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【赤と8ビットの】キャプテン岬【物語《ロマン》】
[604]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/29(日) 23:04:12 ID:P+7ikf8E 岬「(なんていうか、開放的というか、こんなゲーセンがあるんだなあ)」 そんな事に感心しながら歩いていると、ひと際賑わっている筐体を見つけた。 よく見るとその後ろは行列ができている。外まで伸びていたあの行列だ。 筐体の周りにも見物客でごった返していて、ここからではなかなか見えない。 辛うじて見えるのは僕よりは背の高い、しかしそれ程年頃の変わらない現地人の少女が 周りと話しながらゲームをしている姿だった。 岬「(混んでるなあ、うーん、他は……あれ?)」 あまりの混雑ぶりに一旦下がって周りを見渡すと、ゲームセンターであまりに奇異な光景を見かけた。 何故かは知らないがゲームセンター内にある4・5メートル四方の空間。そこで男の子が絵を描いていたのだ。 もう少し具体的に見ていくと、年頃は僕よりも幼く小学生になったかなってないか位。顔つきからして同じ日本人だ。 その男の子がゲームセンターで絵を描いている。 それも左手にパレット、右手に絵筆を握り、イーゼルでキャンパスを固定させて描く、本格的な絵画だ。 どう考えても場違いなその光景にまず目を疑い、次に困惑した。こんな混雑して騒がしい所で、何の絵を描こうというのだろう。 岬「(うーんゲーセンって不思議なところだ。こんなのが見られるなんて。さて、どうしようかな)」 A 岬「(どんなゲームをしてるんだ?)」人込みにもぐりこんで、金髪少女の名プレイを観察する B 岬「(何で絵なんて描いているんだろう)」ゲーセンの絵描き少年を尋ねてみる C 岬「(折角来たんだし、僕もゲームしよっと)」 05 分ゲームする(3分につき4フラン使う) D その他、自由回答(要2票) 先に1票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。 ……以上で今日の投稿を終わります。
[605]森崎名無しさん:2018/07/29(日) 23:16:36 ID:dL8JxZZA B
[606]森崎名無しさん:2018/07/30(月) 07:25:59 ID:QM2MBmOI B
[607]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/04(土) 06:21:33 ID:hSNFBJZ6 第16.1話『遥かなる地上絵』 B 岬「(何で絵なんて描いているんだろう)」ゲーセンの絵描き少年を尋ねてみる ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ゲームセンターの絵描きというあまりに不調和な光景、小説でも漫画でも映画でもテレビでも見ないような 展開を目にしてしまっては、とても無視する事などできなかった。 人込みを抜け林立する筐体を越えて、少年の元へやってきた。そのまま声をかけようと思ったが、 周囲の騒ぎ声や明滅する光の乱舞を一顧もせずただ一心に絵を描き続ける姿を見て、 今すぐ声をかけずに、1歩離れたところで待っていようと気をかえた。 釣りをする太公望を日が暮れるまで待ち続けた周の文王みたいで、どことなくこそばゆい。 そんな滅多に経験できない、しかしマニアックな感情にとらわれていては時間の無駄なので、 少年と夢中で描いている絵を、気付かれないよう観察してみた。 目の前の男の子は見る感じでは確実に僕より年下、双海姉妹と同じか一つ二つ年上といった具合だろう。 紙の色は黒というより濃青色で、所々髪がはねてはいるものの この騒がしさのためか、どことなく清浄感をまとっているような感じがする。 そんな男の子がこんなところでどんな絵を描いているか。 もうほとんど描き上げているらしく周囲は全て仕上っており、後は中央で描いている何物かが終われば、絵が完成するようだ。 場所は南アメリカの森林地帯だろう、そこで戦闘機が天高く空を飛んでいた。 その戦闘機は上下2つのロケットエンジンノズルを中心にH字型の翼がつけられた、 スペースシャトルを戦闘型に改造したような形をしていて、近未来の戦闘機であるようだった。 白地に青で縁取られたカラーリングは機敏であり、どこかしら清浄感さえ感じさせる。 その戦闘機が目指す先には青く澄んだ空に地平線を覆うアンデスの山々が備わっている。戦闘機と天地の間でかすかに見える 気流による速度感と清らかさが、どこか遠くの世界へと連れ去ってしまいそうになる。 そして男の子が最後に描いている、山脈の手前から中央にかけて意気揚々と広がっているものは、 砂地に線で描かれた鳥の絵、アンデス文明の象徴ナスカの地上絵だ。 縮こまることなく悠々と大きく翼を広げ、クチバシは山につきささりそうになるほど長く伸びている。 太陽の光を反射させているからだろう、鳥が輝いているように見えた。
[608]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/04(土) 06:22:55 ID:hSNFBJZ6 右翼の羽の先まで絵筆が進む。羽先でそれ以前に描いていた羽の部分に触れた。完全に絵が描き上がったようだ。 一仕事を終えて満足そうにため息をつき、気持ちよさそうに伸びをしはじめた。 伸びは勢いが良く、座っている椅子をきしむほどに傾ける。そうして後ろへと視線が伸び、僕の目線と重なった。 男の子「……あ」 我に返る。急に意識が変わった事で、筋肉の緊張が抜ける。男の子がそう気づいた時には 椅子は後脚を軸に時計回りの回転運動に移りはじめた。 岬「(あぶない)」 とっさに椅子の縁をつかんで、転倒を食い止める。幸いほとんど落ちないうちに止めたので、 男の子は全く怪我をせずに済んだ。その男の子は急な変化に目をパチクリさせていたが、 様子が落ち着いてくると急に申し訳なさげに顔を曇らせ、椅子から降りて僕に頭を下げた。 男の子「あの、助けてくれてありがとうございました」 岬「あ、いや、いいんだよ、たまたま手が届いただけだから」 ペコリと頭を下げてから、僕にお礼の言葉を言う。 僕に気付いてからの一連の仕草を見て、 岬「(あどけない)」 と、感じてしまった。双海姉妹のような背伸びをしてスレたように見せかけるところがない。 ありきたりな表現だけど、自然の感情がそのまま湧き出て生まれたような子だ。
[609]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/04(土) 06:25:04 ID:hSNFBJZ6 岬「(って、いけない。ついボーっとしちゃってた。話をしないと)今、時間大丈夫?良かったら話がしたいんだけど」 男の子「あ、はい、大丈夫です」 岬「ありがとう。えっと……」 A 岬「僕は岬太郎、来月から日本人学校6年生のクラスに入るんだ。君は? (まずは自己紹介だ。この子もおそらく日本人学校に通ってるだろうし、仲間意識を持ってもらえれば)」 B 岬「新しいゲームセンターが出来るって聞いて、やってきたんだ (ここにいるからにはゲームに関心があるだろうし、ゲーム方面から仲間意識をくすぐってみよう)」 C 岬「なんでナスカの地上絵?(ゲームとは無関係そうな文化遺産の絵を、なぜゲームセンターで?)」 D 岬「親とか兄弟とか、付き添いの人はいないの (こんなところを子供1人で来れるはずない。その付き添いの人とも交流が持てれば)」 E 岬「片づけ終わったら僕と勝負しない?少しは出来ると思うよ (ゲームセンターにいるんだし、親交はゲームで深めるのが一番だろう)」 F その他、自由回答(要2票) 先に1票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
[610]森崎名無しさん:2018/08/04(土) 09:10:33 ID:lctei5eY A
[611]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/04(土) 10:45:54 ID:hSNFBJZ6 A 岬「僕は岬太郎、来月から日本人学校6年生のクラスに入るんだ。君は? (まずは自己紹介だ。この子もおそらく日本人学校に通ってるだろうし、仲間意識を持ってもらえれば)」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 問いかけたい事は色々あったが、まずはこれからの生活に当たって、縁をつないでおく事が先決だ。 そう考えた僕は、まず自分と同じ日本人学校の生徒だと、簡潔に自己紹介を行った。 男の子「岬さん、あ、岬先輩ですね」 岬「岬さんでいいよ。そんな堅苦しい言い方は好きじゃない。僕は君と友達になりたいんだ。 あと、できれば『君』じゃなくて、名前が知りたいな」 男の子「あ、はい。岬さん。僕はきさらぎゆうって、言います。ゆうって呼んでください。 きさらぎ君だと、お姉ちゃんみたいで、ちょっと」 岬「きさらぎゆう、って月の如く優しいって書くかな」 優「はい。そうです」 まずは男の子の名前を聞き出せた。ついでに姉の存在も確認できたが、今はそれよりも優の情報だ。 岬「そうか。優君は何年生?」 優「3年生です」 岬「3年生かあ。僕も人の事は言えないけど、誰か付き添いの人はいないの?」 優「いません。お姉ちゃんはゲームに興味が無いし、お母さんはいつも忙しくてなかなか来てくれないです。 岬「(『なかなか来てくれない』?お母さんはゲームに理解があるのかな)」 優「真美ちゃん亜美ちゃんとはよく行くけど。今日は用事があるって」 岬「用事?」
[612]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/04(土) 10:47:23 ID:hSNFBJZ6 外ではアタリのゲームを、家では(未確認だが)コレコビジョンを、学校でさえMSXでゲームを作っている、 あのゲーム大好き童女達がどうしたのだろう。 岬「へえ、あの子達がねえ」 優「岬さんはあの2人を知っているんですか?」 岬「うん、ちょっと前にね。結構ゲーム好きだったと思うんだけど」 優「何でもクラブの部長さんから招集をかけられたっていう事で、カセット作りのお手伝いに 出かけるって言ってました。ほうびにその部長さんが組んだプログラムのゲームを カセットに焼いて、プレゼントしてくれるそうです」 岬「なるほど、それで1人でやって来たんだ」 優がここに1人でいる理由も分かった。ついでに双海姉妹との付き合いも分かった。 そろそろ何でここで絵を描いているのか。どんな思いで描いているのか聞こうと思ったが、 ちょうどその時、外から打撃音と悲鳴が聞こえてきた。 *優君が描いている絵のイメージ(一部相違あり) http://fanblogs.jp/retrogamerz/file/xevious-fad-01.jpg
[613]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/04(土) 10:49:00 ID:hSNFBJZ6 第16.2話『男の名はスコット』 突如としてガラスが勢いよく叩き割られる音がし、すぐに悲鳴が続いて響いた。 振り返ってみると、1人の男が両手でにぎる何本ものボトルを振り回しながら、ゲームセンターの客を追い払っている。 床には深い赤色の液体が散らばっている。ガラスの破片も散らばっているところをみると、 男の手にしたワインボトルがたたきつけられたのだろう。 男「失せろ失せろ!ゲームなんかするんじゃねえ!」 大声でわめきながら振り回す。ボトルが宙を回るたび、周囲の客の手や顔や腕をかすめそうになる。 当然客達は悲鳴を上げて逃げ出す。 男「お前も!お前も!お前も!お前もだっ!」 外まで行列を作っていたところへも浮浪者が襲いかかる。たちまちクモの子を散らすように一目散に逃げ散る。 追い散らした客には追いかけようとはせず、代わりに叫び始めた。 男「ゲームなんかやめちまえ!いくら熱中しても、工夫しても、夢中になっても!」 思い切りボトルを床にたたきつけて、ゲームセンターが崩れんばかりの大声で、叫んだ。 男「結局俺みたいに、俺みたいに全てを失うだけなんだっ!!」
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0ch BBS 2007-01-24