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【SSです】幻想でない軽業師
[116]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/28(日) 22:29:07 ID:??? 静葉「……寂しくなるわね(そしてそれ以上に、チームとしては戦力の大幅ダウンが逃れられない。 一樹くんだけじゃなく……他の事を考えると)」 穣子「まあね……でもさ、仕方ないじゃない」 静葉「穣子……」 穣子を励ましながらこの先を考えていた静葉は……しかし、視界に映った穣子の顔を見て声を失くす。 彼女は笑っていた。笑いながら――大粒の水滴を、ポロポロとその瞳から流していた。 穣子「あいつは……強くなりたいって、言ってるんだもん。 もっともっと、だってさ。 大会で得点王取っても、MVP取っても、まだまだ満足してないのよ」 静葉「………………」 穣子「私だってさ、もっとあいつと同じチームで一緒にいたかった。 けどさ、もう、邪魔だもん」 静葉はゆっくりと静葉に近づき、その背中を摩る。 静葉「………………」 いつだか、フランス国際Jrユース大会の際――試合中、体力を使い果たして倒れこんだ穣子。 医療室へと担ぎ込まれ、大事には至らなかったものの気絶をして眠り……。 その際、見舞いへとやってきた静葉との問答を思い出す。 穣子は確かに、反町に対して親愛の感情を抱いていた。 それが男女のそれだったのか、或いは家族としてだったのかはわからない。 少なくとも、その時は、弟みたいなものだから、放っておけないから、と穣子は言っていた筈だ。 そう、放っておけなかった。 放っておきたくなかった。 ずっとそばで、彼の成長を見守り――彼と共にありたかった。
[117]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/28(日) 22:30:54 ID:??? 穣子「だけど、あいつは早苗が好きだって言うし、早苗もあいつが好きだし! 強くなれて、思い人のいる所にいれるなら、それが1番じゃない!」 静葉「……そうね」 しかし、それは叶わない。 いつかの時に静葉が言ったように、少年は成長をする。いつまでも見守るという事は出来ない。 そして、どれだけ絆を結んでも、それは男女の愛にはきっと敵わないのだろう。 穣子「私は、あいつに言ったわ。 いつかあいつに受けた恩は、信仰は、必ず返してやるって」 静葉「………………」 穣子「それが女神である私の誇りだって。 でも、でもね……私、あいつにまだ何も出来てない……」 それは違う、と静葉は言いたかった。 確かにサッカーではずっと反町の世話になっていた、反町がここまで引っ張ってきた――それは疑いようの余地も無いだろう。 だが、日常生活でも――そして、繋がりとしても、誰よりも支え続けていたのは穣子だ。 いきなり幻想郷へとやってきて、右も左もわからない反町を助けていたのは、穣子だ。 ……それを言っても、彼女は納得しないのだろうから、静葉はじっと口を噤んでいたが。 穣子「私だって、別れたくない……」 静葉「………………」 それがきっと、穣子の本音なのだろう。 それでも、彼女は、自身の誇りや、何よりも反町の事を思って、身を引く事を決断した。 静葉「(一樹くんを……引き留めたい、所なのだけど)」 誰よりも近くにいた穣子がそう言うのだ。一体、どうして静葉が引き留める事が出来るだろう。 それは静葉だけではなく、このオータムスカイズにいる――他の誰にも言える事だ。 穣子がそう決断をした、ならば、それに口を挟める者など――空気を読まない何人かはいるだろうが、それもまた、静葉が許さない。
[118]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/28(日) 22:32:35 ID:??? 穣子「反町と離れるなんて……やだよぉ……」 静葉「………………」 いつしか静葉のやや寂しい胸に顔を埋めながら、嗚咽し、穣子は呟いた。 静葉はやはり、黙ってその頭を撫でてやる。 静葉「よく頑張ったわね、穣子。 本当に……よく頑張ったわ」 穣子「うぅぅ……」 静葉「(ただ……穣子と一樹くんは、神と人としては、あまりにも近すぎた。 ……結果的には、これが良かったのかもしれない。 ……穣子には、残酷な事かもしれないけれど)」 穣子を慰めながら、そうも思う静葉。 確かに穣子と反町の関係は、近かった――近すぎた。 それを考えれば、反町がオータムスカイズから離れる事も、決して悪い事ばかりではないと。 彼女はまだ知らない、白熱した幻想郷サッカーブームが、これから更なる盛り上がりを見せていく事を。 静葉「(……後は、私が頑張る番ね。 穣子の為にも……このチームの為にも)」 彼女は知っていた、反町が守矢フルーツズに移籍する上で、何名かの選手が反町に続き移籍をする可能性を。 静葉「(このチームが得てきた名声を……失墜させる訳にはいかない)」 誰もまだ知らない、稔りに稔った秋の空に……静かに終焉の日が近づいていた事を。 反町一樹が守矢フルーツズへの移籍をチームメイトに発表したのは、その翌日の事である。
[119]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/28(日) 22:36:13 ID:??? 早苗「(ヒロインレースに)勝ったッ!第3部完!!」 という事で早苗さん大勝利で一旦ここまで。 ここまでの流れは賛否両論あると思いますが、多分、あの時あのまま続いていたとしても、仮にJrユース大会後の進路は、 反町は守矢移籍ルートになっていたかなと思います。 次回は、反町移籍を受けてのオータムスカイズチームメイトの動向などを書けたらと思います。 それでは。
[120]森崎名無しさん:2018/01/28(日) 23:33:03 ID:??? 乙です 穣子さんが良い女すぎる…妻として反町を支えてやってほしい
[121]森崎名無しさん:2018/01/29(月) 01:29:16 ID:??? 移籍の理由の一部としてシュート練習したいからってのがなんともシュート魔王らしいというか とはいえ、穣子が行かないでって言ったら残ったんだろうなぁ 穣子もそれが分かってて移籍しろって言ってるんだろうな
[122]森崎名無しさん:2018/01/29(月) 06:29:58 ID:??? 早苗さんルートだと移籍しか道がなかったんやなって…… 穣子ルートも見たかった
[123]森崎名無しさん:2018/01/29(月) 08:47:43 ID:??? メタ的に大妖精が練習に付き合ってくれないって結構影響あったんですか? これがプロチームの話しだったら大妖精が批判される案件だとは思うが
[124]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/29(月) 21:56:46 ID:??? >>120 乙ありです。 早苗「浮気は絶対許早苗」 >>121 行かないでと言っていたら……まぁ、残っていたでしょうねぇ。 結局の所はやや守矢移籍に傾いていたくらいなので、ぐいっと引き戻せばそちらに行っていました。 穣子さんはそこを逆に押し返しちゃった感じですね。 >>122 途中までは穣子をヒロインのつもりで書いていたんですけどね……。 >>123 練習に付き合ってくれない、付き合ってくれてもビビりまくってて罪悪感が半端無いって感じですね……。 批判とかもされないと思います。殆どの人は付き合いたくないと思うでしょうし。 実は大妖精の反町に対する感情とかは、本編の日向に対するタケシや反町のそれのオマージュのつもりでした。 反町「選べ、俺のオータムドライブを受けて全治不明の重体になるか、俺が敵を吹き飛ばす所を味方として見るか」 短いですが投下します。
[125]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/29(月) 21:57:51 ID:??? Act.4 終焉の秋 反町一樹が守矢フルーツズへの移籍を発表したその日である。 秋静葉は、所属をしているチームメンバーに召集をかけた……当人である反町を除いて。 機を失う訳にはいかないと、彼女の行動は迅速であった。 静葉「(一樹くんが移籍をすると発表して日を置けば置くほど、状況は悪くなる……対応は迅速に。 だけど、冷静に)」 橙「お、遅くなりましたにゃ……藍様に呼び出しを受けていて……」 静葉「いえ、時間通りよ。 さ、座って」 オータムスカイズの誇る右の俊足サイドハーフ、橙の謝罪を笑顔で許しながら、 静葉は橙に着席するよう促す。 橙はそれに至極申し訳なさそうにしながらも、ちょこんと空いていた席に腰掛ける。 静葉「…………レティ、風見幽香は?」 レティ「駄目ね、まるで便りも何もないわ。 ……あの大会から」 静葉「……そう(それも、ある程度は予想の範疇。 ……大丈夫、まだ大丈夫)」 Jrユース大会が終わってから、まるで姿を見せる事のない風見幽香。 かつて静葉や橙、にとりとひと悶着を起こし、 加入をしてからもそのルール無用の残虐ファイトで色々と物議を醸したチームの一員である。 魔界Jrユースとして戦ったその時より、一層その残虐性は磨かれ……。 或いはこのチームにはもう二度と戻ってこないのかもしれない、と、静葉はある程度の予想はつけていた。 オータムスカイズの中でも、疑いようの無い総合力を持っていた幽香の離脱。 反町の移籍同様、これもまた痛い。 ただ、その痛さはこの2人の純粋な戦力としての計算以上に波紋を呼ぶ事になる。
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0ch BBS 2007-01-24