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【不屈の心は】鈴仙奮闘記40【この胸に】
[573]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/10/22(日) 21:51:25 ID:??? A:この陣形で問題ない。 パチュリー「……どうかしら、鈴仙? このチームをこれまで総括して来た、 貴女の最終的な意見が聞きたいわ」 鈴仙「私は……とりあえずは、マスターの――パチュリーさんの意見通りで問題無いと思います。 細かい陣形でしたら、試合後にも変える事はできますし」 慧音「となると、こうなる訳だな……」 鈴仙達は改めて、以下に決まったフォーメーション図を見直す。 コリンチャンス 4−4−2 −H−J− H鈴仙 J佳歩 −−−−− −−I−− Iパチュリー G−−−F Gてゐ F反町 −−E−− Eアリスさん BA−DC Bお燐 A慧音 D穣子 C静葉 −−−−− −−@−− @さとり 控え:クラウディ(FW)、ゲーノス(FW)、ナバイロ(MF)、マギッシ(MF)、ライア(MF)、ビベス(DF) つかさ、ミャージ(DF)、ニータ(DF) 備考:ライアは必殺パス、ミャージは必殺タックル、ニータは必殺ブロック持ち
[574]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/10/22(日) 21:52:33 ID:??? 鈴仙「(まだ星たちとは合流出来てないけれど……今日の試合が、 これまでの私達の成長を占う、天王山である事は間違いない)」 そうしていると、鈴仙もいよいよ実感が湧いて来る。 ブラジルの全サッカーファンが注目するリオカップ。 その決勝戦の場に、自分達がもうじき立つ事になるのだと。 妖夢の事や新田の事、コーチの不在やパチュリーと慧音の合流等があり、 今の今までは意識が薄れていたのだが、少しずつ、大舞台への緊張が増して来た。 鈴仙「……みんな」 振り絞るように、鈴仙はチームメイトに呼びかける。 本当はキャプテンとして演説をしたりするのは柄でも無いと思っていたのだが、 今ばかりは、自分の想いを伝えたかった。 鈴仙「……皆。今日の試合はリオカップの最後の試合でもあり。 一方で、『プロジェクト・カウンターハクレイ』の新チームとしては、 この試合が始めて、その内の11人が揃った試合になるわ」 反町「(その内の11人……か。これから更に、強力なFW――寅丸星さんも入る。 この試合に勝つのは勿論だけど、俺も先を見据えて行かないとな……)」
[575]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/10/22(日) 21:54:10 ID:??? 鈴仙「だから、この試合は決してゴールじゃない。むしろスタートよ。 とは、言うんだけど……正直に言って、今の私は非常に緊張しているわ」 てゐ「(だよねぇ。明らかにガチガチなんだもの。……どうやら、試合への緊張だけでも無さそうだけど)」 鈴仙「……幻想郷選抜代表と対立して、勝つ事を至上の目的としていた、 『プロジェクト・カウンターハクレイ』の新チーム。それが私達。 何の目的でこのプロジェクトに参加しているのは人それぞれだろうけど、 兎に角、私達は大きな敵に勝たなくてはならないのは事実。 そう考えると、今回の試合も、単なる小さなハードルの一つにしか過ぎない。 でも……。やっぱり私は、怖い。 皆と連携が上手くできなくて、足を引っ張ってしまったらと思うと。 重要な局面でシュートを失敗したらと思うと。負けるのが、怖い」 佳歩「鈴仙さま……(――そうだ。鈴仙さまだって、怖いに決まってるんだ。 鈴仙さまのツートップを名乗りたいんだったら、戦略や実力だけじゃなく、 精神面でも鈴仙さまを支えられるようにならないと……!)」 鈴仙「――でも、私は戦うよ。だって、それが私が。私達が選んだ道だから。 怖くても、恥ずかしくても、惨めでも。最初は逃げてしまっても良い。 それでもなお、立ち向かえるのが強さだって。私は……私は、思う。 だから……お願い。頼りないかもしれないけれど――一緒に、戦って欲しい」 さとり「(彼女の思考は極めて凡庸で、自信と野心に溢れる多くの優秀な選手と大きく異なる。 ですが――そんな彼女だからこそ、他の選手にはできない事が出来るのかもしれませんね)」
[576]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/10/22(日) 21:55:47 ID:??? 鈴仙「……皆! この試合、怖くても、それで失敗しても良い。 だけど、その代わり最後まで戦いましょう! 皆で一緒に、全力を出し尽くしましょう! 私は信じるよ。……皆が、同じ道を歩いてくれることを。 同じ道を歩いてくれる皆が居るからこそ、最後まであきらめずに戦えるってことを……!!」 パチュリー「(……! それぞれの言葉自体は、問題じゃない。 問題なのは、彼女を覆う光の大きさが、輝きが、大きくなっている事! あんなに頼りなかった彼女が、こんなカリスマ性を放てるだなんて……!)」 ――最後の方の鈴仙は演説と言うよりも、これからの試練に対して 自分自身を鼓舞しているだけに近かった。しかし、それにも関わらず、 鈴仙の率直な想いの発露は、周囲の静かな士気の向上を呼んだ。 鈴仙「(コーチが居ないのがちょっとだけ気になるけど。 ――でも、コーチだって自分の事を気にされるより、前を向いて戦って欲しいと。 そう思ってくれている筈よ。……だから、行こう。行くしかない。いや……行くのは私だけじゃない!)」 鈴仙は最後に、――こう言って試合前のミーティングを締めくくった。 鈴仙「よし、行こう。……行こうぜ、皆!」 チームメイト一同「「「 お う っ !! 」」」
[577]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/10/22(日) 21:59:27 ID:??? すみません、一旦ここまでです。 今日で試合前の会話選択肢前くらいまでやりたいです。
[578]森崎名無しさん:2017/10/22(日) 22:04:08 ID:??? カウンターシュート、ポスタースパーク、開幕メガロゾーン失点・・・うっ、頭が
[579]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/10/23(月) 00:08:19 ID:??? ***** 〜サンパウロ・控室〜 翼「……以上で、ミーティングは終了だよ。さあ皆、勝とうね?」ニコッ ――翼によるミーティング(ロベルトは当然空気だ)を終えたサンパウロには、 コリンチャンスのような盛り上がりは無い。翼自身も、鈴仙のように自身や周囲を鼓舞などせず、 これまでの試合と全く同じとおり、「勝とうね?」とだけ、ニコリと伝えるのみに留まる。 しかし、これは決してサンパウロというチームが士気や統制において、 コリンチャンスと比べて劣るという訳では決してない。 ストラット「分かってるさ、言われずともな!」 ドトール「俺達にとってリオカップは、悲願の目的ではなく、単なる通過点だ。 ブラジルの。あるいはそれぞれの祖国のサッカー界で頂点に輝く事を目標とする俺達が、 今更緊張してのぼせ上がるような舞台ではない」 バビントン「リオカップの決勝戦も、これまでの戦いと同じだ。僕達は、ただ自分のできる最大限の仕事をする。 それが、プロのサッカー選手に求められている事であり、僕達が目指すべき姿だからね」 アマラウ「おうよ、俺のコンドルクリアで、あの生意気なウサギちゃん達をボコボコにしてやる!」 リマ「リマの名フォローも光るリマね。レナートは精々ポスト神にお祈りしとくが良いリマよ! リママ!」 レナート「なにィ」
[580]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/10/23(月) 00:10:45 ID:??? ――少年ながらも厳しいプロの環境で育った彼らは、 鈴仙がしたような葛藤や苦悩はとうの昔に乗り越えていた。 故に、大舞台を前にしての適度な高揚感こそあれども、それで潰れる訳でも、空回る訳でも無かった。 石崎「そ、そうは言っても俺とかションベン漏れそうだぜ……」 マウリシオ「ふん。石崎さんはブロックするだけしたら、後はマリーニにでも任せておけ、ば……」 マリーニ「マリーニ! マリーニマッリニーィッ! マリマリマリ!」 マウリシオ「いや。何でもないっす。石崎さん。頼むから最後まで立っていて下さいね……。 (ちぇっ、俺も石崎さんを笑えねーな。心臓が不要にドキドキしてやがる……)」 石崎「? お、おう(……いや。大丈夫だ。俺には……俺達には翼が居る。だからきっと、今日も大丈夫だ!)」 ……とは言え、年下で経験の薄いマウリシオや、全日本Jr.ユースではベンチが多かった石崎のように、 まだこの空気に慣れていない者も少なからずいた。しかし彼らにもプロの自覚があり、 あるいは絶対的な信頼を寄せたチームメイトが居たために、それがチームの足を引っ張る事は無い。 妖夢「(……ドトール君やバビントン君の言う通り。これは単なる通過点。私が、更なる力を得る為の……通過点にしか過ぎない)」 その中で、妖夢の思いは多数派に近いものだったが――それにも関わらず、 彼女の表情は必要以上に冷たく張り詰めていた。 何故なら、彼女は内心で……強い不安と混乱を拭いきれていなかったからだ。 妖夢「(何も恐れるような試合じゃない筈なのに。なぜ、私はこんなにも怯えているんだろう。 負けるのが怖いから? 活躍できないかもしれないから? ……いや、違う。 そんな恐怖は、私がここに来るまでに真っ先に克服して来た筈だ)」
[581]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/10/23(月) 00:11:53 ID:??? 震えを隠しながら、妖夢は自分に言い聞かせる。自分は、強いと。 全幻想郷選抜大会で実感した、絶望的なまでの自分の弱さを実感して。 そして、血の滲むような鍛錬の結果、望み通りの力を得る事で……自分は変わった筈なのだ。 妖夢「(私のFWとしての能力は、この大会の誰よりも――ザガロ君よりも、ストラット君よりも、ネイ君よりも優れている。 攻撃力と突破力だけで言えば、翼君やカルロス君よりも優れている。……もちろん、鈴仙よりもだ。 だから、何も恐れる必要は無い、筈なのに……ッ!)」 妖夢は幾ら考えても、コリンチャンスの試合を前にして、自分がどうしてここまで震えているのかが分からない。 新田「あ、姉御……大丈夫ですか」 妖夢「(新田君……私を、心配してくれてるんだ)」 そんな彼女の内心を察する事が出来たのは新田だけだった。 妖夢の力に憧れ、また他のチームメイトの中で一番多くの言葉を交わしていた新田は、 彼女のちょっとした仕草に違和感を覚え、そう気遣ってくれる。 ――そう、彼は純粋な想いから、妖夢を心配して声を掛けてくれているのだ。 妖夢「(駄目だ……。新田君を心配させちゃいけない。彼は、強い私を慕ってくれているんだから。 私が、こんなに弱い事を考えているなんてバレたら……きっと、彼は失望する。それは嫌だ……!)」 にも拘わらず、今の一人で追い詰められた彼女には、そんな優しさすらも届かない。 妖夢は新田が差し伸べてくれた手を振り払い――。
[582]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/10/23(月) 00:13:16 ID:??? 妖夢「……私よりも、まずは自分の心配をしたらどうだ、新田君?」 新田「! ――そ、そうですね。すみません……」 ……そう、気丈さを装って彼を拒絶した。 妖夢「(そうだ。それで良い。他人に頼るのは、弱さの証だ。力とは、自分の中にしかない。 私のような強者は、絶対に弱者に頼ってはいけないんだ……!)」 そのため、成熟した覚悟が未だ持てないにも関わらず、妖夢は孤独に震え続ける。 ひた隠す為の演技と、サッカーの技術だけは身に着けられたが。 そうやって幾ら強くなっても……いや、強くなればなる程に、彼女の恐怖は、ただ積み重なるだけだった。 妖夢「(鈴仙。……私は、貴女よりも絶対に、強い。弱さをひけらかし、周囲の力無くして立てない貴女に。 私は絶対に、負ける訳にはいかない…………!)」 妖夢はまだ気づいていない。 自らの恐怖の根源が、自ら『弱い』と断じる鈴仙に敗北する事への恐れであることを。 鈴仙への敗北により、自分がこれまで積み上げて来た全てが、否定されてしまう事への不安であることを――。 *****
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0ch BBS 2007-01-24