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【追う蜃気楼は】鈴仙奮闘記39【誰が背か】
[388]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/05(水) 00:13:27 ID:??? ――が、それを素直に受け止めたら負けだと思った鈴仙は首をブンブンと振って冷静になり、 ネイを睨み付けてやる事で心の均衡を得ようとする。……傍から見ると挙動不審この上無いのだが。 しかし細かい事は気にしないか俺に惚れてるサインとみなすネイは全く悪びれる様子もない。 ネイ「――さ。夜も遅い。今から俺がとっておきの場所を案内するよ」 鈴仙「!? あ、あんた……私をどこに連れてく気なのよ……」 ネイ「? ……とっておきの場所はとっておきの場所さ。――大丈夫、君もきっと気に入るさ」 鈴仙「……それで連れて来た場所がロクでも無い場所だったら、 軍仕込みのマーシャルアーツで背骨折るから。容赦なく」 夜も更ける中、ネイのとっておきの場所とやらはどうみても怪しい。 しかし一方で彼の良い点も見えて来た為に断り辛く、 鈴仙は取りあえずネイが招き入れる場所へと行ってみる事にしたのだ。 その場所は――。
[389]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/05(水) 00:14:36 ID:??? 〜パルメイラス・スタジアム〜 ネイ「さあ、着いたよ」 鈴仙「ここは……パルメイラスの練習場じゃないの」 ネイが案内した場所は確かに怪しくない場所だったが、ある意味ではロクでも無い場所とも言えた。 サンパウロの夜景も見えず、あるのはナイターの光だけの荒涼とした芝の平地。 普通の女子がここに案内されたとして、大舞台に来れたという高揚感こそあれど、 男の魅力無しに、この場所そのものをロマンティックに輝かせる事は困難だろう。 鈴仙「――へぇ。やっぱりサンパウロの名門チームだけあって、良い環境で練習してるのね。 羨ましいわ。私達だなんていっつもスラム街のド真ん中で練習してるから、 怖いお兄さんには睨まれるし、酔っ払いにはゲロを吐かれるし……」 ネイ「(コリンチャンスも、一昔前は名門チームだったんだがな……というか、 別に弱小チームでも普通はそんな劣悪な環境に置かれたりはしないぞ……)」 しかし、これまで短くない間サッカーに情熱を捧げて鈴仙にとっては話が別だ。 ネイなどいなくても、自分自身でこの場所に立つ事の価値を考え、感じる事が出来る。 鈴仙「……ネイ君も、他のメンバーの皆も、この場所で自分達の全てを賭けて戦ってるんだよね」 ネイ「ああそうだ。プロという華やかな舞台に登り詰める事が出来るのは、俺達のほんの一握り。 そして、その華やかな舞台で主役として活躍出来るのは、ほんの一握りの中の、更に一握り。 ――いや、一つまみと言った方が良いかな。そんな厳しい世界に生きてるんだ。俺達はさ」 鈴仙「そっか。そう……だったよね」
[390]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/05(水) 00:15:36 ID:??? 勿論、俺は一つまみの方だけどね、と調子良い笑みでネイは重苦しい雰囲気を吹き飛ばす。 しかしそれだけで、ネイは鈴仙の感情を否定したりはしない。 鈴仙「……ごめんね。ちょっと身内で色々あったり、森崎君の話を聞いたりしてたら、 思う所があってね。……なんか、私はまだまだ甘いなぁ、って」 ネイ「良かったら、聞かせてくれるかな? 君の助けになれるなら、俺は何だってやりたい」 鈴仙「――大した話じゃないけど。ただ……このブラジルの地に来て思った事があるのよ。 皆、サッカーに対して命を賭けてるって。サッカーに対して全力で生きてるってさ」 ホテルではあれだけ雄弁だったネイは、今は黙って鈴仙の話を頷いて聞いている。 鈴仙は彼が作り出した心地よい沈黙に甘え、少しずつ言葉を紡ぎ出す。 鈴仙「私が元々住んでた幻想郷では、皆がサッカーを楽しんでいたけれど。 ……でも、『楽しんで』いただけだった。サッカーなんてしなくても食べていけるし、 逆に、サッカーだけに生活を賭けてる人なんて、どこにも居なかった」 ネイ「(日本にはプロリーグなんて無いからなァ)……ああ。モリサキから聞いてる。 でも君はその中でサッカーを必死に頑張って。それで、ここにやって来たんだろう?」 鈴仙「うん。皆にバカにされたくない。憧れてる人と肩を並べたい。そんな思いで必死だった。 それで私は上手くなれたけど……でも、それは特別でも何でもない、ごく当たり前の事だって。 ブラジルで一生懸命サッカーをしている皆の姿を見て、気付いたの」
[391]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/05(水) 00:16:51 ID:??? ネイ「……そうか」 これまでの激しい戦いを前に。倒れ行くライバル達の姿を前に。 サッカーを憎み、滅ぼすとさえ言い放ったかつての仲間の背を前に。 それでもなおサッカーの可能性を信じ、奇跡を信じようとした少年の笑顔を前に。 そして――近くに居ながらも道を違え、全てを拒絶して切り刻もうとする、不器用な親友を前に。 鈴仙は改めて思い悩んでいた。――果たして、自分の覚悟は本物なのか、と。 鈴仙「……師匠は言った。『サッカーで、世界を滅亡から守って欲しい』と。 コーチは言った。『サッカーで、世界を平和にして欲しい』と。 だけど……今の私には、他の皆と比べて特別強い想いは持ち合わせていない。 そんな私が、これから戦えるのかな……って。不安になっちゃって」 ネイは、そんな鈴仙の真剣な悩みに対して…… ネイ「ああ……やっぱり君は俺の考えていた通りの、いや、それ以上に高貴なるプリンセスだっ!」 鈴仙「――は?」 一度は収まった筈の興奮を再び取り戻して、そう熱く宣言してみせるのだった。 ネイ「なんていじらしいんだ。君は誰よりも真面目で勤勉で一生懸命なのに、 そんな自分を常に厳しく律し、より強くなろうとしている。それだけじゃない。 周囲の人間の美点を誰よりも上手く感じ取って、周囲をより良くする為奔走する事ができる。 なのに! 君はその自分自身の良さを誰よりも分かっていない。 ……ううっ、いじらし過ぎるよ、レイセン。これじゃ俺が守ってあげないとダメじゃないか!?」
[392]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/05(水) 00:17:58 ID:??? 鈴仙「え、あ、おにょい!?」 ――だが、これにはネイも言い分がある。しんみりとした様子となった鈴仙を見て、 一旦は聞き上手にその悩みを聞いてあげようと思ったところ、 彼女のあまりにいじらしい様子に堪らなくなって、狂気に当てられてしまったようにも見える。 ネイ「ああ、ほんっとーにごめんよ! でも、見て居られなかったからさ。 ――敢えて言うけど。レイセン。君はやっぱりちょっと、悩み過ぎだと思うぞ」 鈴仙「私……悩み過ぎ? そう、かな?」 しかし、それでもネイは思う。鈴仙は悩み過ぎだと。彼女は確かに真剣に考えているが、 その真剣さが何時でも功を奏すとは思えないと。 ネイ「そうさ。君が言ってる事が的外れってワケじゃない。俺は確かに一生懸命サッカーしてるし、 君にももしかしたら、俺より思いが劣る所があるのかもしれない。 だけどさ。それを気にしてどーすんの? っての! 金だと栄光だの女だのの為に戦ってる奴は、真面目な理由で戦ってる奴よりも弱いかい? 必ずしもそうとは限らないだろう? 結局は。どんな理由であれ、『ここぞという場面で動けるか?』ってのが大事だと思うぜ!」 そのため、彼は鈴仙の心配を、敢えて軽薄な言葉で笑い飛ばす事で拭ってあげようとした。 鈴仙も、重い気持ちが消える訳ではないにせよ、彼の言葉の真意を掴み。
[393]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/05(水) 00:19:58 ID:??? 鈴仙「……そう。そうよね! だってネイ君が私みたいに殊勝な事、考えてるワケないでしょうし。 どーせ女の子にモテる事とかしか考えてないんでしょ?」 ネイ「だからそれはもう昔の話だよ! 今の俺は君だけなんだ、信じてくれよ〜」 鈴仙「ふんだ、誰が信じますか! っていうか、信じたところで私はアンタに靡かないけどね。 私にデレ期はないっ!!」 ――と、いつも通りの態度で突っ返してやるのだった。 鈴仙「(私は考えすぎ……か。でも――確かにそうかも。 だって、ネイ君はやりすぎだとしても、マジメマジメだと疲れちゃうし。 そんなんで疲れて、試合で動けないのはもっと最悪だしね)」 ひたすらストイックに自身を省み続けて、傷つきながらも道を切り開き続ける中山。 幅広い視点から全ての可能性を探り出し、ブレずに『誰か』の為に努力し続けるパスカル。 ――彼ら二人の背中は間違いなく、鈴仙を大きく成長させる為の礎だった。 では、中山の努力やパスカルの献身すら笑い飛ばし、ただこの瞬間自分がどう在るべきかを追い求めるネイは、 鈴仙にとってどのような影響を与えただろうか?
[394]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/05(水) 00:22:10 ID:??? 鈴仙「(昨日やら今日は色々あったけど……なんだか、ネイ君を見てたらどうでも良くなって来ちゃった)」 夜のスタジアムで、鈴仙は片付けられずに転がっているボールを見つけた。 鈴仙「(『ここぞという場面で動けるか?』――か。私は……どうなんだろ)」 タタタッ、……シュッ。 ネイ「……?」 ドレス姿のまま、おもむろに走り出した鈴仙は――そのボールを足でトラップしてみる。 そこから、何も考えない無心の動きでボールを軽く浮かせてみた上で。 鈴仙「…………」 クルンッ! ――グワァァァァァッ! そのまま、ボールを遠くまで蹴り出そうとしてみた。 何の感情も無く。ただ、自分がそうしたいと思うがままに。 ネイ「(あのフォームは……もしや!?)」
[395]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/05(水) 00:23:22 ID:x31yx7A+ そして――。 先着1名様で、 ★鈴仙の低シュート練習(特殊)→!dice+(ボーナス+1)★ と書き込んでください。数値の合計が経験点にプラスされます。(現在14ポイント) *合計点が20ポイントを超えた場合、鈴仙はフラグを回収します。
[396]森崎名無しさん:2017/07/05(水) 00:30:13 ID:??? ★鈴仙の低シュート練習(特殊)→ 3 +(ボーナス+1)★
[397]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/05(水) 00:42:10 ID:x31yx7A+ ★鈴仙の低シュート練習(特殊)→ 3 +(ボーナス+1)=4★ →4ポイント獲得! バシュッ! ギュルルルルルルルルッ…… 鈴仙「あ、あーあ……どっかに飛んでっちゃった……」 ネイ「(ダメだったか。まあ流石に思いつきだけで、俺の『ディレイドスピンボレー』の原理まで 真似されちゃあ、それはただの天才か)……ドンマイ、レイセン。 惜しくも枠外までぶっ飛んじまったけど、今の君のフォームは力が抜けてて良かったぜ?」 ――人間気の持ちようとは良く言われども、気の持ちようが変わっただけで即急成長するものではない。 あくまで、日々のちょっとした積み重ねが重要なのは変わりない。 鈴仙「……今日はありがと。森崎くんの事とか、色々考えてた事とか話せて良かった」 だから、鈴仙はネイに感謝をする。今この場で結果こそ出せずとも、 自分の新たな道について自信とひらめきを与えてくれた事に対して。 ネイ「……どうも。次はエンゲージリングを準備しておくから、楽しみにしておいてくれ」 同時に、ネイは鈴仙を理解する。彼女がこれまで抱えて来たものの大きさを。 そしてそれを昇華させたとき、彼女は更にワンランク上の選手となるだろうと。 彼が最後に発した言葉には、普段の単純な色恋とはまた違う、好敵手に対する情愛の念が籠っていた。 *鈴仙の低シュートフラグのポイントが+4されました。(現在14→18/20ポイント)
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0ch BBS 2007-01-24