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【追う蜃気楼は】鈴仙奮闘記39【誰が背か】
[347]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 10:59:28 ID:??? カルロス「サッカーそのものを、この手で葬り去る……!?」 ――傷つきながらもサッカーを愛そうとした少年への仕打ちの原因を、 アヤソフィアは短絡的に特定個人によるものと考えていなかった。 彼女は、サッカーというスポーツ。22人の人間が球を蹴り合うという行為そのものが、 人を狂わせ傷つける全ての元凶であると信じきっていた。 鈴仙「そんなの……狂ってる!」 意味も解らず鈴仙が叫ぶ通り、彼女のそうした思考は狂人のそれであった。 アヤソフィアが、射命丸が体験した出来事については理解したし、そこで抱いたであろう感情も共感できた。 しかし、最後の結論だけが、どうしても理解できない。そんな鈴仙に、アヤソフィアはおどけた態度を取る。 アヤソフィア「あれ? 理解できませんかね? 鈴仙さんだったら、私が言ってることも、 感覚的に理解できると思ったのですが。だって……ホラ。感じませんでした? リオカップ開会式で、試合後で発生した膨大な数の観衆の狂気を。 単なるスポーツに熱狂し、人生を賭け、そこで散る事すら良しとする少年達の狂気を! 貴女の瞳が、それを『視て』来たのではないですか? 狂気、感じるんでしたよね?」 鈴仙「――そ、それは……!」 しかし、その中で彼女が語る内容は、鈴仙にも心当たりがあった。 リオカップだけではない。先の全幻想郷選抜大会でも、 サッカーによる同じような感情のうねりを――狂気の渦を目の当たりにした。 そしてそれは、鈴仙が捉えきれる範囲すら越え、月の狂気を呼び起こし、 最後には――幻想郷を隔てる結界すら破壊してみせた。
[348]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 11:00:37 ID:??? アヤソフィア「貴女が永琳さんからどのような説明を受けてるかは知りませんが。 経験則として、こと人間の狂気程危うく、制御できないものはありません。 そしてサッカーという場は、人間の狂気を殊更に増幅してしまう。 ――であれば、こうしたものを放置しておくのもおかしいでしょう?」 カルロス「だ、だが。サッカーを通して救われる人も大勢いる! 俺もそうだった! そして……あなたが誰よりも愛したアルツール自身がそうだったんじゃないのか! もしもこの世からサッカーが無くなれば、一番悲しむのはあなたの義弟だ!」 たじろぐ鈴仙に割り込んだのはカルロスだった。彼は狂気の概念は分からないにしても、 少なくとも今のアヤソフィアを見て、アルツールが喜ぶ訳がない事は理解していた。 しかし、そうした呼びかけは彼女としても想定内だったのだろう。 アヤソフィアは少しだけ表情を曇らせつつも、 アヤソフィア「……ええ、そうでしょうね。ですが――もう決めたのです。 彼が悲しもうが、私は、サッカーを滅ぼさなくてはならない、と。 そうでなければ、彼のような悲劇は永遠に繰り返されるでしょうから」 と、改めてその狂った計画に殉ずる事を決意した様子で頷く。 アヤソフィア「――さて。私のお話はこれでおしまいです」 スッ……。 カルロス「ま、待ってくれ! まだ疑問は沢山ある! どうしてそこまで頑なになる必要があるんだ! そもそもどうやって、サッカーという世界中で流行しているスポーツを滅ぼそうと思っているんだ! それに、それに……!!」 追いすがるカルロスの手を払いのけ、アヤソフィアは一点だけ答える。
[349]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 11:02:08 ID:??? アヤソフィア「前者についての回答はパスで。しかし、後者について。 ――私がどのように、サッカーを滅ぼそうとしているのかについては、お答えしましょうか。 ……私は次の幻想スーパーJr.ユース大会で、ブラジル代表として出場します。 そして、ブラジル代表を優勝へと導きたいと思っています。 これにより、私はサッカーが滅んでいくものと確信しています」 鈴仙「?? ブラジル代表が優勝すれば……」 カルロス「サッカーが、滅ぶ……? 一体どういう事だ! 俺達をからかっているのですか!?」 アヤソフィア「今お答えできるのはこの程度。 鈴仙さん。今日を機に私はチームを去ります。楽しかったですよ、貴女がたとの友情ごっこ。 カルロス君。同じブラジル代表として、また貴方とサッカーができる日を楽しみにしてますよ。 ……あはははっ。あははははははははっ!」 スッ……。 そうして、アヤソフィアは消えた。まるで蜃気楼のように、始めからここに居なかったようにすら思える。 カルロスは彼女のその見えない背中を追うように走り続けて……。 カルロス「どうして……どうして、こうなってしまったんだ……!」 ――と、悲しく項垂れる事しかできないでいた。
[350]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 11:04:47 ID:5lYnVivE 鈴仙は、そんなカルロスに対し…… A:「カルロス君。……アヤソフィアの野望は、止めないといけないわ」カルロスに奮起を促す。 B:「アイツは……多分まだ迷ってる。そんな気がする」アヤソフィアを案じる。 C:「アルツール君が入院している病院、紹介してくれないかしら」アルツールが気になる。 D:「やれやれ。サッカーで世界を平和にするって、コーチと約束したんだけどなぁ……」自分語りする。 E:「そもそもアイツの能力と性格でブラジル代表ってムリなんじゃ……」正論(?)を言う。 F:その他 鈴仙に言わせたい事があればどうぞ 先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。 *選択肢上、明確なメリット・デメリットはありません。気軽にロールプレイして頂ければ幸いです。 *一旦ここまでです。投票が入っていれば、続きは夕方〜に開始したいです。
[351]森崎名無しさん:2017/07/02(日) 11:11:56 ID:DIDH0ey+ C えーりんなら治せるかもだし
[352]森崎名無しさん:2017/07/02(日) 11:12:37 ID:z8oHNFjw C
[353]森崎名無しさん:2017/07/02(日) 12:28:17 ID:m7R/IVps E
[354]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 18:13:05 ID:5lYnVivE C:「アルツール君が入院している病院、紹介してくれないかしら」アルツールが気になる。 鈴仙「――そうだ」 鈴仙はアヤソフィアが言っていた内容を思い出した。 アルツールは今も市内の病院で植物人間状態――ならば、まだ彼は死んでいない。 鈴仙「ねぇ。良ければアルツール君が入院している病院、紹介してくれないかな?」 カルロス「……え? あ、ああ。構わないが」 思い立った鈴仙は泣きだすカルロスを強引に引っ張り、 スタジアム沿いの道路に停まっていたタクシーを捕まえて案内させる。 鈴仙「状態によっては、だけど。何か治せる方法があるかも……」 カルロス「治せる、だと……? しかしあいつはもうこの方5年以上も目を覚ましすら……」 鈴仙「良いから。……それに、カルロス君だって心配なんでしょ、アルツール君の事も」 カルロス「それは……当然だ。今でもオフの日は見舞いを欠かしていない。しかし何を突然……」 相次ぐ出来事に混乱を隠せないカルロスを尻目に、鈴仙は聞き取った病院名を運転手に告げ、 なけなしのお小遣い全額を押し付ける。リオカップの有力選手二人、しかも男女が同じタクシーに 同乗する事についてスキャンダラスな興味を抱かれる恐れはあったが、 たまたま運転手はサッカーへの興味が薄い老人であった事が幸いし、何の詮索もなく、 鈴仙達は病院へと向かう事ができた。
[355]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 18:15:36 ID:5lYnVivE 〜サンパウロ市内・病院〜 その病院の環境は、鈴仙の想像していた以上に劣悪だった。 医療器具の不備不足は勿論、感染管理についても理解が乏しい様子が見受けられ、 病院は病院でも、野戦病院のようだと鈴仙は感じた。 カルロス「……日本では、誰もが安価で高品質な医療が受けられるんだろう?羨ましいよ」 そう呟くカルロス。話を聞くと、アルツールの養父が残した蓄えのお蔭でここまで持ちこたえられたが、 その蓄えも間もなく底を尽きるため、こうした『安い』病院を選ばざるを得ないという。 カルロス「……纏まった金が入ったら、俺がこいつの治療を引き継いでやろうと思っている。 しかし、金があっても、今度は入る病室が無いかもしれない。 ブラジルは経済成長こそ確かだが、一方で医療や福祉の確保はまだまだだからな。 ――いずれにせよ。もう、時間が無いのかもしれないな……」 鈴仙「カルロス君……」 ガチャリ。 アルツール「……………」 カルロス「よう、遅い時間に悪かったな」 果たして、間仕切りはおろか窓すら無い、8人部屋の病室の隅っこで、アルツールは眠りに就いていた。 長年日の光を浴びていないからか、肌の色は褐色というよりは青白く。 そして少しでも衝撃を与えれば折れてしまいそうなまでにやつれていた。 鈴仙「バイタルサインは……呼吸のみ、眼球も反応せずか。徐脈は……無く、一応は安定している……」 永琳仕込みの医学知識を呼び起こし、時には無気力な看護師や宿直医師にも問い合わせ、 鈴仙はアルツール少年が置かれた状況を診断しようとする。
[356]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 18:16:45 ID:5lYnVivE カルロス「驚いたな。まさか医師としての知識まであるなんて。 まるでロベルト本郷と同世代で活躍した名FW・ドトールみたいだな、君は」 鈴仙「ありがとう。でも私はまだ研修医扱いだし。それに……アレとは一緒にされたくないし」 カルロス「?」 その様子に改めて目を丸くするカルロスだったが、彼が引き合いに出した相手が、 今やコリンチャンスのセクハラコーチと堕してしまっている事には気付いていないようだった。 鈴仙は若干顔を渋くして。しかし一方で彼の医師としての能力を知るが為に、こう続けた。 鈴仙「――カルロス君。私は二人の名医を知っている。 もっとも、一人の本職は薬剤師で、かつ今すぐには会いにいけないし。 もう一人は今すぐにでも会いにいける……カルロス君の夢を壊すリスクはあるけど。 とにかく。アルツール君の状態が、今のままで安定するようであれば。 ……彼が目を覚ます為に何か、できるかもしれないわ」 カルロス「……だ、だが。確かに事情を知ってしまったとはいえ、半ば部外者の君に、 そこまでさせる訳には――」 鈴仙「いいの。私がやりたいんだから。それに……サッカーがきっかけで知り合った私達が、 サッカーを信じ続けて倒れたアルツール君を助ける、ってなったら。 あの謎思想を押し付けて来たアヤソフィアを悔しがらせられるかもしんないし」 カルロス「悔しがらせる……そうだな。それに、俺では力が無くとも、こいつが目を覚ませば、 アヤソフィア……アーサーお姉ちゃんも、正気を取り戻してくれるのかもしれない」
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0ch BBS 2007-01-24