤソフィアの野望は、止めないといけないわ」カルロスに奮起を促す。 B:「アイツは……多分まだ迷ってる。そんな気がする」アヤソフィアを案じる。 C:「アルツール君が入院している病院、紹介してくれないかしら」アルツールが気になる。 D:「やれやれ。サッカーで世界を平和にするって、コーチと約束したんだけどなぁ……」自分語りする。 E:「そもそもアイツの能力と性格でブラジル代表ってムリなんじゃ……」正論(?)を言う。 F:その他 鈴仙に言わせたい事があればどうぞ 先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。 *選択肢上、明確なメリット・デメリットはありません。気軽にロールプレイして頂ければ幸いです。 *一旦ここまでです。投票が入っていれば、続きは夕方〜に開始したいです。
[351]森崎名無しさん:2017/07/02(日) 11:11:56 ID:DIDH0ey+ C えーりんなら治せるかもだし
[352]森崎名無しさん:2017/07/02(日) 11:12:37 ID:z8oHNFjw C
前
次
写
名前
E-mail
0ch BBS 2007-01-24