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【道は】鈴仙奮闘記41【違えど】
[320]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/11/25(土) 19:37:20 ID:??? 慧音「最悪、サイドにはある程度自由に動かせても構わない。中盤の軸となる選手さえ封じれば……と、 割り切ってしまう布陣という訳だな。実際、サンパウロの新田やマウリシオは、 翼やストラット、妖夢と比べるとそう脅威となる選手でない事は、事実ではある」 お燐「まあ、そこはあたい達サイドハーフ陣がなんとかするしかないねっ。ね、無口なお兄さん?」 反町「(だから俺は無口じゃなくて、言うべき事を選んでいるだけなのに……)」 鈴仙「サイド際の進攻をある程度許してしまうリスクはある。だけど、それ以上に、 中央の選手を自由にさせないというメリットはある筈。 ――どんな戦術にも、リスクは避けられない以上、より大きなリターンを重視すべきよ」 佳歩「そうですね。鈴仙さまの言う通りです。……後半戦は絶対に、もっと厳しい戦いになる。 そんな中、勝つためには、それ相応の対策が必要になると思います」 鈴仙の提案は受け入れられ、ミーティングは問題なく終わり。 鈴仙を含めた仲間達は、残り数分となったハーフタイムを各々の方法で過ごしていたが……。 穣子「……あのね、鈴仙」 そんな中、穣子が少しだけ不安気な表情で鈴仙に近づき、こっそりと話しかけてきた。
[321]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/11/25(土) 19:38:33 ID:??? 鈴仙「穣子。どうしたの? まさか、前半戦のどこかで負傷したとか?」 穣子「ううん、ケガはないよ。ただ、お姉ちゃんの体力が、ちょっと心配かもだから、 一応今の内に話しておこうと思って」 鈴仙「静葉さん……確かに、この試合は『オータムスカイラブ』を多用しているからね。 そうでなくても、静葉さんはパスやボールキープで、コンスタントに活躍しているし」 穣子「うん。勿論、今すぐどうこうって程度じゃないし、立て続けに『オータムスカイラブ』を 使うのでもなければ、全然問題ないレベルの消耗だと思うけど。……一応、覚えておいて」 鈴仙「うん、分かったわ。――ちなみに、穣子は大丈夫なの?」 穣子「私はお姉ちゃんよりも丈夫だからね! ……でもやっぱり、何度も強いシュートを撃たれたら、 どうなるか分からないし。その時は遠慮せず、つかさちゃんに交代して頂戴ね。……んじゃ」 穣子はそれだけ告げると、再びいつもの明るい表情で姉達の下へと戻っていった。 鈴仙「(穣子も、ああ見えて色々と考えてるのね。……とりあえず、『オータムスカイラブ』の消耗については、 頭の隅っこに留めておこうっと)」
[322]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/11/25(土) 19:40:40 ID:??? そうして鈴仙は、残り少ないハーフタイムを前に、色々な事へと思いを馳せる。 これまでのブラジルでの生活。出会ったライバル達。サッカーを滅ぼすと宣言したアヤソフィア。 サンパウロとの、妖夢との決着。そして――ここに至るまで、セクハラも程々に、多くの事を教えてくれたコーチの事を。 鈴仙「(コーチ……本当にどうしちゃったんだろう。なんで、未だに来ないんだろう)」 周囲の仲間と違い、鈴仙は知っている。あの堕落した老人が、その裏で如何なる壮絶な人生を歩んで来たか。 どれだけ高邁な夢を抱き、追い続けて来たか。だからこそ、彼がおふざけで試合を放棄するとは考えていなかった。 鈴仙「(最初は敵を油断させる為の、いつものフリかと思ってたんだけど。ここまで来ないのは妙よね……)」 考えても結論が出ない事を考えても仕方ない。合理的な永琳やパチュリーならばそう言うだろうが、 鈴仙はどうしても悶々と何でも考えてしまう方だった。 鈴仙「(こんなんじゃあダメ、ダメ。もっとシャキっとしないと!)」 スクッ! ――ブチッ……。 とはいえ、重要な試合の途中にそんな様子ではいけない。鈴仙は邪念を振り払って、勢いよく立ち上がり。 思考を無理やりにでも、数分後に迫った後半戦のキックオフへと向ける事にした。 そして、その過程で――鈴仙は捨象してしまっていた。 鈴仙が愛用していたスパイクのヒモの一部が、音を立てて切れてしまった事を。
[323]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/11/25(土) 19:41:48 ID:??? 【敵チームハーフタイム】 ロベルト「前半戦は1−2で、点数的にはこちらの劣勢。ゴールを決めたのはストラットのみで、 新田、魂魄、そして翼のシュートは敵の守備に阻まれている。 敵側はそれぞれSHの攻撃参加が功を奏しているが、肝心のFWはまだ点を挙げていないか。 ……翼。この状況、お前はどう見る(点数やシュート数など、誰が見ても明らかな数字を語り、 如何にもデータ分析に長けた監督っぽく見せる作戦だ!)」 混然としたコリンチャンスとは対照的に、サンパウロのミーティングは統制が取れていた。 いつも通りの、監督であるロベルトが箸にも棒にも掛からぬ一般論を前置きし、 それから先の展開を翼に全権委任するという方法は、一見、選手間のディスカッションが捗りそうな方式であるが、 サンパウロの場合は違う。 翼「布陣はこのまま。ただ、同点に追いつくまでは、俺はもうちょっと攻撃的に前目に出ようと思う。 その分、バビントンは前半戦より積極的にゲームメイクして欲しいな。 そうなると、中盤底に穴が出来そうだけど。そこはドトール、君の出番だ。 君はタックルだけじゃなく、ある程度リベロ的に立ち回る事で、そこをカバーしてくれ」 バビントン「……うん。了解したよ」 ドトール「俺からは一つだけ。俺がバビントンの穴を埋めるよう動くとなれば、 必然と前線の選手へのマークが疎かにならざるを得ない。 また、俺はお世辞にもパスやボールキープに長けるとは言えない。 完全にリベロ的に立ち回る事は、良策とは言えない気もするが」 翼「うん、そうだね。君の役割はやはり、あくまでもマンマーカーだ。 ただ、マークに徹するあまり、下がり過ぎるのは勿体ないっていうだけだよ。 だから、リベロ的に動くのは余裕のある時だけ。それ以外は、気持ち程度で構わない。 ……これだけ言えば、後は君の判断力があれば、何とかなると思うんだけど」 ドトール「……承知した」
[324]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/11/25(土) 19:43:26 ID:??? 翼「……それと、後半戦はもっとサイドも使っていきたいかな。 本当は俺が運びたいんだけど、マークが厳しくなりそうだし。 マウリシオ、新田。君たちはシュートはともかく、ドリブルはそこそこ上手いからね。 フリーでも無い限り、シュートは無理に撃たなくても良いから、頑張ってボールを運んでね?」 マウリシオ「……ちっ。言われなくても、身の程は弁えてますって」 新田「(……鼻もちならねえ言い方だが、尤もだ。反論できねぇ)」 翼「ストラット。君の仕事は1点でも多く点を取る事だよ。倒れても良いから、全力でシュートを撃ってくれ」 ストラット「言われなくとも、だ。俺は俺の仕事をこなしてみせるさ」 翼「石崎君とアマラウとリマは、特に言う事はないかな。精々頑張って、自分の仕事をこなしてね?」 石崎「あ、ああ……(翼が俺を見る目……最近は、まるでチェスや将棋の駒を見るような目だ。 いや、俺だけじゃない。皆に対しても同じだ。……あいつはもう、人をサッカーをする為の道具にしか見えてないのかな)」 アマラウ「ケッ。そんな言葉、三流の指揮官でも言えるぜ!」 リマ「リ、リマもがんばるリマー!」 サンパウロのミーティングはいつも、殆ど翼の指示をそのまま確認するのみだ。 そこに質疑はあっても議論はなく、チームメイトもほぼ彼の判断を追認する事が殆どである。 しかしそれは決して、チームメイト達が愚鈍であるが故ではない。 翼の判断の全てが、結果としてそれぞれのメンバーが最善と考える内容に一致しているのである。 まるで、彼らのサッカーに関する集合的無意識の中身が、翼の口を通して語られるかのように。
[325]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/11/25(土) 19:45:02 ID:??? 翼「後は……魂魄さん。正直言って、前半戦の君は微妙だよ。 君程サッカーが上手かったら、もうちょっと色々出来る筈だよね?」ニコッ 妖夢「……分かっている」 翼「ま。俺ですら失敗するんだから、これ以上はとやかく言うつもりはないけどさ。 でも、この試合の勝敗は君に掛かっているんだ。だから、宜しく頼むよ?」 妖夢「……ああ(そうだ。翼に言われるまでもない。私は、強いんだ。 強い奴が、実力通りの活躍が出来なければ、戦犯としても叩かれても仕方ない。 ……勝たなくては。何としても、どんな手を使ってでも、勝たなくては。 ……勝たなくては、私の存在価値が、これまでの意味が、全て、失われる……!)」 しかし、幾ら戦術や布陣が理に敵っていたとして、それだけでは説明できないのが、 人間の感情であり、人間の造作であり、即ちサッカーというスポーツである。 知ってか知らずか、翼の言葉は妖夢を更に追い詰めていた。 もうこれ以上追い詰められても、彼女には安心できる場所などありはしないのに。 妖夢「(鈴仙。私はあなたを倒す。如何なる手を使ってでも。そして……私は、強い存在として、在り続ける!)」 張り詰めた糸は力なく切れるか。それとも、張り詰めたままに敵の喉を切り裂くか。 ――全ては、数分後の後半戦に掛かっており。
[326]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/11/25(土) 19:46:20 ID:??? 〜リオカップ決勝が行われているスタジアムから500m程離れた建設途中のビル〜 .| 〉,,・^'' - .,, ~ i ~ __,,.- ^`・、.〈 | ./ ̄| /,/~ヽ、 `'' ‐--‐ ,.| 、‐-‐'' "~ _ノ~\,ヽ | ̄ヽ | (` | / ヽ,,_____`‐-、_、..,,___ノ八ヽ___,,.._-‐_'"´___,, ノ ヽ .|'´) | | }.| ./' \二二・二../ ヽ / ヽ、二・二二/ 'ヽ | { | <・・・・・・・・・。 謎の男「(……………子供を。しかも女を消すのは性ではないが、しかし仕事だ)」 ――また、そんな彼女を嘲笑うかのように、どす黒い計画を立てる者もまた、 遠くでその趨勢を見守っていた。
[327]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/11/25(土) 19:48:46 ID:??? …と、行ったところで一旦ここまでです。 力尽きたせいで、投票や判定までいけませんでした(泣) 続きは出来れば本日中に更新したいです。
[328]森崎名無しさん:2017/11/25(土) 20:07:00 ID:??? 一旦乙でした 意外な奴が出てきたな。悲劇は繰り返されるのか……
[329]森崎名無しさん:2017/11/25(土) 20:41:43 ID:??? なんだろう こいつって成功したことないような気しかしないんだけど・・・
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0ch BBS 2007-01-24