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【SSです】幻想でない軽業師
[158]森崎名無しさん:2018/02/04(日) 13:21:36 ID:??? 乙です。無理なさらず、続き楽しみにしています。
[159]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/04(日) 23:58:02 ID:??? >>158 乙ありです。 書けるは書けたのですが、キリのいいとこまで行けなかったので本日もお休みします。 明日には投下出来ると思います。
[160]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/05(月) 22:08:10 ID:??? 大妖精たちの離脱を聞き、内心気落ちをしていた静葉であったが、 ここで妹紅とにとり、妖精1が残留をしてくれた事でホッと一息、胸を撫で下ろす。 何せ、彼女たちの動向については、静葉でも全く読めなかったのだ。 静葉「(妹紅もにとりも、一樹くんとは親しい……それと同時にこのオータムスカイズに残る可能性も勿論あったのだけど、 どちらに転んでも決しておかしくはなかったわ……)」 妖精1に関してはにとりを慕ってどちらにつくか決めるだろうと推測出来た為、 問題は2人が残ってくれるか否かであったのだが、運よく残る事を決めてくれた。 理由については静葉の知る所ではないが、大妖精たちが抜けた今、 ブロッカーであるにとり、万能性のある妹紅、マンマークに長ける妖精1の残留は何よりも嬉しい。 静葉「(一歩間違えばDFが穣子だけ……という事態にもなりかねなかった。 さて、これで残るは……)」 橙「(うぅぅ……ど、どうしようかにゃ……)」 メディスン「…………」 ヒューイ「…………」 静葉「(橙ちゃんにメディスン、それにヒューイ……ヒューイに関しては、サンタナと妖精1が残るとするなら、 まず間違いなく残ってくれる。 問題は……後の2人)」 攻撃能力だけならば、オータムスカイズでもトップクラスに位置付ける橙。 そして、基礎的な能力こそ低いもののエース殺しの極意を持ちボランチとして期待が持てるメディスン。 既にほぼ残留が確定しているボール狩りの名手ヒューイに加え、 2人が残留を表明してくれれば、まだ、戦える。 静葉「(そう、まだ戦える。 これ以上選手が流失しては……うちは中堅すら名乗れないレベルになってしまいかねない。 だからこそ……)メディスンは、どうかしら?」 メディスン「………………」
[161]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/05(月) 22:09:18 ID:??? 静葉の言葉を受けて、しかし、メディスンは黙ったままであった。 元々、彼女自身は反町に不可思議なシンパシーを受けて途中加入をした選手。 元来人間嫌いである彼女にとっては、人間である反町に誘われてというのは非常に珍しい出来事であった。 とはいえ、そのシンパシーを感じたというのも当時の話である。 メディスン「(今はもう……どうでもいい……)」 あれはただの気まぐれか勘違いか、いずれにせよ、あれ以後、反町とメディスンの間に何かがあったという訳でもなく。 ただ惰性でメディスンはこのオータムスカイズに所属をしていた。 それでも――まだ、幽香が加入をしてからはこのチームに所属をする意義も見いだせた。 ひょんな事から知り合い、友人関係となったメディスンと幽香。 人見知りなきらいもあるメディスンにしては珍しく。 だからこそ、というべきかもしれないが……唯一とも言える幽香には非常に懐き、共にサッカーが出来る喜びを感じていた。 ただ、その幽香もいなくなった。 メディスン「(だから、もうこのチームからいなくなっても別に問題無いんだけどね……。 ……あの人間についていくっていうのもまっぴらごめんだけど)」 メディスンが揺れていたのは、反町について守矢に行くかこのチームに残るか、という問題の話ではない。 そもそもこのチームに残る必要があるのか、というものだった。 サッカーを止めても構わない……そういう決断も選択肢の1つに上がる。
[162]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/05(月) 22:10:45 ID:??? リグル「メディスンも一緒に残ろうよ! 幽香もふらっと戻ってくるかもしれないし!」 メディスン「…………(戻ってくるとは思えないけど)」 幽香には割と、気まぐれな所もあるという事はメディスンも知っていた。 勝手気ままに幻想郷中を巡り、四季折々の花を愛でる幽香。 昨日までいた場所に今日はいない、という事もままある。ただ……。 メディスン「(四季が廻れば、また戻ってくる事も、あるけど……)」 静葉「……悩むくらいなら、一旦、保留でも構わないわ。 何かがあれば、出て行ってくれても問題は無いのだから」 メディスン「…………ん」 結果、迷いに迷ったメディスンは、結論を先延ばし――現状維持を選んだ。 どれを選んでも構わないからこそ、どれも選べない者もいたという事である。 橙「(にゃー……メディスンも、残るんだぁ。 うぅ、私はどうしたら……)」 一方で、橙は目に見えて狼狽した様子を見せながら、ペタンと耳を畳み視線を下に向けていた。 この話し合いが行われる前――入室をしてきた橙が言っていたように、 この日、彼女は主人である藍の元を訪れていた。 ……正確に言えば、藍"達"の元に、である。
[163]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/05(月) 22:12:17 ID:??? 〜回想〜 橙「お久しぶりですにゃ、藍様!! それに紫様!!」 藍「ああ、おかえり橙。 とはいっても、Jrユース大会では久しぶりにずっと一緒に過ごせたのだけどね」 オータムスカイズに所属をする選手たちの中で、橙は珍しく1つの他勢力に所属をしていた選手であった。 彼女がオータムスカイズに参加をした切っ掛けは、紫が反町をほぼ強引に連れてきた事を知った藍が、 なんとか手を貸してやりたいと感じ、新チームに興味を持った橙を加入させた事。 好奇心旺盛で無邪気ながらも、サイドアタッカーとしての実力は相応に高い橙は、 今ではオータムスカイズには無くてはならない攻撃手段の1つとなっている(なお成功率はあまり高くない)。 そんな彼女は日ごろから定期的にマヨヒガへと帰り定期的に報告などをしていたが、この日は特別に呼び出されての帰宅であった。 橙「はい! 私も久しぶりに藍様と同じチームになれてうれしかったです!」 藍「うんうん、パルパルズとオータムスカイズ……2つのチームに分かれて橙と戦うのも悪くは無かったけど、 2人一緒だとコンビプレイも出来るからね」 対する主人である藍もまた、その身を所属するマヨヒガ連合から移し、 オータムスカイズと同じく弱小から成り上がっていったチーム――ネオ妬ましパルパルズへと移籍をしていた。 外来人であるシェスターにJrユース大会では魔界として参加をしたアリス。 そして、キャプテンであるパルスィに、藍。 4人で形成される中盤は幻想郷でもトップクラスの支配率を誇り、 FWの決定力不足や守備陣のボールカット能力のお粗末さを補って余りある程のもであった。 主人と式という間柄ながら、幾度となく戦いを繰り広げてきたのは、 偏に彼女たちが互いのチームに対して愛着を持っていたからであろう。
[164]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/05(月) 22:13:26 ID:??? 橙「ところで今日は何用ですかにゃ? 私にお話があるって聞きましたけど」 藍「うん……それについては、紫様から話してもらおう。 紫様……」 紫「はいはい」 藍の豊満なボディにいつまでも顔を埋めていた橙であったが、 そういえば果たして自分への用件とはなんだったのだろうか……と疑問を口にする。 すると一旦藍は非常に名残惜しそうにしながらも橙を離し、紫へと視線を向けた。 紫は相変わらず仲のいい2人に苦笑をしながらも、一歩、歩み出ると橙の頭に手をやりながら言う。 紫「橙……全日本で知らない選手たちと一緒に戦ったのは、楽しかった?」 橙「はい! 最初は凄く緊張しましたけど……でも、藍様もいましたし、それにみんないい人!……ばかりじゃなかったですけど、 でも仲良くなれた人もいました!」 紫「そう、それはよかったわ」 国際Jrユース大会が開かれる折、各国へと派遣された選手たち。 橙はその一員として、藍達と共に全日本へと渡った。 新天地で、見知らぬ者ばかりのチームの中に溶け込めるかと当初は不安だった橙だが、 そこは元々人懐っこく、好奇心旺盛な橙である。 性格も子供っぽい所もありながら天真爛漫となれば、個性派揃いである全日本の中でも孤立するという事は無く、 練習を見た立花兄弟を中心にそれなりには交友を深めた仲の選手も出来ていた。 橙「でもどうしてそんな事を聞くんですか……?」 紫「まだ詳しくは言えないのだけど……うぅん、そうね……。 橙、あなた、今よりもっと強くなりたいかしら?」 橙「はい! 勿論ですっ!!」
[165]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/05(月) 22:14:29 ID:??? 質問に対して質問で返すのはルール違反であるが、勿論賢い橙は主人の主人である紫に対して指摘はしない。 素直に質問にしっかりと答える。 それに紫は一つ頷くと……更に1つ問いかけた。 紫「なら……強くなる為に、今のチームから離れるのはどう思う?」 橙「にゃっ!?」 その問いかけに対し、橙は思わず飛び上がらん程に驚いた。 今のチーム――即ち、オータムスカイズから離脱をする。 彼女としては、はっきり言って考えた事の無い事柄である。 橙「離れ……え、えっと……それは、マヨヒガに帰ってこいって事、ですかにゃ?」 藍「ああいや、違うんだよ橙。 ……先ほど紫様が仰られたように、まだ詳しくは言えない。 ただ……そうだね、言ってしまえば、橙に武者修行をしてもらおうか、と思っているんだ」 橙「む、武者修行……ですかにゃ?」 武者と聞いて橙の頭の中で、どこぞのPK絶対外すウーマンな半霊シューターがちらつく。 あまりいいイメージが沸かなかった。 藍「サッカーの修行をね。 ……橙は今のままでも十分トップクラスの攻撃能力を持ってる。 ただ、もっと上手くなれる筈だ」 紫「って、藍がどうしても勧めるからね。 私としては本来なら藍に行ってほしかったんだけど……」 橙「あの……? 藍様が行く予定だったっていうのは?」 藍「うん……まあ、色々あってね。 私か、橙か。 どちらかしか行けないんだ。 だが、私は橙に行ってほしいと思って紫様に推薦したんだよ。 さっきも言ったように、橙はもっともっと上手くなれるからね」 橙「(ら、藍様に期待されてるんだにゃ……!)」 その言葉は、橙にとってこれ以上ない歓びであった。 事実として、橙はその攻撃能力"だけ"を見れば、既に藍に伯仲―― 一部は凌駕すらしてしまっている。 出来る事なら、その気持ちには応えたい。が……。
[166]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/05(月) 22:16:42 ID:??? 橙「あ、あの! それって期間はどれくらいになるんですかにゃ? この前の大会の時みたいに、1ヵ月か2か月くらい……」 紫「いえ、今度はみっちり行ってもらうつもり……そうね、おおよそ、3年程度を予定しているわ」 橙「さっ、3年ですかにゃああ!?」 長い。 先ほどまでの紫と藍の口ぶりからして、恐らくはまるで知らないような新天地に飛ばされる事になるのだろう。 そしてそこには藍達がついてくる事もなく、橙は1人、3年もの月日を過ごさなければならない。 無論、行ってみればその場その場で友人なりを作れる事もあるのかもしれないが、 それでも藍達と離れるという事に寂しさを感じない筈もない。 藍の期待には応えたい、強くなれるなら行ってみたい、だが、離れる事は寂しいし不安がある。 ぐるぐると橙の頭の中で様々な思い、感情が鬩ぎ合い、思わず橙は頭を抱えるのだが……。 藍「……すぐに答えを出す必要は無いよ。 突然こんな話をしたんだ、混乱するのも無理が無い」 紫「ゆっくり考えなさい。 ……私としては、受けて欲しいのだけどねこの話」 藍「勿論断っても構わない。 勝手な話なんだからね。 しっかりと自分で考えて……自分が納得出来る答えを私達に教えておくれ」 橙「は、はい……」 突然の言葉に混乱するのも無理は無いと、藍と紫はすぐに答えを求めなかった。 それでもやはり目をしぱしぱしながら、橙は言葉少なにオータムスカイズの住居へと戻っていき……。 紫と藍はそれを見送りながら、言葉を交わす。 紫「……受けるかしら、橙?」 藍「どうでしょう。 ……或いは、あの事が無ければオータムスカイズから離れる事も厭わなかったかもしれませんが」 言いながら、藍は目を細める。 反町一樹が東風谷早苗と交際をしている――というニュースは、当然ながらここにも届いていた。 勿論、彼女たちが反町が移籍を決断した事を知っていた訳ではないが……。 交際をしている、となった以上はそういう話が出るのは時間の問題だろうという予想もしていた。
[167]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/05(月) 22:17:57 ID:??? 紫「……大きく変わるわね」 藍「ええ。 そして、その余波を一番大きく受けるのがオータムスカイズです。 ……橙としては、苦しいかもしれません」 紫「さっきも言ったけれど、離れるなら離れた方が上策よ。 今のあそこは、沈むのがわかりきっている泥船状態。 未来は無い、と言える」 藍「かもしれません。 それは、橙も当然わかっているでしょう」 反町が移籍をする。そうなれば当然、オータムスカイズの戦力は大幅なダウンだ。 幻想郷どころか世界を見渡してもまず間違いなくトップであろうストライカーの離脱。 何かと内紛が起こっていたチーム事情を、綱渡りながらも纏めてきた手腕も含め。 反町の移籍は、オータムスカイズがこれまで築き上げてきた地位を崩壊させる一手となるだろう。 紫の言うように、未来の無い泥船という表現もわからないでもない。 藍「ただ……私も橙も、このままオータムスカイズが終わるとは思いたくない」 紫「……そう」 オータムスカイズに愛着を持っている橙だけではない。 ネオ妬ましパルパルズに所属をする事で、パルスィたちと共に打倒オータムスカイズを目指してきた藍もまた、 このまま秋の空が終焉に向かうとは思いたくは無かった。 だからこそ、強く橙にオータムスカイズを離れる事を勧める事が出来ない。 藍「…………いずれにせよ、橙の意志を私は大事にしたいですね」 紫「まあ、無理強いは出来ないからね。 ……ところで、もしも橙が行かない場合、あなたも……」 藍「私もネオ妬ましパルパルズを離れるつもりはありませんよ。 紫様には、ご迷惑をおかけしますが」 紫「そ。 ……ま、わかりきっていた事ね」 今までの事ならば、主命には何があっても従っていただろう藍に橙。 しかしながら彼女たちは、その言葉に迷い――或いは、キッパリと断りを見せた。 小さく溜息を吐きながら紫は……それでも、ハッキリと見えた式たちの変化に対して、薄く微笑みを浮かべるのだった。 紫「(とはいえ……どちらも行かない、となった場合困るのも事実。 どうしたものかしらね……)」 ………
[168]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/02/05(月) 22:19:31 ID:??? 橙「(うぅ……どうすればいいですかにゃ〜!)」 などという事がありつつ、場面は再び話し合いの場に戻る。 相変わらず、橙は頭を抱えて項垂れていた。 彼女としても、ある意味ではメディスンと同じ――反町についていくという選択肢ではなく、それ以外の事で悩んでいた。 オータムスカイズを離れ、藍の期待に応える為にも武者修行へと行くのか。 それともこのままオータムスカイズに在籍し続けるのか。 橙はその小さな頭を捻り、懸命に考える。 敬愛する藍からの信頼、期待に精一杯応えたい。 今よりも更にレベルアップをして、八雲一家として恥じる事の無い実力を身に着けたいという思い。 その気持ちは、橙の中に確かにあった。 橙「(でもでも、私が今離れたら……どうなっちゃうんですか……)」 チルノたちDF陣が抜けた事について、橙が残った所で解決できる事は何ら無い。 何故なら彼女の守備はからっきしであり、名無しの妖精とも大差無いレベルなのだから。 だが問題はこのチームの攻撃面である。 橙「(今日の朝に聞いた反町さんの移籍……それに、風見幽香もいない)」 爆発的なシュート力を持つストライカーと、幻想郷有数のMFの離脱。 チルノ、レティ、大妖精という守備の柱を失う以上に、攻撃面での低下も著しい。 唯一、静葉が引き留めてくれたお蔭でリグルの流出が防がれたのはオータムスカイズにとって朗報であったが、 それでも手数が明らかに足りない……と、橙は感じている。 橙「(なんだかJrユース大会でも凄く活躍してたし、実際それくらいリグルは強くなってるけど……。 でもでも、リグル1人じゃ無理。 他に得点力がいる選手が殆どいないにゃ……)」
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0ch BBS 2007-01-24