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【追う蜃気楼は】鈴仙奮闘記39【誰が背か】
[390]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/05(水) 00:15:36 ID:??? 勿論、俺は一つまみの方だけどね、と調子良い笑みでネイは重苦しい雰囲気を吹き飛ばす。 しかしそれだけで、ネイは鈴仙の感情を否定したりはしない。 鈴仙「……ごめんね。ちょっと身内で色々あったり、森崎君の話を聞いたりしてたら、 思う所があってね。……なんか、私はまだまだ甘いなぁ、って」 ネイ「良かったら、聞かせてくれるかな? 君の助けになれるなら、俺は何だってやりたい」 鈴仙「――大した話じゃないけど。ただ……このブラジルの地に来て思った事があるのよ。 皆、サッカーに対して命を賭けてるって。サッカーに対して全力で生きてるってさ」 ホテルではあれだけ雄弁だったネイは、今は黙って鈴仙の話を頷いて聞いている。 鈴仙は彼が作り出した心地よい沈黙に甘え、少しずつ言葉を紡ぎ出す。 鈴仙「私が元々住んでた幻想郷では、皆がサッカーを楽しんでいたけれど。 ……でも、『楽しんで』いただけだった。サッカーなんてしなくても食べていけるし、 逆に、サッカーだけに生活を賭けてる人なんて、どこにも居なかった」 ネイ「(日本にはプロリーグなんて無いからなァ)……ああ。モリサキから聞いてる。 でも君はその中でサッカーを必死に頑張って。それで、ここにやって来たんだろう?」 鈴仙「うん。皆にバカにされたくない。憧れてる人と肩を並べたい。そんな思いで必死だった。 それで私は上手くなれたけど……でも、それは特別でも何でもない、ごく当たり前の事だって。 ブラジルで一生懸命サッカーをしている皆の姿を見て、気付いたの」
[391]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/05(水) 00:16:51 ID:??? ネイ「……そうか」 これまでの激しい戦いを前に。倒れ行くライバル達の姿を前に。 サッカーを憎み、滅ぼすとさえ言い放ったかつての仲間の背を前に。 それでもなおサッカーの可能性を信じ、奇跡を信じようとした少年の笑顔を前に。 そして――近くに居ながらも道を違え、全てを拒絶して切り刻もうとする、不器用な親友を前に。 鈴仙は改めて思い悩んでいた。――果たして、自分の覚悟は本物なのか、と。 鈴仙「……師匠は言った。『サッカーで、世界を滅亡から守って欲しい』と。 コーチは言った。『サッカーで、世界を平和にして欲しい』と。 だけど……今の私には、他の皆と比べて特別強い想いは持ち合わせていない。 そんな私が、これから戦えるのかな……って。不安になっちゃって」 ネイは、そんな鈴仙の真剣な悩みに対して…… ネイ「ああ……やっぱり君は俺の考えていた通りの、いや、それ以上に高貴なるプリンセスだっ!」 鈴仙「――は?」 一度は収まった筈の興奮を再び取り戻して、そう熱く宣言してみせるのだった。 ネイ「なんていじらしいんだ。君は誰よりも真面目で勤勉で一生懸命なのに、 そんな自分を常に厳しく律し、より強くなろうとしている。それだけじゃない。 周囲の人間の美点を誰よりも上手く感じ取って、周囲をより良くする為奔走する事ができる。 なのに! 君はその自分自身の良さを誰よりも分かっていない。 ……ううっ、いじらし過ぎるよ、レイセン。これじゃ俺が守ってあげないとダメじゃないか!?」
[392]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/05(水) 00:17:58 ID:??? 鈴仙「え、あ、おにょい!?」 ――だが、これにはネイも言い分がある。しんみりとした様子となった鈴仙を見て、 一旦は聞き上手にその悩みを聞いてあげようと思ったところ、 彼女のあまりにいじらしい様子に堪らなくなって、狂気に当てられてしまったようにも見える。 ネイ「ああ、ほんっとーにごめんよ! でも、見て居られなかったからさ。 ――敢えて言うけど。レイセン。君はやっぱりちょっと、悩み過ぎだと思うぞ」 鈴仙「私……悩み過ぎ? そう、かな?」 しかし、それでもネイは思う。鈴仙は悩み過ぎだと。彼女は確かに真剣に考えているが、 その真剣さが何時でも功を奏すとは思えないと。 ネイ「そうさ。君が言ってる事が的外れってワケじゃない。俺は確かに一生懸命サッカーしてるし、 君にももしかしたら、俺より思いが劣る所があるのかもしれない。 だけどさ。それを気にしてどーすんの? っての! 金だと栄光だの女だのの為に戦ってる奴は、真面目な理由で戦ってる奴よりも弱いかい? 必ずしもそうとは限らないだろう? 結局は。どんな理由であれ、『ここぞという場面で動けるか?』ってのが大事だと思うぜ!」 そのため、彼は鈴仙の心配を、敢えて軽薄な言葉で笑い飛ばす事で拭ってあげようとした。 鈴仙も、重い気持ちが消える訳ではないにせよ、彼の言葉の真意を掴み。
[393]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/05(水) 00:19:58 ID:??? 鈴仙「……そう。そうよね! だってネイ君が私みたいに殊勝な事、考えてるワケないでしょうし。 どーせ女の子にモテる事とかしか考えてないんでしょ?」 ネイ「だからそれはもう昔の話だよ! 今の俺は君だけなんだ、信じてくれよ〜」 鈴仙「ふんだ、誰が信じますか! っていうか、信じたところで私はアンタに靡かないけどね。 私にデレ期はないっ!!」 ――と、いつも通りの態度で突っ返してやるのだった。 鈴仙「(私は考えすぎ……か。でも――確かにそうかも。 だって、ネイ君はやりすぎだとしても、マジメマジメだと疲れちゃうし。 そんなんで疲れて、試合で動けないのはもっと最悪だしね)」 ひたすらストイックに自身を省み続けて、傷つきながらも道を切り開き続ける中山。 幅広い視点から全ての可能性を探り出し、ブレずに『誰か』の為に努力し続けるパスカル。 ――彼ら二人の背中は間違いなく、鈴仙を大きく成長させる為の礎だった。 では、中山の努力やパスカルの献身すら笑い飛ばし、ただこの瞬間自分がどう在るべきかを追い求めるネイは、 鈴仙にとってどのような影響を与えただろうか?
[394]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/05(水) 00:22:10 ID:??? 鈴仙「(昨日やら今日は色々あったけど……なんだか、ネイ君を見てたらどうでも良くなって来ちゃった)」 夜のスタジアムで、鈴仙は片付けられずに転がっているボールを見つけた。 鈴仙「(『ここぞという場面で動けるか?』――か。私は……どうなんだろ)」 タタタッ、……シュッ。 ネイ「……?」 ドレス姿のまま、おもむろに走り出した鈴仙は――そのボールを足でトラップしてみる。 そこから、何も考えない無心の動きでボールを軽く浮かせてみた上で。 鈴仙「…………」 クルンッ! ――グワァァァァァッ! そのまま、ボールを遠くまで蹴り出そうとしてみた。 何の感情も無く。ただ、自分がそうしたいと思うがままに。 ネイ「(あのフォームは……もしや!?)」
[395]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/05(水) 00:23:22 ID:x31yx7A+ そして――。 先着1名様で、 ★鈴仙の低シュート練習(特殊)→!dice+(ボーナス+1)★ と書き込んでください。数値の合計が経験点にプラスされます。(現在14ポイント) *合計点が20ポイントを超えた場合、鈴仙はフラグを回収します。
[396]森崎名無しさん:2017/07/05(水) 00:30:13 ID:??? ★鈴仙の低シュート練習(特殊)→ 3 +(ボーナス+1)★
[397]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/05(水) 00:42:10 ID:x31yx7A+ ★鈴仙の低シュート練習(特殊)→ 3 +(ボーナス+1)=4★ →4ポイント獲得! バシュッ! ギュルルルルルルルルッ…… 鈴仙「あ、あーあ……どっかに飛んでっちゃった……」 ネイ「(ダメだったか。まあ流石に思いつきだけで、俺の『ディレイドスピンボレー』の原理まで 真似されちゃあ、それはただの天才か)……ドンマイ、レイセン。 惜しくも枠外までぶっ飛んじまったけど、今の君のフォームは力が抜けてて良かったぜ?」 ――人間気の持ちようとは良く言われども、気の持ちようが変わっただけで即急成長するものではない。 あくまで、日々のちょっとした積み重ねが重要なのは変わりない。 鈴仙「……今日はありがと。森崎くんの事とか、色々考えてた事とか話せて良かった」 だから、鈴仙はネイに感謝をする。今この場で結果こそ出せずとも、 自分の新たな道について自信とひらめきを与えてくれた事に対して。 ネイ「……どうも。次はエンゲージリングを準備しておくから、楽しみにしておいてくれ」 同時に、ネイは鈴仙を理解する。彼女がこれまで抱えて来たものの大きさを。 そしてそれを昇華させたとき、彼女は更にワンランク上の選手となるだろうと。 彼が最後に発した言葉には、普段の単純な色恋とはまた違う、好敵手に対する情愛の念が籠っていた。 *鈴仙の低シュートフラグのポイントが+4されました。(現在14→18/20ポイント)
[398]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/05(水) 00:44:13 ID:x31yx7A+ ……と、言ったところで今日の更新はここまでにします。 次回は極力手短にパルメイラス勢の特徴を紹介+基礎練習2回目を更新し、 次々回以降は試合に入りたいと思っています。 本日もお疲れ様でした。
[399]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/07/05(水) 23:43:09 ID:x31yx7A+ ***** ??「――フられたな、ネイ」 ネイ「……なんだよー、見てたのか」 鈴仙が帰った(護衛など不要な事を、彼女は自分の洗練された体術で証明してみせた) 後のスタジアムに居たのは、ネイ一人だけではなかった。 トニーニョ「……『よもや夜練習をサボって、女子とデートでもしてないだろうな?』 と思って居た所に、まさかその女子を連れて来るとまでは予想が付かなかったが」 ネイ「あーもー。だから前からずっと言ってるじゃん。レイセンは例外だって!」 トニーニョ「俺は前から聞いているんだがな。……まあ、お前があの子に熱を上げる理由なら、 分からない事もないのだがな」 そこに居たのはネイの親友にしてパルメイラスのキャプテン――アントニオ・コンセイソン。 トニーニョの愛称で親しまれる彼は不愛想なしかめっ面でネイを睨み付ける。 オルヘス「そうだぜ! ま、その位大胆な方がお前らしいけどな」 ……いや、居るのはトニーニョだけではなかった。 どうやらネイがスタジアムに来た頃を見計らって、一斉にベンチ裏に隠れていたらしい 彼のチームメイト達は、ぞろぞろとトニーニョの後ろから現れて、ネイに一言ずつ声を掛ける。 素直で直情的な性格のFW・オルヘスが一番先に出て来て。
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0ch BBS 2007-01-24