※人気投票開催中※
01/17(日)00:00-01/30(土)23:59
第二回鈴仙奮闘記キャラ人気投票
※新板できました※
ダイス創作物語板
ブログ
現行スレ
投票
最新20
板
1-
前
次
新
レス
【道は】鈴仙奮闘記41【違えど】
[743]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/31(日) 02:29:37 ID:??? *** 〜リオカップ決勝が行われているスタジアムから500m程離れた建設途中のビル〜 .| 〉,,・^'' - .,, ~ i ~ __,,.- ^`・、.〈 | ./ ̄| /,/~ヽ、 `'' ‐--‐ ,.| 、‐-‐'' "~ _ノ~\,ヽ | ̄ヽ | (` | / ヽ,,_____`‐-、_、..,,___ノ八ヽ___,,.._-‐_'"´___,, ノ ヽ .|'´) | | }.| ./' \二二・二../ ヽ / ヽ、二・二二/ 'ヽ | { | <・・・・・・・・・。 謎の男「サンパウロが勝ったか」 時間は僅かに遡り、リオカップの決勝戦の終了を告げるホイッスルが鳴り響いた時。 険しい目をしたスナイパーは、そう独り言ち、 謎の男「だが、俺の仕事は変わらない」 淡々と、依頼主である青髪の女から受け取った、契約書の内容を再度確認していた。 謎の男「(……契約書にはこう書かれていた。『リオカップの決勝戦終了後、魂魄妖夢を狙撃すること』。 ――ただ、それだけ。シンプルな内容だ。 サンパウロが勝利した場合、だとか、魂魄妖夢が活躍しなかった場合、だとか、 まどろっこしい条件など無い。……彼女を。魂魄妖夢を撃つ事は、最初から決まっていた」 ライフルの弾倉には、依頼主が用意した特別製の銀の弾丸――撃たれた者のサッカー筋のみを破壊し、 負傷被害を出さない代わりに、二度とサッカーが出来なくなる効果を持つという――が既に籠められている。 後はその引き金を引いて、撃ち抜くだけだ。
[744]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/31(日) 02:30:45 ID:??? 謎の男「(依頼主は――『ハイパーカンピオーネ』は、最初から魂魄妖夢を切り捨てる気だった。 何故なら、彼女の才能には既に見切りがついていたし、代替となる逸材は既に確保済みだからだ。 後は、彼女が鈴仙・優曇華院・イナバとの情に絆されて、『プロジェクト・カウンターハクレイ』側に寝返る事だけを 阻止すれば良い。彼女を二度と、サッカーを出来ない身体にする事で。……成程、合理的な判断だ)」 単なる仕事人である彼には、ターゲットとなる少女への同情や憐憫は一切抱かない。 ただ――と、男は思う。 謎の男「(単なるスポーツであるサッカーに対し、信念や生命を賭ける者の何と多い事か。 これではまるで、俺が渡り歩いてきた戦場と同じだ。……狂気が、満ち満ちている)」 要人の暗殺と言った普段の仕事と比べて、無名な少女を狙い、しかも命すら奪わないという楽な仕事だ。 ――もはやそうは思わない。サッカーという球技のルールを超えて、一人の選手生命を奪う行為は、 狂気を抱いたスタジアムの数十万人に対する冒涜であり、立派な殺人である。 だからこそ、余計に失敗は許されない。男は重圧を前にしくじる人間ではない。 重大な仕事こそ、確実にこなす。彼はそういう部類の人間だった。 グッ。――パァァァァァン……! 確実に。即ち普段通り。男は引き金を引き――銃弾を放った。
[745]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/31(日) 02:31:57 ID:??? *** グウウッ……ンッ! 銃弾が迫る。妖夢めがけて、銀色の閃光が――鋭利な殺意を示す、超高速の波長が、『視える』。 男が引き金を引き、妖夢に届くまでの瞬間。鈴仙の視界は、無意識にスローモーションとなった。 鈴仙「(ようむが、あぶない)」 かつて幻想郷中の狂気の波長を取り込んだ鈴仙の瞳は、昔にも増して格段に発達していたため、 彼女だけが、大歓声・大熱狂のスタジアムに紛れたその波を視る事が出来ていた。 ――そして、視る事が出来たが故に、鈴仙は誰よりも先に絶望した。 鈴仙「(……きょりが、ちかすぎる)」 銃弾を放つ者もまた、人間ながらにその道を究めた者に違いなかった。 極限までに薄められた彼の殺意を捉える事は難しく。 鈴仙が完全にその弾丸の軌道を捉え切ったのは、既に弾丸が妖夢の服を掠めている時点だった。 鈴仙「(……まに、あわない)」 鈴仙の瞳は狂気の瞳。弾丸の位相を操作し、妖夢に触れる事を禁ずる事もできれば、 逆位相を操作し、そもそもこの次元から無かった事にすらできる。しかしそれは、操作を行うに足る時間があれば、の話。 秒速1,000メートルで推進する銃弾が、妖夢の肉体まで僅か数センチまでの位置に居る時点で、もはや為す術など無い。 鈴仙「……だめ!」
[746]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/31(日) 02:34:03 ID:??? しかし、駄目と分かっていても、鈴仙は動いた。 鈴仙は視神経の全てを眼前の弾丸に集中させ、身体の限界を振り絞り、思いっきり妖夢を突き飛ばそうと身体を投げ出した。 普通ならば届く筈もない距離であるにも関わらず、鈴仙は諦めなかった。 鈴仙「(あの弾丸が命中したら、妖夢はたぶんダメになる。半人半霊だし、死ぬことはないだろうけど、 たぶん、死ぬよりも辛い思いをする事になる……と思う! だから、私が……防がなきゃ。 防いで……今度こそ、しっかりと付ける。妖夢との決着を!)」 ギンッ! ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ………………!! 鈴仙の瞳が、波長が、世界が、狂気が……世界を歪める。位相だけではない。 時間のベクトルすらもが曖昧になる中、鈴仙の瞳は輝き続けて歪みを広げる。 全ての波長を狂わせて、鈴仙は不可能を可能とする。それはもはや、単なる狂気ではない。 今の彼女は、世界の『理』それ自体を操作し、――それが如何なる犠牲を払う事となろうとも ――友人を助けたかった。 鈴仙「(我ガ狂気ノ瞳よ。……そノ限界を超エて世界を騙セ! 世界を――狂わせロ!)」 そして、狂気を超えた鈴仙の意地は奇跡を起こす。
[747]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/31(日) 02:35:20 ID:??? ……パ ァ ァ ァ ァ ア ン! 妖夢「……え?」 ――ドンッ! 乾いた銃声が鳴り響いた時、妖夢は、自分が何かに思いっきり押されて、よろめき倒れた事しか認識できなかった。 パシャァッ! その直後、生暖かい物が自分の顔にかかった感覚を覚える。触れてみるとそれは鮮血だった。 倒れた自分を庇うように、見慣れたブレザーの少女が虚空を見つめて立ち塞がっており。 鈴仙「はぁ……はぁ……!」 妖夢「れい、せん……?」 鈴仙「ああ。その声は妖夢……。助かったのね。良か、った……」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 振り返った少女は――鈴仙は。完全に潰れた両目から、滝のように血を流しながら、安堵の笑みを零して。 ――倒れた。 妖夢「鈴仙。……鈴仙!? 私を庇ったの……!? なんで……? なんで、私なんかの為に……!?」
[748]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/31(日) 02:37:37 ID:??? ポタ、ポタ、ポタ……。 鈴仙「(血が出てる。銃弾が目に当たっちゃった……のかな? なんだか良く分かんないや。何にも見えないし、身体の感覚も無いし、まるで幽霊になっちゃったみたい。 でも、まあ。妖夢も助かったみたいだし……これで良かったのかな? 皆には迷惑かけちゃうかなぁ……でも、コーチもあれで元医者だし、ちゃちゃっと直してもらえばいいよね。 試合には負けたけれど、きっと、まだ何とかなる。何とかしないといけないもん。 だって、私はキャプテン鈴仙だし。お師匠様とも約束したし、姫様だって…… あれ? まだ暗いな。もう夜なのかしら? まだ何も見えないよ……? 何も見えない……何も聞こえない……何も……考え……ら……れ……)」
[749]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2017/12/31(日) 02:49:56 ID:??? 唐突な急展開になったところで今日はここまでにします。 詳細は今後の更新で描写しますが、今回のイベントにより、鈴仙は暫くの間、失明状態となります。 ですがこれは、物語の演出上のイベントであるため、参加者の選択肢とは一切関係ありません。 また、玉兎としての高い運動神経と妖力による気配察知により、サッカーや日常生活は普段通り可能です。 ただし、ゲーム開始当初から鈴仙を支えてきたスキル・狂気の瞳については、暫くの間封印されてしまいます。 これにより、1/2発動の能力値減少効果が消滅します。 ※第一部では、スキル・狂気の瞳は必殺シュート強化の効果もありましたが、第二部では記載されておらず、 また、必殺シュートまで弱体化すると鈴仙が全く使われなくなってしまうため、 バランス上、必殺シュート力については弱体化されないこととします。 ですが、この弱体化についても今後の布石であり、鈴仙の更なる成長への伏線となります。(詳細はネタバレの為省きます) 明日と明後日は旅行に行くので、更新できないと思います。 また、それ以降も暫く文章パートが続くかもしれませんが、気長にお付き合い頂ければ幸いです。 本日もお疲れ様でした。
[750]森崎名無しさん:2017/12/31(日) 11:29:30 ID:??? 乙なのです 鈴仙が妖夢を助ける展開はなんとなく予想してましたが、鈴仙がこんなことになるのはビックリでした 今年も楽しい作品をありがとうございます。 鈴仙奮闘記も長編になりましたね、ここまで続ける、しかも読者参加型の作品をというのは 並大抵ではないと思います。 来年も鈴仙奮闘記を楽しみにしています。 作者さんにとって来年が良い年になりますように。
[751]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/03(水) 02:09:13 ID:??? 今年も更新していきたかったのですが、文章が書ききれなかった為明日更新します(汗) 東方憑依華が出ましたね…私も今日はずっとプレーしてました。 感想としては色々ありますが、とりあえず鈴仙が割と不憫過ぎて笑ってしまいましたw >>750 乙ありがとうございます。昨年は参加ありがとうございました、今年もよろしくお願いします。 キャプ森やキャプ翼を下敷きにしつつ、常識にとらわれない(かつ面白い)展開を目指しているので、 楽しんで読んで頂いて大変嬉しいです。 拙作ももうすぐ開始5周年を迎えますが、漸く全体のラストも僅かに見えて来ました。 (エンディングまで残り9試合で、これまで5年でだいたい21試合やって来たので、 丁度リオカップ終了時点で、21/30=70%は物語を終えた形です) 昨年度は更新が停滞する時もありましたが、今年はクライマックスに向けて、 モチベーション高く続けていきたいと思っています。
[752]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2018/01/03(水) 23:35:46 ID:??? 〜幻想郷・八雲紫の領域〜 紫「――鈴仙・優曇華院・イナバ。己の分も弁えず、瞳に限界を超えた負荷を掛け。そして、自滅したか」 空間の裂け目から事の顛末を観測していた八雲紫は、僅かな嘲笑を湛えながら、そう吐き捨てた。 紫「貴女の計画も、とうとう失敗に終わるのではないかしら? 八意永琳」 永琳「…………」 永琳は、そんな彼女の傍に寄り添い、共に鈴仙が倒れる瞬間を見ていた。 八雲紫は、永琳が己の計画――霊夢や一部の有力人妖を中心とした全幻想郷代表を優勝させ、 既存の幻想郷の秩序をが盤石である事を世界に知らしめる――に反対している事を知っていたが、 知りつつ尚、彼女は永琳を自らの傍に置きたがり、永琳もまた彼女と行動を共にする事が多かった。 ……無論、互いが互いを監視する為に、である。 紫「私の目的は一つ。今の全幻想郷代表を、来たる幻想スーパーJr.ユース大会で優勝させる。 そしてそれは、より正々堂々とした手段で為される事が望ましい。その方が、我らの強さをより客観的に証明できるから。 ――だから、私は貴女達の手駒を直接妨害する気は無かったのだけれど」 永琳「第三勢力は――豊聡耳神子の『ハイパーカンピオーネ』計画は別よ。 彼女達は、自分達が勝つ為なら何でもやる。それこそ、選手の暗殺だってするでしょう。 別に私は、八雲紫。貴女を疑いなどしていない」 紫「あら、それは助かったわ。……まあ。それは別として、私は貴女の愛弟子が志半ばで倒れても、 それはそれで、悪くは無い結果だとも思ってるんだけどね。正々堂々が理想でも、棚ぼたを拾わない理由は無いもの」 くすくす、と悪趣味な笑いを向ける境界の妖怪を無視して、永琳は続ける。 永琳「……『プロジェクト・カウンターハクレイ』は、鈴仙を中心とした新チームを主軸としていた。 その主軸が、視力を失って倒れたとなれば、私達の計画は徒花に終わる可能性は、 いよいよ高くなったと言わざるを得ないでしょうね。ただ――」
前
次
写
名前
E-mail
0ch BBS 2007-01-24