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屁理屈推理合戦withキャプ森2
[21]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/09/14(木) 00:32:21 ID:??? カスティリオーニ「……この寄生虫は、空気を媒介して感染するようです。 すなわち、彼と濃厚に接触していた、イタリアJr.ユースの皆さん。 ……この全員が、ストラット君と同じ寄生虫に感染してしまったようですよ」 ヘルナンデス「……!!」 ――そして、この医師の言葉を持ってようやく、ヘルナンデスは理解した。 何故イタリアサッカー協会が、たかが一少年の不祥事に、ここまでの労力を割いたのかを。 何故彼らが、スキャンダルが明るみにでるリスクを抱えてでも、日本から少年達を招致したのかを。 ヘルナンデス「(上層部は、ストラットだけじゃない。俺達全員を危険因子と見ている。 いずれ精神失調をきたし、選手として使い物にならなくなる可能性が高い……と。 だから、この施設に隔離しようとしたんだ。……他の選手に、寄生虫が移らぬように……!)」 カスティリオーニ「その表情。気付かれてしまいましたな。……ですが安心ください。 君たちの将来的な凋落は、君たちのせいにはならない。 ”極東発祥の”寄生虫の集団感染など、”極東の国”から合宿に来た少年達と 接触でもしない限り、決して起こる筈がないのですから。ほっほっほ……」 ヘルナンデス「……う、うわぁあああぁぁぁああああぁぁぁぁあああああああああああッッ!」 途端に、彼は誰かに見られているような妄想に陥った。 その妄想はすぐに、魔女による魔法の仕業であるという確信へと変わった。 ミアータ「……魔女コロスコロスコロスコロスコロス」 そして、彼らのやりとりを窓から覗いていた少女は、こうした確信はとうの昔に持ち続けていた。 病んだストラットを介護する日々は、彼女の体内に無数の病原菌を運ぶに充分すぎた。
[22]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/09/14(木) 00:33:35 ID:??? * * * ストラット「ベアトリーチェ! 助けてくれッ! この俺を黄金郷に誘ってくれええぇぇええぇぇぇッ!」 ミアータ「何を言っているのストラット! この私こそがベアトリーチェ。領主から黄金を引き継ぎ、 このイタリア全土を支配する魔女こそが、この私なのよッ!!」 ――こうなった以上、彼らに悲劇が待ち構えているのは必然だった。 錯乱が進み自らこそがベアトリーチェであると信じて疑わなくなったミアータと、 黄金郷での救いを求め狂うストラット。彼らの間には、もはや当初の愛情すら存在しない。 ミアータはストラットが離れの祠という名の背の高い尖塔に潜む事を見越して隠れていた。 雪かき用の梯子は、吹き抜けの天井まで届くようにするために極めて高い。 この梯子に上っていれば、後は暗闇が彼女を隠してくれた。 そして、後はストラットがドアを開けて室内に入って来たら、杭を投げつけるだけ。 ずんっ。重力によって速度の増した杭は、ストラットの心臓に突き刺さって大きな穴を開けた。 そこから暫くびくびくと震えているようだったが、ストラットはすぐに動かなくなった。 こうなったら、後にやる事は決まっている。 ミアータ「ストラット。愛してたわ……」 フラリ……。梯子から手を放す。 古代のロストテクノロジーで建てられた高さ800メートルの尖塔の屋上付近から、 地面へと落ちていくミアータ。
[23]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/09/14(木) 00:34:59 ID:??? ガチャリ……。 森崎「お、おい……一体何があったんだ!? って、し、死んでる……!」 騒ぎを聞きつけてやってきた、この物語のエキストラがドアを開けた瞬間、 その目には心臓を刺されて一人息絶えるストラットの姿が見えるだろう。 そして、その次の瞬間には。 ヒュンッ、グチャアアッ!!! ……真っ白になったストラットを彩るように、真っ赤な血と肉が祠中に飛び散るのだろう。 初めて一つに交じり合った私達を祝福するのは、傍観者による悲鳴か嘔吐か。 ミアータは、最期の瞬間……心底ストラットに申し訳ないと思っていた。 ミアータ「ごめんね。……こんな不器用な愛し方しか、できなくって……」 ミアータは最後までストラットを愛し続けた。 しかし、魔女の呪いが、彼女を嫉妬と愛憎の鬼へと変えてしまった。 故に……彼女はもう、正常に彼を愛する事ができない。 今の彼女に出来る事は、彼の無残な死に顔が分からないよう、 自らの血肉でそれを隠す事位しか、できなかった。 愛があっても、愛していても、……今の彼女には、どうしても、愛する人を見る事ができなかった。 ************************************
[24]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/09/14(木) 00:36:08 ID:??? ……と、言ったところで今日はここまでです。
[25]森崎名無しさん:2017/09/14(木) 23:46:57 ID:??? Oh……nice boat
[26]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/09/15(金) 00:17:00 ID:??? 今日は仕事が忙しかったので更新をお休みします。 >>25 そういえば、ナイスなボート要素入れるの忘れてました(爆
[27]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/09/24(日) 23:15:10 ID:??? 森崎「なんだよこれ……なんだよこれッ!!」 ……【目の前に起きた事は、森崎にとって紛れもない真実】だった。 つまり、ミアータは狂気に囚われたストラットを救う内に、自らも同じ狂気に取り込まれ、 そして最後には無理心中の如き死を選び、その時の、肉片が、血液が、体液が、脳梁が……! 身体中に付着したそれを拭いながら、嘔吐するのをこらえて、森崎は叫ぶ。 森崎「これも、お前の望んだ事なのかよ。……出て来いよ、ベアトリーチェッ! お前はかつて、不必要に残虐な仕打ちはしないと約束した。 あれは全部、嘘だったのかよおおおおっ!!」 深夜にトイレに起き、『閂の扉』が空いている事に気付いた森崎は、 好奇心で『離れの祠』へと向かい、そこで死体を目撃したのだった。 すなわち、今の祠の中には、森崎を除いて生きている人間はどこにもいない。 パァァァッ、フワァァァッ。 ベアト「……嘘ではない。妾はもう、無駄な殺戮をしないと決めた」 ――故に、ベアトリーチェは容易に祠に姿を現す事が出来た。 暗闇と死体が支配する密閉した空間の中には、反魔法の毒素も侵入し辛い。 黄金の蝶を纏いながら、彼女は苦々しげな表情でその死体―― 今やもう肉片と呼ぶのが正確だ――を直視してから、 ベアト「だがしかし、これは元はと言えば、妾が蒔いた種であるとも言える」 森崎「どういう事だよ。前のソリマチ卿みたいなパターンってか? 遊びでニンゲンを魔女にしたけど、制御不可能でしたーってか? ……流石に、二度目は笑えないぞ?」 ベアト「……大まかに言えばそうかもしれぬ。しかし正確には正しくない。 何故なら、この状況を招いているのは――」
[28]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/09/24(日) 23:16:12 ID:??? ……途中で、会話が途切れる。 代わりに、祠に二度目の黄金が満ちる。一度目はベアトリーチェがここに現れた時。 では二度目は? その答えを知るのに、時間はかからなかった。 パァァァッ、フワァァァァッ。 ???「あぁぁら。誰かと思えばクソババ……先代様じゃあありませんこと? 私のオンボロ家具の活躍っぷりでも見に来て下さったのかしらぁ?」 森崎「あん? 誰だ……コイツ」 森崎の知らない少女だった。年齢は自分やベアトリーチェよりも年下に見える――十代前半だろうか。 紫のドレスは可愛らしいリボン装飾がなされており、、まるで御伽噺に出て来るお姫様のように愛らしい。 帽子とケープについた大きな薔薇のコサージュが、彼女の幼さと無垢さを同時に表しているようだ。 ベアト「噂をするより先に来たか。エヴァ・ベアトリーチェ、……”黒き魔女”よ」 エヴァ「なぁにその呼び方ぁ? 折角だからもっと可愛い名前にして欲しいのに。 ほんっと気が利かない行き遅れの賞味期限切れ総菜ババア、ヘソ噛んで死んじゃえばぁ?」 しかし、その可愛らしい服装や整った顔立ちに反して、 エヴァと呼ばれた新たなる魔女は、醜く顔を歪めて意地汚くベアトを罵倒している。 ただし、それは悪意というよりもむしろ純粋。 善悪の区別がつかずに虫を殺して楽しむ子供のような印象を森崎は受けた。 森崎「てめぇか。てめぇが……ミアータとストラットの頭をおかしくしちまったんだな」 エヴァ「人聞きの悪い事を言わないで。私はちょっと背中を押しただけで、なーんにもしてないもの。 私はニンゲンの悪意を代弁してあげてるだけだもの。くすくすっ……ねぇ、レヴィアタン。そうでしょぉッ!?」
[29]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/09/24(日) 23:17:50 ID:??? 彼女のくすくす笑いに呼応して、血塗れの中に埋もれた一本の杭が宙に浮かび上がる。 ストラットの急所を穿ったその杭は金色の光を纏ったかと思うと、みるみるうちに形を変え、 やがては緑の髪をした人間の少女の姿を取った。女学園の学生のようなブレザーを着ているが、 ガーターベルトのように太腿が大胆に露出したスカートは煽情的であり、森崎は思わず目を背けてしまう。 レヴィアタン「――くううっ。この私が負けてしまうなんてっ……悔しい、悔しいわっ……! 申し訳ありません、エヴァ様……」 勝気に見える少女は涙目になりながらも、主人に対して忠義を示す。 しかしその瞳には反抗的な光も宿っており、必ずしも彼女が本心からの忠誠を示していないようにも見えた。 エヴァ「あんた達みたいな旧時代のオンボロ家具が勝てるなんて一ミリも思ってなかったし、別に良いけど。 ま、上出来なんじゃない? あんたの魔力のお蔭で、そこそこ面白い三文芝居が見れたしぃ?」 レヴィアタン「……ッ! それでは約束通り、他の姉妹達は解放して……!」 エヴァ「ええ、決めたわ。……あんたはこの場で殺すし、他の家具は別なゲームで使ってから、殺す。 だってそうでしょおッ、魔女を愉しませる為に使い捨てられるのが家具の役目なんだもの。あはははっ!」 レヴィアタン「そ、そんな……ッ!」 パァァァァッ……ガシャァァァアアッ……ンッ! ――そして、ゲームを観劇し終えたエヴァにとって、レヴィアタンは既に用済みだったため、どうでも良かった。 彼女は悔し涙を流したまま、それ以上の反撃すら許されずに粉々に砕け散った。 ベアト「貴様ァ……妾の大切な家具を、よくも……!」 エヴァ「元・大切な家具でしょぉ? 今は、この新しき真の黄金の魔女・エヴァ様の物じゃあない? だったら、家具をどうこうしようと勝手じゃないの。ねぇクソババ……先代様ァ?」
[30]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/09/24(日) 23:18:56 ID:??? わざと呼び方を間違えながら、エヴァはベアトを挑発する。 森崎にとってエヴァとベアトの関係も不明だし、突然現れて突然壊された少女の事も良く分からない。 しかし、この一連のやりとりを見て、森崎は確信する。 森崎「翼やらベアトやら、俺の回りにはクソみたいな奴らばっかりが着いて来やがるが。 まさか……それ以上にクソな野郎が出て来るなんて思いもしなかったぜ」 ――こいつは悪だ。それも、ベアトリーチェのような、まだ同情の余地のある悪ではない。 彼女は、自らが言う通り、人間の悪意そのものだ。殺人を愛し、血を好み、倫理を嘲笑う。 森崎にはエヴァに対して憎々し気な視線を送りその嫌悪感を露わにするが、彼女はそれを見てむしろ楽しそうに、 エヴァ「ニンゲンって、本当に可哀想な生き物ねぇ。魔法が使えないからって私たちに嫉妬して、そんな事言うんだわ。 私、知っているのよ。ホントは貴方だって、ううん、みんなだって、私のようになりたいんだって。 嫌な奴の臓物をブチまけたり、気に入った女を凌辱し尽くしたり、黄金に塗れた屋敷で奴隷を弄んだりしたいって! 魔法があれば簡単に出来る事を出来ないから、ニンゲンは魔女を否定して自己満足する。 自分達は正しい、魔女は悪だって決めつける事で、醜い本性から逃げ出して暮らしてるだけだもの!」 そう高らかに魔法の素晴らしさを説き、同時に人間の卑怯さを論う。 それに対してはベアトが必死に反論して見せるが、 ベアト「……確かに、魔法にはそなたの言う通りの黒き側面がある事を、妾は否定はせぬ。 しかし、魔法とはそうした邪悪な物だけではない。人間の悲しみを癒し、希望を生む魔法もまたあるッ!」 エヴァ「あっそ。じゃあ先代様は、勝手にチンケなクソ魔法で満足してればぁ? 私には関係ないわ。だって私は無限の魔女だもの! これからも壊して戻して殺して生き返らせて、また殺し続ける。 理由は楽しいから! 私が楽しければ、他のヤツらなんてどうなっても構わないもの! ――さあ、次のゲームを始めましょおッ!」
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0ch BBS 2007-01-24