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【追う蜃気楼は】鈴仙奮闘記39【誰が背か】
[350]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 11:04:47 ID:5lYnVivE 鈴仙は、そんなカルロスに対し…… A:「カルロス君。……アヤソフィアの野望は、止めないといけないわ」カルロスに奮起を促す。 B:「アイツは……多分まだ迷ってる。そんな気がする」アヤソフィアを案じる。 C:「アルツール君が入院している病院、紹介してくれないかしら」アルツールが気になる。 D:「やれやれ。サッカーで世界を平和にするって、コーチと約束したんだけどなぁ……」自分語りする。 E:「そもそもアイツの能力と性格でブラジル代表ってムリなんじゃ……」正論(?)を言う。 F:その他 鈴仙に言わせたい事があればどうぞ 先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。 *選択肢上、明確なメリット・デメリットはありません。気軽にロールプレイして頂ければ幸いです。 *一旦ここまでです。投票が入っていれば、続きは夕方〜に開始したいです。
[351]森崎名無しさん:2017/07/02(日) 11:11:56 ID:DIDH0ey+ C えーりんなら治せるかもだし
[352]森崎名無しさん:2017/07/02(日) 11:12:37 ID:z8oHNFjw C
[353]森崎名無しさん:2017/07/02(日) 12:28:17 ID:m7R/IVps E
[354]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 18:13:05 ID:5lYnVivE C:「アルツール君が入院している病院、紹介してくれないかしら」アルツールが気になる。 鈴仙「――そうだ」 鈴仙はアヤソフィアが言っていた内容を思い出した。 アルツールは今も市内の病院で植物人間状態――ならば、まだ彼は死んでいない。 鈴仙「ねぇ。良ければアルツール君が入院している病院、紹介してくれないかな?」 カルロス「……え? あ、ああ。構わないが」 思い立った鈴仙は泣きだすカルロスを強引に引っ張り、 スタジアム沿いの道路に停まっていたタクシーを捕まえて案内させる。 鈴仙「状態によっては、だけど。何か治せる方法があるかも……」 カルロス「治せる、だと……? しかしあいつはもうこの方5年以上も目を覚ましすら……」 鈴仙「良いから。……それに、カルロス君だって心配なんでしょ、アルツール君の事も」 カルロス「それは……当然だ。今でもオフの日は見舞いを欠かしていない。しかし何を突然……」 相次ぐ出来事に混乱を隠せないカルロスを尻目に、鈴仙は聞き取った病院名を運転手に告げ、 なけなしのお小遣い全額を押し付ける。リオカップの有力選手二人、しかも男女が同じタクシーに 同乗する事についてスキャンダラスな興味を抱かれる恐れはあったが、 たまたま運転手はサッカーへの興味が薄い老人であった事が幸いし、何の詮索もなく、 鈴仙達は病院へと向かう事ができた。
[355]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 18:15:36 ID:5lYnVivE 〜サンパウロ市内・病院〜 その病院の環境は、鈴仙の想像していた以上に劣悪だった。 医療器具の不備不足は勿論、感染管理についても理解が乏しい様子が見受けられ、 病院は病院でも、野戦病院のようだと鈴仙は感じた。 カルロス「……日本では、誰もが安価で高品質な医療が受けられるんだろう?羨ましいよ」 そう呟くカルロス。話を聞くと、アルツールの養父が残した蓄えのお蔭でここまで持ちこたえられたが、 その蓄えも間もなく底を尽きるため、こうした『安い』病院を選ばざるを得ないという。 カルロス「……纏まった金が入ったら、俺がこいつの治療を引き継いでやろうと思っている。 しかし、金があっても、今度は入る病室が無いかもしれない。 ブラジルは経済成長こそ確かだが、一方で医療や福祉の確保はまだまだだからな。 ――いずれにせよ。もう、時間が無いのかもしれないな……」 鈴仙「カルロス君……」 ガチャリ。 アルツール「……………」 カルロス「よう、遅い時間に悪かったな」 果たして、間仕切りはおろか窓すら無い、8人部屋の病室の隅っこで、アルツールは眠りに就いていた。 長年日の光を浴びていないからか、肌の色は褐色というよりは青白く。 そして少しでも衝撃を与えれば折れてしまいそうなまでにやつれていた。 鈴仙「バイタルサインは……呼吸のみ、眼球も反応せずか。徐脈は……無く、一応は安定している……」 永琳仕込みの医学知識を呼び起こし、時には無気力な看護師や宿直医師にも問い合わせ、 鈴仙はアルツール少年が置かれた状況を診断しようとする。
[356]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 18:16:45 ID:5lYnVivE カルロス「驚いたな。まさか医師としての知識まであるなんて。 まるでロベルト本郷と同世代で活躍した名FW・ドトールみたいだな、君は」 鈴仙「ありがとう。でも私はまだ研修医扱いだし。それに……アレとは一緒にされたくないし」 カルロス「?」 その様子に改めて目を丸くするカルロスだったが、彼が引き合いに出した相手が、 今やコリンチャンスのセクハラコーチと堕してしまっている事には気付いていないようだった。 鈴仙は若干顔を渋くして。しかし一方で彼の医師としての能力を知るが為に、こう続けた。 鈴仙「――カルロス君。私は二人の名医を知っている。 もっとも、一人の本職は薬剤師で、かつ今すぐには会いにいけないし。 もう一人は今すぐにでも会いにいける……カルロス君の夢を壊すリスクはあるけど。 とにかく。アルツール君の状態が、今のままで安定するようであれば。 ……彼が目を覚ます為に何か、できるかもしれないわ」 カルロス「……だ、だが。確かに事情を知ってしまったとはいえ、半ば部外者の君に、 そこまでさせる訳には――」 鈴仙「いいの。私がやりたいんだから。それに……サッカーがきっかけで知り合った私達が、 サッカーを信じ続けて倒れたアルツール君を助ける、ってなったら。 あの謎思想を押し付けて来たアヤソフィアを悔しがらせられるかもしんないし」 カルロス「悔しがらせる……そうだな。それに、俺では力が無くとも、こいつが目を覚ませば、 アヤソフィア……アーサーお姉ちゃんも、正気を取り戻してくれるのかもしれない」
[357]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 18:17:49 ID:5lYnVivE 鈴仙の提案は、カルロスにとってその内容はさておき、とても有り難い物だった。 しかし一方で、優等生的な彼は、彼女がここまで尽くしてくれる事について負い目を感じていた。 無論それがサッカーの試合等で左右する事にはならないにせよ、彼としてはその思いに応えたかった。 カルロス「分かった。君のその他者に尽くす精神を尊重しよう。 だが――俺は手放しで誰かの助けを受けたくはない。……そうだ」 もっとも、フラメンゴを離れてコリンチャンスに入る……と言った事まではできないが、と 冗談っぽく笑みを浮かべるカルロスは、確かに鈴仙の想いを受け止め、 そしてアヤソフィアを巡る自身の気持ちを整理する事ができているように見えた。 やがて実直に述べた彼は……思いついたように、病室の机の引き出しを開け放った。 そこには、何度も捲った後で擦り切れた、ボロボロのノートがあった。 カルロス「……これは、俺とアルツールが少年時代、一緒にボロボロになるまで読みふけったノートだ。 アルツールが敬愛して止まなかった養父――ジャイロが、俺達の成長の為にと 効率的な練習メニューやここぞという時の精神論を書き留めてくれたんだ。 これを――君への敬意と友情を記す為に、貸そう」 鈴仙「え……えええっ! ジャイロって……どこかで聞いた事があるけど、確か、 ブラジルの伝説のストライカーだったって話の、アレでしょ!? そんなの、貰えないよっ!?」 カルロス「バカ、誰もあげないよ。……あくまで『貸す』だけだ。俺も昔、アルツールからノートを貸して貰った。 そして内容を全部暗記するまで読みまくってから、返した。それと同じ事をするだけさ。 ……もしもアルツールに意識があって、君の事を聞いていたなら、きっとそうするだろうからな」 恐縮する鈴仙に、カルロスは続ける。
[358]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 18:19:24 ID:5lYnVivE カルロス「……それに、少なくとも小さい頃の俺は、アルツールの養父を畏怖なんてしなかった。 だって、そうだろう? サッカーの上手い親友の家のお父さんは、もっとサッカーが上手かった。 それで、俺とアルツールが切磋琢磨して上手くなる姿を、いつもニコニコして眺めてくれていた。 たった、それだけの人だったんだ。だから、俺にとってこのノートは、あの伝説のストライカー・ジャイロの遺品ではなく。 俺とアルツールの、友情の証とその軌跡に過ぎないんだ。それに――ノートを見てごらん、レイセン?」 鈴仙「え、ええ……って、ううー、ん……」 そして、促されるがままにノートを開いてみた鈴仙は……先程は別ベクトルに驚いてしまう。 鈴仙「――この内容。ごくごくフツーの事しか書いてないじゃない。 基礎を怠るな。強い心を持て。サッカーは自由だ。 ……てっきり、メチャクチャ凄い必殺シュートの打ち方でも書いてあるかと思ったのに」 カルロス「そうだろう? だけど、このノートには特別な熱意が。そして、息子への愛情があった。 だから俺はこのノートが好きだったんだ」 ――それは。ごくごく平凡なサッカー好きの父親が、息子の為に書いた練習ノートと大差が無かった。 強いて違う所をあげるとしたら、それはまさにカルロスが言った通りで。 そのノートには、普通の父親の何倍も何十倍も、息子を愛している事が伝わっているという所だった。 カルロス「体調を崩しがちだった義父さんだったが、俺がフラメンゴに入ったばかりの時期は安定していた。 恐らくは、アーサーお姉ちゃんが相当に健康に気を配っていたからだろう。 アルツールを失い倒れた時も、『倒れるのがもう数年前でもおかしくなかった』と医師は言っていたからな。 だからこそ、俺は、アーサーお姉ちゃんにもう一度、あの時のように戻って欲しいと思う。 そしてお礼を言いたいと思う――できれば、アルツールと二人でだ。 『あなたのお蔭で、サッカーの道を迷わずに歩いていけました』、 『あなたのお蔭で、掛けがえの無い少年時代を過ごす事ができました』……ってな」
[359]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/02(日) 18:20:45 ID:5lYnVivE 鈴仙「…………」 もしもアヤソフィアが居なければ、今の素直で実直なカルロスはいないかもしれない。 もしもアヤソフィアが居なければ、アルツールは父の愛情を充分に受けられなかったかもしれない。 ――そう思うと、鈴仙は純粋に彼女を憎めなかった。 カルロス「……さて。ここまで話を出来たのは久しぶりだ。そして、ここまで話をしたからには、 君は俺と同じように、このノートを丸暗記するまで読んで貰う必要がない。そして」 短い身舞いの帰りに、カルロスは鈴仙にこう注文を付けた。 カルロス「――きっと、このノートは返してくれよ? 俺では無い。目を覚ましたアルツールにな。 その後で、4人でサッカーを楽しもう。俺と、君と、アルツールと。……アーサーお姉ちゃんとだ。良いな?」 鈴仙「……うん」 はにかみながらも頷く鈴仙に、カルロスは子供っぽく片目を瞑って応じた。 *友情のノートの効果により、次回基礎練習時の判定時にボーナス(+!card※フラグ開発時は+!dice)が入ります。
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0ch BBS 2007-01-24