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【赤と8ビットの】キャプテン岬【物語《ロマン》】
[635]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/15(水) 20:40:53 ID:1+dl/I+c 昨日は投稿できずに済みませんでした。少々ゲームの説明描写に難航していまして、 今日も投稿が出来そうにありません。歴史的傑作の魅力を伝えるのに100分の1も伝わったような気がしません。 投稿できるときはせめて10分の1は伝えられるようにしたいです。
[636]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:12:17 ID:1d+YvWAA こんばんは、これより投稿をはじめます。 >>625 何か元ネタがありそうですが、よく分からないのでちゃんとした答えが出せませんでした。 回答が遅くなってすみません。 >>628 お悔やみの言葉をいただきましたにも関わらず、返信先を間違っておりまして、 誠に申し訳ありませんでした。お陰様で何とかこちらも落ち着きまして、 すっかり日常に戻る事が出来ました。
[637]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:15:16 ID:1d+YvWAA 第16.3話『危機、そして殺意の予感』 C 岬「結構熱中してたけど、そんなに面白い?」 先程までのめりこんでいたゲームについて尋ねてみる ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 少女「面白いか、デスッテ」 ふわりと右手人差し指を僕に突き付けてきた。目を大きく開き、わずかに眉間にしわを寄せている。 「こんな当たり前の事をなぜ聞くの?」という彼女の声が、ありありと顔に浮かんでいた。 少女「面白いとかどうとか、そんな次元にはありませんネ。 これは革命デス。ゲームは新たな次元に達したのです。この『ゼビウス』によって」 スッと今度は優のキャンパスを指さす。絵の題材の話の流れからして、 優の絵は「ゼビウス」というゲームの1シーンを描いているのだろう。 少女「このゲームの偉大な点はプレイすればするたびに出てきます。それらの革新的変化に共通する、ゲーム革命の骨格とは」 再び指を僕に向け、「よく聞きなさい」とばかりに人差し指をクリクリ左右に振る。 少女「ゲームを定義づける『ストーリー』が血肉になっている事デス。 インベーダーやギャラクシアンといったオールドゲームは『宇宙からの侵略者を片付けろ』程度の筋書きしかなカッタ。 する事も向かってくる敵をただ撃ち落とすダケ。でも『ゼビウス』はチガウ。 『ゼビウス』の敵は自機と一直線上になると線からそれるように逃げマスシ、 戦闘機は攻撃した後に後ろへ逃ゲル!やられるだけの存在じゃなく、 まるで彼らもどうすべきか考えて動いているように行動するのが、一番の変化ですネ」 岬「(ああ、この子もとってもゲームが好きなんだなあ)」
[638]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:18:23 ID:1d+YvWAA アタリのお姫様の姿を思い浮かべながら、目の前の少女を観察する。 目がキラキラとし始めてきている姿は、ほんの数週間前のあずみちゃんや僕の姿とそっくりだった。 少女「ストーリーに深みを持たせるための舞台設定も最高ですネ。ゼビウス星で使われている『ゼビ語』。 スタートレックのクリンゴン語みたいに、話しているだけでゲームの世界に入ったような気がするワ! ゼビ語は私達ゲームフリークの共通言語よ、ね、ユウ」 優「はい、シャルポワさん達と一緒に話しているうちに、 僕もペラペラになりました。もしかしたらフランス語より上手いかも」 岬「シャルポワ?もしかして、この人の名前?」 シャルポワ「あら?言わなかったカシラ?私のスコアネームですヨ。 ま、私の事はともかく、ゼビウスの意義についてですガ、ゲーム以外にも巨大な意義がありますネ、 それこそ、近代史から現代史への道標トシテ。 そう、大航海時代はじまって500年、余り私達フランスをはじめとしたヨーロッパとアメリカが 世界をものにしようとしている間、 文化は全てフランスやヨーロッパ、アメリカから外へ広がっていくものデシタ。 絵画、音楽といったハイカルチャーから、ハンバーガーにコーラといった食べ物、 サッカーのような普通の人が楽しむスポーツに至るまで。 しかしながらこのゼビウスは日本、フランスはもちろん、 ヨーロッパやアメリカに先駆けて、生まれたものデス。 そのゲームを日本はもちろん、アメリカ人も熱狂的にのめり込んでいると聞きマシタ。 フランスでもきっと流行るデショウ。 どういう意味か分かりますカ?、黄色人種の生み出した文化を、 白人が血眼になって夢中になっている事デス。 ジャポニズムとは違って、特に日本とは意識しないものを、文化人でもない 普通の人達が大勢むらがってイク。大々的に受け入れられてイル。 これからは日本がゲームをリードしていくデショウ。私はあなた達日本人が羨ましいデス」 岬「(なるほど、そういう見方もあるか)」
[639]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:20:17 ID:1d+YvWAA ゲームは文化、か。遊びの1つでしかなかったあの電子遊具にそんな意義があるか。新しい視点を 指摘され心中密かに感心している間、シャルポワの顔はうっとりとしたものに変わり始めた。 シャルポワ「聞くところによると、既に日本の新聞はゼビ語で書かれているトカ」 岬「(ん?)」 シャルポワ「日本政府は2000年までにソルバルウを開発するととも聞きマシタ。 休日には日本人男性の8割が自宅の庭にソルを埋めているトモ。まさに日本はゲーム大国デスネ」 岬「(ええ……)」 いきなり突拍子もない事をペラペラと語りはじめる。先程までの真面目な話が一気に異次元に突き抜けた様を見て困惑する。 幸い僕の様子には関心を向けていないようなので、隣にいる優に小声で尋ねてみる。 岬「(何あれ。急にあの人何と言うか、いきなり頭のネジがすっ飛んだような)」 優「えっ!?あ、あのー、何て言ったらいいんでしょう、シャルポワさん、良い人ですから」 人の話を信じやすい。そう言いたいのだろう。 人の悪口を言ってしまってないか気をもんでいる童子の心情がありありと見えてしまった。
[640]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:21:59 ID:1d+YvWAA 何とかフォローを入れようと思ったのだろう、 優がやや上がり口調で彼女をほめる。 優「あ、でも、シャルポワさんホントに凄いんですよ!今日絵を描き終わる途中で 休憩と一緒に見に行ったら、ゼビウスで500万点叩き出したんです!」 500万点。それは凄い。あずみちゃんでも3時間かけて400万点だった。僕なら何十時間かかるだろう。 そう思ったところで疑問に打ち当たった。このゲームセンターが開いたのは今日のはずだ。 パリに出来ていなかったものが他のフランスの地域に出来ているとは思えない。 いくら上手いとはいえ、たった1日、いや数時間でここまでできるだろうか。 シャルポワ「あら、そのコト?あらら、バレましたカ」 その事について尋ねてみたところ、クスクスと笑みを浮かべる。 小馬鹿にしたというよりはイタズラがバレた時の子供のような顔だ。 シャルポワ「ま、事前に予習していましたカラネ、これ位は楽勝デスヨ」 そう言って得意げにポケットからカートリッジ2本を取り出した。 そのうちの1本は形状からして、あずみちゃんの家で見たアタリ2600のもの(※)に見える。 岬「これは、もしかして」 そう言ってアタリの看板に向けて指をさす。 シャルポワ「ご名答。そこのお姫様からいただきマシタ。こちらの方はゲーム機が家に無かったので、 ジャンクショップを渡り歩いて調達しましたよ。何で売られてないんでショウ?」 (※):アタリ2600版「ゼビウス」カセット http://atariage.com/forums/topic/261434-atari-2600-xevious-proto/
[641]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:24:55 ID:1d+YvWAA そう言って今度は「5200」と印字されているカートリッジ(※)を上げ、ヒラヒラと左右に動かせる。 2回そう動かした後にポケットへ戻し、今度は2600の方のカートリッジを前に向ける。 シャルポワ「こっちがお姫様とプレイした後で拝領した、下賜品になりマス。いやはや、何とも凄まじい代物でしたネ。 出てくるのはトーロイド、ドモグラム、ザカート、バキュラの4体ダケ。 それはまあ作りかけの段階ですから仕方ないが、みんなコインや木の葉が舞っているようにしか見えないのは何とも。 ゲームをしてるというよりロールシャッハテストを受けているみたいでシタネ。 心眼というんデシタッケ?心の目で目に見えないものを見る力。これを駆使しないと」 そう言うなり2600のカートリッジもポケットにしまい、 その後目を閉じ右手を『考える人』みたいに軽く目じりに当て、語りだした。 シャルポワ「おお、見えた!我が心眼に映りしは、まさしくバキュラ!」 ぐるりと180度ターンして、ビシリと左手を前に突き出し人差し指で前を指す。 そうして突き出した指の先に、1人の少女が立っていた。 (※):アタリ5200版「ゼビウス」カセット http://www.gamesdatabase.org/game/atari-5200/xevious
[642]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:27:41 ID:1d+YvWAA 申し遅れていましたが、この16.3話は都合により物語の視点が1人称になったり 3人称になったりと、視点変更が何回か行われます。 ただスレ主の筆力が足りないだけですので、その事については気にしないでください。
[643]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:29:52 ID:1d+YvWAA 少女「遅いわ」 テーブルをコツコツとこづきながら、1人そうつぶやく。 今日は母さんも父さんも帰りが遅い。だから今日は2人で食べる夕ご飯が作り置きしてある。 さらに午前午後とコーラス部で思い切り発声練習をしてきたため、お腹がすいて仕方がない。 できるならすぐにでも食べてしまいたいが、優が返ってこない以上1人では食べられない。 仕方ない。行き先は分かっている。迎えに行って早く連れて帰るしかない。 そう決めた私はコップ一杯の水を飲みほし、空腹をごまかしている間に連れてこようと決心した。 ドアを開ける。涼しい風が水色のポロシャツにそよいでくれて心地よい。 気分よく階段を下りていく途中、街路を歩く同じ年位の女の子達が歩いている姿が見えた。 顔つきは年相応に幼いにも関わらず、体つきは日本の中学生か、それ以上ありそうに見える程発育している。 くっ 胸の奥でチクリと痛みが響く。この頃そんな風に感じる事が増えた。 この頃は学校でも体の具合が話題になる事が増えてきている。今日出かけたコーラス部でもそうだ。 誰々はいくら大きくなった、あの子がクラス1大きいんじゃないかとか、そんな話が出ては ワイワイキャアキャアと音楽室が賑わしくなっていた。 そのたびに自分のを見て触っては、じわりと焦りが浮かんでくる。 周りのみんなは何かしら成長しているが、自分のものはいつまでたっても変わっていない。
[644]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:32:15 ID:1d+YvWAA 少女「(牛乳も飲み始めたしマッサージもしてるし、まだまだこれから。それより)」 早い所優を見つけないと。昔のように危ない目に合わないとも限らない。 そう気持ちを切り替えて、階段を降りパリの大通りへと歩き出した。 街路を歩いていくたびに、華麗で自然な着こなしをした年頃の女性や、映画のように街並みに溶けこんだようなハイセンスの美人と行きかう。 通り過ぎるたびに、彼女達が身にまとうパリの美観への憧れが高まっていくのが感じられる。 少女「(いいなあ。あんな素敵な服を着て歌ったら、優はもっと喜んでくれるかな)」 胸に浮かんだ憧れは、私の初めてのファンでもある優へと向かっていった。 小さい頃から優は私の歌が好きだった。コーラス部の人達も私の歌が上手いとほめてはいるが、 私の歌を聴いて手を叩き次をせがむ優の姿は、他の誰よりほめられるより嬉しい。 優の笑顔に心を馳せてニッコリとしていると、その当の優の姿を見つけた。 優は1人ではなく、私と同じぐらいの日本人らしき男の子と…スタイルのいいフランス人少女と一緒に歩いてきている。 早く挨拶を済ませて連れて帰ろう。そう思って小走りになって向かっていく途中、外人が私に暴言を吐いてきたのだ。 外人少女「おお、見えた!我が心眼に映りしは、まさしくバキュラ!」
[645]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/19(日) 00:33:58 ID:1d+YvWAA シャルポワが指さした先には、僕と同じぐらいの全身スレンダーな少女がいた。 優と同じぐらい深い青みをおびた髪が肩よりも長く伸び、 上は水色のポロシャツ、下は灰色のスラックスとスニーカーを身に着けている。 そんな暗色系統の身づくろいの少女が、急に赤みを帯びはじめた。 それも桃や橙といった淡いものでは無く、赤旗のような正真正銘の赤色になってきている。 岬「(これは怒る寸前の顔だ。マズ……)」 少女「だっ、誰がバキュラよーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」 怒髪天を衝く。そんな言葉がふさわしい形相になって大いにヴォルテール通りを響かせる。 叫んだ後は口を閉ざしズンズンとこちらへと詰め寄り、むんずとシャルポワの胸倉をつかんだ。 少女「いきなり何のご挨拶?人の体を鉄板呼ばわりなんて、ねえ?」 口調こそ静かになっているが、シャルポワをつかみ上げる眼差しは傍目でも分かるほど、敵意に満ちている。 突然の因縁にシャルポワはあたふたしながら、ポケットからカートリッジを取り出す。 シャルポワ「な、何の事デスカ?バキュラとはゼビウスの第3ステージから出る敵キャラで」 少女「ぐるぐる回転する破壊不可能な銀色の板、でしょう。見ず知らずの人の胸を板呼ばわりなんて……」 そう言うなり目の前の少女は手に力を込め、グイとシャルポワを両手で持ち上げ上下にシェイクし始めた。 こんなほっそりとした体のどこにそんな力があるかと思える程、激しく体全体を揺らしている。 シャルポワ「ヒイッ!待ッテ!止めてクダサイッ!」 少女「ちょっと成長が早かったからって、思いあがらないようにね? 私だっていつかきっと、あなたみたいに立派に成長するんだから、ね?」 もはや殺意になったのではないかと思える程の気迫を敵にぶつけている。 どうしようかと手をこまねいていると、横から優が袖を引いて制止した。
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